数学II / 三角関数

三角関数 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 正接の値から2倍角を求める
  2. 2倍角を用いる三角方程式
  3. sin³θ+cos³θ の最大・最小
  4. cos3θ=cos2θ を解く
  5. 2直線のなす角
  6. 分数式の最大・最小(傾きとみる)
  7. 三角関数の合成を用いる不等式
  8. cosの積の値(2倍角の繰り返し)

問1正接の値から2倍角を求める

★★★★ 難関2倍角相互関係

問題

のとき、、、 の値を求めよ。

ヒントを見る

倍角の公式は だけで表せる形がある。 を個別に求めなくても、 を代入すればよい。

解答・解説

方針

倍角の公式を だけで表す形を使う:、、。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分かっているのは の値だけ。 が何度かも、どの象限かも分からない。

でも求めたいのは 倍角。 倍角の公式は で書くのが基本だが、それぞれの値までは要らない。 は、じつは だけで表せる公式がある。 を入れればすぐに出る。

公式、、

① 。 を代入。

② 。

③ 。

(検算:。)

xyOθ
tanθ=2 は単位円上で傾き2の方向。cos θ:sin θ=1:2(第1象限にとる)

まとめ: だけが分かるときは、 倍角を で表す公式が便利。 の符号(象限)を気にせず求まる。 の分母は同じ 、 だけ分母が 。

発展。 だけで を表す公式は、 とおく「半角(ワイエルシュトラス)置換」の親戚。、 と書ける。三角関数の積分を有理関数に変える道具として、大学でよく使う。

答

、、

別解

別解:直角三角形をつ描く(苦手な人向けの直感ルート)。 は「対辺 、隣辺 」の直角三角形。斜辺は三平方で 。

この三角形から 、 と読める。あとは素直な 倍角へ代入する。

。 が第 象限( とも負)でも、 は積・乗の形なので符号が変わらず同じ答え。公式を丸暗記しなくても、三角形を つ描けば 倍角にたどり着ける。

ポイント

  • 倍角を の式で表す公式を使う。
  • を代入して 。

よくある間違い

  • の象限が不明なので の符号が定まらない、と手が止まる( 倍角は だけで表せる)。
  • の分母 を と取り違える( の分母と混同)。
  • で計算せず、公式の符号を誤る。

問22倍角を用いる三角方程式

★★★★ 難関三角方程式2倍角

問題

のとき、方程式 を解け。

ヒントを見る

を で書きかえて 種類にそろえる。 とおくと の 次方程式。因数分解して解く。

解答・解説

方針

で だけの式にする。 とおくと 次方程式になる。因数分解して を求め、範囲内の を拾う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と が混ざっている。このままでは解けない。

角を と の 種類にしているのが原因。 倍角で を に書き直せば、文字が だけにそろう。 を使う。すると の 次方程式になる。因数分解して解こう。

公式 倍角

① 種類にそろえる。 を代入。

② 次方程式を解く。 とおき、両辺 して

③ を拾う。 で

  • :
  • :

よって 。

まとめ: と が混ざったら「 倍角で にそろえて 次方程式」。 は の つだけ( の上端)。範囲内の を単位円で漏れなく拾う。

発展。 「 倍角で角をそろえて次方程式に」は三角方程式の基本の方法だ。 に つの形(、、)があるのは、残したい文字に合わせて選ぶため。方程式に が多ければ を選ぶ、という「道具の選択」ができるようになることが大事だ。

答

別解

別解:単位円で根を読む(苦手な人向けの視覚ルート)。 次方程式を解くと または 。この 本の「高さ」を単位円で見る。

は、高さ の水平線が単位円と交わる 点。第 象限の と、第 象限の 。 は円の一番上、 のただ 点。

合わせて 。式だけで解くと「 が 個、 が 個」の解の個数を取り違えやすい。単位円で水平線を引くと、交点の数がそのまま解の数として目に見える。

ポイント

  • で 。
  • → 。

よくある間違い

  • を に直さず、角が と のまま解こうとする。
  • の 種の形( 等)から、 だけになる形を選べない。
  • の解を の つだけにし、 を落とす。

問3sin³θ+cos³θ の最大・最小

★★★★ 難関最大・最小対称式置き換え

問題

のとき、 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

は和の公式で に因数分解できる。 とおくと の式に。 の動く範囲に注意。

解答・解説

方針

とおくと 。 を の式にする。 での の範囲は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を、そのまま で最大最小するのは難しい。

