数学II / 微分の考え

微分の考え ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 接線の本数の完全な場合分け
  2. 絶対値つき3次関数の最大値
  3. 4次曲線の複接線
  4. 3次方程式の解の符号の指定
  5. 接線の再交点と傾きの比(論証)
  6. 極値の差は極値点の間隔だけで決まる(論証)
  7. 3次関数のグラフの点対称性(論証)
  8. 球に内接する円錐の最大体積

問1接線の本数の完全な場合分け

★★★★ 難関接線解の個数

問題

を実数の定数とする。点 から曲線 に引ける接線の本数を、 の値によって場合分けして求めよ。

ヒントを見る

接点を文字でおいて『接線が を通る』をその文字の方程式にすると、本数の問題は『方程式の実数解の個数』の問題になる。そこから先は定数 の分離で見通せる。

解答・解説

方針

接点を とおいて接線を作り、 を通る条件を の方程式にする。3次曲線では接点が異なれば接線も異なるから、接線の本数=この方程式の異なる実数解の個数。 を分離してグラフと横線で数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「点から曲線に引ける接線の本数」。接線は接点で決まるので、接点を文字でおくのが第一歩。

接点を とおき、そこでの接線を作る。この接線が点 を通る条件を、 の方程式にする。 次曲線では、接点が違えば接線も必ず違う。だから接線の本数はこの の方程式の異なる実数解の個数に等しい。

あとは を分離して、グラフと横線 の交点の数を数える。

重要接線の本数 = 接点の方程式の実数解の個数(3次曲線では接点が異なれば接線も異なる)

① 接点をおいて接線を作る。 接点を とする。 だから、接線は

② を通る条件を の方程式にする。 、 を代入して整理する。

この方程式の異なる実数解 の個数が、そのまま接線の本数になる。なぜ「そのまま」かというと、3次曲線では 本の直線が か所で接することはできない(接点 つなら方程式が 次以上必要になる)からだ。

③ 定数 を分離してグラフで数える。 とおく。 より、 は で極小値 、 で極大値 をとる。

xyOy = a極小 −6極大 2
g(t)=−2t³+6t²−6 と横線 y=a。交点の個数(=接線の本数)は極小 −6 と極大 2 を境に 1→3→1 本と変わる

横線 との交点を数えると、

  • のとき 個 → 接線 本
  • のとき 個 → 接線 本
  • のとき 個 → 接線 本
  • のとき 個 → 接線 本
  • のとき 個 → 接線 本

まとめ:「点から引ける接線の本数」は、接点の方程式の実数解の個数に言い換えるのがいつもの流れだ。境目の は横線が山・谷にちょうど触れる瞬間で、このとき接線の 本が 本に重なる。

発展。 次曲線の外の点から引ける接線は、平面をどの領域で見るかで 本か 本に変わる。境界は曲線自身と変曲点の接線。一般に「点から曲線に引ける接線の本数」は、接点パラメータの方程式の実数解の個数で、 次では最大 本。この「本数の地図」は、曲線の双対(接線を点とみる双対曲線)の考えにつながる。

答

、 のとき 本。 のとき 本。 のとき 本

別解

別解:境界 の図形的な意味を読む(得意な人向けの視点)。 本数が変わる境界 と には、はっきりした図形の意味がある。

のとき 。じつはこれは曲線 上の点だ()。曲線上の点からは、その点自身での接線が必ず 本引け、加えて反対側から 本引けるので、ちょうど 本。

のとき 。これは変曲点 での接線 上の点()。変曲点の接線がからむと接点が重なり、やはり 本になる。

この 本の「境目」を境に、外側では 本、内側()では 本。 を分離して と横線 の交点を数える本解と同じ結論。境界値が「曲線上」「変曲点の接線上」という位置と対応しているのが、 次曲線の接線の特徴だ。

ポイント

  • 接線の本数 = 接点 の方程式の実数解の個数。
  • 定数分離 で、横線との交点数を極値と比べて数える。

よくある間違い

  • 接点を文字でおかず、点 を通る傾き の直線で考えて場合分けが複雑になる。
  • 次曲線で「接点が違えば接線も違う」を確かめず、接線の本数と接点の個数を対応づけられない。
  • 境界 を等号なしで扱い、「 本」の場合を答えに書き落とす。

