数学I / 集合と命題

集合と命題 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 集合の表し方(要素の列挙と条件)
  2. 部分集合の判定と書き出し
  3. 共通部分・和集合・補集合
  4. 数直線上の集合の共通部分・和集合
  5. ド・モルガンの法則の確認
  6. 命題の真偽と反例
  7. 命題の真偽と集合の包含関係
  8. 必要条件・十分条件の判定
  9. 逆・裏・対偶
  10. 対偶を利用する証明
  11. 背理法による証明
  12. 「すべて」と「ある」の否定

問1集合の表し方(要素の列挙と条件)

★ 基礎集合の表し方

問題

次の問いに答えよ。

(1) の正の約数全体の集合 を、要素を書き並べる方法で表せ。

(2) を満たす整数 全体の集合 を、要素を書き並べる方法で表せ。

(3) 集合 を、 の形(要素の満たす条件を用いた表し方)で表せ。

ヒントを見る

(1)は を割り切る数を、、… とペアで漏れなく拾う。(2)は 以上 未満に入る整数を数直線で。(3)は『』の形なので を小さい順に代入。

解答・解説

方針

集合の書き方は2通りある。要素を全部並べる書き方 と、条件で表す書き方 だ。(1)(2)は要素を並べる。まず条件に当てはまるものを1つずつ拾い出す。(3)は逆に、並んだ要素を『()』のように条件でまとめる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 集合の書き方は、要素を全部並べるか、条件で表すかの 通りある。

(1)(2)は並べる方。条件に当てはまるものを つずつ拾い出し、もれなく書く。(3)は逆向きで、並んだ要素から規則を読み取り、条件の形にまとめる。 は「 の倍数を 個」だから 。 つの書き方を行き来する練習である。

(1) 18の正の約数(18を割り切る数)を、小さい順に全部拾う。。

(2) を満たす整数を並べる。 は含む(≦)、 は含まない(<)ことに注意。

(3) 要素 は、どれも の形。 なので、条件で表すと

まとめ: は『 という形の数を集めた集合』という意味。要素を並べる書き方と、条件で表す書き方、両方に慣れておこう。

発展。 (2)の では、端の と の違いで要素の有無が決まる。 は入り、 は入らない。不等号の 文字が集合を変える。数直線の白丸・黒丸を必ず確認する癖は、この先の範囲の集合(共通部分・補集合)でも命綱になる。

条件で表す書き方 の強みは、無限集合も書けること。 なら の倍数全体(無限個)を有限の記号で表現できる。並べる書き方では書けない集合も、条件なら 行で書ける。記号の発明が扱える対象を広げている。

答

(1) (2) (3)

別解

(1)の約数をペアで拾うと、数え落としが構造的になくなる。約数は必ず「かけて になる 数」のペアで現れる。小さい方から順に探す。

  • ?( が割り切れないので却下)
  • ? 却下
  • 次は を超えるので、ここで打ち切り

ここで打ち切れるのは、 より大きい約数がすでに拾ったペアの中に入っているからだ( はすべて出てきた)。

個。ペアで拾えば「 と自分自身を忘れる」という最頻ミスも起きない( が最初のペアだから)。

までで打ち切る技は、約数の個数を数える問題(数A)やプログラミングでも同じ理屈で使われる。「ペアで現れる」という構造に気づくと、素朴な数え上げが確実な作業に変わる。

ポイント

  • 集合の書き方は2通り: 要素を並べる と、条件
  • 要素を並べるときは、条件に合うものを1つずつ拾う
  • は『 の形の数の集まり』

よくある間違い

  • (2)で端(≦か<か)を取り違え、 や を含めるか間違える
  • 約数を数え落とす(1と18自身も約数)
  • (3)で の範囲を書き忘れる( だけでは無限個になる)

問2部分集合の判定と書き出し

★ 基礎部分集合

問題

、、 とする。

(1) は成り立つか。理由をつけて答えよ。

(2) は成り立つか。理由をつけて答えよ。

(3) 集合 の部分集合をすべて書き出せ。

ヒントを見る

は『 の要素が全部 に入る』という意味。1つでも にない要素があれば は不成立だ。 の各要素が に入るかを1つずつ確認する。(3)は空集合から順に、要素数ごとに数え上げる。

解答・解説

方針

『(BはAの部分集合)』とは、Bの要素が全部Aにも入っている、という意味。1つでもAにない要素があれば、部分集合ではない。(3)の部分集合を全部書くときは、要素0個(空集合)から順に、もれなく並べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「( は の部分集合)」とは、 の要素が全部 にも入っていること。

判定は つずつ照合するだけ。 つでも にない要素があれば、その時点で部分集合ではない。(2)は だが なので不成立で、反例 つで決まる。

(3)の書き出しは要素の個数順( 個・ 個・ 個)に並べると、もれ・重複が防げる。

(1) の要素3と9は、どちらも に入っている。だから は成り立つ。

(2) を見ると、 だが ( に8はない)。1つでも外れる要素があるので、 は成り立たない。

(3) の部分集合を全部書く。要素0個から順に、もれなく。

ABC
B={3,9}⊂A(B は A の中)。C={1,5,8} は 8∉A なので C⊄A

まとめ:空集合 (要素0個)と、自分自身 も部分集合に入れるのを忘れずに。全部で4個ある。

発展。 空集合 はどんな集合の部分集合でもある。「 の要素はすべて にも入っている」が、要素が つもないので自動的に成立するからだ(反例が作れない)。意外に見えるが、「 つでも外れたら不成立」という定義を裏返すと必然だ。

部分集合の判定を「反例 つで決着」と捉える目は、この後の命題の真偽(反例 つで偽)と同じ構造。集合の包含と命題の真偽が対応している、というのがこの単元の中心テーマで、その予告がここにある。

