数学II / 複素数と方程式

複素数と方程式 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 1の虚立方根の高次のべき
  2. 相反方程式(t=x+1/x で次数下げ)
  3. 3次方程式の解のべき和(次数下げ)
  4. 高次の式を2次式で割った余り(ω利用)
  5. 実数係数方程式の虚数解と共役
  6. 1の5乗根で三角比の値を求める
  7. 1の5乗根に関する積の値
  8. z²=z̄ を満たす複素数(方程式の全解)

問11の虚立方根の高次のべき

実戦編複素数1の3乗根式の値単元横断

問題

を の虚立方根の つ(すなわち )とする。 を を用いて表せ。

ヒントを見る

より 。。 なので指数を で割った余りに。

解答・解説

方針

から に書き直す。指数を で の余りに落とす。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 乗をまともに展開するのは論外。 の計算で使う道具は2つある。(3乗で1周)と、(3つ足すと消える)だ。

まず そのものを1文字に直す。和の式から 。これで 。あとは偶数乗で符号が消え、指数を で割った余りに落とすだけになる。

重要、。ゆえに

① 底を書き直す。 より 。よって ② 指数を余りに。 なので 。 より余りは 。 ゆえに 。

まとめ で底を変え、 で指数を の余り()に落として 。 の 乗根の基本関係と指数計算の融合。

発展。 は絶対値 ・偏角 、つまり1の原始6乗根である。 は周期 で を巡回する。(正三角形の頂点)から (正六角形の頂点)が生まれる、と図で見ると分かりやすい。

答

より 。。 より 。

別解

別解:極形式とド・モアブルで直接計算する(得意な人向けの高い視点)。 とすると

絶対値 ・偏角 の複素数だ。ド・モアブルの定理で 乗は偏角 の点になる。 だから、残る角は 。

が偏角 (正六角形の1歩)だと分かれば、 乗ごとに へ戻る周期も見える。 で と読んでも同じ答えに着く。

ポイント

  • より 。
  • ()。
  • で指数を の余り に、答え 。

よくある間違い

  • の変形(和が0)を使わず、二項展開に突っ込んで身動きが取れなくなる。
  • の符号で (偶数乗)の確認を飛ばし、 と答える。
  • 指数の余り計算を誤る( なので 。 ではない)。

問2相反方程式(t=x+1/x で次数下げ)

実戦編複素数相反方程式対称式置換単元横断

問題

次方程式 を解け。

ヒントを見る

係数が左右対称。 で割ると 。 で 。

解答・解説

方針

係数が相反なので で割り、 で 次に下げる。各 から を戻す(虚数解も含める)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 係数 が左右対称(相反方程式)。この形には決まった攻め筋がある。

は解でないから で割ってよい。すると となり、 のかたまりが現れる。 とおけば 。4次方程式が の2次方程式に半減する。 を求めたら、 に戻す2次方程式を解いて仕上げる。

重要相反方程式は で割り で次数を半分に。

① で割る。 は解でない()。両辺を で割ると ② の 次に。 、 を代入して または 。

③ に戻す。

  • :。
  • :。

よって解は 。

まとめ相反方程式を で に落とし、 から実数解 と虚数解 。相反方程式(置換)と 次方程式の融合。

発展。 奇数次の相反方程式は必ず を解にもつ(係数の対称性から )。だから で割れば偶数次の相反方程式に落ち、あとは本問と同じ の手順に乗る。5次でも7次でも、相反と見抜けば次数は実質半分になる。

答

係数が左右対称(相反)。 で割り とおくと 、。 で 、 で 。

別解

別解:「2次式 2次式」に直接割る(得意な人向けの高い視点)。 相反方程式は定数項が 。そこで

と、定数項 どうしの積の形を仮定して係数を比べる。 の係数から 。 の係数から 、すなわち ( の係数 とも整合)。和 ・積 だから は の解で と 。よって

から 、 から 。(本解)は、この分解を自動で見つける仕掛けだったと分かる( の2解 が2つの2次因子に対応している)。

ポイント

  • 相反方程式は で割り 。
  • 、。
  • で実数解 、 で虚数解 。

よくある間違い

  • が解でないことを確認せずに で割る(割ってよい根拠はこの一言)。
  • が実数の範囲しか動かないと思い込み、 から出る虚数解を捨ててしまう( の置換は代数的な変形で、 が虚数でも有効)。
  • の値をそのまま の解と混同する( は でなく に戻して解く)。

問33次方程式の解のべき和(次数下げ)

