数学II / 微分の考え

微分の考え 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 3本の接線が引ける点の存在範囲
  2. 4次曲線に2点で接する直線
  3. 3次関数が3実解をもつ条件
  4. 区間における3次関数の最小値
  5. 3点で交わる直線の傾きの範囲
  6. 極大値と極小値の和
  7. 2曲線が接する条件
  8. すべての実数で成り立つ不等式

問13本の接線が引ける点の存在範囲

最難関編接線領域

問題

点 から曲線 に相異なる3本の接線が引けるような点 の存在範囲を求め、図示せよ。

ヒントを見る

「接線を引く」は接点 を1つ決めること。 を通る条件を の方程式にして、その実数解の個数が接線の本数だと気づけるか。3実解の条件は極大・極小の符号。

解答・解説

方針

接点を とおくと接線は 。これが を通る条件を の3次方程式にし、相異なる3実解をもつ条件を極値の積で表す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「P から接線を引く」という操作は、じつは「接点を1つ選ぶ」ことと同じだ。そこで接点の 座標 を未知数にして考える。

の での接線を書き、それが を通るという式を作ると、 の3次方程式になる。接線の本数=この方程式の相異なる実数解の個数。「3本引ける」は「 の3次方程式が3実解をもつ」に言い換えられた。

3次方程式の3実解の条件は、極大値と極小値が異符号(山が軸の上、谷が下)。これで の不等式が出る。

重要曲線への接線の本数は「接点をパラメータとした方程式の実数解の個数」に等しい

① 接線を接点 で表す。 上の点 での接線は、 より

② を通る条件。 代入して

この の3次方程式の相異なる実数解の個数が、引ける接線の本数。

③ 3実解の条件。 とおくと 。極値は と でとり、値は 、。相異なる3実解 ⟺ 極大値と極小値が異符号。

定理3次関数が相異なる3実解をもつ ⟺(極大値)(極小値)

のとき極値をもたない()ので不適。よって求める範囲は

これは曲線 と直線 ( 軸)ではさまれた部分(境界を除く)。

xyOb=a³
点(a,b)から曲線 y=x³ に相異なる3本の接線が引ける範囲(斜線部)。曲線 b=a³ と a軸のあいだ(境界は除く)。横軸=a、縦軸=b

まとめ:接線の本数を「接点 の方程式の解の個数」に言い換えるのが最初の一手だ。あとは3次方程式の3実解条件=極値の積が負、で領域が出る。「本数」を「解の個数」に読み替える発想が要。

発展。 境界が「曲線」と「変曲点の接線」になるのは に限らない。どんな3次曲線でも、3本引ける領域はこの2本の線ではさまれる(たとえば なら境界は と、変曲点での接線 )。変曲点の接線は「接点で曲線を横切る」唯一の接線で、本数の地図の分水嶺になっている。

答

、すなわち曲線 と 軸ではさまれた部分(境界を除く)

別解

本数の地図を作る(平面全体を数え上げる)。 方程式 の実数解の個数を、点 の場所ごとに数えると、答えの意味がはっきり見える。極値は と (本解と同じ)。その積の符号で分類する:

  • :3実解 → 3本(求める領域)
  • :1実解 → 1本
  • または (原点を除く):重解を含み2実解 → 2本
  • 原点 : の3重解 → 1本

境界の意味も読み取れる。 は「P が曲線の上にある」こと。 は「P が変曲点 における接線( 軸)の上にある」ことだ。つまり3本引ける領域は曲線自身と変曲点の接線にはさまれている。

3本の領域だけ出して終えず、平面全体を1本・2本・3本で塗り分けてみる。接線の本数という量の地形が一望でき、境界のそれぞれに図形的な意味があると分かる。

ポイント

  • 接線の本数= の実数解の個数。
  • 3実解 ⟺ 極値の積 。
  • 曲線 と 軸にはさまれた領域。

よくある間違い

  • 3実解の条件を2次の癖で「判別式 」と書こうとして手が止まる。3次では極値の積の符号で言うのが基本だ。
  • (極値をもたない場合)の検分を落とす。 で単調になり、3実解は不可能。
  • 境界を含めて にする。境界の上では接線が重なり、2本(原点では1本)に減る。