答

(1) 成り立つ (2) 成り立たない( だが ) (3) の4個

別解

(3)の部分集合の個数には、「入れる・入れない」の 択という見方がある。 の部分集合を作るとき、要素ごとに独立に決められる。

  • を入れる? → 入れる / 入れない( 通り)
  • を入れる? → 入れる / 入れない( 通り)

だから部分集合は 個あり、数える前に個数が分かる。 通りを表にすると、書き出しももれなく終わる。

部分集合
× ×
○ ×
× ○
○ ○

(空集合)は「全部入れない」という選択、 自身は「全部入れる」という選択にあたる。忘れがちな つが、表では自然に現れる。

一般に 個の要素をもつ集合の部分集合は 個( 要素なら 個、 要素なら 個)。これは場合の数(数A)の「積の法則」の最初の例で、 つずつ独立に 択、という構造がそのまま指数の を生んでいる。

ポイント

  • は『Bの要素が全部Aに入る』
  • 1つでもAにない要素があれば、部分集合ではない
  • 部分集合には、空集合と自分自身も含める

よくある間違い

  • 部分集合を書くとき、空集合 や自分自身を忘れる
  • で、1つでも外れれば不成立、を見落とす
  • (要素)と (部分集合)の記号を混同する( だが )

問3共通部分・和集合・補集合

★ 基礎集合の演算補集合

問題

以下の自然数全体の集合を全体集合 とする。 の部分集合 を、 は の正の約数全体の集合、 は の正の約数全体の集合とするとき、次の集合を求めよ。

(1)

(2)

(3)

(4)

ヒントを見る

まず (10の約数)と (8の約数)を書き出す。 は『両方に入る』、 は『どちらかに入る』、 は『全体のうち に入らない』。定義どおりに拾おう。

解答・解説

方針

3つの記号を確認する。(共通部分)は『両方に入る』、(和集合)は『どちらか一方でも入る』、(補集合)は『Aに入らない(全体の中で)』。ベン図をかいて、、 の要素を書き込むと、どの記号もすぐ読み取れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) つの記号の意味を確認する。

  • (共通部分): 両方に入る
  • (和集合): どちらか一方でも入る
  • (補集合): 全体集合 の中で、 に入らない

まず と の要素を書き出し、ベン図に配置する。、。図さえ描けば、どの記号も読み取るだけになる。

ABU5, 101, 24, 83, 6, 7, 9
A = {1,2,5,10}(10の約数)、B = {1,2,4,8}(8の約数)。色部分が A ∩ B

は10の約数 、 は8の約数 。全体 は1〜10。

(1) 共通部分(両方に入る)は、1と2。

(2) 和集合(どちらか一方でも入る)は、 と の要素を全部集めて(ダブりは1回だけ)

(3) 補集合 ( に入らない、 の中の要素)は

(4) は『 に入り、かつ に入らない』。 から、 に入る1,2を除いて

ベン図に要素を書き込めば、どの記号も目で見て拾える。

発展。 要素の個数にも法則がある。、、 のとき

単純に足すと、重なりの 個を 回数えてしまうので 回分引く。これが包除原理で、場合の数(数A)でも中心的に使う。今回の答え( 個)と一致する。

部屋の仕分け表は、集合が つになると 部屋()に増える。ベン図が複雑になっても、表なら機械的に扱える。図で見当をつけ、表で確実に数えるという 段構えが、集合の問題では実戦的だ。

答

(1) (2) (3) (4)

別解

全体集合 の要素を、 つの部屋に仕分けると、どの問いにも即答できる表ができる。各要素について「 に入るか」「 に入るか」を で判定する。

部屋 要素
両方 ○ ○
だけ ○ ×
だけ × ○
どちらでもない × ×

個の要素がちょうど 部屋に分かれた(。この合計チェックで仕分けもれが分かる)。あとは部屋を選ぶだけ。

  • = 両方の部屋 =
  • = 「どちらでもない」以外の 部屋 =
  • = に○がつかない部屋( だけ、どちらでもない)=
  • = だけの部屋 =

ベン図の つの領域が表の 行に対応している。図が苦手なら表を使えばよい。どんな複雑な記号の組み合わせも、「どの部屋を選ぶか」に言い換えれば機械的に答えが出る。

ポイント

  • は両方、はどちらか一方でも、はAに入らない全体の要素
  • ベン図に要素を書き込むと読み取りやすい
  • は『Aに入り、Bに入らない』

よくある間違い

  • でダブる要素(1,2)を2回書いてしまう
  • 補集合で、全体集合 の範囲を忘れる
  • を と読み違える(記号のかかる範囲を確認)

問4数直線上の集合の共通部分・和集合

★ 基礎集合の演算数直線

問題

実数全体の集合を全体集合とする。、 とするとき、次の集合を求めよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

、 の範囲を数直線に2本かく。 は重なった部分、 は合わせた部分、 は 以外。端が か か(●か○か)を正確に写そう。

解答・解説

方針

範囲で決まる集合( の不等式)は、数直線にかいて考える。(共通部分)は2つの範囲の重なり、(和集合)は2つを合わせた範囲、(補集合)は 以外の範囲だ。端が含まれるか(●か○か)に注意する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 範囲で決まる集合( の不等式)は、数直線に描くのが第一手。

