数学I / 集合と命題

集合と命題 ★★★ 応用の問題 全8問

入試標準レベル。複数の考え方を組み合わせる

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 共通部分の条件から集合を決定する
  2. 絶対値で定められた集合の包含関係
  3. 十分条件・必要条件となる定数の範囲
  4. 必要条件・十分条件の判定(反例の発見)
  5. 対偶を利用する証明の応用
  6. 背理法による無理数の証明
  7. 「すべて」の命題の真偽と否定
  8. 有理数・無理数と係数決定

問1共通部分の条件から集合を決定する

★★★ 応用集合の演算集合と定数

問題

を実数の定数とし、2つの集合

について、 が成り立つとする。このとき の値を求めよ。また、そのときの を求めよ。

ヒントを見る

は『 は両方に入り、それ以外の共通要素はない』。まず のどの要素が になれるかで の候補を絞る。候補ごとに 、 を書き、共通が本当に だけか検算(余計な一致がないか)。

解答・解説

方針

とは『 と の共通部分が4だけ』。まず4が両方に入る条件を考える。 には4があるので、 の要素()のどれかが4になる、と考えて の候補を出す。

候補が出たら、実際に を書き出して『共通部分が本当に4だけか』を検算する。他の要素も一致すると条件を満たさない。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) という条件は、 つの情報を同時に含んでいる。

つは「 が両方に入る」。もう つは「 以外に共通の要素はない」。この つを一度に扱おうとすると混乱する。そこで前半だけで の候補を出し、後半で候補をふるいにかける、という 段構えを最初に決める。

は『共通部分が4だけ』。 には4がある。 の要素のどれかが4になる を探す。

なら 。 なら 、 で または 。候補は 。それぞれ を書いて検算する。

のとき:

共通部分は 。4だけではないので不適(1も共通)。 のとき:

共通部分は だけ。条件を満たす。 のとき:

共通部分は だけ。条件を満たす。よって または 。それぞれの は

ABUA∩B
共通部分 A∩B は2つの集合の重なり。要素が両方に入る条件から定数を絞る

まとめ:候補を出して終わりではなく、必ず『共通部分が4だけか』を検算する。 のように、他の要素も一致してしまう場合を除くのが大事だ。

発展。 この問題で が脱落したのは、 の要素 と の要素 の中で が両方に現れ、共通部分が になってしまうからだ。

パラメータ を含む集合では、候補が多めに出てくる。そこから「要素どうしがぶつかる( 退化する)値」を除くひと手間が、いつも最後に必要になる。

この「候補を出したあとに退化を除く」流れは、方程式の重解を別あつかいする場面や、定義域から除外点を抜く場面など、後で何度も出会う。集合を で書くと重複は自動で消えるので、個数を数えるときこそ要素が相異なるかに注意したい。

答

のとき 、 のとき

別解

別解:個数の関係で検算する(得意な人向けの視点)。 はどちらも 要素の集合だ。個数について、次の関係がいつでも成り立つ。

いま なら だから、 でなければならない。そこで候補ごとに、 に並ぶ 個の値がちょうど 種類の相異なる値になるか(重複は だけか)を数える。

のとき、 個の値は 。相異なる値は の 種類しかない。 となり に足りない。つまり共通部分が 個あり、 と両立しない。

では値が で相異なるのは 種類、重複は だけ。 でも で同じく 種類、重複は だけ。どちらも条件を満たす。

共通部分を書き出すかわりに「相異なる値の個数」を数えても、 をはじく理由がはっきり見える。本解と同じ にたどり着く。

ポイント

  • は『共通部分が4だけ』
  • の要素が4になる の候補を出す
  • 候補ごとに を書き、共通部分が4だけか必ず検算(他の一致を除く)

よくある間違い

  • 候補 を出しただけで検算せず、共通部分が にならない まで答えに含める。
  • を と解くとき、 か の一方を落とす。
  • で 、 を書いても、共通が と の 個あることに気づかず と早合点する。