問24次曲線に2点で接する直線

最難関編接線4次関数

問題

曲線 に相異なる2点で接する直線の方程式を求めよ。

ヒントを見る

「2点で接する」を式で言うと、差 が と完全に因数分解できること。 とおいて係数を合わせられるか。

解答・解説

方針

直線 が2点で接する ⟺ が2つの2重根をもつ、すなわち の形。係数比較で決める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「接する」を式で言うと、曲線と直線の差がその点で2重根をもつこと。2点で接するなら、差の4次式は2つの異なる2重根をもつ。

つまり差は 、まとめて という完全な2乗の形に因数分解できるはずだ。未知の直線 との差をこの形とおき、恒等式として係数を比較すれば、 と一緒に も決まる。接点を個別に追いかけるより、この「完全平方」という構造に乗るほうが速い。

重要4次曲線に2点で接する直線 ⟺ (4次式)(1次式)

① 完全平方とおく。 差を と等しいとする:

右辺 。

② 係数比較。 左辺には の項がないことに注意して、

  • :
  • :

③ 傾きと切片。 残りの係数から

よって 。求める直線は

接点は の解、。

xyOy=−8x−4
4次曲線 y=x⁴−4x³ に2点で接する直線 y=−8x−4(複接線)。接点は x=1±√3

まとめ:2点接する=差が2つの2重根=完全平方の積 。係数比較で がまとめて決まる。接点を個別に追わず「構造(完全平方)」に持ち込めば解ける。

発展。 複接線 は、全実数で を満たす最良の1次の下界だ(2点で触れているから、これ以上は持ち上げられない)。複接線をもつのはW字型(谷が2つ)の4次だけで、U字型はもたない。また差が と書けても、接点の実在は の判別式が正であることが保証する(本問は )。

答

(接点は )

別解

平行移動で対称にする(完全平方が目に見える)。 4次の複接線は3次の項を消すと突然見やすくなる。(グラフを 方向に ずらす)と置換すると

の部分を無理やり完全平方にまとめると

だから、曲線は直線 の上側にあり、触れるのは 、すなわち の2点だけ。これが複接線そのものだ。 を戻すと 、接点は 。本解と一致する。

平行移動の中心 は、じつは2つの変曲点()の中点。そこへ原点を移すと接点が と左右対称になり、複接線が「完全平方を除いた残りの1次式」として直接読める。

ポイント

  • 2点で接する ⟺ 差 。
  • 係数比較で 。
  • 直線 、接点 。

よくある間違い

  • 左辺に の項がない( である)ことを見落とし、係数比較の式を1本落とす。
  • の展開で の係数 の 倍を落とす。
  • 完全平方に置けた時点で安心して、接点の2次方程式 が実解をもつ(判別式 )ことの確認を飛ばす。実解がなければ「2点で接する」は実現しない。

問33次関数が3実解をもつ条件

最難関編極値解の配置

問題

とする。3次方程式 が相異なる3つの実数解をもつような実数 の範囲を、 を用いて表せ。

ヒントを見る

3次関数が3回 軸を横切る ⟺ 山(極大)が 軸より上、谷(極小)が下。極大値と極小値の符号だけ調べればよい。極値をとる はどこか。

解答・解説

方針

の極大値と極小値を求め、その積が負(異符号)となる条件を書く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3次関数のグラフが 軸を3回横切る条件を聞かれている。

グラフの形で言えば、山(極大)が 軸より上に、谷(極小)が下にあればよい。式で言えば、極大値と極小値が異符号、つまり積が負。極値の場所は から とすぐ出る。あとは2つの極値を計算して、積の符号の条件を書くだけだ。

定理3次関数が相異なる3実解をもつ ⟺(極大値)(極小値)