と を、上下 段に矢印で描く。端は白丸(、含まない)と黒丸(、含む)を区別して。

  • は 本の重なり
  • は 本を合わせた範囲
  • は 以外

端の等号は絵の丸の色をそのまま写せばよい。補集合では丸の色が反転する(含む ↔ 含まない)ことに注意。

x-1246ABA∩B
A = [−1, 4)、B = (2, 6]。重なりが A ∩ B、全体をつなぐと A ∪ B

、 を数直線にかいて考える。

(1) 共通部分は、2つの範囲が重なるところ。 は から の手前、 は より右から 。重なりは より右で の手前。

(2) 和集合は、2つを合わせた範囲。(含む)から (含む)まで全部つながる。

(3) 補集合 は、 以外の範囲。 より左(= 未満)と、 以上。

まとめ:補集合は端の含む・含まないが入れかわる( は で含んだので では含まない、 は で含まなかったので では含む)。数直線をかくと、この入れかわりも目で見える。

発展。 数直線の集合は「連立不等式()」「または()」と同じものだ。前の単元で解いた という答えが、ここでは という集合として再び出てくる。不等式を解く行為は、実は「解の集合を求める」ことだった、と視点が上がる。

補集合が「または」で つに割れるのは、絶対値の不等式 が つの範囲になるのと同じ構造。内側の かたまり ↔ 外側の つという双対は、この単元のド・モルガンの法則( と が補集合で入れ替わる)そのものの現れである。

答

(1) (2) (3) または

別解

端の等号を間違えないための、境界での代入チェックを身につけよう。疑わしい境界の値を、実際に条件に入れて を判定する。

の端 : は なので は入らない(×)。だから にも入らず、答えの右端は (白丸)になる。

の端 : に は入る(●)。だから にも入り、左端は (黒丸)になる。

の端 : に が入らない ⟹ 補集合には入る(●)。 は に入る ⟹ 補集合には入らない(○)。

補集合をとると、丸の色が必ず反転する。 で含む端は補集合では含まず、 で含まない端は補集合では含む。この反転の規則を知っていれば、 の等号は考えずに機械的に書ける。

境界 点の 判定をすれば、 回の代入だけで、答案の減点要因(等号の取り違え)をほぼ全部防げる。

ポイント

  • 範囲の集合は数直線にかく。は重なり、は合わせ、はA以外
  • 端が含まれるか(≦か<か)を1つずつ確認
  • 補集合では、端の含む・含まないが入れかわる

よくある間違い

  • 共通部分と和集合を取り違える
  • 補集合で端の等号(含む・含まない)を、そのままにしてしまう
  • を 本の不等式で書こうとする( つの範囲を「または」でつなぐ)

問5ド・モルガンの法則の確認

★ 基礎ド・モルガンの法則補集合

問題

以下の自然数全体の集合を全体集合 とする。 の部分集合を ( の中の偶数全体)、( の中の の倍数全体)とする。

(1) を求めよ。

(2) を求めよ。

(3) (1)と(2)の結果を比べ、そこで確かめられるド・モルガンの法則を等式で書け。

ヒントを見る

は『 に入らない要素』=『どちらにも入らない要素』。 も同じものになる。両方を実際に書き出して、一致するか見比べよう。

解答・解説

方針

ド・モルガンの法則『』を、実際に両辺を計算して確かめる問題。左辺は『 にも にも入らない』、右辺は『 に入らず、かつ に入らない』。言葉にすると同じことを言っている。両方を計算して、一致することを見る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) ド・モルガンの法則 を、両辺を実際に計算して確かめる問題だ。

左辺は「 にも にも入らない」もの。右辺は「 に入らず、かつ に入らない」もの。

日本語にすると同じことを言っている。その直感を、要素を書き出して数で確認する。法則を暗記するのではなく、成り立つ理由を目で見るのがこの問題の目的である。

ABU2, 4, 8, 106, 123, 91, 5, 7, 11
色部分が A∪B の補集合 = {1, 5, 7, 11}。ド・モルガンの法則で Ā ∩ B̄ と一致

は1〜12、 は偶数 、 は3の倍数 。

(1) まず (どちらか一方でも)を求める。

その補集合(以外)は

(2) 今度は と を別々に出す。

その共通部分(両方に入る)は

(3) (1)と(2)を比べると、どちらも 。つまり

まとめ:が確かに成り立つ。これがド・モルガンの法則だ。『どちらにも入らない = 一方にも入らず、もう一方にも入らない』と、言葉でも納得できる。

発展。 この問題の (偶数)と ( の倍数)では で、これは「 でも でも割れない数」だ。 以下ならこれらは(1 を除いて)素数になる。「ふるいにかけて残った数」という発想は、素数を探すエラトステネスのふるい(数A)そのもの。集合の演算が数論の道具として働いている。

ド・モルガンの法則は命題の否定(「かつ」の否定は「または」)、条件の否定、そしてコンピュータの論理回路(NAND / NOR)まで、まったく同じ形で現れる。否定は と をひっくり返す。これは論理の基本法則である。

答

(1) (2) (3) 両者は一致し、 が確かめられる

別解

この法則を日常の言葉で言い換えると、当たり前のことを言っているだけだと分かる。 を「コーヒーが好きな人」、 を「紅茶が好きな人」としよう。

これがどんな人かというと、コーヒーも好きじゃないし、紅茶も好きじゃない人だ。それが ( でなくかつ でない)だ。

「または」を否定すると「かつ」になる。これがド・モルガンの法則だ。もう つの法則も同じ調子で読める。

これは「コーヒーが嫌いまたは紅茶が嫌い」ということだ。どちらか一方でも嫌いなら「両方好き」ではない。。

記号を暗記すると と を取り違えるが、言葉に直せば間違えようがない。否定すると「かつ」と「または」が入れ替わる。この 行は集合でも命題でも(次の単元でも)ずっと使う。

