数学II / 微分の考え

微分の考え ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 微分係数(定義・文字)
  2. 積を展開して微分
  3. 曲線外の点から引いた接線
  4. 接線と座標軸で囲む三角形
  5. 極値をとる条件(係数決定)
  6. 3次方程式の実数解の個数
  7. 閉区間での最大・最小(両端に注意)
  8. 最大の体積(文章題)
  9. 極値をもつ条件
  10. 接線と曲線の再交点
  11. 不等式の証明(微分)
  12. 傾きが等しい接線

問1微分係数(定義・文字)

★★ 標準微分係数極限

問題

関数 について、定義にしたがって導関数 を求めよ。

ヒントを見る

導関数の定義の式に と を入れ、分子を展開・整理する。残った項はすべて を含むはずなので約分できる。 を に近づけるのは、約分したあとだ。

解答・解説

方針

導関数の定義 をそのまま計算する。今度は具体的な数でなく のまま進める。分子を展開すると が約分できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「定義にしたがって」とあるから、公式( の微分は )は使わない。定義の式に を入れて、極限を自分の手で計算する。

具体的な数( など)でなく、 を文字のまま進めるのが今回の課題だ。やることは同じ。分子 を展開すると、すべての項に が残る。 で約分してから とすれば、極限が求まる。

公式導関数

① 分子を展開する。

② でくくって約分する。

③ とする。

まとめ:定義から導関数を出すときも、分子は必ず でくくれる。約分して の残った項を消す()のが型。公式 、 の裏づけになっている。

発展。 同じ計算を でやると、分子は 。 で割って残る先頭が だ。 でも展開の先頭 項()だけが残り、公式 が得られる。

微分の公式はどれも「定義の計算を1回やっておき、あとは結果を使い回す」ためのものだ。定義の計算を1度自分の手でやっておくと、公式を安心して使えるようになる。

答

別解

の部分を「正方形の面積」で見ると、 になる理由が絵でわかる。 辺 の正方形の辺を だけ伸ばす。面積の増え方は

増えた部分は「幅 の帯 本(面積 )」と「角の小さな正方形()」だ。 で割ると 。 を に近づけると、角の小さな正方形の寄与は消えて だけが残る。

の部分は「長さ の線分を 伸ばすと 増える」だけだから、割れば常に 。合わせて となり、定義で計算した答えと一致する。今度は図形の意味もついている。

ポイント

  • 定義でも分子は でくくって約分。
  • 結果 は公式 と一致。

よくある間違い

  • 定義でと言われているのに公式 で答えて終わる
  • 分子の展開で に の項を入れ忘れる( だけ置き換える)
  • 約分の前に として で止まる

問2積を展開して微分

★★ 標準導関数

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

このままでは微分しにくいので、先に展開して多項式の形に直すのが早い。展開の計算ミスだけ注意。

解答・解説

方針

積のままでは項ごとの微分が使えない。まず展開して多項式にしてから、各項を微分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 積 のままでは、項ごとに微分する道具が使えない。

まず展開して、ふつうの多項式に直す。それから各項を公式で微分する。この問題でやることは、微分できる形に式を整えてから微分することだけだ。数IIの範囲では、積はいつも展開してから微分する。

公式積は展開してから微分()

① 展開する。

② 各項を微分する。

まとめ:数II の範囲では、積は展開してから微分するのが基本。かっこのまま微分しようとせず、まず多項式に直す。

発展。 「 ではない」ことは、定義に戻ると納得できる。積の増分は で、 の変化と の変化が絡み合う。別解の「前を微分+後ろを微分」の2項は、その絡み合いを正確にほどいた結果だ。

程度なら展開が速いが、 のような高いべきは展開が現実的でない。そこで数IIIでは積や合成関数の微分の公式を学ぶ。展開できないほど複雑な関数も微分したいからだ。

答

別解

先の話になるが、積のまま微分する公式が存在する(数IIIで学ぶ)。「前を微分 × 後ろそのまま + 前そのまま × 後ろを微分」という形で

展開ルートと同じ が出る。今は「展開してから」が正規ルートだが、この公式を検算に使うと、展開ミスを独立の経路で見抜ける。2つの道が同じ答えに合流することを確かめる習慣は、どの単元でも計算の安全網になる。