① 極値をとる 。 、。 より、 で極大、 で極小。

② 極値の計算。

③ 異符号の条件。

より だから、これは

まとめ:3実解 ⟺ 極大値0 かつ 極小値0 ⟺ 積が負。極値 を出して 。定数 はグラフを上下に平行移動する量なので、山と谷が 軸をまたぐ幅がそのまま答えになる。

発展。 実は3次方程式にも判別式がある。 では で、 が相異なる3実解の条件。本問は だから となり、。極値の積の条件は3次の判別式を手作りしていたことになる。

答

(すなわち )

別解

定数分離で「動かない曲線」にする。 が式に混ざったままだと、グラフが ごとに動いて考えにくい。 を右辺に隔離して

とすれば、左辺の曲線 は固定され、動くのは水平線 だけになる。

xyO2a³−2a³y=−b
a=1 の場合。固定した曲線 y=x³−3x(山 2a³=2、谷 −2a³=−2)と動く水平線 y=−b。山と谷のあいだの高さのときだけ3回交わる(図は −b=0.8)

固定した曲線は で山(高さ )、 で谷(深さ )。水平線が山と谷のあいだにあるときだけ、3回横切る:

パラメータ入りの方程式は「パラメータを片側に隔離して、固定した曲線と動く水平線の交点」に読み替える。動くものを1つに減らすこの考え方は、解の個数を調べる問題の多くで使える。

ポイント

  • で極大・極小、値は 。
  • 3実解 ⟺ (極大値)(極小値)。
  • 。

よくある間違い

  • 3実解の条件を「判別式 」と2次の感覚で書こうとして詰まる。3次では極値が異符号であることで言うのが基本だ。
  • 積 を にする。等号は重解(接する)で、解は2個に減る。
  • 定数分離のとき、水平線の高さを とする( が正しい。移項の符号に注意)。

問4区間における3次関数の最小値

最難関編最大最小場合分け

問題

とする。区間 における関数 の最小値を の値で場合を分けて求めよ。

ヒントを見る

で、区間内 では が谷。この谷が区間 の中にあるか外(右)にあるかで、最小値をとる場所が変わる。境目は と の大小。

解答・解説

方針

の符号から極小点 の位置が区間 の内か外かで場合を分ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 区間つきの最小値は、候補がわずかしかない。区間の両端と、区間内にある谷(極小点)だけだ。

から、 の側では が谷。問題は、この谷が区間 の中にあるか外にあるかが、 しだいで変わることだ。だから境目 で場合を分ける。谷が中にあれば谷が最小。右の外にあれば、区間内はずっと下り坂で、右端が最小になる。

① 増減。 。 では だから、 の符号は で決まる。 で減少、 で増加。谷は 。

② 谷が区間内()。 最小は で、

③ 谷が区間の右外()。 このとき 全体で 、つまり は減少。最小は右端 で、

まとめると、最小値は のとき 、 のとき 。

まとめ:「谷 が区間に入るか」で と に場合分け。入れば谷が、外れれば近い端が最小。区間つき最適化は、まず極値の位置と区間の関係を図で押さえるのが先だ。

発展。 最小値を の関数 とみると、境目 で値が にそろって連続なだけでなく、傾きまで一致する( の微分 も、 の微分 も、 で )。谷がちょうど端点に重なる瞬間に式が切り替わるため、つなぎ目がなめらかになる。「境目で値が一致するか」を見る検算の習慣は、場合分けの答案で大いに役立つ。

答

のとき 、 のとき

別解

候補を全部並べて比べる(候補主義)。 閉区間での最小値の候補はそもそも区間の両端と区間内の極値点しかない。だから候補の値を書き出して比べてもよい。

候補は 、、そして のときだけ参加できる 。

  • のとき:3候補の比較。 は明らか。また と因数分解できるから 。よって最小は 。
  • のとき:候補は両端の2つ。 だから最小は 。

増減表(本解)からは関数の途中の様子まで分かるが、最小値だけ欲しいなら候補の総当たりでも確実に求まる。因数分解 が、境目 でちょうど等しくなる(等号成立)ことまで分かるのも収穫だ。

