数学II / 複素数と方程式

複素数と方程式 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 複素数の計算(累乗)
  2. 複素数の除法
  3. 複素数の相等(2乗)
  4. 負の数の平方根
  5. 2次方程式の虚数解
  6. 解と係数の関係(対称式)
  7. 2数を解とする2次方程式
  8. 解と係数の関係の応用
  9. 剰余の定理(2条件)
  10. 複2次式の因数分解
  11. 高次方程式を解く
  12. 1の3乗根 ω の計算

問1複素数の計算(累乗)

★★ 標準複素数の四則i の累乗

問題

次を計算せよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

を文字と思って展開し、 だけ実数に置きかえる。(3)は展開する前に形をよく見ると、計算がほとんど要らないことに気づく。

解答・解説

方針

さえ守れば、あとは文字式の展開と同じだ。展開してから、 が出たところを に置きかえて整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 複素数の計算は、新しい規則を1つだけ足した文字式の計算だ。その規則が 。

ふつうに展開して、 が現れた瞬間に へ置きかえる。それだけである。最後は「実部+虚部 」の形に整理して仕上げる。 の入った項と入っていない項を、きちんと分けて書く。

公式。、

(1) ふつうに2乗を展開する。

なので 。

(2) まず2乗、次に1回かける。

これに をかける。

(3) 和と差の積なので、まん中の項が消える。

共役な複素数どうしの積はいつも実数(ここでは )になる。

発展。 という結果は、意味を持っている。数学Cの複素数平面で学ぶと、「2乗すると偏角が2倍になる」ため、 方向の が2乗で真下( 方向)を向くのだ。

共役の積 は複素数の「大きさの2乗」でもある。計算規則として覚えた式が、あとで図形の言葉(距離・角度)で読めるようになる。その準備として、 の計算に慣れておこう。

答

(1) (2) (3)

別解

形を見てから手を動かすと、展開が省ける小問がある。(3)は 。符号だけ違う共役どうしの積だ。和と差の積の公式で

一般に 。共役の積は必ず「実部の2乗+虚部の2乗」の実数になる。次の割り算の問題で分母を実数化できるのは、この事実を使うからだ。

(2)の3乗も2乗を部品にすると軽い。 を先に作り

3乗の展開公式を丸ごと回すより、2乗の結果 という小さい部品を経由するほうが速くて安全だ。

ポイント

  • 。 が出たら必ず に直す。
  • (共役の積は実数)。

よくある間違い

  • をそのまま残して整理を忘れる( は )
  • (2)で の展開の符号(奇数乗のマイナス)を誤る
  • 答えを の形に整理し切らず、 の項が散らばったまま提出する

問2複素数の除法

★★ 標準複素数の除法分母の実数化

問題

を (、 は実数)の形にせよ。

ヒントを見る

分母から を追い出したい。分母・分子に何をかければ、分母が『 乗の和』の形の実数になるだろう。

解答・解説

方針

分母に があると の形にならない。分母の共役を上下にかけて、分母を実数にする(分母の実数化)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) ゴールは の形。邪魔なのは分母の だ。

分母 の共役 を、分子と分母の両方にかける。共役の積は の実数になるから、分母から が消える。分数の値を変えずに形だけ変える。「分母の実数化」は無理数の分母の有理化とまったく同じ発想である。

公式分母の実数化:分母の共役を上下にかける。(実数)

分母 の共役 を、分母・分子にかける。

分母は共役の積なので実数。

分子を展開する。

まとめて

発展。 「共役をかけて分母を実数に」は の有理化や数学IIIの極限の変形と同じく、「組になる式をかけて扱いにくい部分を消す」種類の方法だ。

複素数では 以外のどんな数でも割り算ができる(実数化が必ず成功する)。この「四則がすべて自由にできる」性質は、方程式が複素数の範囲で必ず解けること(代数学の基本定理)の基礎になっている。

答

別解

割り算を「掛け算の逆」として、正面から解く道もある。求める商を とおくと、 は ということだ。左辺を展開すると 。実部・虚部を右辺と比べて

連立を解いて 、。共役ルートと同じ答えになる。手数は多いが、「割り算とは掛けて元に戻る数を探すこと」という定義そのものを体験できる。共役をかける技はこの連立を一度に解くための工夫だったと分かる。

