数学II / 複素数と方程式

複素数と方程式 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 4次方程式 x⁴+4=0 を解く
  2. 3次方程式の3解の3乗の和
  3. 1の3乗根ωを使った累乗の計算
  4. 3つの条件から割った余りを求める
  5. 共役解をもつ実数係数の方程式
  6. 解の逆数を解とする2次方程式
  7. 複素数の累乗の計算
  8. 虚数解をもつ3次方程式の係数決定

問14次方程式 x⁴+4=0 を解く

★★★★ 難関高次方程式複2次式因数分解

問題

次方程式 を解け。

ヒントを見る

をそのまま解くより、平方の差 を作って つの 次式の積にする。それぞれを解の公式で。

解答・解説

方針

を実数の範囲で因数分解する。(平方の差)と変形して 。各 次方程式を解の公式で解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) をいきなり複素数で解くより、実数の範囲で因数分解するのが賢い。 項に見えないが、平方の差を作る。

。 を足して引くのがコツだ。平方の差の公式で 。各 次方程式を解の公式で解けば、( 個)。

公式複次の平方差:

① 因数分解する。

② 各 次方程式を解く。

  • :。
  • :。

よって

まとめ: の形は、平方の差を作って 次式の積に分解するのが基本だ。 次方程式は 次 つに分けて、それぞれを複素数の範囲で解く。 つの解は と対称に並ぶ。

発展。 はソフィー・ジェルマンの恒等式 ()。この分解から、 が素数になるのは ()だけ、と分かる( で つの因数が両方 )。因数分解が素数判定に役立つ例だ。

答

別解

別解:極形式(ド・モアブル)で 乗根を並べる(得意な人向けの視点)。 を、右辺を極形式にして解く。。

乗根は、絶対値が 、偏角が ()。

: 。: 偏角 で 。: で 。: で 。

解 は、複素数平面で正方形の頂点をなす。実数の因数分解(本解)と同じ答えに、極形式では「 乗根は偏角を 等分して ずつ回す」という規則から着く。 の 乗根が正 角形をなすのと同じ、円周の等分だ。

ポイント

  • (平方の差)。
  • 各 次を解いて 。

よくある間違い

  • を平方の差にする の足し引きに気づかない()。
  • 因数分解 の符号を取り違える。
  • 各 次方程式の解 の計算(判別式が負)を誤る。

問23次方程式の3解の3乗の和

★★★★ 難関解と係数の関係対称式

問題

次方程式 の つの解を とするとき、 の値を求めよ。

ヒントを見る

解と係数の関係で つの基本対称式を出す。各解 は方程式を満たす()から、 解ぶん足すと が低次の対称式で書ける。

解答・解説

方針

解と係数の関係で基本対称式 、、 を出す。 を基本対称式で表す(または各解が方程式を満たすことを使う)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を解の値から直接計算するのは無理。解と係数の関係と、「各解が方程式を満たす」ことを使う。

まず基本対称式。解と係数の関係で 、、。各解は を満たす( の移項)。だから 。 を計算して代入すれば出る。

定理 次方程式 の解 について、、、

① 基本対称式。 より

② 乗の和。 。

③ 次数を下げて足す。 各解は を満たす( も同様)。 つ足すと

まとめ: 解の 乗和は「解は方程式を満たす()」で次数を下げ、 乗和・ 乗和(基本対称式で計算)に帰着させるのが速い。 解ぶん足すと定数項が 倍になる点に注意。

発展。 ニュートンの公式 は、べき和 を基本対称式で次々に生成する。 次方程式の解の もこの漸化式で求まる。逆に から を復元することもでき、対称式の理論の中核をなす。フィボナッチ数列の もこの形だ。

答

別解

別解:ニュートンの公式( の漸化式)で機械的に求める(得意な人向けの高い視点)。 べき和 は、基本対称式 から漸化式で出る(ニュートンの公式)。

各解が方程式を満たす()ことを使う本解と、ニュートンの公式は同じ結果 。ニュートンの公式は もこの漸化式で次々に出せるのが強みで、対称式の計算を系統化する。「各解が方程式を満たす」は、 次までなら最も素朴で、それをまとめたのがニュートンの公式だ。

