数学II / 複素数と方程式

複素数と方程式 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 3つの解の差積の平方
  2. 2つの2次方程式の共通解
  3. x²−x+1 で割った余り(周期6のべき)
  4. 解を解に移す恒等式
  5. 3乗して 18+26i になる複素数
  6. 3つの解がすべて正の実数になる条件
  7. 虚数解の絶対値の評価
  8. 2解の絶対値がともに1未満になる条件

問13つの解の差積の平方

最難関編解と係数の関係次数下げ

問題

3次方程式 の3つの解を とするとき、

の値を求めよ。

ヒントを見る

。和が0であることを使うと、 も も で書けてしまう。各因子が1文字ずつの式になったら、積はどう計算するか。

解答・解説

方針

解の対称式だから解と係数の関係で計算できるが、正面から展開すると手に負えない。 を使って を だけの式に直す(2解の和と積を残りの1解で表す)と、3因子の積が「多項式の値の積」に書き直せる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 求める量は解の対称式だから、解と係数の関係だけで必ず届く。問題は経路だ。6次の対称式をそのまま展開するのは手間がかかりすぎる。

決め手は だ。これで 、 と、2解の情報が残り1解だけで書ける。すると が の式、 が の式、…と1文字ずつに分かれる。3つの積は「同じ式に3解を代入した値の積」になり、解と係数の関係で機械的に計算できる。

公式解と係数: 。

① 各因子を1文字の式に直す。 は で値1なので 。、 だから

ここで (方程式による次数下げ)を使うと

② 3因子を掛ける。 同様に 、。よって

③ 対称式の値を入れる。 展開して

だから

まとめ: 「和が0」の3次では、2解の対称式を残り1解に押しつけられる。これを使うと、差積の平方が計算できる形になる。この量は解の重なり具合を測る量(判別式)で、正の値81は「3解がすべて相異なる実数」であることも同時に示している。

発展。 一般に の判別式は で、本問は 。さらにこの方程式は の角の三等分と同じ式で、解を根号だけで書くことができない(三角関数が要る)ことで有名な3次方程式でもある。

答

別解

解を三倍角で書き下ろす(解を具体的に見るルート)。 この方程式の解は三角関数で明示できる。 とおくと、三倍角の公式から

なので、方程式 は に書き換えられる。 から

の3つが解だ( の範囲に3実解が全部いたことになる)。

この表示で差積の平方を数値計算すると、 ときっかり整数に着地する。無理数の3解から作った量が整数になるのは、対称式だから(本解の計算がその証明)。解の三角表示と対称式の計算(本解)を照らし合わせると、答えが整数になる理由が両方から確かめられる。

ポイント

  • 、 で1文字化。
  • 次数下げで 。
  • から積は 。

よくある間違い

  • 6次の対称式を基本対称式で正面展開しようとして挫折する。 を使って1文字に減らすのが最初の一手だ。
  • の符号を誤る。(定数項の符号に注意)から出す。
  • の展開で対称式の符号を落とす。4項(積・2次・1次・定数)を順に書く。

問22つの2次方程式の共通解

最難関編共通解場合分け

問題

2つの の2次方程式

が少なくとも1つの共通の解をもつような実数 の値をすべて求めよ。

ヒントを見る

共通解を文字でおいて2式の差をとると、次数が下がって積の形に割れる。分かれた2つの場合のうち、片方は「方程式そのものが一致してしまう」場合だ。そのとき共通解は実数とは限らないが、それでも「解」ではないか。

解答・解説

方針

共通解を t とおいて両方の式に代入し、2式の差をとって次数を下げる。差は (a−1)(t−1)=0 と因数分解され、t=1 の場合と a=1 の場合に分かれる。a=1 では2式が同一になり、実数解はないが虚数の共通解をもつ。ここを落とさない。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 共通解問題の基本は、「共通解 をおいて両式に代入し、差で次数を下げる」だ。差は1次以下になるから、場合分けがはっきり見える。

本問で間違えやすいのは最後の部分だ。差から出る2つの場合のうち「」では、2つの方程式が同一の になる。判別式は負で実数解はない。だが方程式の「解」は複素数の範囲で考えるのが約束だから、虚数の共通解をもつ も答えに入る。

