数学I / 実数と1次不等式

実数と1次不等式 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 循環小数と実数の分類
  2. 根号を含む絶対値の計算
  3. 分母の有理化と根号の計算
  4. 二重根号の簡約
  5. 整数部分・小数部分と式の値
  6. 対称式の値(基本対称式の利用)
  7. x+1/x 型の対称式
  8. 1次不等式の解法(分数・小数係数)
  9. 連立1次不等式と整数解の個数
  10. 絶対値を含む方程式・不等式(基本形)
  11. 絶対値を含む方程式・不等式(場合分け)
  12. 1次不等式の文章題(個数と代金)

問1循環小数と実数の分類

★★ 標準循環小数実数の分類

問題

次の問いに答えよ。

(1) 循環小数 を分数で表せ。

(2) 循環小数 を分数で表せ。

(3) 次の5つの数のうち、無理数であるものをすべて選べ。

ヒントを見る

(1)くり返しが2桁 → 倍して差。(2)は循環がすぐ始まらない → 倍と 倍の差をとる。(3)は が約分で整数になるものや、循環小数(=有理数)が紛れているので見破る。

解答・解説

方針

循環小数を分数にするコツは、10倍・100倍してずらし、引き算で循環部分を消すこと。

くり返す桁数だけずらすのが基本。(2)の のように、循環しない部分(2)と循環する部分(7)が混じるときは、両方を消すように2つの倍率(倍と倍)を組み合わせる。(3)は有理数・無理数の判別。 のように、計算すると整数になるものは有理数だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 循環小数のやっかいさは、無限に続くこと。無限の部分を消せれば、ただの引き算になる。

そこで「同じ無限部分を持つ2つの数を作って、引き算で消す」と考える。くり返しの桁数ぶんだけ10倍すれば、小数点以下がそろう。

(2)のように、循環しない部分が混じるときは倍率を2つ使う。(3)の無理数選びは「見た目」でなく「実際の値」で判定する。計算して簡単になる数が混ざっている。

公式循環小数 → 分数: 倍して引くと循環部分が消える( は循環の桁数)

(1) とおく。くり返しが2桁なので100倍。

引くと 。よって

(2) 。循環しない部分(2)と循環する部分(7)が混じっている。循環部分だけがそろうように、100倍と10倍の差をとる。

引くと 。よって

(3) 無理数(分数で表せない数)を選ぶ。

  • は整数 → 有理数
  • → 有理数
  • は が無理数なので → 無理数
  • は循環小数 → 有理数(分数にできる)
  • → 無理数

まとめ:よって無理数は と 。計算すると整数・分数になるものは有理数、と見抜くのがコツ。

発展。 なぜ分数は必ず循環小数(または有限小数)になるのか。割り算の余りは分母より小さい種類しかないからだ。

割り切れなければ、いつか同じ余りが再登場する。同じ余りからは同じ計算が続くので、そこから循環が始まる。「有理数=有限小数か循環小数」という対応には、次のような理由がある。逆に、循環しない無限小数が無理数だ。

答

(1) (2) (3) と

別解

くり返しの基本形を「部品」として覚えておくと、分解して足すだけで出せる。基本形はこうだ。、。くり返し1桁は9分の、2桁は99分のになる(10倍・100倍して引く操作を先にやっておいた結果だ)。(1)はそのまま 。

(2)は循環部分を分けて足す。。「循環しない部分+循環する部分の縮小コピー」という見方だ。方程式を立てなくても、部品の組み合わせで機械的に出せる。

ポイント

  • 循環小数は、循環部分がそろうように倍率を選んで引く
  • 循環しない部分が混じるときは、 と の差など2つを組み合わせる
  • のように、計算すると整数になるものは有理数

よくある間違い

  • (2)で としてしまう(循環部分がそろわない。 が正しい)
  • を見た目で無理数と早合点する(計算すると で有理数)
  • (1)で のまま答えて、約分()を忘れる