ポイント

  • 積はまず展開して多項式に。
  • 展開後は項ごとに 。

よくある間違い

  • のように「微分の積」としてしまう(積の微分はバラせない)
  • 展開で の定数項や の中間項を落とす
  • 微分で定数項 を残してしまう(定数の微分は )

問3曲線外の点から引いた接線

★★ 標準接線

問題

点 から曲線 に引いた接線の方程式をすべて求めよ。

ヒントを見る

点 は曲線の上にないので、接点はまだ分からない。接点の 座標を文字でおいて接線を作り、それが を通る条件で文字を決める、という順番で攻める。

解答・解説

方針

接点を と文字でおけば解ける。接点での接線を作り、それが を通る条件から を決める。 が つ出れば接線も 本。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず確かめたいこと。 は曲線 の上にない()。だからこの点を接点にはできない。

接点がどこか分からないので、接点を と文字でおく。 での接線を作り、「それが を通る」という条件で の方程式を立てる。 が つ出れば、接線も 本。「接点を未知数に、通過条件で方程式」が曲線外接線の定跡だ。

重要通る点が曲線上にないときは、接点を とおいて を決める

① 接点を文字でおき、接線を作る。 接点を とする。 より傾きは 。

② を通る条件を書く。 、 を代入。

③ それぞれの接線を書く。

xyO(0,-1)
(0,-1)から y=x^2 への2本の接線 y=2x-1, y=-2x-1(接点(±1,1))

まとめ:「曲線の外の点から接線」は、接点 を文字でおくのが決め手。接線が通る点の条件で の方程式を作る。 の個数がそのまま接線の本数だ。

発展。 外の点から引ける接線の本数は、点の位置で変わる。放物線の下側(今回の )からは 本、放物線上からは 本、内側(上側)からは 本。 の方程式の実数解の個数がそのまま本数になっている。

次曲線で同じ問いを立てると「接線が 本引ける点の範囲」という、入試でよく出る問題になる。そこでも使う方法は今回と同じで、接点を とおき、通過条件を の方程式にする。この手順は上の学年でもそのまま使える。

答

、

別解

放物線に限っては、微分を使わない判別式ルートがある。 を通る直線を とおく( 切片が と分かっているから、未知数は傾き だけ)。曲線と連立して

「接する」とは、この 次方程式が重解をもつこと。判別式で

接線は と 。本解と同じ答えだ。接点の 座標も重解 としておまけに出る。「接する=重解」は放物線と直線のときだけ使える方法だが、使える場面では計算が軽い。 次以上の曲線では判別式が使えないので、本解の「接点を文字でおく」が汎用ルートになる。

ポイント

  • 接点を とおく(通る点は接点ではない)。
  • の解の個数 = 接線の本数。

よくある間違い

  • を接点だと思い込む( は曲線 上にない)
  • での微分係数 を接線の傾きにしてしまう(接点でない点で微分しても意味がない)
  • が つ出たのに片方だけで答えて 本を落とす

問4接線と座標軸で囲む三角形

★★ 標準接線面積

問題

曲線 上の点 における接線が、 軸と 軸で囲む三角形の面積を求めよ。

ヒントを見る

まず接線の式を求める。次にその直線の 切片と 切片を出せば、直角三角形の底辺と高さになる。切片の符号と面積(正の量)の扱いに注意。

解答・解説

方針

まず接線の方程式を求める。その直線と 軸・ 軸との交点(切片)を出し、直角三角形の面積 を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 問われているのは三角形の面積だが、その三角形は「接線と つの軸」で囲まれる。だから道順は決まっている。

接線を求める → 軸・ 軸との交点(切片)を出す → 直角三角形の面積。接線までは基本の計算。あとは「切片を読む」だけの作業に落ちる。手順の連結を見通してから動くと迷わない。