ポイント

  • 分母の実数化=分母の共役を上下にかける。
  • 実部・虚部に分けて の形で答える。

よくある間違い

  • 分子だけ、分母だけに共役をかける(両方にかけて値を保つ)
  • 分母の共役の符号を誤り、 が消えない
  • 分子の展開 で の処理を忘れる

問3複素数の相等(2乗)

★★ 標準複素数の相等

問題

を満たす実数 、 を求めよ。

ヒントを見る

左辺を展開して実部と虚部に整理し、右辺と見比べる。複素数が等しいとは実部・虚部がそれぞれ一致することなので、ここから実数の連立が立つ。解の組が複数出ることに注意。

解答・解説

方針

左辺を展開して の形にし、実部どうし・虚部どうしを比べる(複素数の相等)。連立方程式になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 未知数は の2つ。等式は複素数の等式が1本。足りないように見えるが、複素数の相等は「実部と虚部の2本立て」だ。

左辺を展開して の形に整理する。。実部どうし・虚部どうしを比べて、、 の連立。1本の複素数の等式が実数の連立2本になった。

公式複素数の相等:( 実数) かつ

① 左辺を展開して、実部・虚部に分ける。 左辺を展開する。

② 実部と虚部を、それぞれ比べる。 これが に等しいので、実部どうし・虚部どうしを比べて

③ 1文字を消して、 だけの方程式にする。 2つ目の式から 、つまり 。これを1つ目の式に入れる。

両辺に をかけて整理すると

④ 実数条件で解を絞り、 を求める。 は実数なので 。よって 、。

のとき 、 のとき 。よって または 。

まとめ:複素数の相等は「実部=実部、虚部=虚部」で連立にする。消去して出た方程式を解き、最後に『 は実数』の条件で不適な解を落とすところまでが1セット。

発展。 この問題は「 の平方根を求めよ」と同じ内容だ。複素数の範囲では、どんな数にも平方根が2つある(実数の「負は平方根なし」という制限が消える)。

数学Cの極形式を学ぶと、平方根は「大きさは 、角度は半分」と図形的に求められるようになる。 を使った別解は、その極形式の考え方の基礎になる。

答

または

別解

隠れた「3本目の式」を使うと、連立が大きく軽くなる。大きさ(絶対値)の比較だ。2乗しても大きさの2乗は保たれるから、、つまり

実部の比較 とこの式を足し引きすれば、、 が即座に出る。候補は 、 の4組。虚部の条件 から同符号のペアだけが残り、 と 。

を代入で解く正攻法に比べ、2次の対称なきれいな連立になるのが利点だ。「等式からは実部・虚部だけでなく大きさも比べられる」という第3の目は、複素数平面(数C)でも役に立つ。

ポイント

  • 複素数の相等 → 実部と虚部を別々に等号でつなぐ。
  • 実数の条件()で解を絞る。

よくある間違い

  • のような実数にならない候補を、実数解として拾ってしまう
  • の符号条件を忘れ、 など逆符号のペアまで答えに含める
  • 実部・虚部の比較を「係数比較」と混同し、 が実数という前提を確認しない

問4負の数の平方根

★★ 標準負の数の平方根

問題

次を計算せよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

根号の中が負のときは、計算を始める前に を外へ出しておくのが原則だ。先に根号どうしを掛け合わせると符号を間違える。この問題はその誤りを誘う作りになっている。

解答・解説

方針

()は先に に直してから計算する。直さずに の中どうしをかけると符号を間違える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) ()を見たら、計算の前に へ直す。これが鉄の掟だ。

という規則は、中身が負の数では使えない。直さずに中身どうしを掛けると、符号が逆の誤答に落ちる。 に直してしまえば、あとは の普通の計算。「まず をくくり出す」を反射にする。

公式 のとき 。負どうしは先に を出す()

(1) それぞれ を出してからかける。

もし先に中どうしをかけて とすると、符号がちがってしまう。負の数の平方根は必ず先に を出す。

(2) こちらも先に を出す。

どうしが約分され、中身だけの割り算になる。

発展。 「便利な規則には適用条件がある」という教訓は、複素数に限らない。(正しくは )、(真数が正のとき)など、条件を忘れると間違える規則は、数学のあちこちにある。