問2根号を含む絶対値の計算

★★ 標準絶対値平方根

問題

次の式の値を求めよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

まず が と の間にあることを押さえる。各絶対値の中身の符号を判定してから外す。(2)は を使う。中身が負なら符号を反転して外す。

解答・解説

方針

どちらも、まず中身の符号を調べるのが出発点。 は なので、 を押さえる。(2)では (2乗の平方根は絶対値)であることが大事だ。 は ではなく だ。中身が負なら符号を変える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を見たら反射的に としたくなる。でも正しくは だ。中身が負なら符号が変わる。

だからこの問題の実質は「中身の符号調べ」になる。最初の仕事は の大きさの見当をつけること。、 だから、 は と の間にある。これで各絶対値の中身の正負が決まる。 は より

(1) 中身の符号を調べる。(負)、(正)。だから

が消えて1になる。

(2) ここでは、(2乗の平方根は絶対値)であることが大事だ。

、 なので、絶対値を外すと

まとめ: を、そのまま としてしまうのが最大のミス。必ず にして、中身の符号で判断する。

発展。 は、この先も2次関数やデータの分析(偏差の大きさ)で繰り返し使う基本の式だ。

そして別解の「距離の目」はもっと広く使える。絶対値の方程式・不等式の多くは、数直線上の距離の問題に言い換えられる。式で詰まったら図に描いて考える、という別の道を持っておくとよい。

答

(1) (2)

別解

(1)は、数直線の「距離」で読むと答えがすぐに分かる。 は と の距離。 は と の距離だ。 は と の間にある。間にある点から両端までの距離を足すと、区間の長さそのものになる。

つまり答えは 。計算するまでもなく、図の形だけで決まる。 が であることすら使っていない。「 と の間にある」という事実だけで十分、というのがこの見方の強さだ。

ポイント

  • 根号の入った絶対値はまず中身の符号を調べる()
  • (2乗の平方根は絶対値。 そのものではない)
  • 中身が負なら、符号を変えて外す

よくある間違い

  • を とする(正しくは )
  • 中身の符号を確かめずに絶対値を外す
  • の大きさの見当( と の間)をつけずに、どちらが大きいか決められないまま手が止まる

問3分母の有理化と根号の計算

★★ 標準有理化平方根

問題

次の式を計算せよ(分母に根号を含まない形にせよ)。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

(1)は上下に 。(2)は分母の符号を変えたものをかけて2項を消す。(3)は各項を別々に有理化してから足すと、うまく打ち消し合う。

解答・解説

方針

基本は基礎と同じ。分母が 1つなら上下に 、和・差なら符号を変えたものをかける。(3)のように2つの分数の和はそれぞれ有理化してから足すか、先に通分してまとめて有理化するか、どちらでもよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 有理化の道具選びは、分母の形で決まる。

根号1個なら同じものを掛ける。和や差なら、符号違いの式を掛ける。和と差の積で根号が消えるからだ。

(3)は2つの分数の和。それぞれ有理化してから足すか、先に通分してまとめて有理化するか。どちらでも解けるので、計算量を見比べて道を選ぶ。

(1) 分母に があるので、上下に をかける。

(2) 分母が 。符号を変えた を上下にかける。

(3) 2つの分数を、それぞれ有理化する。

足すと、 と が消える。

発展。 「符号違いの式を掛けて根号を消す」発想は、この先2回大きく再登場する。

1つは数学IIの複素数で、 と組になる (共役複素数)を掛けて分母を実数にする。もう1つは数学IIIの極限で、 型の式を、符号違いの式を掛けて変形する。どれも「分母(や差)を有理数に戻す」という同じ目的だ。

答

(1) (2) (3)

別解

(3)は計算の前に、形から結果を予言できる。2つの分数は、分母が と で符号違いの組になっている。この対称な形の和では、根号の項が必ず打ち消し合い、答えは有理数になる。