ポイント

  • ド・モルガン:
  • 『どちらにも入らない = Aに入らず、かつBに入らない』
  • 両辺を計算して一致することで確かめられる

よくある間違い

  • を と取り違える(∩と∪が入れかわる)
  • 補集合を出すとき、全体 の範囲を忘れる
  • を作るとき、重なる要素()を書き落とす

問6命題の真偽と反例

★ 基礎命題反例

問題

は実数、 は自然数とする。次の命題の真偽を調べよ。偽の場合は反例を1つ挙げよ。

(1) ならば

(2) ならば

(3) が の倍数ならば は の倍数

(4) ならば

ヒントを見る

命題は反例が1つでもあれば偽。特に『逆向き』は間違えやすい。(2) になる は だけ? 負のほうを忘れずに。(4) でも とは限らない。負の大きい数ではどうなるか。

解答・解説

方針

『 ならば 』の命題は、 が成り立つのに が成り立たない例(反例)が1つでもあれば偽。反例が1つも作れなければ真。偽を疑うときは、 を満たしつつ を破る例を探す。特に、2乗や『>』が絡むと、マイナスの数が反例になりやすい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 ならば 」の真偽は、反例が作れるかで決まる。

反例とは「 は成り立つのに が成り立たない例」。 つでも見つかれば偽、 つも作れなければ真だ。

疑うポイントは決まっている。 乗や不等号が絡んだら、マイナスの数を試す。(2)は 、(4)は で崩れる。「正の数しか頭にない」思い込みがこの型でいちばん多い間違いの原因である。

重要「 ならば 」は、反例(p なのに q でない例)が1つでもあれば偽

『 ならば 』は、反例(pなのにqでない例)が1つでもあれば偽。

(1) なら 。これは正しい。真。

(2) でも、 とは限らない。 でも だ。反例 があるので偽。

(3) が8の倍数なら、 と書ける。これは

となり4の倍数でもある。だから真。

(4) でも とは限らない。 なら だが、 ではない(マイナス)。反例 があるので偽。

まとめ:真偽を判定するコツはまず偽を疑って反例を探すこと。特に2乗や不等式では、マイナスの数が反例になりやすい。反例が見つからなければ、なぜ必ず成り立つかを説明して真とする。

発展。 真と偽で、必要な仕事の量がまったく違うことに注目したい。偽を示すには反例 つでいい(有限の仕事)。だが真を示すにはすべての場合で成り立つことを言わねばならない(無限の仕事)。だから文字を使った証明が必要になる。

この非対称は数学の根っこにある。「フェルマーの最終定理」は 年間、反例 つも見つからないのに証明できずにいた。反例探しは簡単、証明は難しい。その差を つの小問で確かめておきたい。

答

(1) 真 (2) 偽(反例: ) (3) 真 (4) 偽(反例: )

別解

真偽の判定を集合の包含として見ると、 つの図で決着する。条件 を満たす数の集合を 、 を満たす集合を とすると

「」が真 ⟺ が にすっぽり入る()(2)で試そう。: の集合は 、: の集合は 。

には からはみ出す要素 がある。はみ出した要素がそのまま反例だ。

(4)も同じ。: は または (数直線の外側 つ)、: は (右側だけ)。 の左側の部分()が丸ごとはみ出すので偽だ。そこから でも でも、反例はいくらでも選べる。

反例を「探す」のではなく、はみ出す部分を「見る」。集合の絵を描けば、反例は探さなくても図から読み取れる。この対応(命題 ⟺ 包含)が次の問題の主題になる。

ポイント

  • 『pならばq』は、反例が1つでもあれば偽
  • 偽を疑い、pを満たしqを破る例を探す
  • 2乗・不等式では、マイナスの数が反例になりやすい

よくある間違い

  • から だけを考え、 を見落とす
  • 反例を1つ挙げれば偽が示せるのに、あれこれ調べてしまう
  • 真の命題に「反例が見つからないから、たぶん真」と根拠なく答える(なぜ反例が作れないかを述べる)

問7命題の真偽と集合の包含関係

★ 基礎命題と集合包含関係

問題

実数 に関する条件 を

とし、 を満たす 全体の集合をそれぞれ とする。

(1) と のどちらが成り立つか。

(2) (1)の包含関係を用いて、命題「」と「」の真偽を答えよ。偽の場合は反例を1つ挙げよ。

ヒントを見る

、 の範囲を数直線に。『』が真かどうかは、 が にすっぽり入るかで決まる。逆向きも同じ要領で、範囲の入り方を見よう。

解答・解説

方針

条件 を満たす数の集合 を考えると、命題『 ならば 』の真偽が、集合の包含()で判断できる。『 ならば が真』 ⇔ 『 が にすっぽり入る()』。数直線に をかいて、入るかどうかを見る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 条件を集合で表すと、命題の真偽が図で見える。

: の集合 、: の集合 を数直線に描くと、 は の中にすっぽり収まる。

そして次の対応が成り立つ。「 が真」⟺「」。矢印の向きと包含の向きが一致する。 が に入るから は真、逆向きは が からはみ出す()ので偽である。

x-1035QP
P = (0, 3) は Q = (−1, 5) にすっぽり含まれる(P ⊂ Q)→ p ⇒ q は真

、 を数直線にかく。

(1) の範囲( から )は、 の範囲( から )の中にすっぽり入っている。だから

(2) 『 ならば 』が真かどうかは、 かどうかで決まる。 なので『』は真。

逆に『』は、 が に入るか()を見る。 のほうが広いので入らない。反例として、 は に入る()が に入らない( でない)。だから『』は偽。

まとめ:『 が真 ⇔ 』なので、命題の真偽を集合の入れ子で判断できる。

発展。 「 ⟺ 」という対応は、この単元の中心になる事実だ。命題(論理の話)と集合(図形の話)は、完全に同じ構造をしている。だから論理の問題を、数直線やベン図という絵で解ける。