実戦編複素数解と係数べき和次数下げ単元横断

問題

次方程式 の つの解を とする。 と の値を求めよ。

ヒントを見る

解と係数で 。各解は 。和をとると 。。

解答・解説

方針

解と係数で基本対称式を出す。各解が満たす関係式 で高次を低次に下げ、和をとる。 は対称式で計算。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) や を解の値から直接計算するのは無理筋だ(解はきれいな数ではない)。

使えるのは2つ。解と係数の関係(基本対称式の値)と、「各解は方程式そのものを満たす」という当たり前の事実である。。この「次数下げ」を使えば、3乗の和は1乗の和に、4乗の和は2乗と1乗の和に落ちる。あとは対称式の計算だけが残る。

定理解と係数の関係: で

① 基本対称式。 、。よって ② 。 各解は 。 つ足して ③ 。 。 つ足して

まとめ関係式 で次数を下げ、 を使って 。解と係数(対称式)と次数下げの融合。方程式を関係式として使うのが要。

発展。 とおくと (3倍角)。方程式は となり、。つまり3解は である。べき和の漸化式(別解)と合わせれば、これらの の高次のべき和も機械的に求まる。

答

各解は を満たす。。 より 。。。

別解

別解:べき和の漸化式で機械的に求める(得意な人向けの高い視点)。 べき和 は、方程式 の両辺を 倍して3解分足すと

という漸化式に乗る。初期値は (解3個分の )、(解の和)、。あとは回すだけだ。

さらに 、 と、いくらでも先へ行ける。1問ずつ次数を下げる本解に対し、こちらは「すべてのべき和を量産するライン」を組む見方である。

ポイント

  • 各解は (方程式=関係式)。
  • (対称式)。
  • 。

よくある間違い

  • を と混同する(正しくは )。
  • の移項で の符号を誤り、以後の次数下げが全部ずれる。
  • を足し合わせるとき、 の項を落とす( とはいえ書いて確認する)。

問4高次の式を2次式で割った余り(ω利用)

実戦編複素数剰余の定理1の3乗根多項式の除法単元横断

問題

を で割った余りを求めよ。

ヒントを見る

の解 は 。余りを とし を代入。 を で簡単化。。

解答・解説

方針

割る式の根 ( の虚立方根)を代入する。余りを とおき、 で を の余りで簡単化し、 と係数比較する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の割り算を実行するわけにはいかない。だが2次式で割った余りは の形で、未知数は2つだけだ。

未知数2つには等式2本。割る式 の根 (1の虚立方根)を割り算の等式に代入すれば、 が得られる。 だから左辺は指数を3で割った余りだけで決まる。しかも が虚数なので、この1本の複素数の等式が実質2本(実部と虚部)の働きをする。

定理 の解 は

① 余りをおく。 。 を代入すると より右辺第 項は 、 ② を簡単化。 なので 。 より 。

③ 係数比較。 。 は虚数(実数の と は一次独立)だから係数を比べて よって余りは 。

まとめ割る式の根 を代入し、 と係数比較して余り 。剰余の定理と の 乗根の融合。 の余りで指数を落とせば解ける。

発展。 を で割った余りは を3で割った余りだけで決まり、 を巡回する。割る式を (1の原始6乗根の式)に変えれば周期は6。整数の合同式と同じ「周期のからくり」が、多項式の割り算にもある。

答

の解は の虚立方根 ()。余りを とすると 。。よって 、。余りは 。

別解

別解:複素数を使わず「」で解く(苦手な人向け)。 因数分解 に注目する。 は で割り切れる。

だから「 で割った余り」を考えるときは、 を に置き換えてよい。

最後に 自身を割る。 だから、余りは 。虚数 を一度も出さずに、整数の合同式とそっくりの計算で終わった。「3乗すると1になる」構造は の性質である前に、割る式 が の因数だという事実から来ている。

ポイント

  • 余りは 、割る式の根 を代入。
  • ()。
  • 係数比較で 、余り 。

よくある間違い

  • 余りを定数 と置いてしまう(2次式で割るので余りは1次以下、 の2文字が要る)。
  • の指数を3で割った余りを誤る( なので )。
  • 1つの根 の代入だけで の2文字が決まる理由( が虚数だから実部・虚部で2本の実数の式になる)を書かない。

問5実数係数方程式の虚数解と共役

実戦編複素数共役解解と係数係数決定単元横断

問題

実数 に対し 次方程式 が を解にもつとする。 の値と、残りの実数解を求めよ。

ヒントを見る

実数係数なので も解。 の項がないので 解の和は 。残りの実数解 から 。 は解と係数で。

解答・解説

方針

実数係数の方程式は虚数解を共役の組でもつ。 解の和・積などの解と係数(この式は の係数が )から第 解と を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 係数 が実数であることが、最大のヒントだ。実数係数の方程式が虚数解 をもつなら、その共役 も自動的に解になる。