問2絶対値で定められた集合の包含関係

★★★ 応用集合の演算数直線集合と定数

問題

を実数の定数とし、2つの集合を

と定める。

(1) となる の値の範囲を求めよ。

(2) となる の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

絶対値の集合を範囲(区間)に直す。、 は を含む区間だ。(1) は が に収まる条件、(2)は と が重ならない(離れる)条件。端の位置関係を不等式に。

解答・解説

方針

絶対値の集合を範囲に直す。 は 、 は 。 は中心 、幅6の範囲だ。

(1) は が に入る条件。(2) は2つが重ならない条件。どちらも数直線で、端の位置を比べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値で書かれた集合は、まず区間に直して「中心と幅」で捉える。

は中心 、幅 の窓だ。 が動くと、この窓が数直線上を左右にずれる。包含 は「窓が相手をすっぽり覆う」条件、交わりなし は「窓が相手に届かない」条件。どちらも端の位置をくらべる不等式に言いかえられる。

絶対値を範囲に直す。

(1)

xa−3-13a+3BA
(1) A ⊂ B: B = (a−3, a+3) が A = (−1, 3) を覆う(図は a = 1 の例)

( が にすっぽり入る)条件を考える。 の左端 が の左端 以下(= が より左まである)、 の右端3が の右端 以下、であればよい。

左から 、右から 。合わせて

(2)

x-13a−3a+3AB
(2) A ∩ B = ∅: B が A の右外に外れる場合(図は a = 7 の例)

(重ならない)条件。 が より完全に左にある( の右端 が の左端 以下)か、 が完全に右にある( の左端 が の右端3以上)。

絶対値の集合は範囲に直し、数直線で端の位置を比べるのが基本だ。

発展。 この問題は と 、つまり両極端の位置だけを聞いている。

を横軸にとって全体を見わたすと、 の直線自体が切り分けられる。 で離れ、 で一部だけ交わり、 で覆い、 でまた一部だけ交わり、 で再び離れる。答えの範囲もそれぞれ区間になる。

境界の は、 の端が の端とちょうど重なる「接する」瞬間だ。 が動くにつれて、区間どうしの位置関係が連続的に移り変わることが分かる。

答

(1) (2) または

別解

別解:三角不等式で端点を比べずに出す(得意な人向けの別技法)。 どんな実数でも (三角不等式)が成り立つ。これを使うと端の比較を経ずに条件が出る。

(1) なら 。ここで

右辺が 以下なら、この は必ず 、すなわち に入る。よって 、つまり なら 。これは にあたる。

(2) もし と に共通の があれば、その について

だから なら共通の は存在しえない。これは または にあたる。

三角不等式が与えるのは十分性だが、 が境目を超えると窓がはみ出す/届いてしまうので、条件はちょうど 、。中心 と の隔たり を の幅に結びつけるこの見方で、本解の 、 または と一致する。

ポイント

  • は (中心 、幅 )
  • は端の位置を比べる(A が B に入る)
  • は2つが離れる条件(左に離れる or 右に離れる)

よくある間違い

  • を区間 に直さないまま考え、手がかりをつかめない。
  • (2)で「左に離れる()」と「右に離れる()」の一方だけ答える。
  • (1)の端点条件で不等号の向きを取り違え、 を としてしまう。

問3十分条件・必要条件となる定数の範囲

★★★ 応用必要条件・十分条件集合と定数

問題

を正の定数とし、実数 に関する2つの条件

を考える。

(1) が であるための十分条件となる の値の範囲を求めよ。

(2) が であるための必要条件となる の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

、 を区間にして数直線に。(1)十分条件 → 、(2)必要条件 → 。 を動かして、区間の端がどこまで来れば包含が成り立つかを読む。

解答・解説

方針

条件を範囲に直す。 は 、。 を満たす集合を 、 を とする。

『 が の十分条件』⇔『』、『 が の必要条件』⇔『』。数直線で端を比べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の表す範囲は、中心 の対称な区間だ。 が大きくなるほど左右に伸びる。

十分条件は「 が に収まる」、必要条件は「 が に収まる」。どちらがどちらに入るのかを取り違えやすい。そこで先に か かの矢印を書き、それを包含に直してから端の不等式に落とす。この順番を守れば向きを間違えない。