公式接線 、直角三角形の面積

① 接線を求める。 なので 。点 を通り傾き 。

② 座標軸との交点を求める。

③ 三角形の面積を出す。 原点・・ を頂点とする直角三角形。底辺 、高さ (長さなので絶対値)。

xyO(3,2)(2,0)(0,−4)
接線 y=2x−4 が x軸・y軸と作る三角形(面積4)

まとめ:「接線が軸と作る三角形」は、接線を求めてから 切片・ 切片を出す。切片は座標なので負にもなるが、辺の長さはその絶対値を使う。

発展。 接点を と文字にして同じ計算をすると、三角形の面積は の関数 になる。「面積が最小になる接点はどこか」という最適化の問題を考えると、今回の計算はその1回分にあたる。

曲線を双曲線 に替えると、接線が軸と作る三角形の面積は接点によらず一定(常に )になる。どちらも今回と同じ接線と切片の計算で確かめられる。

答

別解

切片を同時に読みたいなら、直線の「切片形」に直すのが手早い。接線 の両辺を で割って整理すると

分母がそのまま切片だ。 切片 、 切片 が一目で読める。三角形は「底辺 、高さ 」の直角三角形(切片の符号は向きの情報で、長さは絶対値)だから

の形は「切片の値を式の見た目に埋め込んだ」直線の表し方。軸と交わる問題ではこの形に直すと、交点計算が省略できる。

ポイント

  • 接線 → 切片・ 切片を求める。
  • 辺の長さは切片の絶対値。面積 底辺高さ。

よくある間違い

  • 接線の傾きを のまま( を式ごと)使う(傾きは接点の値 という数)
  • 切片 の符号を面積にそのまま入れて負の面積にする(長さは絶対値)
  • 三角形の底辺と高さに「切片と切片」でなく座標や接点の値を混ぜる

問5極値をとる条件(係数決定)

★★ 標準極値係数決定

問題

関数 が で極値をとるとき、定数 の値を求めよ。また、そのときの極大値と極小値を求めよ。

ヒントを見る

『 で極値をとる』は導関数についての条件に言い換えられる。 が決まったら、本当に極値か(符号が変わるか)を増減表で確かめてから値を出そう。

解答・解説

方針

「 で極値」⟺「」。これで が決まる。求めた で を因数分解し、増減から極大・極小を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず「 で極値をとる」という条件を式に直す。極値の場所ではグラフの傾きが 。つまり 。

これは の 次方程式で、 が即座に決まる。ただし注意がひとつ。 は「極値をとるための必要条件」にすぎない。 を求めたら、増減表で本当に の前後で符号が変わるか(=本当に極値か)を確かめてから、極大・極小の値を出す。

重要「 で極値をとる」ならば

① から を求める。 。

② を因数分解する。 より

③ 極大・極小を求める。 の符号は 正()→負()→正()。

  • :正→負 で極大。。
  • :負→正 で極小。。

xyO極大6極小2
a=1 のとき y=x³−3x+4。極大6(x=−1)・極小2(x=1)

まとめ:係数決定は「極値をとる ⟺ 」から始める。 を出したら、必ず の符号を確かめて、本当に極値になっているか(極大か極小か)まで調べる。

発展。 「 なのに極値でない」ことが実際にある。 は だが、 の前後で傾きは正のまま(接して通り抜けるだけ)で、極値ではない。⓪で「必要条件にすぎない」と釘を刺したのは、この反例がいるからだ。

今回の問題では で と符号がきちんと変わるから合格。「求めた値を戻して検分する」一手間が、論理の穴を塞いでいる。

答

、極大値 ()、極小値 ()

別解

が決まった後の極大・極小は、 次関数の対称性で片方から他方が出せる。 のグラフは、点 (定数項が示す中心)について点対称だ。実際、どの でも

つまり と の値の平均が常に 。中心の高さ を挟んで、グラフは上下対称に振る舞う。極小が 、中心より だけ下。したがって極大は中心より だけ上の で、対称性から計算なしで分かる( と一致)。