この対応は次の必要条件・十分条件の判定でそのまま使う道具になる。 が の十分条件()とは「 が に含まれる」、必要条件()とは「 が に含まれる」ことだ。矢印の向きと包含の向きを一致させて覚えれば、条件の用語で混乱しなくなる。

答

(1) (2) 「」は真、「」は偽(反例: )

別解

「 なら 」がなぜ成り立つのかを、日常のたとえで確かめておく。 を「 年A組の生徒」、 を「この学校の生徒」とする。A組は学校の一部だから 。このとき「A組の生徒ならば、この学校の生徒である」は当然成り立つ( が真)。

逆はどうか。「この学校の生徒ならば、A組の生徒である」は、B組の生徒が反例になるので偽。つまり

小さい集合 大きい集合(条件がきつい 条件がゆるい)は真

大きい 小さい は偽(はみ出す部分が反例)今回の ()は ()よりきつい条件。きつい条件を満たすなら、ゆるい条件は自動的に満たす。だから が真だ。反例 は「学校の生徒だがA組ではない」B組の生徒にあたる。

「範囲が狭い方から広い方へ矢印が出る」。この向きの感覚が身につけば、必要・十分の判定(次の問題)で迷わなくなる。

ポイント

  • 『 が真』⇔『( が に入る)』
  • 数直線に をかいて、入るかどうかを見る
  • 反例は『 に入るが に入らない』数(例: )

よくある間違い

  • と の向きを取り違える
  • 『』と『』を混同する
  • 偽のとき反例を挙げない(はみ出す部分から つ選べばよい)

問8必要条件・十分条件の判定

★ 基礎必要条件・十分条件

問題

次の空欄に当てはまるものを、下の(ア)〜(エ)から1つずつ選べ。ただし は実数、 は自然数とする。

(1) は であるための( )。

(2) は であるための( )。

(3) は、 であるための( )。

(4) が の倍数であることは、 が の倍数であるための( )。

(ア) 必要十分条件である (イ) 必要条件であるが十分条件でない (ウ) 十分条件であるが必要条件でない (エ) 必要条件でも十分条件でもない

ヒントを見る

『 が真 → は十分条件』『 が真 → は必要条件』。両方の矢印を1つずつ真偽判定。(1)は を満たす が 以外にもないか、先に調べる。

解答・解説

方針

『 は であるための○○条件』の判定は、 と の2つの矢印を、それぞれ真か調べる。

・ が真 → は の『十分条件』 ・ が真 → は の『必要条件』 ・両方真 → 必要十分条件

『矢印が出ていく先に十分、入ってくる元に必要』と覚える。両方を1つずつ確かめよう。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 は であるための○○条件」の判定は、 本の矢印を別々に調べるだけ。

  • が真 → は の十分条件
  • が真 → は の必要条件
  • 両方真 → 必要十分条件

覚え方は「矢印が出ていく先に十分、入ってくる元が必要」。両方の矢印を必ず調べる。片方だけ見て判断するのが、いちばん多いミスである。

公式 が真 → は の十分条件、 が真 → は の必要条件、両方真 → 必要十分条件

が真なら は十分条件、 が真なら は必要条件。両方を調べる。

(1) 、。 を解くと

: なら は成り立つ(真)。: でも の場合があるので とは限らない(偽)。よって は十分条件だが必要条件でない→ (ウ)。

(2) 、。 は かつ のときだけ成り立つ。: でも なら は成り立たない(偽)。: が成り立てば必ず (真)。よって は必要条件だが十分条件でない→ (イ)。

(3) 、。 を解くと

つまり と は同じこと。両方真なので必要十分条件→ (ア)。

(4) は4の倍数、 は6の倍数。4の倍数でも6の倍数とは限らず(例 )、6の倍数でも4の倍数とは限らない(例 )。どちらの矢印も偽。よって必要条件でも十分条件でもない→ (エ)。

まとめ:『矢印が出ていく()なら十分、入ってくる()なら必要』。2つの矢印を別々に調べるのが確実だ。

発展。 用語の意味を日常語で確かめておこう。「十分」とは「それだけあれば足りる」という意味だ。 でありさえすれば は確実に成り立つ(足りている)。「必要」とは「それがないと成り立たない」という意味だ。 であるためには が必ず要る。足りるか / 欠かせないかが用語の由来だ。

必要十分条件(同値)は「言い換えても情報が変わらない」ということ。(3)の と は、まったく同じ内容の別の書き方だ。数学の証明ではこの同値変形を積み重ねて結論に至る。 の記号を書けるかどうかは、論理の正確さの試金石である。

答

(1) (ウ) (2) (イ) (3) (ア) (4) (エ)

別解

用語の丸暗記をやめて、集合の大小で判定すると、必要と十分の取り違えが消える。前問で見たとおり、( は十分条件)は 、つまり が小さい方。だから

が「狭い(きつい)条件」なら十分条件、「広い(ゆるい)条件」なら必要条件

(1)を試そう。: の集合は 。: を解くと から 。

の方が狭い → は十分条件(だが必要ではない。 が にいて にいない)。

(2)は逆だ。: の集合(これは が自由なので、 平面では 軸全体)。: は のみ(原点)。 の方が狭い → が真、つまり は必要条件(原点なら だが、 でも なら は成り立たない)。

「狭い方から広い方へ矢印」「狭い方が十分、広い方が必要」。集合の大小だけ見れば、用語に振り回されずに答えが出る。

ポイント

  • 真 → 十分条件、 真 → 必要条件、両方 → 必要十分
  • 2つの矢印を、それぞれ真か調べる
  • 矢印が偽になる反例を1つ見つければ、その向きは成り立たない