条件を範囲に直す。

(1)

x-12−k22+k4QP
(1) p ⇒ q(十分条件)⇔ P = [2−k, 2+k] が Q = [−1, 4] の内側

『 が の十分条件』は『 が真』、つまり 。( から )が ( から )に入るには、 の左端が 以上、右端が4以下。

左から 、右から 。 もあわせて、きつい方の をとり

(2)

x2−k-142+kPQ
(2) q ⇒ p(必要条件)⇔ P が Q を覆う

『 が の必要条件』は『 が真』、つまり 。( から )が ( から )に入るには、 のほうが広く、 の左端が 以下、右端が4以上。

左から 、右から 。両方を満たすには

まとめ:『十分 → ( が小さい)』『必要 → ( が大きい)』。包含の向きを間違えないことが大事だ。

発展。 十分条件の範囲 と必要条件の範囲 は、重なっていない。

間の では、 は をはみ出し()、しかも の左端 を覆えない()。だから は の必要条件でも十分条件でもない。

では必要十分()になる はあるか。 は中心 の対称区間、 は中心 。中心がずれているので、幅をどう選んでも一致しない。 と が同値になる は存在しないのだ。 がずれた条件のとき、必要の境目と十分の境目が別の場所に来ることが見てとれる。

答

(1) (2)

別解

別解:中心 から見た「左右の届き」で比べる(得意な人向けの視点)。 は中心 から左右に同じ だけ伸びる。 を、同じ中心 から測り直す。

の左端 は から左へ 、右端 は から右へ 。つまり は中心 から見て「左に 、右に 」届いている(左右で非対称)。

(1) 十分条件 は、 が の内側に収まること。 の左右の伸び が の届き(左 ・右 )を超えなければよい。 かつ 、きつい方をとって 。

(2) 必要条件 は、 が を覆うこと。 の伸び が の届きを両側とも上回ればよい。 かつ 。両方を満たすには厳しい方の 。

端点そのものを比べる本解に対し、こちらは「中心 からの左右の届き」に注目する。 が中心 に対して非対称(左 ・右 )であることが、十分では右 が、必要では左 が決め手になる理由をはっきりさせる。本解と同じ 、 を得る。

ポイント

  • は
  • 十分 → 、必要 →
  • 数直線で端を比べ、きつい方の条件をとる

よくある間違い

  • 十分条件と必要条件で、包含の向き( か か)を取り違える。
  • という前提を忘れ、(1)の答えを とだけ書いて負の まで含めてしまう。
  • (1)で と の一方だけを使い、ゆるい を答えにしてしまう。

問4必要条件・十分条件の判定(反例の発見)

★★★ 応用必要条件・十分条件反例

問題

次の各場合について、 は であるための「必要十分条件である」「十分条件であるが必要条件でない」「必要条件であるが十分条件でない」「必要条件でも十分条件でもない」のうち、どれに当てはまるかを答えよ。

(1) は実数とする。 かつ かつ

(2) は整数とする。 は の倍数 は の倍数

(3) は実数とする。

(4) は実数とする。 は有理数 はともに無理数

ヒントを見る

各矢印を反例で崩せるか試す。『必要十分』と言うには両方向とも反例が作れないことを確認。倍数がらみは などで場合分けして調べると反例が見える。

解答・解説

方針

、 の2つを、それぞれ反例が作れるか調べる。(2)は少し難しい。『 が3の倍数 ⇔ が3の倍数』の証明が要る。 が3の倍数でないと と書け、 で3の倍数でないことを示す(対偶)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の 本の矢印を、それぞれ反例で崩せるか試すのが基本だ。

ただし(2)は一筋縄でいかない。「 が の倍数 が の倍数」という橋が要ると気づけるかが分かれ目になる。この橋は自明ではない。直接は示しにくいので対偶で架ける。判定問題の中に、小さな証明問題が含まれている。

公式、 の真偽を反例で調べて、必要・十分・必要十分を判定

、 を、反例が作れるかで調べる。

(1) かつ 、 かつ 。: なら和も積も大きく は成り立つ(真)。: なら 、 で は成り立つが、 でない(偽)。よって は必要条件であるが十分条件でない。

(2) は3の倍数、 は3の倍数。: なら で3の倍数(真)。: 対偶『 が3の倍数でないなら も3の倍数でない』を示す。 が3の倍数でないと と書けて

なので3の倍数でない。だから も真。両方真で必要十分条件。

(3) 、。 は 。: なら (真)。: は だが (偽)。よって十分条件であるが必要条件でない。

(4) は有理数、 はともに無理数。: (有理数)でも は有理数だが でない(偽)。: はともに無理数だが は無理数で でない(偽)。両方偽で必要条件でも十分条件でもない。