なぜ負の中身で壊れるのか。根本の理由は、複素数では平方根が2つあって「どちらを と呼ぶか」の首尾一貫した選び方が難しくなるからだ。数学Cで偏角を学ぶと、この事情がすっきり言葉にできる。

答

(1) (2)

別解

「どの規則が、どこまで使えるか」を整理しておくと、この問題の意地悪さが見通せる。 が保証されるのは、 がともに 以上のときだけだ。

  • (1) 負 × 負: 規則の適用外。 に直すと 。中身を掛けた とは符号が逆になる。
  • (2) 負 ÷ 負: これも適用外だが、 に直すと で が約分され、結果 は中身を割った と偶然一致する。

「(2)は中身の計算でも合うから」と規則を信じると、(1)で裏切られる。一致するかどうかが場合による以上、規則の外では常に 経由で計算する、が唯一の安全策である。

ポイント

  • ()を必ず先にやる。
  • 負×負の平方根は の中をかける前に を出す。

よくある間違い

  • とする(正しくは )
  • (2)が中身の割り算と一致したことから、(1)でも規則が使えると誤信する
  • を と混同する()

問52次方程式の虚数解

★★ 標準2次方程式虚数解

問題

2次方程式 を解け。

ヒントを見る

解の公式で進めて、根号の中が負になったら を使う。虚数解は必ず共役のペアで現れるはずだから、答えの形の検算にも使える。

解答・解説

方針

解の公式を使う。 の中(判別式)が負になったら、負の数の平方根として を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 手順は実数のときと同じ、解の公式だ。違いは1点だけ。 の中(判別式)が負になったら、そこで止まらない。

と、 を使って開けばよい。判別式が負でも「解なし」ではなく、虚数の解が2つある。複素数まで数の範囲を広げたことで、2次方程式は必ず2つの解を持つようになった。

公式解の公式 。判別式 なら虚数解

、、。判別式は

なので虚数解。解の公式に入れる。

なので

発展。 「実数係数の方程式の虚数解は共役ペア」という事実は、この先の高次方程式で役に立つ。 が解と分かった瞬間、 も解と確定し、2次の因数が1つ手に入るからだ。

判別式の3分類(正・0・負)はこれで「異なる2実数解・重解・共役な2虚数解」という完全な分類になった。「解なし」という欄が消えたことが、複素数を導入した最大の収穫である。

答

別解

解の公式を経由せず、平方完成で直接解くこともできる。

「2乗すると になる数」は 。だから

解の公式の暗記に頼らず、 の定義(2乗して負になる数)だけで完結する道だ。答えの形にも注目したい。2つの解 と は共役のペアである。係数が実数の方程式では、虚数解は必ずこの「鏡写しのペア」で現れる。片方だけ出てくることはない。

ポイント

  • 判別式が負 → 虚数解。 の中の負を で処理。
  • 実数係数の2次方程式の虚数解は共役どうしのペアで出る。

よくある間違い

  • 判別式が負になった時点で「解なし」と答える(実数解なし、が正しい。虚数解はある)
  • の整理を誤り の係数を間違える
  • 分子全体を で割るとき、 の項だけ割り忘れる

問6解と係数の関係(対称式)

★★ 標準解と係数の関係対称式

問題

2次方程式 の2つの解を 、 とする。次の値を求めよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

、 を個別に求めない。まず和と積を係数から読み、(1)(2)とも『和と積だけの式』に書き換えてから代入する。 乗の和の変形がうろ覚えなら、展開して確かめてから使おう。

解答・解説

方針

解を求めずに、解と係数の関係で と を出す。対称式はこの2つ(和と積)だけで表せる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 解を実際に求めると虚数になって計算が重い。解を求めずに済ませるのが、解と係数の関係だ。

、。この2つの部品だけを取り出す。聞かれている式はどちらも対称式( と を入れかえても不変)。対称式は必ず和と積だけで書き直せるから、部品2つで足りる。

公式解と係数の関係: の2解は 、

この方程式は なので

(1)

公式

虚数解でも、和と積は実数なので、対称式の値も実数になる。

(2)

公式

発展。 という「2乗の和が負」の結果は、解が虚数であることの動かぬ証拠だ。実数なら2乗の和は 以上に決まっている。答えの符号から解の素性が透けて見える。

別解の次数下げは整式の割り算の言葉では「 を で割った余りに置き換える」こと。式と証明で学んだ剰余の理論と、解と係数の関係が、ここで1本につながる。

答

(1) (2)