よくある間違い

  • 必要と十分を逆にする(『出ていくが十分、入ってくるが必要』)
  • 片方の矢印だけ調べて判断する
  • を で割って だけにする( の解を失う)

問9逆・裏・対偶

★ 基礎逆・裏・対偶

問題

を実数とする。命題「 ならば 」について、次の問いに答えよ。

(1) この命題の逆・裏・対偶をそれぞれ述べよ。

(2) もとの命題と、(1)で作った逆・裏・対偶の真偽をそれぞれ調べよ。偽の場合は反例を1つ挙げよ。

ヒントを見る

逆は『入れかえ』、裏は『両方否定』、対偶は『入れかえて両方否定』だ。まず機械的に3つ作る。真偽は、もとと対偶が必ず一致・逆と裏も一致する性質を使うと手間が省ける。

解答・解説

方針

もとの命題『 ならば 』から、次の3つを作る。

・逆: と を入れかえた『 ならば 』 ・裏: 両方を否定した『 でない ならば でない』 ・対偶: 入れかえて両方否定『 でない ならば でない』

大事な事実として、もとの命題と対偶は、真偽が必ず一致する。逆と裏も、真偽が一致する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) もとの命題「 ならば 」から つの兄弟を作る。

  • 逆: と を入れかえる「 ならば 」
  • 裏: 両方を否定する「 でないならば でない」
  • 対偶: 入れかえて両方否定「 でないならば でない」

そして最も大事な事実として、もとの命題と対偶は、真偽が必ず一致する。逆と裏も互いに一致する。だから調べるのは実質 つだけ。この構造を知っていれば、 つの真偽を 回の判定で埋められる。

もとの命題は『 ならば 』。

(1) 3つを作る。

  • 逆( を入れかえ):『 ならば 』
  • 裏(両方を否定):『 ならば 』
  • 対偶(入れかえて両方否定):『 ならば 』

(2) 真偽を調べる。

  • もとの命題: なら 。正しいので真。
  • 逆: でも とは限らない( でも )。反例 で偽。
  • 裏: でも とは限らない( は だが )。反例 で偽。
  • 対偶: ならば 。正しいので真。

まとめ:注目してほしいのは、もとの命題(真)と対偶(真)が一致、逆(偽)と裏(偽)が一致していること。『もとと対偶は真偽が同じ、逆と裏も同じ』は必ず成り立つ。だから対偶の真偽を調べれば、もとの命題の真偽もわかる(次の『対偶を利用する証明』につながる)。

発展。 つの命題の真偽は、「もと・対偶」が同じ、「逆・裏」が同じという 組に分かれる。今回は前者が真、後者が偽( が共通の反例)。 つを別々に調べる必要はなく、 回の判定で表が埋まる。

「もと ⟺ 対偶」の同値は次の問題で証明の道具になる。直接証明しにくい命題も、対偶なら証明できる場合がある。論理的に同じ主張なのだから、証明しやすい方を選んでよい。証明する形を選べることが、この定理の実用上の価値である。

答

(1) 逆:「 ならば 」、裏:「 ならば 」、対偶:「 ならば 」 (2) もとの命題: 真、逆: 偽(反例 )、裏: 偽(反例 )、対偶: 真

別解

「もとと対偶の真偽が一致する」という定理を、ベン図で確かめておく。 の集合を 、 の集合を とする。

もとの命題「」が真 ⟺ ( が の中にすっぽり)

対偶「」が真 ⟺

ベン図を見てほしい。 が の内側にあるなら、外側では包含が逆転して、 の外()は必ず の外()に含まれる。内側の包含と外側の包含は、 つの絵の つの読み方にすぎない。

同じ絵を見ているのだから、真偽が一致するのは当然だ。日常語でも確かめられる。「A組の生徒 ⟹ この学校の生徒」と、その対偶「この学校の生徒でない ⟹ A組の生徒でない」は、どちらも同じことを言っている。

一方、逆「この学校の生徒 ⟹ A組の生徒」は明らかに別の主張(偽)。もとと逆は無関係、もとと対偶は同じ。この区別が次の対偶を使った証明の基礎になる。

ポイント

  • 逆は入れかえ、裏は両方否定、対偶は入れかえて両方否定
  • もとの命題と対偶は、真偽が必ず一致する
  • 逆と裏も、真偽が一致する

よくある間違い

  • 逆・裏・対偶の作り方(どれを入れかえ・否定するか)を混同する
  • 『逆が真ならもとも真』と思い込む(逆と裏は別、もととは一致しない)
  • の否定を 以外と曖昧に書く(否定は明確に )

問10対偶を利用する証明

★ 基礎対偶法証明

問題

を整数とする。命題「 が奇数ならば、 は奇数である」を、対偶を利用して証明せよ。

ヒントを見る

直接示しにくいときは対偶。まず対偶『 が偶数ならば は偶数』を作る。 とおいて を計算し、偶数の形(整数)になることを示す。

解答・解説

方針

『 が奇数ならば は奇数』を直接示すのは難しい。そこで対偶を使う。対偶は『 が偶数ならば は偶数』。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、対偶を証明すれば、もとの命題も証明できたことになる。

対偶のほうが とおいて計算できるので示しやすい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 が奇数ならば は奇数」を直接示すのは難しい。「 が奇数」という条件から、 がどんな数かを取り出す手立てがないからだ。

そこで対偶に乗り換える。対偶は「 が偶数ならば は偶数」。こちらは易しい。 が偶数なら と具体的に書ける。書けたら計算できる。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、対偶を証明すれば仕事は完了だ。