問2絶対値つき3次関数の最大値

★★★★ 難関最大・最小絶対値場合分け

問題

とする。関数 の における最大値 を求めよ。

ヒントを見る

絶対値の中身のグラフをかいて折り返し、区間の右端 を動かすイメージで考える。最大値を与える点が入れかわるところが 回ある。それぞれどこで起きるかを考える。

解答・解説

方針

まず のグラフを でかく( 軸より下を折り返す)。区間の右端 を から増やしていき、最大値を与える点が入れかわる を探す。山の高さ と、折り返し後に再び に並ぶ位置が決め手だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値つきの最大値。まず のグラフを で描く。 軸より下の部分を上へ折り返す。

区間の右端 を から少しずつ増やしていくと、最大値をとる場所が移り変わる。はじめは折り返した山を登るが、山の頂上(高さ )で頭打ちになる。

さらに を進めると、 が大きい側で が再び高さ に並び、そこを追い越すと右端で最大になる。最大値を与える点が入れかわる を境に場合分けする。

① グラフを作る。 で は で 以下、 で 以上。だから

前半は より で山になり、高さは 。その後 で まで下がり、以降は増加する。

② 「高さ に追いつく位置」を求める。 増加部分が山の高さ と並ぶのは のとき。移項して因数分解すると

の解は 。つまり で再び高さ に到達する。

xyO(1, 2)(2, 2)12
y=|x³−3x|(x≥0)。x=1 の山(高さ2)のあと √3 で 0 に触れ、x=2 で再び高さ 2 に並ぶ

③ 右端 を動かして場合分けする。

  • :区間内で は増加中。最大は右端で 。
  • :山 が区間に入り、右端はまだ高さ 未満。。
  • :右端が山を追い越す。。

境目では で 、 で となり、どちらもつながっている(場合分けの検算になる)。

まとめ:区間の端が動く最大値問題は、「グラフのどの部分が最大を担当しているか」の交代劇を追う。絶対値の折り返しで山ができるため、山の高さと『追いつく位置』の つが場合分けの境目になる。

発展。 区間の端を動かしたときの最大値 は、いくつかの区間ごとに違う式になる「区分関数」。境目では左右の式の値がつながる(連続)。パラメータつきの最大最小は、このように最大値を与える点が入れかわるところで場合分けする。 自身のグラフを描くと、折れ線的につながる様子が見える。

答

のとき 。 のとき 。 のとき

別解

別解: つの候補の大小を比べる(苦手な人向けの整理ルート)。 最大値の候補は つしかない。ひとつは折り返した山の頂上の高さ 。もうひとつは区間の右端 での値 。

が小さいうち()は、まだ山を登っている途中。右端 が一番高い。 の値で 。

が を超えると山の頂上(高さ )を過ぎる。しばらくは頂上の が最大。右端の値が に追いつくのは、 すなわち から のとき。

になると、右端で登っていく が を追い越し、再び右端で最大になる。。グラフを描いて追う本解と同じ 段の場合分け。「頂上の 」と「右端の値」のどちらが大きいかを比べる、と割り切ると境目 がはっきりする。

ポイント

  • 折り返した山の高さ ()と、追いつく位置 が境目。
  • 境目で値がつながることを確かめると場合分けの検算になる。

よくある間違い

  • 絶対値の折り返し( 軸の下を上へ)を忘れ、 のまま最大を探す。
  • 山の高さ に右端が再び並ぶ位置 ()を求め損ねる。
  • 場合分けの境目 (頂上)と (右端が追いつく)のどちらかを落とす。

問34次曲線の複接線

★★★★ 難関接線恒等式

問題

曲線 に、異なる 点で接する直線 の方程式と、 つの接点の 座標を求めよ。

ヒントを見る

点で接する ⟺ 差の 次式が『( 次式)の 乗』の形に書ける。恒等式の係数比較に持ち込めるか。

解答・解説

方針

直線を とおく。 点で接する ⟺ (曲線)−(直線) が つの重解をもつ ⟺ が の形に書ける。展開して係数比較する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「異なる 点で接する直線」。 点で接するなら重解 つ。 点で接するなら重解が つだ。

直線を とおく。曲線と直線の共有点は の解。 点で接する この 次式が つの重解をもつ の形(完全平方)に書ける。

だから左辺を とおいて展開し、係数を比べれば が決まる。

重要 の 点で接する ⟺ (曲線)−(直線)