極値が「中心 ± 同じ幅」に来るのは 次関数の一般的な性質。検算にも、片方の計算を省く近道にもなる。

ポイント

  • 極値をとる点で 。まず を決める。
  • 決めた後、符号変化で極大・極小を確認する。

よくある間違い

  • で を出して終わりにする(増減の確認をせず、極大か極小かも言わない)
  • と を混同する(極値をとる条件は導関数の方)
  • 極大値・極小値として の値()を答えてしまう(値は )

問63次方程式の実数解の個数

★★ 標準解の個数極値

問題

を実数の定数とする。方程式 の異なる実数解の個数を、 の値によって調べよ。

ヒントを見る

定数 を片側に分離して、『曲線と水平な直線の交点の個数』と読み替える。曲線の山と谷の高さが分かれば、横線の高さごとに交点数を数えられる。

解答・解説

方針

と (横線)の交点の個数を考える。 次関数の極大値・極小値がものさしになる。横線が極大と極小のあいだにあれば 個、外なら 個。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を直接解こうとすると、 が動くたびに 次方程式を解き直すことになり、手に負えない。

そこで見方を変える。左辺と右辺を別々のグラフにする。

(固定された曲線)と (高さ の横線)。方程式の実数解の個数はこの つのグラフの交点の個数だ。曲線は 回描けば終わり。あとは横線を上下に動かして、交点がいくつになるか数えればよい。境目は曲線の極大値・極小値の高さである。

重要方程式の解の個数 = と のグラフの交点の個数

① 曲線の極大・極小を求める。 は より、極大値 ()、極小値 ()。

② 横線 との交点を数える。 横線を上下に動かして、曲線とぶつかる回数を見る。

xyO極大2極小-2
y=x^3-3x と横線 y=k。極大2・極小-2 の帯の中(-2<k<2)で交点3個
  • 極大 より上、または極小 より下( または ):交点 個。
  • ちょうど極大・極小の高さ( または ):接する所を含めて 個。
  • 極大と極小のあいだ():交点 個。

まとめ:「 次方程式の解の個数」は、片方を横線 にして交点数を数えるのが基本だ。極大値・極小値がしきい値になり、そのあいだで解が 個・外で 個・境目で 個となる。

発展。 この「定数を分離して横線との交点を数える」手筋は、定数分離と呼ばれ、応用範囲がきわめて広い。 のまま扱うと 入りの 次式の解の議論になるが、 を右辺に孤立させた瞬間、動くのは横線だけになる。

文字定数を分離して、固定した曲線と動く横線に分けて考える。方程式の解の個数、不等式の成立条件、接線の本数など、この方法で解ける問題は多い。曲線の極値が基準になる考え方は、いつも同じだ。

答

、 のとき 個。 のとき 個。 のとき 個

別解

境目の で「 個」になる理由を、式の側から確かめておくと納得が深まる。 のとき。 を因数分解すると

が重解、 が単解。異なる実数解は 個だ。重解 は極小の位置と一致する。横線 が谷底に接していることが、式では「重解」として表れている。

も同じで、。山頂 で接して重解、ほかに 。「グラフで接する ⟺ 方程式で重解」。図の読みと式の計算が同じ事実の両面だと分かれば、グラフ勘定に自信が持てる。

ポイント

  • 解の個数 = 曲線と横線 の交点の個数。
  • 極大値・極小値がしきい値。あいだで 個、外で 個。

よくある間違い

  • 境目 を「 個」か「 個」の側に入れてしまう(接する横線は交点 個)
  • 不等号の等号の有無を曖昧に書く( と では答えが変わる)
  • 極大値・極小値でなく極値をとる の値()を境目にしてしまう

問7閉区間での最大・最小(両端に注意)

★★ 標準最大最小

問題

における関数 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

極値の候補と両端、あわせて つの値を全部計算してくらべる。この問題では同じ値が別々の で現れるので、最大・最小を与える をすべて挙げること。

解答・解説

方針

区間内の の点と、両端 の値を全部くらべる。同じ値が か所で起こることもあるので、値でそろえて判断する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 閉区間での最大最小は、候補を全部並べて比べる問題だ。