つまり3つの解のうち2つが判明済み。残る1つを とおけば、解と係数の関係で全部つながる。この方程式は の係数が 。つまり3解の和が で、 は即座に決まる。あとは残りの解と係数の関係に流し込むだけだ。

定理実数係数方程式の虚数解は共役の組で現れる。 で

① 共役解と第 解。 実数係数だから も解。第 の実数解を とする。 の係数が より ② を求める。 は「 つずつの積の和」: ③ を求める。 。

よって 、残りの実数解は 。(検算: に を入れると 。)

まとめ共役 も解、和 から 、解と係数で 。共役解の性質と解と係数の融合。実数係数 → 共役も解、が出発点。

発展。 「実数係数なら共役も解」の証明は、共役が和と積を保つ(、)ことから一行で出る。係数に虚数が混じると崩れることにも注意(たとえば の2解は互いに共役でない)。「係数が実数」という条件から、強い対称性が出てくる。

答

実数係数だから共役 も解。第 の解を (実数)とすると、 の係数が より 、。、。

別解

別解:共役ペアの2次式で割り算する(計算で押し切るルート)。 を2解にもつ実数係数の2次式は

が (と自動的に )を解にもつ条件は、この2次式で割り切れることだ。実際に割ると、商 、余り 。余りが だから 、。商 から残りの実数解 も同時に出る。

解と係数(本解)は暗算向き、割り算はどんな次数でも通じる力持ち。両方使えると安心だ。

ポイント

  • 実数係数 → 共役 も解。
  • の係数 で 解の和 、。
  • 解と係数で 、実数解 。

よくある間違い

  • 「共役 も解」を使わず、 を直接代入した実部虚部の連立だけで押して計算が重くなる(解けるが時間を失う)。
  • の係数が 、つまり3解の和が であることを見落とし、第3解が決まらない。
  • 3次の解と係数の符号を取り違える( では 、)。

問61の5乗根で三角比の値を求める

実戦編複素数1のn乗根三角関数式の値単元横断

問題

とすると、 は の原始 乗根で を満たす。これを用いて の値を求め、さらに を示せ。

ヒントを見る

和 の実部: より 。。

解答・解説

方針

の 乗根の和 の実部をとり、共役の対をまとめて の関係式を得る。 倍角 を代入して 次方程式を解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) のような値は、単独でにらんでも出ない。5等分の角は「1の5乗根」に持ち込んで考えるのが正道だ。

使える式は だ。この式の実部をとると、 たちの関係式になる。ここで は の共役、 は の共役。共役の対は実部が等しいから、和は とまとまる。あとは2倍角で を で表せば、2次方程式に落ちる。

重要。実部をとると

① 和の実部。 。 で、 は の、 は の共役だから、実部をとると ② 倍角で 文字に。 とおく。。代入して ③ 次方程式を解く。 なので 。

1ζζ²ζ³ζ⁴
1の5乗根は単位円を5等分(正五角形)。1+ζ+ζ²+ζ³+ζ⁴=0 から cos72° が出る

まとめ の 乗根の和 の実部から 、 倍角で を解いて 。 の 乗根と三角の融合。複素数の和 から実数の関係が出てくるところが、この問題の中心だ。

発展。 のような根の部分和(ガウス周期)を入れ子に組むと、 も平方根の入れ子だけで書ける。これが、正17角形が作図できるというガウスの発見である。本問の は、その階段の最初の一段だ。

答

の実部をとると (共役の対で )。。 とし を使うと 、、(正)。

別解

別解:「共役ペアの和」2つの和と積を出す(得意な人向けの高い視点)。 、 とおく。

和は5乗根の和の式から 。積は展開して

( で指数を戻した)。和 ・積 だから、 は

の2解である。 より 、すなわち 。2倍角(本解)の代わりに「解と係数の逆使い」で2次方程式を作った。この のような根の部分和はガウス周期とよばれ、正五角形が定規とコンパスで作図できる理由にもなっている。

ポイント

  • の 乗根の和 の実部で の関係。
  • 。
  • 倍角で 、正の解 。

よくある間違い

  • 共役の対の組み方を誤る(、。指数の和が5になる組が対)。
  • 2倍角 の符号や係数を誤る。
  • 2次方程式の2解から正の方を選ぶ根拠( は第1象限で )を書かない。

