数学I / 集合と命題

集合と命題 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 平方数でも立方数でもない数の個数(包除原理)
  2. log₂3 が無理数であること(背理法)
  3. 51個の数から割り切る対がある(鳩の巣原理)
  4. √p が無理数であること(背理法)
  5. 素数は無限に存在する(ユークリッドの背理法)
  6. つねに正となる条件(全称命題と判別式)
  7. 対偶を用いる整数の証明(3の倍数)
  8. 共通部分の要素数の最大・最小(集合と数え上げ)

問1平方数でも立方数でもない数の個数(包除原理)

実戦編集合と命題包除原理数え上げ整数の性質単元横断

問題

から までの整数のうち、平方数でも立方数でもないものの個数を求めよ。

ヒントを見る

平方数は 個、立方数は 個。両方= 乗数は 個。包除で「平方または立方」を数え、全体から引く。

解答・解説

方針

「平方数の集合」と「立方数の集合」の和集合の個数を包除原理で求め、全体 から引く。両方に属するのは 乗数(平方かつ立方)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「平方数でも立方数でもない」を数えるのは大変だが、反対側(平方数または立方数)なら数えやすい。全体から引く作戦だ。

「または」の個数は、単純に足すと両方に属するものを2回数えてしまう。両方=平方かつ立方=6乗数。だから(平方)+(立方)−(6乗)の包除原理で「または」を数え、 から引く。

定理包除原理

① 各個数を数える。 以下で

  • 平方数()は 個()、
  • 立方数()は 個()、
  • 平方かつ立方(= 乗数 )は 個()。

② 包除で和集合。 「平方数または立方数」は ③ 余事象。 平方でも立方でもないのは

平方数立方数1〜10002837962
平方数31・立方数10・両方(6乗数)3。どちらでもない=1000−(31+10−3)=962

まとめ平方 ・立方 ・両方( 乗) を包除で「平方または立方」、全体から引いて 。集合(包除)と整数の融合。

発展。 集合が3つに増えると、包除原理は「1つずつ足す−2つの共通部分を引く+3つの共通部分を足す」と符号が交互に続く( 集合でも同じ)。また「平方数で割り切れない数(無平方数)」の割合が に近づくという、円周率が現れる有名な結果も、この包除の無限版から得られる。

答

平方数 個、立方数 個、 乗数(両方) 個。包除で「平方または立方」は 個。。

別解

ベン図の4部屋を全部埋める(帳簿方式)。 包除の式を覚えていなくても、ベン図の4つの部屋を1つずつ埋めれば同じ答えに着く。

  • 両方(6乗数): の3個( は超過)
  • 平方数のみ: 28個
  • 立方数のみ: 7個
  • どちらでもない: 962個

検算として全部屋の合計が となり、数えもれがないことまで確かめられる。

包除原理(本解)は部屋を埋める作業を式1本に圧縮したもの。集合が3つ以上になると帳簿(部屋)は 部屋に増え、包除の式が役に立つ。2集合のうちに、両方の数え方を行き来しておくとよい。

ポイント

  • 平方 、立方 、 乗(両方)。
  • 包除で「平方または立方」。
  • 。

よくある間違い

  • 「平方または立方」を と足しっぱなしにする(6乗数3個の二重カウント)。
  • 6乗数を「 から」と数え始めて を落とす( は平方数かつ立方数)。
  • 平方数の個数を から 個とする( で 個)。

問2log₂3 が無理数であること(背理法)

実戦編集合と命題背理法無理数整数の性質単元横断

問題

が無理数であることを示せ。

ヒントを見る

と仮定すると 、両辺を 乗して 。左辺と右辺の素因数は?