「仮定が扱いにくいときは対偶」。これは証明の方針を切り替えるときの定跡である。

重要命題とその対偶は真偽が一致する。直接示しにくいときは対偶を証明する

直接ではなく、対偶を証明する。もとの命題『 が奇数ならば は奇数』の対偶は

『 が偶数ならば は偶数』

である。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、この対偶を示せばよい。 が偶数なら、( は整数)とおける。このとき

の形なので、 は偶数。これで対偶が示せた。よって、もとの命題『 が奇数ならば は奇数』も真である。(証明終わり)

まとめ:直接示しにくい命題は対偶に言いかえると『 とおいて計算』の形になり、ぐっと示しやすくなる。これが対偶を使う証明のうまみだ。

発展。 「 は整数」と明記することが、この証明では欠かせない。 が偶数と言えるのは、 が整数だからだ。もし が分数なら (分数)は偶数とは限らない。整数であることの明示が整数の証明の作法である。

対偶を使う証明はこの後もずっと登場する。「 が偶数ならば は偶数」(背理法で の無理性を示すときに使う)も、直接は難しいが対偶「 が奇数ならば は奇数」なら の代入で 行だ。対偶は証明のための最も安価な方針転換である。

答

対偶「 が偶数ならば は偶数である」を示す。( は整数)とおくと となり偶数。よって対偶は真であり、もとの命題も真。(証明の詳細は解答参照)

別解

対偶に乗り換えると易しくなるのは、仮定の使いやすさが逆転するからだ。

もとの命題の仮定「 が奇数」: ここから について何が言える? とおいても、 となって整数かどうかも怪しい式が出るだけで、手詰まりだ。

対偶の仮定「 が偶数」: ( は整数)と、 そのものを具体的な形で書ける。あとは代入して計算するだけ。

は整数だから、 は (整数)、つまり偶数だ。対偶が証明できた。

扱いやすい仮定とは「 のように具体形に書ける」もの。偶数・奇数・倍数の条件は書けるが、「〜が奇数でない」のような否定形や、複雑な式の性質は書きにくい。

命題を見たら、もとと対偶で「仮定が具体形に書ける方」を選ぶ。整数の証明問題では、この選択で解けるかどうかが決まることが多い。

数値実験でも確かめられる。(奇数)なら (奇数)、(偶数)なら (偶数)、 なら (奇数) となる。対偶が主張するとおり、偶数の からは必ず偶数が出る。

ポイント

  • 直接示しにくい命題は対偶を証明する(真偽が一致するから)
  • 対偶は『 が偶数 → が偶数』。 とおける
  • の形になれば偶数

よくある間違い

  • 対偶の作り方を間違える(入れかえて両方否定)
  • とおかず、一般の のまま示そうとする
  • 対偶を証明した後、「よってもとの命題も真」の一文を書き忘れる

問11背理法による証明

★ 基礎背理法無理数

問題

が無理数であることは、証明なしで用いてよい。このとき、 が無理数であることを、背理法を用いて証明せよ。

ヒントを見る

結論を否定して仮定する。つまり『 は有理数』とおく。その式を について解くと? 右辺が有理数になれば、 が無理数であることと食い違う。この矛盾で証明完了。

解答・解説

方針

背理法は『結論と反対のことを仮定して、矛盾を導く』証明法だ。

ここでは『 は無理数』を示したい。反対に『 は有理数』と仮定する。すると式変形で が有理数になってしまい、『 は無理数』という事実と矛盾する。矛盾が出れば、仮定が間違いだったとわかり、もとの結論が正しい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 背理法は「結論の反対を仮定して、矛盾を導く」証明法。

示したいのは「 は無理数」。そこで反対に「 は有理数である」と仮定してみる。すると式変形で が有理数だと言えてしまう。これは「 は無理数」という既知の事実に矛盾する。

矛盾が出たということは、仮定が間違っていた。よって結論が正しい。「無理数であることの直接証明」は難しいが、背理法なら扱える形に変わる。

重要背理法:示したい結論を否定して仮定し、矛盾を導く

背理法を使う。示したい結論と反対に、 が有理数であると仮定する。その有理数を とすると

について解く。まず

両辺を3で割って

ここで右辺 は有理数 から作った有理数(有理数どうしの計算は有理数)。つまり が有理数、ということになる。でもこれは『 は無理数』という事実に矛盾する。矛盾が出たのは、最初の仮定『 は有理数』が間違っていたからだ。

よって、 は無理数である。(証明終わり)

まとめ:背理法は『反対を仮定 → 変形 → 矛盾 → だから仮定が誤り → 結論が正しい』の流れ。無理数の証明でよく使う型だ。

発展。 背理法の証明では、何と矛盾したのかを明示することが要点だ。今回は「 は無理数」という既知の事実と矛盾した。矛盾の相手が曖昧だと証明にならない。「 が有理数となり、 が無理数であることに矛盾する」と書き切る。

背理法は「〜でない」型の主張(無理数である 有理数でない、素数が無限にある 有限個ではない)に対して特に役に立つ。否定を証明するには、否定を仮定して矛盾を導くのがいちばん早い。ユークリッドの「素数は無限にある」の証明も、この型である。

答

が有理数 であると仮定すると となり、右辺は有理数だから が有理数となって、 が無理数であることに矛盾する。よって は無理数である。(証明の詳細は解答参照)

別解

この証明が動く仕組みは、有理数の「閉じている」性質にある。そこを言葉にしておくと、背理法の流れが見える。

有理数どうしを足す・引く・かける・( でない数で)割ると、結果は必ず有理数だ( の形が保たれる)。これを「有理数は四則演算について閉じている」という。(有理数)と仮定すると