問71の5乗根に関する積の値

実戦編複素数1のn乗根因数分解式の値単元横断

問題

を の原始 乗根()とする。 の値を求めよ。

ヒントを見る

。後半は 。 を代入。

解答・解説

方針

の因数分解で、 以外の 乗根を根にもつ因子 を作る。 を代入すると求める積になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「根を全部代入した積」の形だ。これは因数分解した多項式への代入で読むのが早い。

は5つの5乗根を根にもつから と分解される。求める積はこの分解から を除いた4因子に を入れたもの。つまり の での値である。

重要、ゆえに

① 因数分解。 の 乗根は の解 。よって で割って ② を代入。 左辺は 、右辺は 。よって

1ζζ²ζ³ζ⁴
1の5乗根 ζ^k は単位円を5等分。(1−ζ)(1−ζ²)(1−ζ³)(1−ζ⁴)=5

まとめ求める積は の での値 。 の 乗根と因数分解の融合。積を多項式の値と見れば解ける。

発展。 同じ計算は任意の で通り、1の原始 乗根 に対して 。距離で読めば「単位円に内接する正 角形の1頂点から、残り全頂点への距離の積はちょうど 」。頂点が増えるほど近くの弦は短くなるのに、積は で増え続ける。

答

より 。 を代入すると左辺 、右辺 。よって 。

別解

別解:「正五角形の弦の積」として測る(図形で確かめるルート)。 は複素数平面で点 から点 までの距離。つまり求める積は単位円に内接する正五角形の1頂点から残り4頂点への距離の積だ。

弦の長さの公式で 。共役の対をまとめると 、 で、積は

積和公式で 。、 を入れると 。よって積は 。「距離の積が頂点の数になる」ことは、多項式の計算(本解)で出した答えを図形で見たものである。

ポイント

  • 積は の での値。
  • 。
  • を代入して 。

よくある間違い

  • 因子 を残したまま を代入して になり、行き詰まる(先に を作ってから代入する)。
  • が「 以外の5乗根の全部」である根拠( が原始5乗根=位数5)を飛ばす。
  • と の符号の違いを気にして止まる(因子4個で 、同じ値)。

問8z²=z̄ を満たす複素数(方程式の全解)

実戦編複素数共役連立1の3乗根単元横断

問題

( は実数)とする。(右辺は の共役複素数)を満たす複素数 をすべて求めよ。

ヒントを見る

、。実部 、虚部 。虚部を と因数分解。

解答・解説

方針

を代入し、実部と虚部を等号でつなぐと連立方程式。虚部の式を因数分解して場合分けし、各場合で実部の式を解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 共役 が混ざった方程式は、ふつうの代数方程式ではない。いちばん素朴で確実なのは、 と成分に開く方法だ。

複素数の等式は「実部どうし・虚部どうしが等しい」。1本の複素数の式が実数の連立2本になる。虚部の式は 。移項して と因数分解すれば、 か かの場合分けが自然に生まれる。 で割ってはいけない( の解を失う)。

重要 で 、。実部・虚部を別々に比較

① 成分で比較。 より ② 虚部を因数分解。 より 、よって または 。

③ 場合分け。

  • :実部の式は 、。。
  • :実部の式は 、、。。

よって の つ( の つは の 乗根)。

まとめ成分比較で 、後者を と分解して場合分けし、 の 解。複素数(共役)と連立方程式の融合。共役は成分で扱うのが基本だ。

発展。 両辺に を掛けると 。 の解では 、つまり は1の3乗根そのものだ。一般に の解は と「1の 乗根」の全部で、ちょうど 個になる。

答

、。実部・虚部を比べて 。 から または 。 で 。 で 。よって (の つ)。

別解

別解:極形式で「大きさ」と「角」に分ける(得意な人向けの高い視点)。 ()とおく。 は大きさ ・偏角 、 は大きさ ・偏角 。

大きさを比べて 、つまり か 。 は を与える。 のときは偏角を比べて 、すなわち 。 の3つで

合わせて4解。成分計算(本解)の場合分け( か )が、極形式では「 の方程式」と「 の方程式」にきれいに分業される。 から「解は1の3乗根と 」であることも分かる。

ポイント

  • で実部・虚部を別々に比較。
  • 虚部 で場合分け。
  • 解は の つ。

よくある間違い

  • 虚部の式 を で割って の場合(解 )を失う(因数分解 で分岐する)。
  • 「2次だから解は2個」と思い込む( 入りは通常の代数方程式でなく、解は4個ある)。
  • を見落とす(極形式なら 、成分なら 。検算で を確かめる)。