重要共通解は差で次数下げ+場合分け。共通「解」は実数とは限らない。判別式が負でも2つの虚数解を共有し得る

① 差をとる。 共通解を とすると

辺々引いて

よって または 。

② の場合。 第1式に代入して 、。このとき2式は

で、たしかに を共有する。

③ の場合。 2式はどちらも となり、同じ方程式になる。判別式は で実数解はないが、2つの虚数解

を(当然)共有する。よって も条件を満たす。

④ 結論。 。

まとめ: 「差で1次に落とす」が技術の柱、「共通解は虚数でもよい」が思想の柱。もし問題文が「共通の実数解」と言っていたら、答えは だけ。一語で答えが変わる境目まで見えて完答になる。

発展。 2式から を完全に消去して「 だけの条件」を作る操作は、一般には終結式と呼ばれる道具に育っていく。差で次数を下げる本問の手つきは、その最初の一歩そのものだ。

答

( のときの共通解は虚数)

別解

「 で値が等しい」に先に気づく(観察ルート)。 差を計算する前に、2つの式を見比べる。

を入れると、、 となり、どんな でも同じ値だ( と の係数の場所が入れ替わっているだけだから)。

これは「差 が必ず を因数にもつ」ことを意味する(差は で0になる1次式)。実際 。差の因数分解の形が計算の前から予想できた。

あとは本解と同じ場合分けに入る。共通解の候補が に絞られる理由は、「2つの式が最初から で同じ値をとるように作られていた」から。式の対称性(係数の入れ替え)を先に見る目は、計算の結果に意味を与えてくれる。

ポイント

  • 差 で場合分け。
  • → (共通解 )。
  • → 両式一致、虚数解 を共有。

よくある間違い

  • を「実数解がないから不適」と捨てる。この問題でいちばん多い間違いだ。解は複素数の範囲で数えるのが既定。
  • 差から を得たのに、 の枝だけ調べて の枝を忘れる。
  • を両方の式に代入して条件を2本作り、連立で混乱する。1本で が決まり、もう片方は自動的に成り立つ。

問3x²−x+1 で割った余り(周期6のべき)

最難関編剰余の定理べきの周期

問題

を で割った余りを求めよ。

ヒントを見る

割る式の解を余りに代入するのが基本だが、その解のべきを直接回すのは大変。 に を掛けると何になるか。解の3乗の値が分かれば、累乗の値は周期的にくり返す。

解答・解説

方針

割る式の(虚数の)解 ζ を余りの式に代入する、いつもの方法。決め手は x²−x+1 が x³+1 の因数であることに気づくことだ。ζ³=−1 だから ζ の累乗は6乗ごとに循環し、ζ^100 がすぐに計算できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2次式で割った余りは とおき、割る式の解を代入して係数を決めるのが基本だ。

割る式 の解 は虚数だが、 のべきに周期があれば は楽に計算できる。ここで因数分解 に気づけば解ける。 は の解でもあるから 、つまり で周期6の循環が起きる。

重要 は の因数 → その解 は (べきは周期6で循環)

① 設定。 ( は実数)とおく。 の虚数解の1つを とすると

② を計算する。 の両辺に を掛けると 、すなわち 。 だから

③ 係数を比べる。 より 。もし なら は実数となり、 が虚数であることに反する。よって かつ 、つまり 。

まとめ: 「割る式の解を代入」+「解のべきの周期」の合わせ技。 なら解は (周期3)、 なら (周期6)。この対をセットで覚えておくと、大きなべきの剰余がすぐに読める。

発展。 周期6の表を一度作っておくと、どの指数にも使える。 の余りは を6で割った余りだけで決まり、順に 。 で表から 。どんなに大きな でもすぐに答えられる。

答

別解

虚数を使わない(多項式の合同ルート)。 数の合同式とまったく同じ作法が、多項式でも通る。割り算 を移項すると

つまり、 で割った余りを考えるときは と「みなして」よい( を に置き換えても、余りは変わらない)。すると

余りは1次以下の そのものだから、これが答えだ。

虚数解 に頼らず、「割る式の倍数を自由に足し引きしてよい」という割り算の原理だけで進む。数の合同(たとえば mod 7 で )と同じ感覚を多項式に持ち込む、と覚えておくと、ほかの問題にも使える。