① 「2点で接する」を式の形で表す。 直線を とおく。曲線と直線の差

が と の両方で重解をもてばよい。 次式で重解が つだから、差はちょうど 、すなわち の形になる。

② 係数比較する。 。これと を比べる。

  • : より
  • : より
  • : より 、
  • 定数: より

よって 。

③ 接点を求める。 差は となるから、接点の 座標は 。実際、 と はどちらも直線 の上にある。

xyO(1, 0)(−1, −2)
y=x⁴−2x²+x と複接線 y=x−1。x=−1 と x=1 の2か所で同時に接する

まとめ: 次曲線と直線が 点で接する条件は、「差が完全平方式」という恒等式の問題に言い換えられる。微分を使って か所の接線一致を追いかけるより、この言い換えのほうが計算が軽い。

発展。 次曲線に 点で接する直線(複接線)は、 字型のグラフの つの谷に渡した「橋」。曲線から引くとどこでも下側にあり、触れるのは 点だけ。 の項がない曲線では接点が原点対称に並ぶ。複接線は代数曲線論の古典的な話題で、 次曲線には一般に 本の複接線がある(実数とは限らない)ことが知られる。

答

、接点の 座標は

別解

別解:接点の和が (消えた の項から)(得意な人向けの視点)。 つの接点の 座標を とする。曲線と接線の差は、この 点で重解だから に等しい。

これは と書ける。展開すると の係数は 。一方、もとの曲線 には の項がない(係数 )。直線を引いても の係数は変わらない。

だから 、すなわち 。接点は原点対称に と並ぶ。 の係数から … と続けると 。接点は 、そこでの直線が 。完全平方とおいて係数比較する本解と同じだが、「 の項がない 接点の和 」とすぐに見抜けるのが速い。

ポイント

  • 点で接する ⟺ 差が の形(完全平方)。
  • 係数比較は次数の高い項から順に決めると芋づる式に決まる。

よくある間違い

  • 「 点で接する」を重解 つと誤解し、 次以下の条件で扱う(重解は つ必要)。
  • 完全平方 の展開で、 の係数 を とおくのを忘れる。
  • 接点の 座標 を求めて満足し、直線の式 まで書かない。

問43次方程式の解の符号の指定

★★★★ 難関解の個数解の配置

問題

を実数の定数とする。 次方程式 が、異なる つの正の解と つの負の解をもつような の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

定数 を分離してグラフと横線で考える。 交点の個数だけでなく『どこにあるか』も考える。符号の境目 での関数の値が決め手になる。

解答・解説

方針

を分離して とし、 のグラフと横線 の交点で考える。交点が つあることに加え、「どこにあるか」を を境に読み取る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 次方程式の解の「符号」を指定する問題。定数 を分離してグラフで見るのが基本だ。

と変形し、 のグラフと横線 の交点を考える。まず交点が つ(異なる 実解)必要。これは が極大値と極小値の間にある条件。さらに「 つが正・ つが負」を、 を境に読み取る。原点での値が符号の分かれ目だ。

① 定数を分離する。 方程式を と変形し、 のグラフと横線 の交点を調べる。

② グラフの形を調べる。 より、 で極大 、 で極小 。また である。

xyOy = −a極大 7極小 −20φ(0)=0
φ(x)=2x³−3x²−12x。横線 y=−a が −20 と 0 の間にあるとき、交点は 負・正・正 の配置になる

③ 「正 つ・負 つ」を横線の高さの条件に直す。 まず異なる 実解をもつには、横線が極大と極小の間にあること:

つの解は増加部分()・減少部分()・増加部分()に つずつある。

  • の解はつねに負。
  • の解はつねに正。
  • 真ん中の解の符号が問題になる。 は で減少していて だから、真ん中の解が正 ⟺ 横線が より下、すなわち 。

④ 条件を合わせる。 かつ より 、すなわち

まとめ:解の「個数」は極値との比較で、「位置(符号)」は境目の での関数の値との比較で決まる。定数分離の横線を、極大・極小・ の つの高さと見比べれば答えが出る。

発展。 解の符号は要所の値の符号で決まる。 の符号が「 をまたぐ回数」を、極大・極小の符号が「実解の個数」を制御する。連続関数が符号を変えれば間に根がある(中間値の定理)ので、テスト点の符号表を作れば、グラフを厳密に描かなくても根の配置が読める。数値解法の「符号変化で根を挟む」考えの基礎だ。

答

別解

別解: か所の符号だけで決める(得意な人向けの視点)。 グラフを細かく追わなくても、 の値を要所で調べれば符号配置が決まる。

は下に開いて上がる 次関数(最高次が正)。極大は 、極小は 。「 つの正の解と つの負の解」になるには、 か所を見ればよい。

まず原点での値 。負の解が つだけで正の解が つなら、グラフは の左で 回だけ軸を横切り、 で正の側にいる。よって 。

次に正の側で 回横切るには、極小(谷) が軸より下でなければならない。、すなわち 。 つを合わせて 。 の交点を数える本解と同じ範囲。 と極小 の つの符号だけで、解の符号配置が確定する。