ポイント

  • 解と係数で 、、。
  • を 解ぶん足し、。

よくある間違い

  • の計算を誤る。
  • 各解が満たす関係を でなく符号違いにする(移項ミス)。
  • の定数項( 解分で ではなく )を誤る。

問31の3乗根ωを使った累乗の計算

★★★★ 難関1の3乗根ω

問題

を の つの解とする。 の値を求めよ。

ヒントを見る

から 、 を の 項で表せる。 を使えば、大きな指数は で割った余りに帰着する。

解答・解説

方針

は 、 を満たす。、 と簡単にし、 で指数を で割った余りに落とす。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は 、 を満たす の虚立方根。 乗をまともに展開せず、 の性質で簡単化する。

から 、。 乗する対象が単項式になった。、()。 で指数を で割った余りに落とす。、 だから 。

重要 より 、。また

① かっこの中を簡単にする。 より

② 累乗する。

( に注意。)

③ 指数を で割った余りに。 だから

④ 足す。

(最後は より 。)

まとめ: の計算は「 等でかっこを単項に」+「 で指数を で割った余りに」。最後は で締める。 の 乗根の関係式を使いこなせるかで決まる。

発展。 は絶対値 ・偏角 、すなわち の原始 乗根。だから は周期 で巡回する。(正三角形の頂点)から (正六角形の頂点)が生まれる関係は、正三角形と正六角形が円周の 等分・ 等分で結ばれることの現れだ。

答

別解

別解: を極形式で読む(視覚で捉えるルート)。 とすると、。これは絶対値 ・偏角 の複素数だ。

乗すると、偏角は 。 だから、偏角 の点。。

同様に は偏角 (共役)で、 乗すると偏角 、すなわち 。足すと ( から)。

で指数を落とす本解と同じだが、極形式なら「 は偏角 の単位複素数で、 乗は偏角を 倍して で畳む」と、回転として見える。 が偏角 ( の原始 乗根の つ)であることから、周期 で巡回すると分かる。

ポイント

  • 、。
  • で 、、和は 。

よくある間違い

  • ( から)の変形に気づかず、 乗を展開しようとする。
  • の符号 (偶数乗)を誤る。
  • の指数を で割った余り()を誤る。

問43つの条件から割った余りを求める

★★★★ 難関剰余の定理整式の割り算

問題

整式 を で割ると余りが 、 で割ると余りが 、 で割ると余りが である。 を で割ったときの余りを求めよ。

ヒントを見る

次式で割った余りは 次以下。 とおくと、剰余の定理から の値がわかる。 元連立で係数を出す。

解答・解説

方針

( 次)で割った余りは 次以下だから とおく。剰余の定理より 。 つの式を連立して を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) ( 次)で割った余りは 次以下。 とおく。

の形。 を代入すると、前半が になり 。剰余の定理から が、そのまま 。 つの式を連立して を求める。

重要 で割った余り は より次数が低い。 に の を代入すると

① 余りの形をおく。 次式で割るので ( 次以下)。割り算の等式

に を代入すると、右辺第 項が消えて 。剰余の定理より だから

② 連立する。

③ 解く。 第 式 第 式:。第 式 第 式:。引くと 、、、。よって

まとめ:「複数の余りから、まとめて割った余り」は、余りの次数を決めて文字でおき、剰余の定理で値を作って連立。 次で割れば余りは 次以下、 条件でちょうど決まる。

発展。 「 点での値から 次以下の多項式を復元」がラグランジュ補間。剰余の定理と組み合わせると、「 で割った余りは、 での値で決まる補間多項式」と分かる。これは中国剰余定理(整数版)の多項式アナロジーで、符号理論や暗号でも使われる。

答

別解

別解:ラグランジュ補間で余りを直接書く(得意な人向けの高い視点)。 は「」を通る 次以下の多項式。 点を通る多項式はラグランジュ補間ですぐに書ける。

分母を計算すると 。

展開して整理すると 。 を連立で解く本解と同じ余り 。ラグランジュ補間は「 点を通る 次式」を連立なしで直接構成する公式。剰余の定理で「割った余り その点での値」と分かれば、余りは補間そのものだ。

ポイント

  • 次で割る → 余り 。
  • を連立 → 。

よくある間違い

  • 余りを 次式 とする( 次で割るので 次以下、)。
  • 剰余の定理「 ( で割った余り)」の対応を誤る。
  • の連立を解く計算()を誤る。

問5共役解をもつ実数係数の方程式

★★★★ 難関実数係数共役解高次方程式

問題

実数を係数とする の方程式で、 と をともに解にもつもののうち、次数が最小のものを求めよ( の係数は とする)。

ヒントを見る

実数係数の方程式は、虚数解があればその共役も解。だから解は の つ。共役どうしをペアにして実数係数の 次式を作り、掛け合わせる。

解答・解説

方針

実数係数だから、虚数解の共役 、 も解。 つの解 、 をもつ最小の方程式は、対応する 次因数 と の積 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 実数係数の方程式は、虚数解を共役の組でもつ。だから が解なら も、 が解なら も解。