の対称式(入れ替えても同じ)だから、和 と積 で書き直せる。 の因数分解を使い、 変数 の関数にする。あとは の動く範囲を押さえて調べる。

公式。 のとき

① の式にする。 より

② の範囲。 。 では が から を動き、 は から 。よって は 。

③ 範囲つきで調べる。 、。 では で 、すなわち は減少。

  • 最大:左端 で ( または )。
  • 最小:右端 で ()。

まとめ: は「和の因数分解 → で 変数化」。 の範囲 が必須で、この範囲で は減少だから、最大は (端が )、最小は ()。

発展。 は、 と の対称式(ニュートンの恒等式)で書ける。 が上がっても和と積の文字で処理できるのがポイント。 は漸化式 を満たす。

答

最大値 ()、最小値 ()

別解

別解:積 の変数に落とす(得意な人向けの視点)。 と因数分解する( を使った)。

ここで とおくと、 で 。また だから 。

、 で、 はこの区間で単調に減る。よって最大 (、つまり )、最小 (、つまり )。 を変数にする本解と、 を変数にするこの解は、どちらも「対称式は和か積の変数にまとめる」という同じ考え方だ。 が と動くと見れば範囲もすぐ出る。

ポイント

  • 。
  • で減少 → 最大 ()、最小 ()。

よくある間違い

  • の動く範囲 を求めず、 を自由な実数扱いにする。
  • の関係を誤り、 の式が作れない。
  • 端点 での値 を「最小」と早合点する(実際は最大)。

問4cos3θ=cos2θ を解く

★★★★ 難関三角方程式角の関係

問題

のとき、方程式 を解け。

ヒントを見る

になるのは、 と がどんな関係のとき( 通りある)。 と をその関係に当てはめる。

解答・解説

方針

⟺ ( は整数)を使う。 の 通りを解き、範囲 の を拾う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 。両辺とも の形だ。

倍角・ 倍角の公式で展開して の方程式にする手もあるが、 次式になって面倒。「 なら 」という関係を使うと、角の等式に直せて速い。 の 通りを解く。

重要 ⟺ ( は整数)

① 角の関係にする。 より 。

② 通りを解く。

  • :。 では 。
  • :、。 では で 。

③ まとめる。 重複()を除いて

02π/54π/56π/58π/5
cos3θ=cos2θ ⟺ 3θ=±2θ+2kπ ⟺ θ=0, 2π/5, 4π/5, 6π/5, 8π/5(単位円を5等分)

まとめ: は「」の 系統。 倍角で展開するより角の関係のほうが速い。 から 等分の角が出る。範囲 で を動かし、重複を除く。

発展。 は の 次多項式で書ける(チェビシェフ多項式 )。、 を使えば の 次方程式にもできる。和積を使う本解と、多項式に落とす道の両方があり、後者は の値も副産物で得られる。

答

別解

別解:和を積に直す(和積の公式ルート)。 を右辺に寄せ、。和積の公式 を使う。

積が だから または 。 は で 。 は 、すなわち で 。 を使う本解と同じ 個の解。和積は「等しい つの の差 」を積の形にして、すぐに因数分解できるのが強みだ。

ポイント

  • ⟺ 。
  • と から 個の解。

よくある間違い

  • を だけとし、 の側を忘れて解を半分落とす。
  • から 、範囲内は のみなのに複数書く。
  • の解 で、 の範囲()を絞り損ねる。

問52直線のなす角

★★★★ 難関正接の加法定理2直線のなす角

問題

直線 と のなす鋭角を とするとき、 を求めよ。

ヒントを見る

直線のなす角は傾きから正接の公式で求まる( の加法定理から導かれる)。 を計算し、鋭角の を求める。

解答・解説

方針

直線の傾きを とすると、なす角の正接は 。傾き と を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線のなす角。傾きが分かっているなら、なす角の が傾きだけで書ける公式がある。