解答・解説

方針

背理法。(既約、)と仮定して を導き、 と の素因数が食い違うこと(素因数分解の一意性)で矛盾を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 無理数であることの証明は、背理法を使うのが基本だ。「有理数 だ」と仮定して、矛盾を探す。

は、対数の定義から 、両辺を 乗して ( より は正の整数にとれる)。ここで左辺は偶数、右辺は奇数なので、等しくなれるはずがない。素因数 と が共通しないことから、矛盾が生じる。

重要素因数分解の一意性: より大きい整数の素因数分解はただ 通り

① 有理数と仮定。 が有理数なら、正の整数 を用いて と書ける( より )。

② 整数の等式に。 定義より 、両辺を 乗して ③ 矛盾。 左辺 ()は素因数として のみをもち、右辺 ()は素因数として のみをもつ。同じ整数が異なる素因数分解をもつことになり、素因数分解の一意性に反する。よって仮定が誤りで、 は無理数。

まとめ有理数と仮定すると 、左辺は の累乗・右辺は の累乗で素因数が食い違い矛盾。 は無理数。命題(背理法)と整数の融合。

発展。 同じ偶奇(素因数)の議論で、 などの無理性もすぐに示せる( は の素因数で破綻、など)。逆に のように有理数になる対数は「両辺が同じ素因数の組でできている」場合に限る。素因数の指数を比べれば、対数が有理数か無理数かを見分けられる。

答

有理数 と仮定すると 、すなわち 。左辺は偶数(または の累乗)、右辺は奇数( の累乗)で、素因数分解の一意性に反する。矛盾。

別解

割った余りの1行で(素因数分解の大定理を使わない)。 ( は正の整数)が成り立たないことは、2で割った余りだけで言い切れる。左辺 は( だから)2で割り切れる: 余り 。

右辺 は奇数×奇数×…×奇数で奇数: 余り 。余り 余り はあり得ないので、矛盾する。素因数分解の一意性という大定理を使わずに、偶奇だけで示せる。

なお にとれる理由(、実際 )を先に押さえるのが作法。この「両辺を素数で割った余りで見る」手筋は、(右辺 を で見る)など、対数の無理性証明の全部に通用する。

ポイント

  • 背理法で と仮定。
  • を導く。
  • 素因数( と )が食い違い矛盾。

よくある間違い

  • の の符号・零の検分を飛ばす( から正の整数にとれる、の一言)。
  • から 乗する変形を「両辺を 倍」と混同する。
  • 「偶数=奇数で矛盾」の根拠( は で偶数、 は奇数の積で奇数)を書かずに流す。

問351個の数から割り切る対がある(鳩の巣原理)

実戦編集合と命題鳩の巣原理整数の性質数え上げ単元横断

問題

から までの整数から 個を選ぶと、その中に一方が他方を割り切る 数が必ず存在することを示せ。

ヒントを見る

整数は と一意に書ける。〜 の奇数は 個。 個選ぶと、奇数部分が同じ 数(鳩の巣)。それらは のべきの比で割り切れる。

解答・解説

方針

各整数を「 の累乗 × 奇数」の形に一意に書く。奇数部分は の 通り。鳩の巣原理で、 個から同じ奇数部分の 数が選ばれる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「必ず存在する」の証明は鳩の巣原理(引き出し論法)をよく使う。箱の数より多くを選べば、同じ箱に2つ入る。

決め手は箱の作り方だ。各整数を の形に一意に書き、「奇数部分」で分類する。 から の奇数は の50個なので、箱は50個。

個選べば同じ箱の2数がある。同じ箱の2数は と ()の形で、前者が後者を割り切る。

定理鳩の巣原理: 個を 個の箱に入れると、 個以上入る箱がある

① 奇数部分で分類。 から の各整数を ( は奇数)と一意に表す。奇数部分 は の 通り。これを箱とする。

② 鳩の巣。 個の数を、その奇数部分( 通り)で分けると、 より、同じ奇数部分 をもつ 数 ()が必ずある。

③ 割り切る。 ()なら は整数だから、 は を割り切る。よって割り切る対が存在する。

まとめ整数を 奇数と書き、奇数部分( 通り)を箱に。 個なら鳩の巣で同じ奇数部分の 数があり、一方が他方を割り切る。命題(鳩の巣)と整数の融合。

発展。 「割り切る」という関係で並べた鎖と、その反対の「どの2つも割り切らない」集まり(反鎖)の関係は、順序集合の理論(ディルワースの定理)で扱われる。本問は「最長の反鎖が50個()」「鎖が50本で全体を覆える」という2つの50がぴったり一致する実例だ。この一致は偶然ではない。一般に成り立つ定理の一例である。