最小次数にするには、この つの解 をちょうど解にもつ方程式を作る。各共役ペアが 次因数を作る。 から 、 から 。積 が最小の 次方程式。

定理実数係数の方程式が虚数 を解にもてば、共役 も解。共役のペア は実数係数の 次式

① 共役解を補う。 実数係数だから、 の共役 、 の共役 も解。よって解は の つ(最小の次数は )。

② ペアごとに 次式を作る。

  • :(和 、積 )。
  • :。

③ 掛け合わせる。

よって求める方程式は

まとめ:実数係数 + 虚数解 → 共役も解、が出発点。共役ペアで実数係数の 次式を作り(和と積が実数)、掛け合わせて最小の方程式を組み立てる。解が つだから次数は 。

発展。 実数係数の多項式は必ず実係数の 次因数()と 次因数(、判別式 )の積に分解できる(代数学の基本定理の実数版)。虚数解は共役ペアで現れ、各ペアが実係数の 次因数を作る。だから実係数多項式の虚数解の個数は必ず偶数だ。

答

別解

別解: 次因数を「和と積」で作る(苦手な人向け)。 各共役ペアの 次因数を、解の和と積から組み立てる。

: 和 、積 。だから 。: 和 、積 。だから 。

つの因数を掛ける。

共役ペアから直接 次因数を書く本解と同じだが、「和と積」で組み立てると、複素数の掛け算を最小限にできる。実数係数の方程式は共役解をペアでもち、各ペアが実係数の 次因数になる。だから虚数解 個で 次が必要だ。

ポイント

  • 共役解 も解 → 解は つ、次数 。
  • 。

よくある間違い

  • 共役解 も解であることを使わず、次数を最小にできない。
  • 次因数を作るとき、 の積 を誤る()。
  • つの 次因数の積の展開()で係数を誤る。

問6解の逆数を解とする2次方程式

★★★★ 難関解と係数の関係

問題

次方程式 の つの解を とする。 と を つの解とする 次方程式を つ求めよ(係数は整数とする)。

ヒントを見る

と を、 と で表す。それを「解の和・積」として に当てはめ、分母を払う。

解答・解説

方針

解と係数の関係で 、。求める方程式の解の和 、積 を計算し、 に入れて整数化。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を解とする方程式は、新しい解の「和」と「積」を出して組み立てる。

解と係数の関係で 、。新しい解の和 、積 。 に入れて 。整数係数にするため 倍して 。

定理 数 を解とする 次方程式は

① もとの解と係数。 より 、。

② 新しい解の和と積。

③ 方程式を作る。 より

両辺を 倍して整数係数にすると

まとめ:「解を変換した方程式」は、新しい解の和と積を、もとの で表して組み立てる。逆数なら和 、積 。分母を払って整数係数にするのを忘れない。

発展。 で係数が逆順になる。係数が左右対称な相反方程式( など)は で不変で、解が逆数ペア になる。 の置換で次数が半分に落ちる、有名な解法につながる。

答

別解

別解: の置き換えで係数を逆順にする(得意な人向けの視点)。 「解が逆数」ということは、元の方程式で を に置き換えればよい。

が新しい方程式の解 が元の方程式 の解。だから元の式で とすると

両辺に を掛けて 、すなわち 。和と積を計算する本解と同じ 。 の置き換えは「係数を逆順に並べる」操作に等しい()。相反方程式(係数が左右対称)が逆数解をもつのも、この置き換えで式が変わらないからだ。

ポイント

  • 、。
  • を 倍 → 。

よくある間違い

  • 新しい解の和 の計算()を誤る。
  • の和の符号()を落とす。
  • 整数係数にするため 倍する際、全項に掛けない()。

問7複素数の累乗の計算

★★★★ 難関複素数累乗

問題

次の値を求めよ。

(1)  (2)

ヒントを見る

(1) を 乗すると簡単な形になる。それを利用して指数をまとめる。(2) も 乗を先に計算して、もう一度掛ける。

解答・解説

方針

(1) をまとめて累乗する:。(2) は展開するか、 を作って掛ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 高い累乗は、まず小さいべきで「かたまり」を作る。