ポイント

  • 谷は 。区間 との位置で場合分け。
  • :、:。

よくある間違い

  • 谷の値 を、 のときにも最小値として使う。谷が区間の外にあるときは候補ですらない。
  • を候補から落とす。 では最小は だが、比較の相手として端点 の確認は要る。
  • 境目 をどちらの場合に含めるか迷って両方に書く。値が一致するのでどちらでもよいが、 と のように重複なく書く。

問53点で交わる直線の傾きの範囲

最難関編解の配置接線

問題

原点を通る直線 が曲線 と相異なる3点で交わるような の範囲を求めよ。

ヒントを見る

交点の方程式 は原点 を必ず解にもつ( でくくれる)。残りの2次が「相異なる2解」かつ「 を含まない」ようにすればよい。

解答・解説

方針

交点の方程式 を因数分解すると が必ず解。残る2次方程式が 以外の相異なる2実解をもつ条件を書く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交点の個数は、方程式 の相異なる実数解の個数だ。

ここで曲線も直線も原点を通ることに気づくと、 が必ず解。つまり でくくれて、残りは2次方程式になる。

3交点にするには、残った2次が「相異なる2実解」をもち、しかもその解が「 とかぶらない」ことが要る。かぶると交点が2個に減ってしまう。この2つ目の条件が本問で見落としやすい点だ。

① 因数分解。

または 。

② 3交点の条件。 残りの2次 が、 と異なる相異なる2実解をもてばよい。

・相異なる2実解:判別式

公式2次方程式 が相異なる2実解 ⟺ 判別式

・ を解にもたない:定数項 ( を代入すると )。

③ まとめ。 以上より

xyOy=mx
y=x³−3x² と原点を通る直線 y=mx。−9/4<m かつ m≠0 のとき相異なる3点で交わる(図は m=1)

まとめ:共通点 をくくり出し、残る2次に条件を寄せれば解ける。「相異なる2実解」()だけでなく「 と重ならない」()を忘れると交点が減る。 は直線が曲線に接する境目。

発展。 個数の全マップは、 で1個、 で2個、 で3個、 で2個、 で3個。パラメータを動かして解の個数を数える問題では、「個数が変わるのは接する(重解の)瞬間だけ」という原理が全体の見取り図を与える。境目の値を先に全部求めてしまえば、あとは各区間で1点ずつ試すだけでマップが完成する。

答

かつ

別解

原点を中心に直線を回す(接線が個数の変わり目)。 傾き を連続的に動かすと、交点の個数は接する瞬間にだけ変わる。そこで原点から曲線に引ける接線を先に求めてしまう。

接点を とすると、そこでの接線が原点を通る条件は

  • :傾き ( 軸。原点で接する)
  • :傾き

直線を傾き 側から回していくと、交点は1個 →( で接して)→ 3個 →( で原点に接して2個)→ 3個、と遷移する。3個になるのは かつ 。

判別式(本解)は答えを一直線に出す。回転の視点は、 と という2つの境目がどちらも接線の傾きだという意味が分かる。

ポイント

  • と因数分解、 は常に解。
  • 残る2次が 以外の2実解: かつ 定数項 。
  • かつ 。

よくある間違い

  • を落とす(最頻)。 では直線が原点で曲線に接し、交点は と の2個に減る。
  • 両辺を で割って の解を消してしまい、「2次の2実解 3交点」の対応( を足して3個)を見失う。
  • 判別式を として接する場合を含める。接点は「相異なる交点」としては1個。

問6極大値と極小値の和

最難関編極値対称性

問題

3次関数 が極大値と極小値をもつとする。このとき、(極大値)(極小値)は変曲点の 座標の 倍に等しいことを示せ。

ヒントを見る

極大点と極小点は、変曲点をはさんで左右にある。グラフが変曲点について点対称であることを認めれば、2点の 座標の関係がすぐ見える。変曲点は の点。

解答・解説

方針

3次関数のグラフは変曲点について点対称。極大点と極小点は変曲点に関して対称だから、2つの 座標の平均が変曲点の 座標になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3次関数のグラフには、変曲点について点対称という強い性質がある。