答

各数を と書き、奇数部分で分類。〜 の奇数は 個(= 個の箱)。 個選ぶと同じ奇数部分をもつ 数があり、それらは一方が他方を割り切る。

別解

「鎖」で見る+50個ではダメなことの実例(問題の鋭さ)。 各箱の中身を書き出すと、奇数 の箱は

倍々の鎖であり、鎖の中のどの2数も「一方が他方を割り切る」関係にある。つまり本問は「50本の鎖に51個を配れば、どこかの鎖に2個入る」という形だ。

さらに、51という数が最良であることも確かめられる。 の50個を選ぶと、どの2数も比が2未満なので割り切る対が存在しない(倍以上でないと割り切れない)。50個なら回避できて、51個なら不可能だ。鳩の巣による評価がこれ以上改善できないことまで確かめて、この問題は完結する。

ポイント

  • 整数は (奇数)と一意に表せる。
  • 奇数部分は 〜 で 通り(箱)。
  • 個 → 鳩の巣で同じ奇数部分の 数、一方が他方を割る。

よくある間違い

  • 箱を「偶数・奇数」の2箱などに設計して、同じ箱の2数が割り切る関係にならない(箱を奇数部分で作るのが決め手)。
  • の表し方が一意であることに触れない(2で割れるだけ割る、から一意)。
  • 同じ箱の2数が「一方が他方を割る」ことの説明( と で 倍)を省く。

問4√p が無理数であること(背理法)

実戦編集合と命題背理法無理数素数単元横断

問題

を素数とする。 が無理数であることを示せ。

ヒントを見る

(既約)と仮定して 乗すると 。 は素数なので 。すると も で割れて既約に反する。

解答・解説

方針

背理法。(既約)と仮定して を導く。 が素数なので が使え、 の両方が で割れて既約に矛盾。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) これも背理法。(既約分数)と仮定して、両辺を2乗すると 。

右辺は の倍数だから 。ここで が素数であることを使う。素数が積を割るなら、因数のどれかを割るので 。 と書いて戻すと、今度は も出てしまう。 と が共通因数 をもち、「既約」に矛盾する。

重要 が素数のとき (素数が積を割るなら因数のどれかを割る)

① 既約と仮定。 が有理数なら、互いに素な正の整数 で と書ける。 乗して ② 。 右辺は の倍数だから 。 は素数なので 。 とおく。

③ 矛盾。 を代入すると 、両辺 で割って 。よって 、再び素数性で 。 がともに で割れるのは「互いに素」に反する。よって仮定が誤りで、 は無理数。

まとめ (既約)から 、 が素数だから となり既約に矛盾。 は無理数。命題(背理法)と素数の融合。

発展。 補題「モニック整数係数方程式の有理数解は整数」を持っておくと、 が有理数 ⟺ が平方数()、 は無理数( の整数解なし)、さらに の無理性( の整数解なし)まで、同じ3行で量産できる。1つの証明を「定理の形」に磨いておく価値の見本だ。

答

(既約)と仮定すると 。 より 、 とすると で 。 が共通因数 をもち既約に反する。矛盾。

別解

「整数係数方程式の有理数解は整数」で撃つ(整数根定理)。 は方程式 の解だ。次の小定理を使う。

補題: 最高次の係数が1の整数係数方程式 の有理数解は、必ず整数である。(証明: (既約)を代入して分母を払うと 。 の素因数は を割るが、既約だから 。)