まとめ:各矢印を反例で確かめるのが基本。(2)のように直接示しにくい矢印は、対偶で証明する。

発展。 (2)で使った「 は素数だから なら 」は、素数がもつ基本的な性質だ。一般に、素数 が積 を割るなら、 は か の少なくとも一方を割る(ユークリッドの補題)。

この性質は合成数では崩れる。たとえば だが 。 以上の整数 について、含意「 ならば または 」が成り立つのは、 が素数のときに限る。

そしてこの補題こそが、素因数分解がただ 通りに定まること(一意性)を支える基礎になっている。割り算の性質が「素数かどうか」で分かれることが確かめられる。

答

(1) 必要条件であるが十分条件でない (2) 必要十分条件である (3) 十分条件であるが必要条件でない (4) 必要条件でも十分条件でもない

別解

別解:条件を集合で表し、包含関係でまとめて見る(得意な人向けの視点)。 各条件が表す集合を書き、 の集合と の集合の包含を見る。 の集合が に含まれれば 、逆なら だ。

(1) の点はすべて かつ を満たすから 。逆に には のように に入らない点がある。 で は必要のみ。

(2) 、。 は素数だから「 なら 」(素数が積を割れば因数のどちらかを割る)。逆も明らかで 。必要十分。

(3) 。 には など に入らない点があり 。 は十分のみ。

(4) 、。、。互いにはみ出すのでどちらでもない。

矢印を 本ずつ反例で崩す本解に対し、集合の包含で つを同じ土俵に並べられる。とくに(2)は素数の性質を一度使えば が即座に見える。判定は本解と一致する。

ポイント

  • 各矢印(、)を反例で確かめる
  • 直接示しにくい矢印は対偶で示す()
  • 『 が3の倍数 ⇔ が3の倍数』は成り立つ

よくある間違い

  • (2)で対偶(または素数の性質)を使わず を直接示そうとして、手が止まる。
  • 反例が つ見つかれば矢印は偽、を使わず、成り立つ場合を探し続けて時間を失う。
  • (4)で「無理数どうしの積は必ず有理数」と思い込み、 を真と誤る( が反例)。

問5対偶を利用する証明の応用

★★★ 応用対偶法証明

問題

次の命題を、対偶を利用して証明せよ。

(1) 実数 について、 ならば「 または 」である。

(2) 整数 について、 が奇数ならば は偶数である。

ヒントを見る

『または』『かつ』は対偶を取ると入れかわる。(1)対偶は『 かつ → 』。(2)は『 奇数』の対偶を、、 の偶奇で。 等と置いて計算。

解答・解説

方針

(1)(2)とも、対偶を証明する。(1)『 ならば または 』の対偶は『 かつ ならば 』(『または』の否定は『かつ』)。(2)『 が奇数ならば は偶数』の対偶は『 が奇数ならば は偶数』。 が奇数 ⇔ ともに奇数。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「または」を含む結論は、そのままでは直接示しにくい。

ところが否定すると「または」は「かつ」に変わる。 または の否定は、 かつ 。 つの条件が同時に成り立つ形になり、ぐっと扱いやすくなる。

このド・モルガンの感覚が対偶に乗り換える動機だ。否定した仮定のほうが計算の回る形になっていないか、を判断の目安にする。

重要「または」を含む結論は、対偶をとると「かつ」の否定になり示しやすい

どちらも対偶を証明する。

(1) もとの命題『 ならば または 』の対偶は、結論『 または 』を否定して

『 かつ ならば 』

(『または』の否定は『かつ』。)、 なら、足して

となり 。対偶が示せたので、もとの命題も真。(証明終わり)

(2) もとの命題『 が奇数ならば は偶数』の対偶は

『 が奇数ならば は偶数』

が奇数になるのは、 がともに奇数のとき。、( は整数)とおくと

の形なので偶数。対偶が示せたので、もとの命題も真。(証明終わり)