ポイント

  • 個数の条件:(横線が極値の間)。
  • 位置の条件:真ん中の解が正 ⟺ 。

よくある間違い

  • 解の「個数」だけ考え、「符号(正・負)」の条件を落として範囲を広く取る。
  • が符号の境目である点に気づかず、正負の振り分けができない。
  • 異なる 実解の条件(極大・極小の間)と符号条件のどちらか一方しか課さない。

問5接線の再交点と傾きの比(論証)

★★★★ 難関接線論証

問題

曲線 上の原点以外の点 における接線が、 と再び交わる点を とする。 における の接線の傾きは、 における接線の傾きのちょうど 倍であることを示せ。

ヒントを見る

接点 での接線と曲線の交点方程式は、 で重解をもつはず。因数分解すれば の座標が で書ける。あとは傾きを比べればよい。

解答・解説

方針

()とおいて接線を作り、曲線との交点方程式を解く。接点 が重解になることを使って因数分解すると の 座標が で表せる。あとは に代入して比べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 接線が曲線と「再び交わる」点を追う問題。点 を文字でおくのが出発点。

()とおいて接線を作り、曲線 との交点方程式を立てる。 は接点だから、この方程式で は重解になる。重解を因数にくくり出せば、残りの解= の 座標が で表せる。あとは に の を入れて、傾きを比べるだけ。

① 接線を作る。 ()とおく。 より接線は

② 再交点 を求める。 曲線との交点は 、すなわち

で接している(重解)ことが分かっているから、 でくくれるはずだ。実際に割ると

よって再交点は 、すなわち 。 だから で、確かに「再び交わる」。

xyOP(1, 1)Q(−2, −8)
t=1 の例。P(1,1) の接線(赤)は Q(−2,−8) で再交差し、Q での接線(破線)の傾きは 4 倍になる

③ 傾きを比べる。 での傾きは 。 での傾きは

より だから、比はつねに 倍である。(証明終)

まとめ:接線と曲線の交点方程式では「接点=重解」を使うと、因数分解が機械的に進む。再交点が になることは、 解の和が ( の項がない)ことからも とすぐに分かる。つまり、解と係数の関係で検算できる。

発展。 の接線が曲線と再び交わる点は、いつも接点の 倍の位置。これは 次曲線上の点の「足し算」(楕円曲線の群構造)の原型で、 点の接線が曲線と交わる第 点をとる操作が「 倍」に対応する。暗号にも使われる楕円曲線の加法の、最も簡単な姿がここにある。

答

のとき で、傾きは ( 倍)。証明は解答参照

別解

別解:解と係数の関係で を直接出す(得意な人向けの視点)。 接線と曲線の交点方程式は 。この 次方程式の解が つの交点の 座標だ。

は接点なので が重解。つまり解は と、もう つ 。ここで解と係数の関係を使う。 には の項がない(係数 )から、 解の和は 。

因数分解せずに の 座標 が出た。 に入れると傾きは で 倍。 と因数分解する本解と同じ 。「 の項がない 解の和 」を使うと、割り算いらずで第 の解が求まる。

ポイント

  • 接点 は交点方程式の重解 → と因数分解。
  • 解の和 (係数)からも再交点 が読める。

よくある間違い

  • が接点だから交点方程式で が重解になる、という事実を使わず因数分解に詰まる。
  • の 座標 を求めて、傾きを比べる最後の一手( 代入)を忘れる。
  • (原点)を除く条件を書き落とす(原点では接線が と再交しない)。

問6極値の差は極値点の間隔だけで決まる(論証)

★★★★ 難関極値論証対称式

問題

次関数 が で極大値、 で極小値をとり、 であるとする。極大値と極小値の差 は、、、 の値によらず一定であることを示し、その値を求めよ。

ヒントを見る

と書けることが出発点。極値の差を と の言葉に直すと、対称式の計算だけで係数が消えていく。

解答・解説

方針

と書けることが出発点。ここから 、 が分かる。 を計算して と の対称式にまとめると、 だけの式になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「係数によらず一定」を示す問題。 が極値の情報を持つので、そこから攻める。