右辺を見てほしい。(有理数)から (有理数)を引き、(有理数)で割ったので、有理数の四則演算だけでできている。だから右辺は有理数だ。

すると が有理数になり、既知の事実「 は無理数」に矛盾する。

矛盾が起きる理由はこうだ。「無理数 」が有理数の範囲に入ってしまった。有理数の四則演算では有理数の外に出られないはずなのに、有理数でない数()が有理数の中にいることになった。この食い違いが矛盾である。

だから仮定が誤り。 は有理数ではありえない、つまり無理数だ。

「有理数 ( でない有理数) 無理数」は必ず無理数だ。同じ論法で (黄金比)の無理性も示せる。演算で閉じた範囲の中に、その外にあるはずの数が入ってしまうという形が、この背理法の型である。

ポイント

  • 背理法は『結論の反対を仮定して、矛盾を導く』
  • とおき、 について解く
  • が有理数になれば、『 は無理数』に矛盾

よくある間違い

  • 何を仮定するか(結論の反対)を間違える
  • 有理数どうしの計算が有理数になることを、説明せずに使う
  • 矛盾を示した後、「よって仮定は誤り、もとの結論が成り立つ」の締めを書き忘れる

問12「すべて」と「ある」の否定

★ 基礎否定全称と存在

問題

次の問いに答えよ。

(1) 命題「すべての実数 について 」の否定を述べよ。また、もとの命題とその否定のどちらが真か、理由をつけて答えよ。

(2) 命題「ある自然数 について 」の否定を述べよ。また、もとの命題とその否定のどちらが真か、理由をつけて答えよ。

(3) 実数 に関する条件「 かつ 」の否定を述べよ。

ヒントを見る

『すべて』の否定は『ある』、『ある』の否定は『すべて』。中身も否定する(→ など)。どちらが真かは、簡単な例を1つ試して判断( を入れてみる等)。

解答・解説

方針

『すべて』と『ある』の否定は、入れかわる。

・『すべての で 』の否定 → 『ある で でない』 ・『ある で 』の否定 → 『すべての で でない』

そして『かつ』と『または』も、否定で入れかわる(ド・モルガン)。『 かつ 』の否定 → 『 でない または でない』。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 否定のルールは 組。否定をとると、ペアの相手に入れかわる。

  • 「すべての で 」の否定 → 「ある で でない」
  • 「ある で 」の否定 → 「すべての で でない」
  • 「 かつ 」の否定 → 「 でないまたは でない」(ド・モルガン)

「すべて ↔ ある」「かつ ↔ または」は、どちらも否定で入れかわる。この対応を機械的に適用するのが第一手だ。

公式否定:「すべて」↔「ある」を入れかえ、中の条件も否定する

(1) 『すべての実数 について 』の否定は、『すべて』を『ある』にして中身を否定する。

否定:『ある実数 について 』

どちらが真か。 のとき で、 は成り立たない。つまり例外があるので、もとの命題は偽。否定のほうが真( が『 を満たす 』の例)。

(2) 『ある自然数 について 』の否定は、『ある』を『すべて』にして中身を否定する。

否定:『すべての自然数 について 』

どちらが真か。 のとき になる。つまり『 となる がある』ので、もとの命題が真。もとの命題のほうが真(否定は偽)。

(3) 『 かつ 』の否定。『かつ』は『または』に変わり、それぞれの中身を否定する。 の否定は 、 の否定は 。

否定:『 または 』

まとめ:『すべて⇔ある』『かつ⇔または』、そして中身の否定(不等号の向きが変わる)。この3つがセットで入れかわる、と覚えよう。

発展。 不等号の否定にも注意が要る。 の否定は ではなく だ。「 より大きくない」とは「 以下」のことだ。等号が反対側に移る。(3)の答え「 または 」で、両方の等号が入っているのはこのためである。

この 組の入れかわり(すべて ↔ ある、かつ ↔ または)は、実は つの原理の現れだ。「すべて」は「かつ」の無限版( でも成り立ち、かつ でも…)、「ある」は「または」の無限版にあたる。ド・モルガンの法則を無限個に拡張したものが、量化子の否定の規則である。集合・命題・論理が、 つの構造でつながっている。

答

(1) 否定:「ある実数 について 」。 のとき となるから、否定の方が真(もとの命題は偽) (2) 否定:「すべての自然数 について 」。 のとき となるから、もとの命題の方が真(否定は偽) (3) 「 または 」

別解

「すべて」と「ある」の否定が入れかわる理由を、日常の会話で確かめておこう。「このクラスの生徒は全員眼鏡をかけている」

これを否定するには、どう言えばよいか。「全員かけていない」では行き過ぎだ。眼鏡をかけていない生徒が 人でもいれば、もとの主張は崩れる。

正しい否定は「眼鏡をかけていない生徒が 人はいる」。つまり「すべて」の否定は「ある( つでも存在する)」だ。

逆も同じだ。「 人でも眼鏡の生徒がいる」を否定するなら、「 人もいない」= 「全員が眼鏡でない」となる。「ある」の否定は「すべて」になる。

この感覚は反例の考え方と同じだ。「すべての で 」を崩すには反例 つ()で足りる。反例 つが存在することが、「ある で 」という否定命題そのものだった。

否定を作ることと、反例を探すことは同じ行為だ。このことに気づけば、(1)で「否定が真(反例 が存在するから)」という判定が自然に出せる。 つの記号(すべて・ある・かつ・または)の関係が、日常語の中にすでに全部あるのだ。

ポイント

  • 『すべて』⇔『ある』は、否定で入れかわる
  • 『かつ』⇔『または』も、否定で入れかわる(ド・モルガン)
  • 中身も否定する( → )

よくある間違い

  • 『すべて』の否定を『すべて〜でない』としてしまう(正しくは『ある〜でない』)
  • 『かつ』の否定で『または』に変えるのを忘れる
  • 不等号の否定を誤る( の否定は 。等号が入る)