極大点と極小点は、この対称の中心をはさんで、ちょうど対称の位置に並ぶ。対称なペアの 座標の平均は中心の 座標そのもの。だから和は変曲点の の2倍になるはずだ。

証明では「極値点の中点が変曲点に一致する」ことを解と係数の関係で確かめてから、点対称を使う。極値を個別に計算して足す長い道は避けられる。

定理3次関数 のグラフは変曲点 について点対称

① 極値点と変曲点。 。極大・極小をとる を とすると、解と係数の関係で

また より変曲点の 座標は 。よって

すなわち極大点と極小点は、変曲点を中点として左右対称に並ぶ。

② 点対称の利用。 グラフは変曲点 について点対称。 は に関して対称()だから、点対称の定義より

が成り立つ。左辺は(極大値)(極小値)、右辺は変曲点の 座標の2倍。

xyO極大極小変曲点
3次関数のグラフは変曲点について点対称。極大点と極小点の中点が変曲点 → 極大値+極小値=(変曲点のy座標)×2

まとめ:極値を個別に計算せず、「グラフの点対称」と「極値点が変曲点に関して対称」からまとめて示すのがこつだ。点対称 に を入れた形になっている。

発展。 点対称そのものの証明も平行移動すればすぐにできる。(変曲点を原点へ移す)と置きかえると、3次式は の形になり、2次の項が消える。 は奇関数だから原点対称。もとに戻せば「どんな3次曲線も変曲点について点対称」。すべての3次曲線は原点対称の曲線を平行移動したものだ。

答

極大値 極小値 (変曲点の 座標の2倍)

別解

割り算の余りで極値を扱う(対称性の定理を使わない)。 グラフの点対称を天下りに使いたくないときは、 を で割る方法が有効だ。

実際に割ると、商は 、余りは 。極値点 では だから、極値は 、。 は1次式なので、2点での値の和は中点での値の2倍になる:

一方、変曲点 では、商がちょうど消える:。だから

ゆえに 。示された。「極値は で割った余りで求める」という方法を使うと、和の公式まで続けて求められる。商 が変曲点で消えることが、この証明の決め手だ。

ポイント

  • 極値点の和 、変曲点 、中点が一致。
  • グラフの点対称より 。
  • 極大値+極小値=変曲点の の2倍。

よくある間違い

  • 「3次のグラフは点対称」を証明なしに使って減点される。平行移動で2次の項が消えること(または別解の割り算)を一言添える。
  • の解と係数を とする( で割り忘れ。正しくは )。
  • どちらが極大かを特定しようとして場合分けを始める。和をとるだけなら区別は不要。

問72曲線が接する条件

最難関編接線共通接線

問題

曲線 と曲線 が接するとき、定数 の値をすべて求めよ。

ヒントを見る

2曲線が接するとは、共有点で「高さが等しい」だけでなく「傾きも等しい」こと。まず傾きの一致 で接点の候補 を絞れるか。

解答・解説

方針

「接する」= ある で の値が一致し、かつ接線の傾き()も一致する。2式を連立して を絞り、それぞれの を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2曲線が「接する」とは、共有点でただ交わるのではなく、その点で接線の傾きまで一致することだ。

条件は2本になる。値の一致 と、傾きの一致 。よく見ると、傾きの式には が入っていない。だから先に傾きの一致で接点の候補 を絞り、あとから値の一致で各候補の を求める。この順番がいちばん速い。