で極値をとるから と書ける( は で最高次係数 )。これを展開して係数を比べると、 が で表せる。そのうえで を計算し、 と の対称式にまとめると、じつは だけで決まる。 を入れれば値が確定する。

重要 で極値 ⟺ ( の係数 は の最高次から)

① 係数を 、 で表す。 を展開して比べると、、 として

② 差を計算する。 は引き算で消えることに注意して、

共通因数 でくくる。

③ 対称式に直して整理する。 、、 を代入すると、中かっこの中は

よって

、、 は式から消えており、差は極値点の間隔 だけで決まる。(証明終)

④ 値を求める。 だから 。

まとめ:最高次の係数が の 次関数では、極値の差はつねに 。グラフを平行移動しても差が変わらない(= や中心の位置によらない)ことの、式による裏づけになっている。

発展。 極大値と極小値の差 は、極値点の間隔だけで決まり、グラフの上下位置()や左右位置には無関係。これは 次関数がすべて相似(拡大・平行移動で重なる)であることの現れ。 公式で面積とつながるのも、両方が「区間幅の 乗」に比例するからだ。

答

(係数によらない)

別解

別解: 公式(定積分)で差を出す(得意な人向けの視点)。 極大値と極小値の差は、 の定積分で書ける。

ここで有名な 公式 を使う。

を入れて 。 を で表して対称式にまとめる本解と同じ結果。極値の差が「極値点の間隔 の 乗」だけで決まる仕組みが、 公式でスッキリ見える。面積(積分)と極値の差が同じ式でつながる。

ポイント

  • から 、 を 、 で表す。
  • で間隔だけの式になる。

よくある間違い

  • の最高次係数 を落とし、 としてしまう。
  • を具体的な で計算しようとし、「一定」の証明にならない。
  • (定数項)が差 で打ち消し合うことに気づかず、 が残ると誤解する。

問73次関数のグラフの点対称性(論証)

★★★★ 難関論証対称性

問題

とし、曲線 上の点 を考える。

(1) 曲線 は点 に関して対称であることを示せ。

(2) 点 を通る直線が と異なる 点で交わるとき、 は残り つの交点を結ぶ線分の中点であることを示せ。

ヒントを見る

『点 に関して対称』の定義を式で書けるか。 がつねに何になればよいかを考える。中心の見当は極大点と極小点の中点から。

解答・解説

方針

(1)「点 に関して対称」⟺ すべての で 。左辺を実際に展開して確かめる。(2)は、交点全体が対称移動で保たれることと、 自身が曲線上の交点であることを組み合わせる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)「点 に関して対称」とは何か。点対称は「その点を中心に 回すと重なる」こと。

式で書くと、 と (中心から左右に等距離)での値の平均が、つねに中心の高さ に等しいこと。つまり、すべての で 。左辺を実際に展開して確かめる。

(2)は、直線と曲線の交点全体が点 を中心とする対称移動で保たれること、そして 自身も交点であること、を組み合わせる。

重要曲線 が点 に関して対称 ⟺ すべての で

① (1) 中心の値を確認する。 。示すべきことはすべての実数 について となることである。

② 実際に計算する。 を展開すると

を に置きかえると 。足すと

奇数次の項(、)がすべて打ち消し合い、 によらず一定になる。よって、点 と点 はつねに に関して対称の位置にあり、 は に関して対称である。(証明終)

xyOA(2, 2)(1, 4)(3, 0)
y=x³−6x²+9x は A(2,2) に関して点対称。極大 (1,4) と極小 (3,0) も A を中点として向かい合う

③ (2) 交点の集合に対称性を働かせる。 を通る直線 は、 に関する対称移動で自分自身に移る。曲線 も(1)より自分自身に移る。したがって「 と の交点の集合」も、この対称移動でそっくり自分自身に移る。

交点が異なる 点のとき、対称移動は 点の集合を入れかえるが、 点ずつ組になって移り合うと 点が必ず余る。余った 点は対称移動で動かない点、すなわち中心 自身である( より は実際に 上にあり、交点になり得る)。残りの 点は互いに移り合うから、 はその 点の中点である。(証明終)

まとめ: 次関数のグラフはどれも 点(この問題では )に関して点対称で、その中心は極大点と極小点の中点でもある。(2)のように「図形の対称性を、集合の言葉で使う」論証は難関大の頻出パターンだ。

発展。 どんな 次関数 も、変曲点 に関して点対称。本問の は変曲点になっている()。中心を原点にずらすと の奇関数になる。「 次関数は変曲点に関して対称」という事実は、グラフの概形を素早くつかむのに役に立つ。