。絶対値がついているのは、鋭角のほうを測るため。傾き と を代入すれば が出る。その値から を読む。

公式 直線(傾き )のなす鋭角 は

① 公式に代入する。 、 より

xyO
2直線 y=3x と y=x/2 のなす鋭角は 45°(tanθ=1)

② 角を求める。 で は鋭角だから

まとめ: 直線のなす角は「傾きを に代入」。分子は傾きの差、分母は (傾きの積)。絶対値をつけて鋭角のなす角にする。今回は分子と分母がともに で 、。

発展。 なす角の の公式は複素数でも見える。傾き の方向を複素数 で表すと、 直線のなす角は の偏角。偏角の差=商の偏角、という複素数の性質が、そのまま の加法定理・なす角公式になっている。

答

別解

別解:方向ベクトルの内積で測る(得意な人向けの視点)。 直線 の方向ベクトルは 、 の方向ベクトルは 。 直線のなす角はこの ベクトルのなす角(またはその補角)。

内積で を出す。

なので、なす鋭角は 。 の公式を使う本解と同じ。傾き の直線の方向ベクトルは と読めるので、なす角は内積でも測れる。分子が正なら鋭角、そのまま答えになる。

ポイント

  • 。
  • で → 。

よくある間違い

  • 分子の絶対値を外し、鈍角のほうの (負の値)で答えてしまう。
  • 公式の分母 を と取り違える。
  • から を出さず、 の値のまま答えを止める。

問6分数式の最大・最小(傾きとみる)

★★★★ 難関最大・最小分数式円

問題

がすべての実数を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。

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とおき、 の項を左辺に集める。合成して、 が存在する条件(右辺が合成の振幅以下)を の不等式にする。

解答・解説

方針

を とおくと 。左辺を合成して 。 が存在する条件は 。 乗して の 次不等式を解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の最大最小。 で微分するのは重い。

「 とおいて、その が実現できる( が存在する)条件」を探すのが基本だ。 を分母払いして整理する。 の形にすると、左辺は合成できる。 が存在する条件は「右辺が 以下」。これが の不等式になる。

重要 は、単位円上の点と定点 を結ぶ傾き。 の範囲は が解 をもつ条件から

① とおいて整理する。 とおくと 、すなわち

② 合成して存在条件。 左辺は と合成でき、。 が存在するには右辺がこの範囲に入ること:

③ 乗して解く。 両辺 なので 乗して

より

xyO(−2,−2)
y は 単位円上の点と定点 (−2,−2) を結ぶ傾き。定点からの接線の傾きが最大最小

よって最大値 、最小値 。

まとめ:分数の三角関数は「 とおいて合成 → の存在条件(右辺振幅)」を の不等式に。幾何的には「単位円上の点と定点 を結ぶ傾き」で、その最大最小は定点から円への接線の傾き。

発展。 「分数式 の最大最小 定点 から単位円へ引いた接線の傾き」。定点が円の内部()なら傾きは全実数を取り(最大最小なし)、円上なら接線 本で片側だけ、外部なら 本で両側の極値。定点の位置で答えの様子が変わる。

答

最大値 、最小値

別解

別解:外の点から単位円を見込む「傾き」で考える(得意な人向けの高い視点)。 は、定点 と単位円上の点 を結ぶ直線の傾きそのもの。

が動くと、 から単位円上の各点へ引いた直線の傾きが 。その最大・最小は から円に引いた 本の接線の傾きで実現する。接線の傾きを とすると、直線 が原点から距離 (半径)。 を 乗して整理すると

合成で を解く本解と、同じ 次不等式・方程式に帰着する。 は原点から距離 なので円の外にあり、接線が 本引ける。「分数式 傾き」と読むと、最大最小が接線という図形の言葉になる。