候補は 種類しかない。区間の中で傾きが になる点()と、区間の両端。極値だけ見て端を忘れると、端で最大になるケースを落とす。

今回はさらにひとつ注意点がある。同じ値が か所で実現する。候補の値を全部数字でそろえてから、最大・最小を宣言するのが安全だ。

公式閉区間の最大最小 = 区間内の の点と両端の値をすべてくらべる

① の候補を出す。 より 。どちらも区間 内。

② 候補と両端の値を計算する。

③ 最大・最小を選ぶ。 値は 。

xyO最大最大最小最小
y=x^3-3x^2+2(-1≦x≦3):最大2(x=0,3)・最小-2(x=-1,2)

まとめ:候補は「区間内の極値」+「両端」。今回は最大も最小も か所ずつで起こる。値をそろえて書き出せば、同じ値の見落としを防げる。

発展。 区間の幅を変えると答えの顔ぶれが変わる。右端が より手前なら最大は の か所、 を超えると端の値が極大を追い越して最大は端だけになる。区間の端がちょうど「接する横線の交点」に乗る今回は、その切り替わりの瞬間を見ていることになる。

区間に文字( など)が入ると、この切り替わりを場合分けで追う、入試でよく出る問題になる。今回の「値をそろえて比べる」丁寧さが、そのまま場合分けの境目を見つける力になる。

答

最大値 ()、最小値 ()

別解

「最大が と の か所」は偶然ではない。最大値の横線 を曲線から引いてみると

が重解、 が単解。つまり横線 は山頂 で曲線に接し、 で曲線を横切る。接した場所(極大)と横切った場所(端)が同じ高さにあるので、最大を与える点が か所になる。

最小も同じ考え方で

谷底 で接し、(端)で横切る。最大・最小の高さの横線は極値点で曲線に接する。このことを使うと、閉区間の答えを式で検算できる(値を引いた式が因数分解できるかを見る)。

ポイント

  • 候補は極値と両端の両方。
  • 最大・最小が複数の で起こることもある。

よくある間違い

  • 極値だけ比べて両端 の値を見ない(端で最大・最小になる問題は多い)
  • 最大値・最小値をとる を か所ずつしか書かない(今回はどちらも か所)
  • 増減表の矢印だけで判断し、値の大小を数字で確かめない

問8最大の体積(文章題)

★★ 標準最大最小文章題

問題

辺 の正方形の厚紙の四隅から、 辺 の正方形を切り取り、残りを折り曲げてふたのない箱を作る。箱の容積を最大にする の値と、そのときの容積を求めよ。

ヒントを見る

箱の底面の 辺と高さを で表して、容積を の式にする。微分に入る前に、 が動ける範囲(切り取れる条件)を確認しておくこと。

解答・解説

方針

箱の底面は 辺 の正方形、高さは 。容積 を作り、 の変域()の中で最大を微分で探す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 文章題でいちばん大事な部分は、微分の前にある。「容積を つの文字の式で表す」ことだ。

切り取る正方形の辺 を決めると、箱の形は全部決まる。底面は 辺 の正方形(両側から ずつ消える)、高さは折り上げた 。

もうひとつ忘れやすいのが変域。底面の辺も高さも正でなければ箱にならないから 。この範囲の中で の最大を微分で探す。

公式容積 底面積 高さ。変域内で を調べる

① 容積を で表す。 底面は 辺 、高さ 。

② 展開して微分する。 なので 。

③ 変域内で増減を調べる。 では、 の前後で は 正→負。よって で最大。

xyO最大(2,128)
V=x(12-2x)^2(0<x<6)。x=2 で最大 V=128

まとめ:文章題は「量を文字で表す → 変域を書く → 微分して増減」。変域 を最初に決めるのが大事。 は底面がつぶれるので入れない。

発展。 の解は と の つ出るが、 は「切り取ったら何も残らない」箱で、変域の外。式の上の解がそのまま実際の答えになるとは限らない。文章題で最初に変域を書くのはそのためだ。