すると が有理数なら整数のはず。だが ( では とは限らないので正しくは)… は素数だから平方数ではなく、 を満たす整数 は存在しない。よって は無理数。

既約分数の直接計算(本解)はこの補題の中身を1回展開したもの。補題として切り出しておくと、 や (整数係数の4次方程式の解)の無理性にも同じ議論が使え、何度も使い回せる。

ポイント

  • 背理法で既約分数 と仮定し 。
  • 素数より 。
  • が共通因数 をもち既約に矛盾。

よくある間違い

  • 「既約分数」と仮定し忘れ、 と が出ても矛盾に落とせない。
  • を素数の性質と言わずに使う( が合成数だと偽: だが )。
  • 2乗の変形 の後、両辺の素因数の個数(偶奇)の議論と混線する(どちらの筋でもよいが、1本に統一)。

問5素数は無限に存在する(ユークリッドの背理法)

実戦編集合と命題背理法素数整数の性質単元横断

問題

素数は無限に存在することを示せ。

ヒントを見る

素数が の有限個と仮定。 をどの で割っても余りは 。 の素因数は?

解答・解説

方針

背理法。素数が有限個と仮定し、それら全部の積に を足した数 を作る。 はどの素数でも割り切れない(余り )ので、リストにない素因数をもつ。矛盾。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「無限にある」は、「有限個しかない」と仮定する背理法に持ち込むのが古くからの方法だ。

素数が で全部だと仮定して、全部の積に1を足した数 を作る。 をどの で割っても余りは だ。つまり の素因数はリストのどれとも違う。だが 以上の整数は必ず素因数をもつ。「リスト外の素数」の存在が仮定を壊す。

重要 以上の整数は必ず素因数をもつ。 はどの で割っても余り

① 有限と仮定。 素数が の有限個しかないとする。

② を作る。 とおく()。どの で割っても、 は割り切れるので余りは 。よって はどの でも割り切れない。

③ 矛盾。 は素因数を(少なくとも つ)もつが、それは のどれでもない=リストにない素数。これは「素数は で全部」という仮定に矛盾する。よって素数は無限に存在する。

まとめ素数が有限個なら、全部の積に を足した がどの素数でも割れず、新しい素因数をもって矛盾。素数は無限。命題(背理法)と整数の融合(ユークリッドの証明)。

発展。 型の数(ユークリッド数)は素数とは限らない: 。「 が素数だから矛盾」と書くのは有名な誤りで、正しくは「 の素因数がリスト外」。素数の無限性にはオイラーによる の発散を使う証明など、まったく別の道もあり、証明の多様さ自体がこの定理の豊かさになっている。

答

有限個 しかないと仮定し、 を考える。 はどの でも割ると余り で割り切れないから、 の素因数はどれも 以外。新しい素数が存在し、有限個の仮定に矛盾。

別解

背理法を使わない直接版( の素因数)。 「どんな数よりも大きい素数がある」を直接構成で示すこともできる。任意の自然数 に対して、 を考える。 だから素因数 をもつ。

もし なら、 は を割り切る( は を因数に含む)。すると は も割り切ることになり不可能。よって 。

つまり「どんな に対しても、 より大きい素数が存在する」。素数はいくらでも大きく、無限にある。仮定を置いて壊す(本解)か、大きい素数を実際に作って見せるか。同じ「積」の仕掛けを、2通りに説明したものだ。

ポイント

  • 背理法で素数が有限個 と仮定。
  • はどの でも余り 。
  • の素因数はリストにない → 矛盾。

よくある間違い

  • を「素数である」と断定する(素数とは限らない。「どの でも割り切れない→リスト外の素因数をもつ」が正しい筋)。
  • 「 を で割ると余り1」の根拠()を書かない。
  • (素因数の存在の前提)への言及を落とす。

問6つねに正となる条件(全称命題と判別式)

実戦編集合と命題全称命題2次関数判別式単元横断

問題

「すべての実数 に対し 」が成り立つような定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

「すべての で 」は、下に凸の放物線が 軸と交わらない( 軸より上)条件。判別式 。

解答・解説

方針

全称命題「すべての で 」を、 次関数のグラフが 軸より上(交わらない)条件に言い換える。 の係数が正なので判別式 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「すべての で 」という全称の条件は、グラフの言葉で言い換えると扱える: 放物線 が 軸より完全に上にあること。