別解

対称式の公式を使わず、「解であること」を直接使う次数下げの道もある。 は方程式の解だから 、つまり

2乗が1次式になった。 も同じだから

3乗も、もう一段下げるだけだ。。よって

どんなに高い次数でも「2次を1次に落とす」の繰り返しで機械的に下りられる。 のような高次の値を問う応用では、対称式の公式よりこちらが本線になる。

ポイント

  • 対称式は解を求めず、和 と積 だけで計算する。
  • 、。

よくある間違い

  • 解と係数の関係の符号を誤る( のマイナス)
  • の公式の を忘れる
  • 答えが負になったのを見て虚数解の存在を忘れ、計算ミスと思い込む(虚数解なら2乗の和も負になり得る)

問72数を解とする2次方程式

★★ 標準解と係数の関係方程式の作成

問題

2次方程式 の2つの解を 、 とする。、 を2つの解とする2次方程式を1つ作れ。

ヒントを見る

新しい 解の『和』と『積』さえ分かれば方程式は作れる。 と を展開して、もとの和・積の言葉に直そう。

解答・解説

方針

作りたい2数の「和」と「積」がわかれば、 で方程式ができる。もとの解と係数の関係を使って和・積を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2数を解とする2次方程式は、 で作れる。だから必要な材料は新しい2数の和と積だけだ。

、。もとの方程式の解と係数の関係(、)を入れれば、和 ・積 。方程式は だ。

公式2数 、 を解とする2次方程式は

もとの方程式 から、解と係数の関係で

新しい2解の和を計算する。

新しい2解の積を計算する。

和 、積 なので、求める方程式は

発展。 置きかえの向き( ずらすのに を代入)が2次関数の平行移動の規則と同じであることに気づいただろうか。方程式の解も、グラフの 切片も、同じ「点の集まり」だから、動かし方のきまりが共通だ。

3次方程式でも解と係数の関係はあり(、、 の3点セット)、置きかえの技もそのまま通用する。2次で身につけた型が高次方程式でもそのまま使える。

答

別解

「グラフの平行移動」の発想で、方程式ごとずらして一度に求める方法もある。解を全部 したいなら、方程式の を に置きかえればよい(新しい が古い解より 大きい位置で になる、という理屈だ)。

展開して

和と積の計算をせずに、置きかえ1回で答えに着いた。「解を 倍した方程式」なら を に、「解の逆数の方程式」なら を に置きかえる。解の変換を方程式の変数の置きかえで実現するこの技は、和と積の再計算が面倒な変換ほど強みを増す。

ポイント

  • 2数を解とする方程式=。
  • 新しい解の和・積を、もとの ・ で表して計算する。

よくある間違い

  • の和の前のマイナスを落とす
  • 積の展開 で の項を忘れる
  • 置きかえルートで を にしてしまう(解を するのは 。向きが逆)

問8解と係数の関係の応用

★★ 標準解と係数の関係対称式

問題

2次方程式 の2つの解を 、 とする。次の値を求めよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

どちらも通分・展開すると と だけの式になる。対称式は必ず和と積で書けるので、この方針で変形を進める。

解答・解説

方針

どちらも と で表せる対称式だ。まず解と係数の関係で和と積を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 見た目は分数と2乗の差だが、どちらも と を入れかえて不変、つまり対称式だ。

方針は一本道になる。解と係数の関係で 、 を出し、対称式を和と積で書き直す。(1)は通分して 。(2)は 。部品に落とせば代入だけで終わる。

公式解と係数の関係: より 、

(1) 通分する。

分子は 。分母は 。

(2)

公式

発展。 対称式でない式(たとえば 単独や )を問われたら、和と積だけでは決まらない。 から と2通り残るのがその現れで、どちらを と呼ぶかの自由が消えないからだ。

「対称式は和と積で書ける」の裏の「非対称式は書き切れない」まで理解すると、問題の設計(なぜ2乗で聞かれるのか)が見えるようになる。

答

(1) (2)