最大のとき、底面 ・高さ 。別解の等号条件 は「高さの 倍 = 底面の半分」という形の釣り合いを言っている。容器の最適設計(缶の表面積を最小にする問題など)でも、答えはこのような比の釣り合いの形で表される。

答

のとき最大容積

別解

微分を使わず、相加相乗平均で最大値を射抜く別ルートがある。。ここで つの数 を見ると、和が

和が一定の正の数たちは、全部等しいときに積が最大になる( 数の相加相乗平均)。積は

等号は 、つまり のとき。 と書き直せるから、最大は 。工夫したのは、 を と和が一定になるように係数を仕込んだこと。この設計ができれば、増減表を書かずに答えが出る。

ポイント

  • まず容積を の式に。変域も必ず書く。
  • 変域の中だけで増減を調べ、最大を選ぶ。

よくある間違い

  • 底面の辺を とする(両側から切り取るので )
  • 変域 を書かず、 の解 (容積 )まで候補に入れる
  • を展開せずに微分できず手が止まる(展開して 次式にすれば通常の微分)

問9極値をもつ条件

★★ 標準極値判別式

問題

関数 が極値をもつような定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

次関数が極値をもつ条件を、導関数の条件に言い換えられるか。 がどんな解をもてばよいかを考える。そこまで来れば道具は決まる。

解答・解説

方針

次関数が極値をもつ ⟺ (2次方程式)が異なる つの実数解をもつ。判別式 が条件。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「極値をもつ」とは、グラフに山と谷があること。 次関数で山と谷ができるのは、傾き の符号が「」と 回入れ替わるときだ。

は 次式。符号が 回入れ替わるのは、 が異なる つの実数解をもつとき。こうして「極値をもつ」という図の言葉が、「 次方程式の判別式 」という式の言葉に言い換えられる。あとは判別式の計算だけだ。

重要 次関数が極値をもつ ⟺ が異なる 実数解をもつ ⟺ (判別式)

① なぜ導関数の実数解の個数で極値の有無が決まるのかを、まず押さえる。 は下に凸の放物線。もし が異なる2つの解をもつと、その2解の前後で の符号が正 → 負 → 正と入れかわる。 が正のとき は増加、負のとき減少だから、 は「増加 → 減少 → 増加」となり、山と谷(極大と極小)ができる=極値をもつ。逆に が解を持たない/重解のとき()、 は符号を変えず はずっと増加で、山も谷もできない。だから「極値をもつ ⟺ が異なる2実解 ⟺ 」。

② 判別式 を解く。

まとめ: 次関数の「極値をもつ・もたない」は、導関数( 次式) の実数解の個数の問題。2つの実解があると の符号が と変わって山と谷ができる。「」という条件は、この符号の変化を表している。

発展。 境界 の は、よく見ると 。つまり を平行移動しただけの、階段の踊り場のような単調増加だ。「重解=平らになるが下らない」の実例として覚えておくと、等号の扱いに迷わなくなる。

一般に 次関数は「極値をもつ(山谷型)」か「単調(常に増または減)」の 種類しかない。 の判別式がその分類スイッチになっている。

答

、

別解

判別式を公式として使う代わりに、 の放物線の「頂点の高さ」で見ると意味がはっきりする。

は下に凸の放物線。これが 軸を 回横切る(=負になる瞬間がある)条件は、頂点が 軸より下にあること。

判別式と同じ答えだが、「 が負になる区間(グラフが下る区間)が存在するか」という極値の実態が、頂点の高さとして目に見える。境界の では となる。傾きが になる点はあるが下りには転じないので、極値はない。等号を含めない理由もここから読める。

ポイント

  • 極値をもつ ⟺ が異なる 実解。
  • 次方程式の実解 個 ⟺ 判別式 。

よくある間違い

  • と等号を含めてしまう(重解では の符号が変わらず極値にならない)
  • でなく の判別式を考えてしまう(極値の条件は導関数の方程式)
  • 判別式で の計算を と混同し係数を誤る