の係数は正(下に凸)だから、軸より上 ⟺ 軸と交わらない ⟺ 判別式 。 を解いて 。全称命題が判別式の1本の不等式に置き換わった。

重要下に凸の 次式が「すべての で正」 判別式 ( 軸と交わらない)

① グラフで考える。 は下に凸。「すべての で 」は、グラフが 軸より上、すなわち 軸と共有点をもたないこと。

② 判別式 。 ③ 解く。 、すなわち

xyOx軸と交わらない
y=x²+ax+1 が常に正 ⟺ 放物線が x軸と交わらない ⟺ 判別式 a²−4<0 ⟺ −2<a<2

まとめ全称命題「すべての で正」は、下に凸の放物線が 軸と交わらない()条件。。命題(全称)と 次関数(判別式)の融合。 は 軸に接し「」が崩れる( になる)ので含めない。

発展。 全称「すべての で 」の否定は存在「ある で 」だ。答えの範囲 の補集合 が、ちょうど否定命題の成立範囲になっている。「全称 ⟺ 最小値」「存在 ⟺ 最大値(または1点)」という言い換えは、パラメータつき不等式の問題すべてで使い、2次関数の章では「定義域つき」の形でまた出てくる。

答

の係数が正の 次式が常に正 判別式 。、すなわち 。

別解

平方完成で最小値を直接見る(判別式を経由しない)。 全称命題は「最小値が正」と同じことだ。平方完成すると

第1項は 以上(最小は のとき )だから、全体の最小値は 。「すべての で正」⟺「最小値 」⟺ ⟺ 。

判別式(本解)は「グラフが軸と交わらない」を式にしたもので、平方完成は「一番低い所でも正」を式にしたものだ。同じ内容だが、平方完成はなぜその範囲か(最小値の式)まで手元に残る。境界 では最小値がちょうど (グラフが軸に接する)ことも即座に読める。

ポイント

  • 「すべての で正」 下に凸で 軸と交わらない。
  • 判別式 。
  • (端は接するので除く)。

よくある間違い

  • 判別式 とする(等号 では接して になる点があり、「」に反する)。
  • の係数が正(下に凸)である前提を書かない(係数が負なら判別式条件では足りない)。
  • 「ある で正」(存在)と「すべての で正」(全称)を混同する。

問7対偶を用いる整数の証明(3の倍数)

実戦編集合と命題対偶整数の性質剰余単元横断

問題

整数 について、「 が の倍数ならば は の倍数である」ことを対偶を用いて示せ。

ヒントを見る

対偶は「 が の倍数でない が の倍数でない」。 とおいて を で割った余りを調べる。

解答・解説

方針

元の命題は直接示しにくいので対偶をとる。 を で割った余りが の場合に の余りを計算し、 の倍数にならないことを示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 が3の倍数 ⟹ が3の倍数」を直接示そうとすると、 の情報から を復元する向きで進みにくい。

そこで対偶「 が3の倍数でない ⟹ も3の倍数でない」に切り替える。仮定が「 と書ける」という使いやすい形になるのが対偶の御利益だ。

あとは2乗して、3で割った余りを計算するだけ。どちらの場合も余り で、3の倍数にならない。

重要命題「」とその対偶「」は真偽が一致する

① 対偶をとる。 示すべき対偶は「 が の倍数でないならば も の倍数でない」。

② 余りで場合分け。 が の倍数でないとき、 または ()、まとめて 。 ③ 余り 。 は で割ると余り で、 の倍数でない。よって対偶が成り立ち、元の命題「 が の倍数 が の倍数」も真。