答

で、(恒等的)が成り立つ。(2)は対称性から従う。証明は解答参照

別解

別解:中心を原点にずらして「奇関数」を見る(得意な人向けの視点)。 点 が対称の中心なら、中心を原点に移すと「原点対称=奇関数」になるはず。座標を平行移動して確かめる。

、 とおく。 を計算する。

だから 。これは の奇数乗だけの奇関数( で符号が反転)。奇関数は原点対称。もとに戻せば、曲線は点 に関して対称。

を展開で示す本解と同じ。「対称の中心を原点に運ぶと奇関数」という見方は、 次関数がつねに変曲点に関して点対称であること(変曲点 )の一般論にそのままつながる。

ポイント

  • 対称の定義: が恒等的に成り立つこと。
  • (2)は交点集合が対称移動で保たれることから、固定点= が交点に含まれると論じる。

よくある間違い

  • 点対称の条件を (線対称)と取り違える(正しくは和が )。
  • (1)で を確かめず、対称の中心の高さを取り違える。
  • (2)で「交点全体が対称移動で保たれる」だけで済ませ、 自身が交点である点を使い忘れる。

問8球に内接する円錐の最大体積

★★★★ 難関最大・最小文章題

問題

半径 の球に内接する直円錐(頂点と底面の円周がすべて球面上にある円錐)のうち、体積が最大のものについて、高さと最大の体積を求めよ。

ヒントを見る

立体のまま考えず、球の中心を通る断面で切る。半径・高さ・底面半径の関係が三平方で 本の式になり、体積が 変数の関数に落ちる。定義域の確認まで。

解答・解説

方針

球の中心を通る断面で切って平面の問題にする。高さを とすると、三平方の定理で底面の半径の 乗が と書ける。体積 が だけの 次関数になるので、微分して最大を探す。定義域は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 球に内接する円錐の体積を最大化する。立体のままでは扱いにくい。

球の中心を通る平面で切ると、円の中に三角形が入った平面の図になる。ここで三平方の定理が使える。高さを とおくと、底面の半径の 乗が と書ける。

体積 に代入すると、 は だけの 次関数。微分して最大を探す。定義域は 。

① 断面図で関係式を作る。 球の中心 を通り、円錐の軸を含む平面で切る。円錐の高さを ()、底面の半径を とすると、底面の中心は軸の上にあり、 から底面までの距離は 。底面の円周上の点までが球の半径 だから、三平方の定理で

xyOO3h
中心 O を通る断面。頂点 (0,3)、底面は y=−1(高さ h=4)。O から底面の端までが半径 3 で、r²+(h−3)²=9

② 体積を だけの式にする。

③ 微分して最大を探す。

で の符号は、 で正、 で負。よって で極大かつ最大になる。なぜ端を調べなくてよいかというと、、 ではどちらも となり、内部の極大が全体の最大になるからだ。

④ 最大値を計算する。

高さ のとき最大体積 。このとき で、底面の半径は である。

まとめ:立体の最大最小は「断面で切って三平方 → 変数化 → 微分」の三段跳びが基本。高さ は直径 の にあたる。球に内接する円錐の体積が最大になるのは「高さが直径の 」のときだと覚えておくと、検算に使える。

発展。 制約つき最大化は微分でも相加相乗平均でも解ける。相加相乗は「和が一定なら積は等しいとき最大」を使うので、 を和が一定な 数の積に変形するのがコツ。より一般には、比を保つ分割(ラグランジュの未定乗数法)で、球に内接する最大体積の円錐が高さ:半径をどう選ぶかが決まる。

答

高さ のとき最大体積

別解

別解:相加相乗平均で微分なしに最大を求める(得意な人向けの視点)。 体積を整理すると、 だから

を最大にしたい。相加相乗平均を使うため、和が一定になる つに分ける。 の和は で一定。

相加相乗平均より、和が一定なら積は つが等しいとき最大。 から 。このとき 、。よって 。

微分して から を出す本解と同じ。和が一定な 数に割って相加相乗平均、という一手で、微分せずに最大の高さ が出る。

ポイント

  • 断面図で (三平方)。
  • 定義域 の内部でただ つの極大 → それが最大。

よくある間違い

  • 球の中心を通る断面をとらず、立体のまま と の関係を立てられない。
  • 三平方の関係を誤り、 の代わりに 等としてしまう。
  • 定義域 を落とし、 の解 (体積 )を最大と混同する。