ポイント

  • から 。
  • 。
  • 実数係数の比較で余りは 。

よくある間違い

  • の解 ()と混同する。本問の は (周期6)。符号ひとつで周期が変わる。
  • から係数を比べるとき、「 が虚数だから」の一言を書かない。実数の関係式に虚数が混ざる矛盾が根拠。
  • の分解を暗算で誤る。指数の割り算は筆算で確実に。

問4解を解に移す恒等式

最難関編恒等式解の巡回

問題

とする。

(1) 等式 が成り立つことを示せ。

(2) が方程式 の解ならば、 もこの方程式の解であることを示せ。

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(1)を正面から6次の展開でやるか、うまい置き換えを探すか。 を書き出して と見比べると、共通のかたまりが見えないか。(2)は(1)ができていれば、代入するだけで終わる。

解答・解説

方針

(1)は6次式どうしの恒等式だが、u = x³−3x とおくと f(x)=u+1、f(−x)=1−u で右辺は 1−u² の形になる。和と差の積と見れば、計算が2行で済む。(2)は(1)に α を代入するだけ: 恒等式が「解を解に運ぶ」。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)は両辺とも6次の恒等式で、そのまま展開しても示せるが、見通しよくやりたい。

を と並べると、 のかたまりが符号違いで現れている。そこで とおけば 、 で、右辺は と和と差の積にまとまる。あとは左辺も で書けることを確かめるだけ。(2)は(1)の恒等式に を代入する。恒等式が解を次の解へ運ぶ構造だ。

重要 とおくと 、(対称なかたまりの活用)

① 右辺を計算する。 とおくと

② 左辺を計算する。 だから

①と一致するので、 が恒等的に成り立つ。

③ (2) を示す。 が解なら 。(1)に を代入して

よって も の解である。

まとめ: 置き換え が6次の計算を2行にする。実はこの方程式の3つの解は と、1つの式で巡回して結ばれている。1つの解から残りの解が「作れる」珍しい3次方程式で、その仕組みは恒等式1本で説明できる。

発展。 この巡回は角を2倍にする操作になっている(別解)。解を と書くと、 は角を2倍にする操作で、 と3回でひと回りする。

答

(1) とおくと両辺とも (証明) (2)

別解

で仕組みを見る(角の倍加ルート)。 置き換え を試すと、この恒等式の意味が分かる。まず部品を計算する。三倍角の公式から

また、倍角の公式から 。つまり「」は「角 」の言い換えだ。両辺を計算すると、左辺は 。右辺は を使って

(最後は倍角 。)両辺が一致した。

これで のすべての で等式が成り立つ。両辺は多項式で、無限個の点で一致する多項式は恒等的に等しいから、(1)が示された。展開のない証明であると同時に、「 =角の倍加」という(2)の巡回の理由の説明にもなっている。

ポイント

  • で 。
  • 左辺も展開して で一致。
  • を代入すれば も解。

よくある間違い

  • の展開で の係数を誤る。3乗の展開は項ごとに検品。
  • を と混同する。 で、定数項の符号は変わらない。
  • (2)で が必要だと誤解する。0になるのは の側で、掛け算全体が0になれば十分。

問53乗して 18+26i になる複素数

最難関編複素数の計算絶対値

問題

を満たす複素数 のうち、( は整数)の形で表されるものを求めよ。

ヒントを見る

実部と虚部の連立は3次で歯が立たない。方程式の両辺の絶対値をとってみる。両辺の絶対値はどう対応するか。整数の2乗の和が特定の値になる組は、ごくわずかしかない。

解答・解説

方針

実部・虚部の連立(3次の2本)を見ても、そのままでは手が出ない。先に絶対値をとる: |z|³=|18+26i|=√1000 から |z|²=10。整数条件から a²+b²=10 で候補は8個に絞られ、代入で確定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を展開して実部・虚部を比べると 、。3次の連立で、正面からは解けない。