問10接線と曲線の再交点

★★ 標準接線

問題

曲線 の点 における接線が、曲線と再び交わる点の座標を求めよ。

ヒントを見る

まず接線を求める(この点では傾きがちょうど になる)。接線と曲線の交点の方程式を作ると、接点の が重解になっているはずだ。それを利用して残りの解を出す。

解答・解説

方針

まず接線を求める。次に「曲線 = 接線」の方程式を解く。接点では接するので、その解は重解になる。因数に が現れることを利用すると、残りの解(再交点)がすぐ出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 手順は素直だ。まず での接線を求め、次に「曲線 接線」を解いて交点を全部出す。

ここで使うのが「接する 重解」。接点 は曲線と接線の方程式の重解になっている。

だから 次方程式は と因数分解できると最初から分かっている。残りの因数から再交点が出る。解く前に答えの形が見えている、という安心感を持って進めよう。

重要接線と曲線の交点方程式では、接点の が重解になる( でくくれる)

① 接線を求める。 、。傾き 、点 を通るので接線は 。

② 曲線と接線の交点方程式を作る。

③ 重解を利用して因数分解する。 接点 は重解なので でくくれる。

よって (接点、重解)と (再交点)。

④ 再交点の座標を出す。 を曲線に代入( でも同じ)。

よって再交点は 。

xyO接点(1,-2)再交点(-2,-2)
y=x^3-3x と接線 y=-2。接点(1,-2)・再交点(-2,-2)

まとめ:接線と曲線の交点は「接点が重解」に注目する。 でくくれば、残りの 次因数から再交点がすぐ求まる。わざわざ 次方程式を一から解かなくてよい。

発展。 今回の接点 は極小点だったので、接線は水平線 になった。極値の高さの横線は曲線と接する。これは 次方程式の実数解の個数を数える問題で使った「境目の横線」と同じものだ。

接点 を一般の文字にすると、再交点は (解の和 より )。「再交点は接点の 倍」という 型( の項なし)の一般法則が、解と係数の関係から 行で出る。

答

別解

因数分解の割り算をせずに、解と係数の関係で再交点を即答できる。「曲線 接線」を整理した 次方程式 の つの解は、(重解)と再交点の 。 次方程式の解の和は「 の係数の符号を変えたもの」だから、 の項がないこの方程式では

割り算なしで 。 は曲線に代入して 。再交点は だ。

次の曲線と接線の交点問題では、「解は接点(重解)と再交点の つ」「和は係数から読める」の つを組むと、いつでもこの速さで解ける。

ポイント

  • 接点の は交点方程式の重解。
  • の が再交点。

よくある間違い

  • 接線の傾き を見て「接線がない」と誤解する(傾き の水平な接線 )
  • 重解を使わず 次方程式を因数定理の当てずっぽうで探して時間を失う
  • 再交点の 座標を出し忘れる、または接線でなく別の式に代入する

問11不等式の証明(微分)

★★ 標準不等式最小値

問題

のとき、不等式 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

『左辺の最小値が 以上』を示す方針に切り替える。左辺を関数とみて での増減表を書き、いちばん低いところの値を確かめよう。

解答・解説

方針

左辺を とおき、 での最小値が 以上であることを示す。 で増減を調べ、最小値を求める。最小値が なら不等号()が成り立つ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 を示せ」と言われたら、左辺を関数 とみて、最小値が 以上であることを示せばよい。すべての で成り立つことと、いちばん低い所で成り立つことは同じだからだ。

で増減を調べ、 での最小値を特定する。今回は最小値がちょうど になる。最小値がちょうど なので、等号が成り立つ場合()がある不等式だと分かる。

重要「 を示す」= の最小値が 以上であることを示す

① とおいて微分する。 。

② で増減を調べる。 は、 で負、 で正。よって で最小。

③ 最小値を求める。

では 。 での最小値は のときの 。

④ 結論。 での最小値が だから、つねに 。すなわち

xyO最小(1,0)
y=2x^3-3x^2+1(x≧0)。最小は x=1 で 0、つねに0以上

等号は のとき。

まとめ:不等式 の証明は「最小値 を示す」に言いかえる。微分で最小値を出し、それが 以上なら証明完了。等号成立の も答えると丁寧だ。

発展。 「最小値がちょうど 」の不等式は、グラフが 軸に接する瞬間を持つ。だから左辺は必ず(重根)を含み、今回のように へ分解できる可能性が高い。等号付きの不等式証明では、まず等号成立点を探して因数定理を試すのは有力な偵察だ。