まとめ対偶「 が の倍数でない も の倍数でない」を、 の 乗が余り になることで示す。命題(対偶)と整数の融合。 が無理数の証明にも使う。

発展。 この命題()は、 の無理性の証明で中心になる部品だ(前問の の場合で使った性質)。また対偶の技は「余りで分類すると仮定が使いやすくなる」場面全般で有効で、たとえば「 が3の倍数になる は存在しない」( の余りは のみ)も同じ表から即答できる。

答

対偶「 が の倍数でないならば も の倍数でない」を示す。 とすると で余り 、 の倍数でない。

別解

素数の性質で直接(対偶を経由しない1行)。 は素数だから、次の性質が使える:

素数 が積 を割り切るなら、 は か の少なくとも一方を割り切る。 に適用すると、 から または 、すなわち 。1行で終わる。

対偶+余りの場合分け(本解)はこの素数の性質を「余りの計算」で手作りしていることに当たる(余り の2乗が になる、という表がその中身)。素数の性質を既知として使ってよい場面なら直接1行で、性質そのものの根拠から書く場面なら対偶で書く。答案の文脈で使い分けたい。ちなみにこの命題は の無理性証明(前問の )の中で部品として使われる。

ポイント

  • 直接示しにくい命題は対偶をとる。
  • の倍数でない 。
  • で余り 、 の倍数でない。

よくある間違い

  • 対偶を「 が3の倍数でないならば は3の倍数でない」と作ってしまう(向きが逆。対偶は仮定と結論を両方否定して入れ替える)。
  • の2乗で、 の整理を焦って余りを とする(どちらも余り )。
  • 「対偶が真なら元も真」の一言(対偶の同値性)を書かずに締める。

問8共通部分の要素数の最大・最小(集合と数え上げ)

実戦編集合と命題集合要素数最大・最小単元横断

問題

全体集合 の要素数を 、部分集合 の要素数をそれぞれ とする。共通部分 の要素数のとりうる最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

より 。等号は 。最小は から、。

解答・解説

方針

は、 が に含まれるとき最大()。 が全体 を超えられないことから最小を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) とおいて、 が満たすべき制約を全部並べる。

上からは「共通部分は小さい方の集合を超えられない」: 。下からは、和集合の公式 が全体 を超えられないこと: 、つまり 。あとは両端が実際に実現できる配置(図)を示して、最大 ・最小 が確定する。

定理、および

① 最大。 だから 。等号は (このとき )。 だから は可能。よって最大 。

ABU(40)ABA∩B
n(A)=30, n(B)=25, n(U)=40。A∩B は B⊂A で最大25、A∪B=U で最小15。

② 最小。 包除より 。 だから 等号は (全体を覆う)とき。 なので必ず重なりがあり、 は可能。よって最小 。

③ 結論。 最大 、最小 。

まとめ は で最大 、 で最小 。集合(包除)と最大最小の融合。

発展。 一般式は 。下限に がつくのは、合計が全体に収まるとき()は交わりゼロが可能だから。この評価は確率版(、ボンフェローニの不等式)として統計でも働く、実用の不等式だ。

答

の最大は小さい方の ()。最小は で、 が 全体()のとき最小 。

別解

「どちらでもない人数」で読む(制約の意味が見える)。 とおいて、ベン図の4部屋を で表す:

  • のみ: 、 のみ: 、両方: 、どちらでもない:

4部屋とも人数だから 以上。 から 、そして

つまり下限 は「どちらでもない人が負の人数になれない」ことから来ていた。 は のみ ()、 は どちらでもない ()で、どちらも実現できる。

不等式を機械的に並べる(本解)のに対し、4部屋の人数で表すと、各不等式が「誰が0人になる配置か」という絵として読める。最大・最小の実現例もこの絵から自動で出てくる。

ポイント

  • 、等号は (最大)。
  • 、。
  • 最大 、最小 。

よくある間違い

  • 最大を「 のとき」と取り違える(それは最小の配置。最大は )。
  • の制約を忘れ、最小値を と答える。
  • 最大・最小の値だけ書いて、実現できる配置(ベン図)の確認を落とす(不等式の端が達成可能かは別の確認)。