そこで方程式の絶対値をとる。 なら 。これは元の方程式の「影」で、 という2次の関係を1本くれる。整数条件と合わされば候補は有限個。あとは代入で決める。

重要複素数の方程式では絶対値も方程式: 。整数条件 は候補を有限に絞る

① 絶対値をとる。

よって 、すなわち

② 候補を列挙する。 整数で2乗の和が10になるのは のみ。符号も含めて候補は8個。

③ 代入して確定する。 だから、実部 、虚部 を確かめる。:

で適する。他の候補は、たとえば は実部 、 は 全体の符号が反転して 、のようにどれも合わない。よって

まとめ: 「絶対値をとる」は複素数の方程式の第一手だ。3乗の逆算が格子点探し()という有限の問題に落ちる。なお の解は全部で3つあるが、残り2つは に (1の3乗根の虚数のもの)を掛けたもので、成分が整数にならない。

発展。 成分が整数の複素数(ガウス整数)の中では、 は「完全な立方数」だ。ガウス整数にも素因数分解の一意性があり、この種の方程式はガウス整数の性質を使って説明できる。整数論の考え方はこのように複素数にも広げられる。

答

別解

約数で絞る(整数の目のルート)。 絶対値を使わずに、実部・虚部の式そのものから整数の情報を搾り取ることもできる。実部の式を因数分解すると

は整数だから、 は18の約数。同じく虚部から

で、 は26の約数だ。候補は 、 に限られる。大きい候補はすぐ消える( なら が18に合わない、など)。小さい候補を系統的に試すと、: から 、虚部の検算 から となり、 だけが両方を満たす。

「整数解なら約数で絞れる」という整数問題でよく使う方法が、複素数の方程式にもそのまま使える。絶対値ルート(本解)との2本立てで、答えの信頼は万全になる。

ポイント

  • → 。
  • 候補は の8個。
  • 代入で だけが適し 。

よくある間違い

  • の展開で の符号を落とす。実部 、虚部 を丁寧に。
  • 候補 を検算せずに答える。実部が になって不適。8候補は面倒でも全部つぶす。
  • を使わずに3次の連立へ突っ込む。絶対値という「影」が次数を下げてくれる。

問63つの解がすべて正の実数になる条件

最難関編解と係数の関係相加相乗

問題

の3次方程式

の3つの解がすべて正の実数となるような実数 の値を求めよ。

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解と係数の関係で、 の入らない2つの情報(和と積)が手に入る。正の数3つの和と積を結びつける有名な不等式に当てはめると、何かぎりぎりのことが起きていないか。

解答・解説

方針

解と係数の関係から、和が6・積が8( は関与しない)。正の実数3つで和6・積8は、相加相乗平均の不等式でちょうど等号が成り立つ場合だ。等号成立条件から3解がすべて2に固定され、k は自動的に決まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3つの解を とすると、解と係数の関係で和 、積 、そして 。

を動かして実現できる解の組を探す問題に見える。だが実は、 の入らない2つの情報(和6・積8)だけで決まる。正の実数3つなら相加相乗平均が使えて、 と となり、不等式がちょうど等号になっている。

等号成立は3つがすべて等しいときに限る。解は に固定されてしまう。

定理相加相乗平均(3変数): 正の数 について 。等号 ⟺

① 解と係数の関係。

② 相加相乗の等号。 3解がすべて正の実数なら

不等式が等号で成立しているから、等号条件より 。和が6だから 。

③ を求め、逆を確かめる。 。逆に のとき

で、解は (三重解)。たしかに「3つの解がすべて正の実数」を満たす。よって 。

まとめ: 与えられた和と積が相加相乗の等号ぴったりであることを見抜くのが全てだ。不等式は大小を比べる道具である以上に、「等号条件で解を1点に固定する」道具にもなる。最後に逆の確認まで書いて完答。

発展。 一般に「和 ・積 の正の実数3つが存在する」ためには が必要で、境界ではちょうど三重解になる。本問は の境界の上にあった。

答

(このとき方程式は )

別解

実数条件から攻める(判別式ルート)。 相加相乗に気づかなくても、1つの解に注目して実数条件で詰められる。解の1つを とすると、残り2解 は、和 ・積 をもつ2次方程式

の解だ。これが正の実数解をもつには、判別式 が必要:

ところが左辺の最大値を相加相乗(3つの数 の組に適用)で調べると

上からも下からも32。つまり が強制され、等号条件 から 。残り2解も判別式0で 。

道具は結局同じ相加相乗だが、「実数条件の不等式が、可能性の上限とぴったり一致して1点に決まる」という別の見方ができる。条件がきついほど、答えは1つに決まりやすい。

ポイント

  • 和6・積8( 抜きの情報)を取り出す。
  • 相加相乗が等号 → 。
  • 、逆の確認は 。

よくある間違い

  • を含む3次の判別式を直接評価しようとする。 抜きの2情報(和・積)で先に決まるのが本問の設計。
  • 相加相乗の等号条件()を引用せずに「等しいはず」と飛ぶ。等号条件こそが解を固定する根拠。
  • 逆の確認( で実際に 、解が正の実数)を省く。必要から出した答えは十分性の検分で閉じる。

問7虚数解の絶対値の評価

最難関編解と係数の関係共役複素数

問題

3次方程式 は、ただ1つの実数解 と、互いに共役な2つの虚数解 をもつ。

(1) であることを示せ。

(2) であることを示せ。

ヒントを見る

を求めることはできないのに を評価せよ、という問い。 と の積は何を意味するか。3解の積が定数項から読めることと合わせると、 が実数解 で決まることが分かる。

解答・解説

方針

(2)の |β| は直接求められない(3次は解けない)。実係数方程式の虚数解は共役ペアで ββ̄=|β|²、そして解と係数の「積」から α|β|²=−1。つまり |β| の評価は α の範囲評価(1)に帰着する。(1)は端点での符号と単調性で。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3次方程式は(公式はあるが)実用的には解けない。それでも を評価できるのは、実係数方程式の虚数解が共役ペアで現れるからだ。

は正の実数。解と係数の関係の「3解の積」 から 。つまり、虚数解の絶対値は実数解 が握っている。

あとは の範囲(1)を、端点の符号(値の正負が入れ替わる区間に解がある)で押さえればよい。

重要実係数3次の解は 。積 が定数項から読める。虚数解の絶対値は実数解に帰着する

① (1) を示す。 とおくと

の値は と の間で負から正へ変わるから、この間に実数解がある。さらに なら かつ なので 。 は増加関数であり、実数解はただ1つ。よってそれが で、。

xyO(−1, −1)(0, 1)-1
y=x³+x+1 は増加し、f(−1)=−1<0、f(0)=1>0 なので、実数解 α はこの間にただ1つ

② 積の関係を取り出す。 解と係数の関係より 。 だから

③ (2) を示す。 より だから

よって 。

まとめ: 「求められない解の絶対値は、対称式(積)経由で実数解に押しつける」。(1)の範囲評価がそのまま(2)の絶対値評価になる連鎖が本問の設計で、実係数ならではの共役ペア が橋になっている。

発展。 3解の絶対値の積は 。「絶対値の積=定数項の絶対値」という見方をすると、 と が積1を通じてシーソーのように釣り合っていることが分かる。片方が小さいほど、もう片方は大きい。

答

(1) と単調増加による(証明) (2)

別解

割り算で2次因子を出す(範囲評価が要らないルート)。 実は(1)の範囲を使わずに、(2)をもっと強い形で出せる。 を で割る(組立除法)。 を使うと、割り切れて

(検算: 定数項は 。)虚数解 は後ろの2次式の解だから、解と係数の関係で

は実数で、 から 。よって

これですぐに示せた。 には (本解)と (本ルート)の2つの表し方があり、両者が等しいこと自体が の言い換えになっている。表示の選び方ひとつで、必要な情報量( の範囲の要・不要)まで変わる好例だ。

ポイント

  • と単調増加で 、実数解は1つ。
  • (3解の積)。
  • 。

よくある間違い

  • (1)で「実数解はただ1つ」の根拠(増加性)を書かない。 も も増加だから和も増加、の一言。
  • 3解の積の符号を誤って とする。。
  • から に移るとき、平方根の単調性(正の数どうし)に触れない。

