方針
z=a+bi を代入し、実部と虚部を等号でつなぐと連立方程式。虚部の式を因数分解して場合分けし、各場合で実部の式を解く。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 共役 z が混ざった方程式は、ふつうの代数方程式ではない。いちばん素朴で確実なのは、z=a+bi と成分に開く方法だ。
複素数の等式は「実部どうし・虚部どうしが等しい」。1本の複素数の式が実数の連立2本になる。虚部の式は 2ab=−b。移項して b(2a+1)=0 と因数分解すれば、b=0 か a=−21 かの場合分けが自然に生まれる。b で割ってはいけない(b=0 の解を失う)。
重要z=a+bi で z2=(a2−b2)+2abi、z=a−bi。実部・虚部を別々に比較
① 成分で比較。 z2=z より
a2−b2=a(実部),2ab=−b(虚部).
② 虚部を因数分解。 2ab+b=0 より b(2a+1)=0、よって b=0 または a=−21。
③ 場合分け。
- b=0:実部の式は a2=a、a=0,1。⇒z=0, 1。
- a=−21:実部の式は 41−b2=−21、b2=43、b=±23。⇒z=−21±23i。
よって z=0, 1, −21+23i, −21−23i の 4 つ(=0 の 3 つは 1 の 3 乗根)。
まとめ成分比較で a2−b2=a, 2ab=−b、後者を b(2a+1)=0 と分解して場合分けし、z=0,1,ω,ω2 の 4 解。複素数(共役)と連立方程式の融合。共役は成分で扱うのが基本だ。
発展。 両辺に z を掛けると z3=zz=∣z∣2。∣z∣=1 の解では z3=1、つまり 1,ω,ω2 は1の3乗根そのものだ。一般に zn=z の解は z=0 と「1の (n+1) 乗根」の全部で、ちょうど n+2 個になる。
答z2=(a2−b2)+2abi、z=a−bi。実部・虚部を比べて a2−b2=a, 2ab=−b。b(2a+1)=0 から b=0 または a=−21。b=0 で a=0,1。a=−21 で b2=43。よって z=0, 1, −21±23i(の 4 つ)。
別解
別解:極形式で「大きさ」と「角」に分ける(得意な人向けの高い視点)。 z=r(cosθ+isinθ)(r≥0)とおく。z2 は大きさ r2・偏角 2θ、z は大きさ r・偏角 −θ。
大きさを比べて r2=r、つまり r=0 か r=1。r=0 は z=0 を与える。r=1 のときは偏角を比べて 2θ=−θ+360∘×k、すなわち 3θ=360∘×k。θ=0∘,120∘,240∘ の3つで
z=1,z=−21+23i,z=−21−23i.
合わせて4解。成分計算(本解)の場合分け(b=0 か a=−21)が、極形式では「r の方程式」と「θ の方程式」にきれいに分業される。3θ≡0∘ から「解は1の3乗根と 0」であることも分かる。
ポイント
- z=a+bi で実部・虚部を別々に比較。
- 虚部 2ab=−b⇒b(2a+1)=0 で場合分け。
- 解は z=0, 1, −21±23i の 4 つ。
よくある間違い
- 虚部の式 2ab=−b を b で割って b=0 の場合(解 0,1)を失う(因数分解 b(2a+1)=0 で分岐する)。
- 「2次だから解は2個」と思い込む(z 入りは通常の代数方程式でなく、解は4個ある)。
- z=0 を見落とす(極形式なら r=0、成分なら a=b=0。検算で 02=0 を確かめる)。