(1) が計算しやすい。。。

(2) を作り、もう一度 を掛ける。または極形式( は絶対値 ・偏角 )でド・モアブルを使えば、 とすぐに出る。

重要複素数の累乗は、 乗が簡単になることを利用して指数をまとめる( など)

① (1) を求める。 。よって

(。)

② (2) を求める。 。これに を掛けて

まとめ:複素数の累乗は「 乗を先に作る」。、 を足がかりに、指数をまとめたり掛け足したりする。 の処理をていねいに。

発展。 ド・モアブルの定理は複素数の累乗を「絶対値のべき乗 偏角の定数倍」に分解する。逆に 乗根は偏角を 等分して ずつ回した 個。 の 乗根が正 角形をなすのも、 がらせん状に回るのも、すべてこの「累乗 回転拡大」から。三角関数の加法定理の証明にも使える。

答

(1)  (2)

別解

別解:極形式(ド・モアブル)で偏角を回す(得意な人向けの視点)。 は絶対値 ・偏角 。 乗すると絶対値 、偏角 。。

は絶対値 ・偏角 。 乗すると絶対値 、偏角 。。

かたまりを作って累乗する本解より、極形式は「絶対値をべき乗・偏角を掛け算」するだけで済む。ド・モアブルの定理 は、複素数の累乗を「拡大・回転の反復」として捉える。偏角が を超えたら引く、が唯一の注意点だ。

ポイント

  • → 。
  • 、もう一度掛けて 。

よくある間違い

  • ()の計算を誤る。
  • の (周期 )を誤る。
  • (2) で の偏角を でなく別の角にする(絶対値 ・偏角 )。

問8虚数解をもつ3次方程式の係数決定

★★★★ 難関実数係数共役解係数決定

問題

実数の定数 について、 次方程式 が を解にもつとき、 の値と、残りの解を求めよ。

ヒントを見る

実数係数なので も解。 の係数が だから 解の和は 。これで第 の実数解が決まる。 は解と係数の関係(積の和・積)から。

解答・解説

方針

実数係数だから共役 も解。 の項がない()ことから解の和が 。第 の実数解 は で決まる。あとは解と係数の関係で を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 係数 が実数であることが、最大のヒントだ。実数係数の方程式が虚数解 をもつなら、共役 も自動的に解。

解のうち つが判明済み。残る実数解を とおく。この 次方程式は の係数が 。つまり 解の和が で、 から 。あとは解と係数の関係で を出す。

定理実数係数の方程式は共役解ももつ。 で解の和 、 つずつの積の和 、 解の積

① 共役解と第 の解。 実数係数だから も解。 は の係数が なので、解の和は 。第 の解を (実数)とすると

② を求める。 は「 つずつの積の和」。

③ を求める。 解の積 。

よって 、残りの解は と 。(検算: に を入れると 。)

まとめ:実数係数 + つの虚数解 → 共役も解。 の項がなければ解の和 で第 の実数解が即出る。 は解と係数の関係で、 積の和、 積。共役の積 が計算をきれいにする。

発展。 実係数 次方程式は必ず実数解を少なくとも つもつ(奇数次だから、グラフが必ず 軸を横切る)。虚数解があれば共役ペアで、残り つは実数。この問題の がその実数解。 次方程式の解は「実数 個」か「実数 個 + 共役虚数 個」のどちらかだ。

答

、残りの解は と

別解

別解:共役 次式で割り算する(計算で押し切るルート)。 を解にもつ実係数の 次式は 。 がこの 次式で割り切れる条件から を出す。

を で割る(組立除法または筆算)。商は 、余りは 。

割り切れるには余りが : 、。すなわち 、。商 から残りの実数解 も同時に出る。

解と係数の関係で を出す本解に対し、共役 次式で割ると、商 が残りの解を、余り が を一度に与える。実係数の 次方程式が虚数解をもつと、必ず共役とペアの 次因数と実数解 つに分かれる。

ポイント

  • 共役 も解、和 より第 の解 。
  • 積の和 、( 解の積)。

よくある間違い

  • 共役 も解であること(実数係数)を使わず、第 解が決まらない。
  • の係数が 、つまり 解の和が であることを見落とす()。
  • (2 次の項なし)の解と係数の関係で、、 の符号を誤る。