問82解の絶対値がともに1未満になる条件

最難関編解の配置必要十分条件

問題

を実数とし、 とおく。 の2次方程式 の2つの解(重解・虚数解の場合も含める)の絶対値がともに1より小さいための必要十分条件は

であることを示せ。

ヒントを見る

虚数解のとき、2つの解の絶対値は何で決まるか。共役どうしの積を思い出す。実数解のとき、 だけでは両解が区間に入るとは言えない(両方とも右外、があり得る)。それを締め出すのはどの条件か。

解答・解説

方針

実数解と虚数解で「絶対値」の様子が違うので場合分けが必然。虚数解は共役ペアで |解|²=b となり、積だけで決まる。実数解は区間 (−1,1) への配置の問題で、f(±1) の符号と b<1 から外側のケースを1つずつ追い出す。両方向(必要・十分)を示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「絶対値が1未満」は、実数解なら区間 への配置、虚数解なら複素数の絶対値の条件になる。意味が違うから場合分けが必然だ。

虚数解は共役ペア で、(解と係数)。積 だけで決まる。

実数解は端点の符号 で配置を絞る。ただし だけだと「両解とも1より右」「両解とも より左」が残る。それを締め出すのが (積の大きさ)だ。必要・十分の両方向を、この設計図に沿って詰める。

重要虚数解ペアの絶対値の平方 = 積 。実数解の配置は の符号で絞り、積 で「両方とも外側」を追い出す

① 虚数解の場合()。 解は で、。よって「絶対値がともに1未満」⟺ 。一方このとき 、 は常に成り立つ。したがってこの場合、「絶対値1未満」⟺「3条件」で、両者は同値である。

② 実数解の場合()の必要性。 2つの実数解 がともに にあるなら

(積は絶対値1未満の2数の積だから絶対値1未満。)

③ 実数解の場合の十分性。 3条件を仮定する。もし なら: は に反する。 なら で だから 、つまり 。すると となり に反する。よって 。同様に とすると から が強制され、 で矛盾。よって となり、両解の絶対値は1未満である。

xyOf(1)>0f(−1)>0-11
実数解の場合の配置: 両解が −1 と 1 の間 ⟺ f(±1)>0 かつ積 b<1(図は a=−0.5, b=−0.3 の例)

④ 結論。 どちらの場合も「絶対値がともに1未満」⟺「」であり、必要十分条件であることが示された。

まとめ: 「虚数解は積が絶対値を握る()」「実数解は端点の符号+積で両外側を追い出す」。実数解と虚数解の2つの場合を、同じ3条件がまとめて表している。

発展。 この3条件は、漸化式 で決まる数列が必ず0に近づくための条件そのものでもある(解の絶対値が1未満 ⟺ 減衰)。デジタル制御や信号処理で「安定条件」と呼ばれ、現役で働いている数学だ。

答

証明(虚数解なら 、実数解なら端点の符号と積で配置を締める)

別解

平面の三角形で見る(領域の絵)。 3つの条件を の言葉に直すと

前の2つは かつ 、まとめて 。つまり点 が

  • 直線 より上
  • 直線 より上
  • 直線 より下

の3つを同時に満たすこと。これは頂点 の三角形の内部だ。

abO(0, −1)(2, 1)(−2, 1)f(1)=0f(−1)=0b=1
3条件の表す領域は頂点 (0,−1), (2,1), (−2,1) の三角形の内部。2次方程式の両解の絶対値が1未満 ⟺ 係数の点 (a,b) がこの中にいる

「2次方程式の解の絶対値がともに1未満」⟺「係数の点が、この三角形の中にいる」。条件が図形になった瞬間、境界の意味も見える。下の2辺の上では か が解になり、上の辺の上では絶対値1の虚数解(または積1の実数解)をもつ。三角形はぎりぎりの解たちで縁取られている。

ポイント

  • 虚数解: で決まり、 は自動成立。
  • 実数解(⇐): と で「両方右外」を、 と で「両方左外」を排除。
  • 両場合とも3条件と同値。

よくある間違い

  • 実数解の場合に だけで両解が区間内と早合点する。「両方とも右外」の可能性が残っており、 が締め出す。
  • 虚数解の場合を場合分けから落とす。絶対値の意味(複素数の絶対値)ごと変わるので、独立に扱う。
  • 必要性か十分性の片方だけ示して閉じる。「必要十分」は両方向の証明がそろって完成。