ただし因数分解がいつも見つかるとは限らない。指数や三角関数が混ざる不等式(数IIIで登場)では分解が存在せず、微分で最小値を追う方法だけが通用する。汎用の微分ルートを本解に据えるのはそのためだ。

答

での最小値が なので成立

別解

この左辺は、実は微分なしの因数分解で片づく。 を代入すると 。因数定理で をもつ。割ってみると

がさらに と割れて、 が 乗で現れる。あとは符号を見るだけ。 はいつでも成立。 なら 。よって積は となり、証明が終わる。

微分ルートで「最小値が 」だったことと、因数分解で「 が現れる」ことは同じ事実の裏表だ。グラフが で 軸に接しているから、式では重根 になる。等号成立 も因数から一目で読める。

ポイント

  • ⟺ 最小値 。
  • 微分で最小値を出す。等号成立の も確認。

よくある間違い

  • 増減を調べず など数点の代入だけで「成り立つ」と結論する
  • の条件を忘れて全実数で示そうとして詰まる( では不成立: )
  • 最小値が なのに と書いてしまう(等号成立 がある)

問12傾きが等しい接線

★★ 標準接線微分係数

問題

曲線 の接線のうち、傾きが であるものをすべて求めよ。

ヒントを見る

接点の 座標を文字でおくと、『傾きが 』がその文字の方程式になる。解が つ出たら、接線も 本できる。

解答・解説

方針

接点を とおく。傾き が になる を求め、それぞれの接点で接線を作る。 が つ出れば接線も 本。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「傾きが の接線」とあるが、接点は分からない。そこで接点の 座標を とおく。

接点 での傾きは 。これが になればよいから

の つ。接点が か所あるから、接線も 本できる。それぞれの接点で接線の式を組み立てる。「傾きの条件を、接点 の方程式で表す」流れだ。

重要傾き指定の接線は、 で接点 を先に決める

① 接点 を求める。 。傾きが なので

② 各接点で接線を作る。 接点は と 。傾きはどちらも 。

xyO(2,8)(−2,−8)
y=x³ の傾き12の接線は2本(接点(±2,±8))

まとめ:傾きが決まっている接線は、接点が複数あることが多い。(傾き)で を全部出し、それぞれで接線を作る。傾きが同じでも通る点がちがうので、別々の直線になる。

発展。 接線 と曲線の交点を調べると 。接点 の重解に加え、 で曲線ともう一度交わる。 次曲線の接線は、ふつうは曲線ともう一度交わる。接点以外で交わらない放物線の接線とは、ここが違う。

また、平行な接線が 本あるのは が 解をもつからで、傾きを に一般化すると「 なら 本、 なら 本、 なら 本」。 の接線の傾き という制約が、本数の地図を決めている。

答

、

別解

本目は対称性から計算なしで出せる。 は原点について点対称なグラフだ( を にすると も になる)。だから接線も含め、図形の部品はすべて原点対称の組で現れる。 本目 (接点 )を原点対称に移すには、 と置き換えて

接点も に移る。傾きは対称移動で変わらない( のまま)から、これも確かに「傾き の接線」だ。 と符号ちがいのペアで出てきた瞬間に「対称性の仕業だな」と気づけると、計算の半分は検算に置き換えられる。

ポイント

  • 接点は (傾き)の解。複数あることも。
  • 傾きが同じでも接点ごとに別の接線。

よくある間違い

  • だけ採用して の接線を落とす(接線は 本)
  • 接線を のように書き、接点を通る条件()を崩す
  • 本の 切片の符号( と )を取り違える(接点の座標に戻して検算)