まとめ:どちらも『結論を否定した対偶のほうが、具体的に計算できる』のがポイント。特に『または』の否定が『かつ』になることに注意しよう。

発展。 (1)は「 数の和が を超えるなら、少なくとも一方は を超える」と読める。これは平均の考え方の一例だ。

一般に、 個の数 の和が を超えるなら、少なくとも つは を超える。もし全部が 以下なら、和は 以下にしかならないからだ(対偶)。

「全部が平均以下なら、和は平均かける個数以下」という当たり前の事実が、こういう存在の主張を生む。個数と合計から「飛び抜けた つ」の存在を導くこの論法は、鳩の巣原理とも通じる有効な方法だ。

答

(1)(2)とも対偶(証明参照)を示せばよい

別解

別解:対偶を経由せず直接示す(別の証明の型)。 対偶をとらなくても、仮定から結論をまっすぐ導ける。

(1) を仮定する。もし ならそれで結論は成り立つ。そうでない場合、すなわち のときを考える。このとき

となり 。だからどちらの場合も「 または 」が言える。

(2) が奇数と仮定する。和が奇数になるのは、 と の一方が奇数・他方が偶数のときだけだ(偶数どうし・奇数どうしの和は偶数)。平方の偶奇はもとの数の偶奇と同じ。だから の一方が奇数・他方が偶数。すると積 は偶数を因数に含み、偶数になる。

対偶で結論を裏返す本解に対し、こちらは仮定を場合分けして結論へ直進する。同じことが示せる。

ポイント

  • 直接示しにくい命題は対偶を証明する
  • 『 または 』の否定は『 でない かつ でない』
  • が奇数 ⇔ ともに奇数( とおける)

よくある間違い

  • 「 または 」の否定を「または」のままにし、対偶を「 または 」と誤る(正しくは「かつ」)。
  • (2)で「 が奇数 ともに奇数」の言いかえに気づかず、 と置けない。
  • 対偶をとるとき仮定だけ否定して結論の否定を忘れる(あるいは逆)、と裏・対偶を混同する。

問6背理法による無理数の証明

★★★ 応用背理法無理数証明

問題

(1) が無理数であることを、背理法を用いて証明せよ。ただし、整数 について「 が偶数ならば は偶数である」ことは証明なしに用いてよい。

(2) (1)の結果を用いて、 が無理数であることを証明せよ。

ヒントを見る

(1)(既約)と仮定し、 から が偶数 → も偶数、と既約に矛盾させる。(2)は を2乗すると が現れるので、(1)の結果が使える。

解答・解説

方針

(1) が無理数であることを背理法で示す。有理数 (既約分数)と仮定し、 から が偶数、続いて も偶数となり、既約(共通因数なし)に矛盾する。

(2)は(1)を使う。 が有理数と仮定して2乗すると が出てきて、(1)の『 は無理数』に矛盾する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)は、よく知られた が無理数であることの証明と同じ型が使えるか試す。「既約分数と仮定して、偶数であることから矛盾を出す」流れだ。

(2)は(1)を道具として使う設計になっている。 を正面から攻めても取っかかりがない。そこで注目するのが、 乗すると が現れることだ。 乗して(1)の結果に帰着させることに気づけば解ける。

重要背理法+既約分数:(既約)と仮定し、偶奇の矛盾を導く

(1) 背理法。 が有理数だと仮定し、これ以上約分できない分数(既約分数) で表せるとする。

両辺を2乗して分母をはらうと

右辺は偶数(6の倍数)なので は偶数、よって も偶数(『 偶数 → 偶数』を使う)。 とおくと で

左辺は偶数なので も偶数、 は奇数だから が偶数、よって も偶数。すると が両方偶数になり、『 は既約(共通因数なし)』に矛盾する。よって は無理数。(証明終わり)

(2) (1)を使う。 が有理数 だと仮定する。2乗すると

これが (有理数)なので、 について解くと

右辺は有理数。つまり が有理数となり、(1)の『 は無理数』に矛盾する。よって は無理数。(証明終わり)

(1)は『既約分数と仮定 → 両方偶数で矛盾』という、 が無理数の証明と同じ型。(2)は2乗して を作り、(1)に帰着させるのがうまい手だ。

発展。 (1)の主張はもっと広い形に一般化できる。自然数 について、 が有理数になるのは が平方数のとき、そのときに限る。

理由は有理数解の一般則(有理根定理)で説明できる。 は の解だ。最高次の係数が の整数係数方程式では、有理数の解は必ず整数になる。整数を 乗して になるものが無ければ、 は無理数だ。