重要2曲線が接する ⟺ 共有点で「値が一致」かつ「微分係数(傾き)が一致」

① 傾きの一致。 それぞれ微分して と 。等しいとおくと

② 値の一致で を決める。 すなわち に代入。

  • のとき
  • のとき

③ 確認。 : と は で接する(実際 で が2重根)。: と は で接する( で が2重根)。ともに接点で2重根をもち、確かに接している。

xyO接点y=3x²−4y=x³
y=x³ と y=3x²+a が接する。a=−4 のとき x=2 で接する(図)。a=0 のときは原点で接する

まとめ:接する条件は「値の一致」+「傾きの一致」の2本立て。 を含まない傾きの式を先に使って接点 を絞れば解ける。差 が2重根をもつ()ことと同値。

発展。 一般に、曲線の族 を上下に動かして に触れる瞬間の は、差 の極値にほかならない。本問は差 の極値 がそのまま答えになった。「接する を求めよ」という問いの多くが、この「差の極値」の一言に還元される。

答

(原点で接する)と ( で接する)

別解

定数分離して「水平線が接する瞬間」を探す。 2式の差から を分離すると

「2曲線が接する」は、差 が2重根をもつこと。それは水平線 が曲線 に接することと同じだ。水平線が曲線に接するのは、極値の高さのときだけ。 は より、 で極大 、 で極小 。

「傾き一致+値一致」の連立(本解)と「差の関数の極値」(本ルート)は、同じ答えを出す2つの方法だ。定数 の入り方が平行移動だけなら、差を作って極値を読むほうが速いことも多い。

ポイント

  • 接する ⟺ 値一致 かつ 傾き一致。
  • で接点 。
  • より 。

よくある間違い

  • 「接する 共有点が1個」と誤解する。 では接点 のほかに でも交わる(差 )。接するとは局所の2重根の話。
  • 値の一致だけを連立して、「交わる」と「接する」の区別がつかなくなる。
  • 傾きの一致 だけで を出し、値の一致( の決定)を忘れて接点の を答えにする。

問8すべての実数で成り立つ不等式

最難関編最大最小不等式

問題

とする。すべての実数 に対して が成り立つような の最大値を求めよ。

ヒントを見る

「すべての で 」⟺「 の最小値 」。まず で谷の場所を求め、そこでの値が 以上、という不等式を について解けるか。

解答・解説

方針

の最小値が 以上であればよい。 から最小をとる を求め、最小値 を の条件にする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「すべての実数 で 」という全称の条件は、「 の最小値が 以上」と同じことだ。無限個の条件が関数の1点の話に言い換えられる。

そこで の最小値を微分で求める。 は符号が1回だけ負から正に変わるから、谷は1つだけだ。 を大きくするほど の影響が大きくなり、谷は深くなる。最小値がちょうど に触れる瞬間の が、求める最大値になる。

重要「常に 」⟺「 の最小値 」

① 谷の場所。 。 より 。 で 、 で だから、 で最小(下に凸な4次で唯一の谷)。

② 最小値。 とおくと 、。

③ 条件を解く。 最小値 :

とあわせて 。したがって の最大値は

まとめ:全 での不等式 → 最小値 に言い換える。谷 での値 を で押さえれば解ける。 のとき最小値がちょうど ( で 、 と因数分解できて接する)。

発展。 同じ型は一般の 乗でも成り立つ。 で ( と を 個並べた相加相乗)。等号は 。微分の言葉で言い直せば、「 を下から支える直線のうち、傾き のものは で接する接線」という話と同じものだ。

答

別解

微分を使わずに(相加相乗平均を4文字で)。 のときの不等式 は、実は相加相乗平均そのものだ。

(4文字の相加相乗。等号は かつ 、すなわち 。)よって なら全実数で成り立つ。

次に、 では破れることを見る。 を代入すると

の1点で、もう不等式が壊れている。以上より、成り立つ最大の は 。

微分で谷を特定する(本解)代わりに、「成立の証明(相加相乗)」と「限界の確認( の反例)」で両側から挟んで決めた。最大値・最小値の答案はいつも、この2部構成(達成できる+超えられない)でできている。

ポイント

  • 常に ⟺ 最小値 。
  • 谷 、最小値 。
  • より最大 。

よくある間違い

  • と置換して2次式にしようとして詰まる。 という奇数次の項があるので、 だけでは書けない。
  • 指数の計算で を などと誤る。
  • 「最小値 」として等号(ちょうど接する )を除外してしまう。条件は なので等号は許される。