別解

(2)の は、判別式と直接つながっている。 の係数が の2次方程式では、解の公式から (順序の取り方で符号は変わるが、2乗すれば消える)。つまり

判別式を読むだけで、展開の計算なしに答えが出る。

は「解の間隔の2乗」だ。 なら間隔は実の長さ、 なら間隔ゼロ(重解)、 なら2乗が負(虚数の間隔)。判別式の3分類が解の間隔の言葉で読み直せる。公式 との一致は、恒等式 の別の表し方である。

ポイント

  • 分数式・差の2乗も通分や展開で和・積の形に直せる。
  • 。

よくある間違い

  • (1)の通分で分子を でなく とする
  • の を とする
  • 自体(2乗なし)を聞かれたときに符号の場合分けを忘れる、という次の型への備えがない

問9剰余の定理(2条件)

★★ 標準剰余の定理

問題

整式 を で割ると余りは 、 で割ると余りは である。 を で割ったときの余りを求めよ。

ヒントを見る

余りを 次式でおいて、割り算の関係式を書く。商が消える の値を代入すると、与えられた つの余りの条件とつながって連立になる。

解答・解説

方針

2次式 で割った余りは1次式 とおける。、 を代入すると、剰余の定理から 、 が決まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) がどんな式かは分からないまま進める。2次式で割った余りは1次以下だから、 とおく。

条件を値の言葉に言い換えるのが剰余の定理だ。「 で割ると余り 」は のこと。割り算の等式 に を入れれば、 が消えて の連立になる。

定理剰余の定理: を で割った余りは

2次式で割った余りは1次式だから、余りを とおく。

を代入すると、 の部分が になり

剰余の定理より なので 。同じく を代入すると

2式を引き算して 、これを に戻して 。よって余りは 。

発展。 条件が「 で割ると余り 」のような2次の割る式になると、値の代入先が虚数()になる。それでも として同じ手順が回るのが、複素数を学んだ利益だ。

「差をとると割り切れる」という別解の見方は、この虚数代入の場面でも、数学Bの数列(合同式)でも、基本の考え方として使い続ける。

答

別解

答えを見つけたあとに「なぜこれで確定なのか」を固める、因数定理の目も持っておきたい。余りの候補 を思いついたとする( で 、 で になる1次式)。このとき差

を考えると、、。因数定理から は でも でも割り切れる。2つは互いに素な因数だから、 は で割り切れる。つまり の形になっていて、余りは確かに だ。

「余りを引いた差が、割る式で割り切れる」という見方は、余り問題の構造そのものである。整数の合同式( は で割り切れるから )と同じ文法だ。

ポイント

  • 2次式で割った余りは1次式 。
  • 割る式が になる を代入 → 剰余の定理で連立。

よくある間違い

  • 余りを定数と決めつける(2次式で割る余りは )
  • 、 の対応を取り違える
  • 求めた余りが両条件( で 、 で )を満たすかの検算を飛ばす

問10複2次式の因数分解

★★ 標準因数分解複2次式

問題

を因数分解せよ。

ヒントを見る

のかたまりを つの文字とみなすと、ただの 次式になる。分解したら文字を戻し、『まだ分解できる因数が残っていないか』を最後に確認。

解答・解説

方針

のかたまりを1つの文字とみると、ふつうの2次式の因数分解になる。因数分解したあと、 をさらに分解できるか確かめる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と だけの複2次式。 をひとかたまり()と見れば、 というただの2次式だ。

と分解して、 を戻すと 。ここで終わってはいけない。それぞれがまだ和と差の積に割れる。「これ以上分解できるか」の最終チェックまでが因数分解である。

公式複2次式は とおいて2次式に直す

とおくと

を に戻す。

さらに、それぞれ和と差の積で分解できる。

発展。 この式が1次式4つまで完全に割れたのは、根 がすべて実数(しかも整数)だったからだ。 のように置きかえ先の2次式が分解できない型では、「平方の差を作る」という別の突破口が要る(数Iの因数分解で学んだ技だ)。

「どんな整式も、複素数の範囲なら1次式の積まで必ず分解できる」というのが代数学の基本定理で、次の高次方程式の問題(虚数解まで数える)の理論的な背景になっている。

答

別解

因数定理で「根を探して剥がす」逐次ルートでも分解できる。定数項 の約数 を候補に代入していく。。当たりだ。 で割ると商は 。この商にまた候補を入れると で 。割って 。