は と の間にあり、 乗して になる整数はない。だから は無理数、と一言で片づく。同じ理屈は など高次の累乗根にもそのまま伸びていく。

答

(1)(2)とも背理法による(証明参照)

別解

別解:素因数の個数の偶奇で(1)を示す(得意な人向けの視点)。 既約分数を持ち出さなくても、素因数を数えるだけで矛盾が出る。

が有理数なら、正の整数 で と書ける(既約でなくてよい)。両辺を 乗して

ここで、素因数 が何個含まれるかを両辺で数える。左辺 に含まれる の個数は、 に含まれる個数の 倍だから偶数。

右辺 では、 の分が偶数個、そこに が 個だけ足されるので合計は奇数。偶数と奇数は等しくなれない。これが矛盾だ。よって は無理数。

既約性の議論を経る本解に対し、こちらは「平方数では各素因数がちょうど偶数個」という事実を突く。 の中の がただ 個(奇数個)なのが決め手だ。本解(1)と同じく、 が無理数であることに別の道からたどり着く。

ポイント

  • (1)既約分数と仮定 → が両方偶数で矛盾
  • 『 偶数 → 偶数』を使う
  • (2)は2乗して を作り、(1)の結果に矛盾させる

よくある間違い

  • (1)で既約分数(共通因数なし)と仮定するのを忘れ、 が両方偶数でも矛盾に持ち込めない。
  • (1)で から「 は奇数だから が偶数、よって も偶数」の一手を飛ばす。
  • (2)で を 乗して を作る工夫に気づかず、直接無理数と示そうとして詰まる。

問7「すべて」の命題の真偽と否定

★★★ 応用否定全称と存在命題の真偽

問題

を実数の定数とし、命題

を考える。

(1) 命題 が真となる の値の範囲を求めよ。

(2) 命題 の否定 を述べよ。また、 が真となる の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

は直線。区間 全体で正であるには、いちばん低くなる端だけ調べれば十分だ。両端 、 がともに正であることを条件にする。(2)は『すべて』の否定=『ある』。

解答・解説

方針

。 は1次関数(直線)なので、区間の端 で正なら、間もずっと正になる。だから が真 ⇔ かつ 。(2)の否定は『すべて』→『ある』、→ で作る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 のすべての で成り立つ」を、 を つずつ調べて確かめるのは無理だ。無限個あるからだ。

そこで が 次式、つまりグラフが直線であることに注目する。直線が区間の両端で正なら、間もすべて正になる。すると無限個の条件が端 つ での条件に圧縮される。この圧縮が発想の核だ。

xyOf(0) = 1f(2) = 2a+12
1次関数は区間の両端で正なら全体で正(図は a < 0 の例)

は1次関数(直線)。直線が区間 でずっと正になるのは、両端で正のとき。

(1)

それぞれ計算する。

はいつも正なので、条件は だけ。よって

(2) の否定は『すべて』→『ある』、 → で作る。

が真なのは、 が偽のとき。 が真は だったので、 が真はその反対で

まとめ:『直線は端で正なら間も正』を使うと、すべての の条件が端の2点だけの条件になる。 の否定は『すべて→ある、→』で作る。

発展。 が真になる は 、否定 が真になる は 。この つはちょうど実数全体を重なりなく つに分ける(互いに補集合)。

注意したいのは境界 の行き先だ。このとき で となり、 を満たさない。だから は 側に属する。

もとの条件が (等号なし)だから、境界は を含む に落ちる。 の範囲が開いた不等式 に、 が閉じた になる、その境目の扱いがきれいに対応している。

答

(1) (2) :「 を満たすある実数 について 」、範囲は

別解

別解: について解いて、いちばん厳しい を探す(得意な人向けの視点)。 各 ごとに を の条件に読みかえ、すべての で成り立つよう重ねる。

のときは で、 によらず成り立つ。ここは自由だ。 のときは 、両辺を正の で割って 。これがすべての で必要だから、 が最も大きくなる を押さえればよい。

は が大きいほど大きく、 では で最大の 。よって条件は にまとまる。

直線の両端を調べる本解に対し、こちらは を分離し「いちばん厳しい ()」に条件を集約する。定数を分離して最悪の点を押さえるこの見方は、幅広い「すべての で成り立つ」問題で使える。本解と同じ を得る。