ポイント

  • で 。
  • 存在条件 → 、。

よくある間違い

  • とおいて分母を払うとき、(つねに正)の確認を飛ばし同値性を崩す。
  • 合成した で、 存在条件 を書き忘れる。
  • 乗して得た を等式扱いし、範囲でなく端点だけ求める。

問7三角関数の合成を用いる不等式

★★★★ 難関三角不等式合成

問題

のとき、不等式 を解け。

ヒントを見る

左辺を合成して つの にまとめる。 の形にして、角の範囲で解く。 の動く範囲に注意。

解答・解説

方針

左辺を合成して 、すなわち 。 の動く範囲で が 以上になる区間を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 。左辺は と が足し算で混ざっている。

こういう「」は、合成して つの (または )にまとめるのが基本。 になる。すると不等式は 。角 の範囲で が 以上になる区間を探す。

公式合成 。ここでは

① 合成する。

すなわち

xyOπ/2
y=√2 sin(θ+π/4) と横線 y=1。交点の間(0≤θ≤π/2)で √2 sin(θ+π/4)≥1

② 角の範囲で解く。 より は を動く。 となるのは (この範囲では、それ以外に の区間はない)。

③ に戻す。 より

まとめ: の不等式は「合成して つの 」。 を角の範囲で解き、 に戻す。中身の角 が動く範囲を正しくとるのがポイント。

発展。 ()の合成は、点 の極形式そのもの。 の極形式が 、偏角 だから 。合成は「振幅と位相を持つつの波にまとめる」操作で、物理の波の重ね合わせと同じ考えだ。

答

別解

別解:単位円で「 の弧」を見る(苦手な人向けの視覚ルート)。 に対応する単位円上の点は 。すると はその点の 座標 座標。

不等式 は「単位円上で となる点」。直線 は と を通る。この直線より上側(原点と反対側)にある単位円の部分は、 から へ向かう第 象限の弧。角でいえば から まで。

よって 。合成して を解く本解と同じ区間。円上の点の「」と直線を重ねると、答えの弧が目に見える。

ポイント

  • 合成 、。
  • → 。

よくある間違い

  • 合成を と位相の符号を誤る(正しくは )。
  • の角の範囲を、 周期ぶんだけで打ち切る。
  • の動く範囲 への平行移動を忘れ、区間をずらし損ねる。

問8cosの積の値(2倍角の繰り返し)

★★★★ 難関2倍角積の値

問題

の値を求めよ。

ヒントを見る

を掛けてみる。 を繰り返すと、角が と倍々になる。 は何と等しいか。

解答・解説

方針

を掛けて を繰り返し使う。 のように角が倍々になり、最後に でもとに戻る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を、角を測らずに求めたい。

角が と倍々になっているのがヒント。 は「 を掛けると角が倍になる」公式だ。そこで を掛けてみる。、次に を掛けると …と角が倍々に上がり、最後は でもとに戻る。この循環を利用する。

重要。角が倍々の の積には、先頭の角の を掛けて連鎖させる

① を掛ける。 求める積を とし、両辺に を掛ける。

② 倍角を繰り返す。 を左から順に。

③ もとに戻す。 だから

で割って

まとめ:角が倍々に並ぶ の積は「先頭の を掛けて 倍角の連鎖」。角が と倍増し、 で先頭に戻ることで、掛けた が消えて が残る。

発展。 一般に (角が倍々の積)。本問は 、 で 。 を掛ける工夫はこの望遠鏡積の公式の証明そのものだ。

答

別解

別解: をはさむペアにして積和を使う(別の道具ルート)。 、 と見て、まず を積和で処理する。

を入れて 。これに を掛け、 を使うと

を掛けて角を倍々にする本解と同じ 。 の対称ペアと積和公式でも、地道に にたどり着ける。

ポイント

  • を掛け、 を繰り返す。
  • → 。

よくある間違い

  • を掛ける工夫を思いつかず、角の値を求めようとして詰まる。
  • 倍角を進めた最後で (補角の関係)に気づかず、もとに戻せない。
  • 両辺に掛けた を最後に割り戻すのを忘れ、答えに が残る。