これは和と差の積で 。合わせて

置きかえルートと同じ着地だ。複2次と気づけなくても、因数定理の総当たりは必ず動く保険になる。逆に、複2次の形に気づけたときの置きかえルートの速さ(候補代入が不要)も、比べてみて初めて実感できる。

ポイント

  • 複2次式は で2次に落とす。
  • 戻したあと でもう一段分解できないか確認。

よくある間違い

  • で分解を止めてしまう(まだ割れる)
  • に戻すのを忘れ、 の式のまま答える
  • 因数定理ルートで割り算(組立除法)の符号を誤る

問11高次方程式を解く

★★ 標準高次方程式

問題

方程式 を解け。

ヒントを見る

は『 乗の差』の形とみなせる。分解して出てきた各因数について、実数解も虚数解も全部拾うこと。 次方程式の解は 個ある。

解答・解説

方針

和と差の積で次々に因数分解する。 の部分は虚数解になる。実数解だけで止めない。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 高次方程式の基本方針は因数分解だ。 は和と差の積を2段階で使う。

の部分で手を止めない。複素数の範囲では という解がある。4次方程式だから解は(重複を込めて)4個。実数解2個で終わったら、数え落としのサインだ。

公式。()の解は

とみて、和と差の積。

から (実数解)。 から 、つまり

よって解は の4つ。

発展。 「 次方程式は複素数の範囲で(重複を込めて)ちょうど 個の解を持つ」というのが、代数学の基本定理だ。「解が何個出るはずか」を先に知っておけば、解き落としを防げる。

の解が円周の4等分点に並んだように、 の解は常に円周の 等分点に並ぶ。方程式の解が図形の対称性をもつことは、複素数平面で見るとよく分かる。

答

別解

と置いて、2段の2次方程式として解く道もある。 から または (2乗して になる実数は の両方だ)。

  • から
  • から

合わせて4つの解 。答えの4つを見ると、どれも「大きさが 」で、実軸・虚軸の上下左右の4方向に並んでいる。 の解は、原点を中心とする半径 の円周を4等分した点だ。この配置の理由(1の 乗根)は、数学Cの複素数平面で学ぶ。

ポイント

  • 次方程式は複素数まで含めて 個の解をもつ。
  • は虚数解。実数解だけで終わらせない。

よくある間違い

  • だけで終える(虚数解 も答え)
  • の枝を「2乗が負は不可能」と捨てる( から に戻る段階で虚数解が生まれる)
  • などと誤分解する

問121の3乗根 ω の計算

★★ 標準1の3乗根

問題

を方程式 の1つの解とする。次の値を求めよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

について使える事実は つある。もとの方程式そのもの(次数下げに使える)と、 の因数分解から分かる累乗の周期性だ。大きな指数はまず周期で減らそう。

解答・解説

方針

は2つの性質 と を持つ。大きな累乗は で小さくし、 で最後に整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の問題で使う式は2つだけだ。(定義の式)と、そこから出る 。

の導き方も一言で言える。 で、 は第2因数の根だから第1式全体も 、つまり 。大きな累乗は で小さくし、残った低次の式は で整理する。この2段構えがすべてである。

重要 は の解: かつ

は、 で が右の因数を にすることからわかる。

(1) 指数を で減らす。、 なので

よって

より 。

(2) 展開する。

、 を使うと

発展。 は「1の3乗根のうち でないもの」で、複素数平面では単位円を3等分する点だ。周期3の時計というこの問題の読み方は、その図形的事実の代数版である。

を で割った余りや の値など、「大きな指数を周期で折りたたむ」応用問題で は何度も現れる。使う式はこの問題の2つの式で常に足りる。

答

(1) (2)

別解

を「周期3の時計」と読むと、累乗の計算が割り算1回になる。 と、累乗は3歩ごとに元に戻る。だから は指数 を で割った余りだけで決まる。

  • だから
  • だから

(1)は 。定義の式から 。(2)は先に展開してしまう手が軽い。

のかたまりが現れて消える。時計で指数を小さくし、定義の式でかたまりを消す。 でも でも、同じ2手で終わる。

ポイント

  • で使う式は2つ:(累乗を減らす)と (最後の整理)。
  • 大きな指数は で割った余りに直す。

よくある間違い

  • を と取り違える
  • 指数を3で割った余りの計算を誤る()
  • に具体値 を代入して計算し、時間を浪費する(2つの関係式だけで足りる)