ポイント

  • 1次関数(直線)は区間の両端で正なら間もずっと正
  • が真 ⇔ かつ
  • の否定は『すべて→ある、→』。真になる範囲は の反対

よくある間違い

  • 端の 点だけでよいことに気づかず、区間内のすべての を代入しようとして行き詰まる。
  • を作るとき「すべて ある」の入れかえや、不等号 の一方を忘れる。
  • 境界 を が真の範囲に含めてしまう( で は でない)。

問8有理数・無理数と係数決定

★★★ 応用背理法無理数有理数

問題

が無理数であることは証明なしに用いてよい。

(1) 有理数 について、 ならば であることを証明せよ。

(2) 有理数 が

を満たすとき、 の値を求めよ。

ヒントを見る

(1) と仮定すると が有理数になってしまう。この矛盾から 、続いて が言える。(2)は左辺を『(有理数)(有理数)』の形に整理し、(1)を使って係数どうしを比べる。

解答・解説

方針

(1)『( 有理数)ならば 』を示す。もし なら となり、右辺は有理数。これは『 は無理数』に矛盾。だから 、続いて 。

(2)は(1)を使う。左辺を整理して『(有理数)+(有理数)』の形にし、右辺と比べる。 の係数どうし、 のない部分どうしが等しい、と2つの式を立てる(係数比較)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)は「もし だったら」と仮定してみるところから始まる。すると が有理数として書けてしまい、矛盾する。

この背理法が無理数まわりの係数比較を支える基礎になる。 の係数と定数部分を別々に等しいとおける根拠は、ここで作られる。(2)はその(1)を道具として使う問題だ。まず等式を (有理数)(有理数) の形に整理するのが第一歩になる。

重要 が有理数で なら ( が無理数だから)

(1) で は有理数。もし なら、 について解けて

右辺は有理数どうしの計算なので有理数。つまり が有理数となり、『 は無理数』に矛盾する。だから 。 を に入れると 。よって 。(証明終わり)

(2) 左辺を、 を含む部分と含まない部分に整理する。

これが右辺 に等しい。

移項して

ここで と は有理数。(1)の結果『(有理数)+(有理数) なら両方0』を使うと

この連立を解く。2つ目から 。1つ目に入れて

よって

(1)の『係数比較ができる』ことが(2)の決め手だ。 の係数どうし、定数どうしを等しいとおけるのは、 が無理数だからだ。

発展。 が有理数なら、等式の を に置きかえても、やはり正しい等式になる(共役をとる)。もとの式と共役の式を足したり引いたりすれば、有理部分と の部分がきれいに分離でき、係数比較と同じ連立が出てくる。

この「有理数係数の関係式では、 と が対等に振る舞う」性質は、 を解にもつ最も簡単な方程式が ( 次)であることの反映だ。

同じことは後で複素数を学ぶときにも現れる。有理数(や実数)を係数にもつ方程式では、無理数の解や虚数の解は必ず「共役の組」で現れる。たとえば が解なら も解で、 と係数がすべて有理数になる。係数比較ができるのは、この共役の対称性があるからだ。

答

(1) 証明参照 (2)

別解

別解:連立を行列式(クラメルの公式)で解く(得意な人向けの視点)。 (1)から の係数どうし・定数どうしが等しいとおけて、

という 元 次連立が立つ。ここまでは本解と同じ。この連立を 文字ずつ代入して消す代わりに、係数の行列式でまとめて解く。

まず係数だけを並べた行列式を

とおく。 だから、この連立の解はただ 組に定まる。クラメルの公式では、 は係数行列の第 列を、 は第 列を、それぞれ右辺 に置きかえた行列式を で割って得られる。

代入消去(本解)が「 文字ずつ順に消す」手続きなのに対し、行列式で解くと「 なら解は一意」という事実まで同時に見える。本解と同じ を得る。

ポイント

  • (1) なら が有理数になり矛盾 → 、
  • (2)左辺を『(有理数)+(有理数)』に整理する
  • (1)より、 の係数・定数部分をそれぞれ等しいとおける(係数比較)

よくある間違い

  • (1)で の場合分け(背理法)をせず、いきなり と書いて証明になっていない。
  • (2)で を含む項と定数項を混ぜてしまい、(有理数)(有理数) の形に整理できない。
  • (2)で の の符号を落とし、連立 を などと立ててしまう。