実際の計算は先に通分してまとめて有理化してもよい。

分母が と一度で有理化でき、こちらのほうが速いこともある。予言どおり、分子でも と が消えている。

ポイント

  • 分母が 1つ → 上下に 、和・差 → 符号を変えたもの
  • 2分数の和はそれぞれ有理化して足す(または先に通分)
  • 和と差のかけ算で分母の根号が消える

よくある間違い

  • 分母の符号を変えずに同じものを掛けて、根号が消えない
  • (3)で通分と有理化の順序を混乱させる
  • (2)で まで出して、最後の約分・整理をせずに答える

問4二重根号の簡約

★★ 標準二重根号

問題

次の式の二重根号を外して簡単にせよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

に戻す。『たして外の数・かけて中の数』の2数を探す。(2)は を の形に、(3)は中身を の形に整えてから。

解答・解説

方針

基本と同じ公式 。(2)は を に直して を作る。(3)は がなく、しかも作れないので、中を に直す工夫が要る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 二重根号を見たら、まず「 の形が作れるか」を確認する。外せる二重根号は、必ずこの形が隠れている。

(2)のように係数が でないときは、 と書き直して を作る。(3)は がなく、掛けても作れない。そこで中身を と分数に直す工夫が要る。「まず の形に整える」のが全問共通の最初の手順だ。

公式二重根号 (たして和・かけて積になる2数を探す)

二重根号を外す公式:

(1) たして11、かけて30の2数は6と5。

(2) には がないので、 と直して を作る。

たして9、かけて20の2数は5と4。

(3) は の前に を出せない。そこで、中身を2倍・2分の1して形を整える。

分子 はたして8・かけて15の5と3で 。分母の を有理化して

まとめ: が作れないときは、中を にして を作る、という一段上の工夫だ。

発展。 二重根号外しは の逆再生だ。「2乗すると根号が1段減る」という見方を裏返している。

この「2乗して根号を減らす」発想は、根号を含む方程式や、数学IIIの無理関数の扱いにつながる。1段ずつ根号を剥がしていく、という統一イメージで覚えておこう。

答

(1) (2) (3)

別解

公式を忘れても、「答えの形を予想して2乗で合わせる」やり方で外せる。外れた結果は の形のはず。これを2乗すると 。つまり「足して外の数、掛けて根号の中の数」になる2つを探せばいい。因数分解のときの2数探しと同じ頭の使い方だ。

(1)なら、足して ・掛けて になるのは と 。だから 。最後に検算として2乗してみる。 で元に戻るから正しい。予想して2乗で確かめる、この往復ができれば公式の暗記は不要になる。

ポイント

  • 二重根号は
  • のように を作る
  • が作れないときは、中を に直す

よくある間違い

  • (2)で を作らずに、そのまま2数を探して行き詰まる
  • (3)で最後の の有理化を忘れる
  • (2)を と答える(外側の根号は 以上なので、大きい から引いた が正しい)

問5整数部分・小数部分と式の値

★★ 標準整数部分・小数部分有理化

問題

とする。 の整数部分を 、小数部分を とするとき、次の問いに答えよ。

(1) 、 の値を求めよ。

(2) の値を求めよ。

ヒントを見る

まず有理化して を『整数』の形に。それを平方数ではさんで整数部分を出す。(2)は と変形すると、 の がきれいに消える。

解答・解説

方針

はこのままでは大きさがわからないので、まず有理化して見やすくする。すると 。あとは基礎と同じ。 が2と3の間なので、 は4と5の間 → 整数部分 、小数部分 。(2)は を作ると根号が消える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) のままでは、大きさすら分からない。まず有理化して、どんな数かを明らかにするのが先決だ。

有理化すると 。ここで初めて「 と の間の数」と分かる。あとは定義どおり。整数部分は 、小数部分は から を引いた残りだ。(2)は の式に を足すと根号だけになる形()に気づけると、計算がずっと軽くなる。

公式大小比較は差の符号か、有理化して形をそろえてから比べる

(1) まず を有理化して、大きさを見やすくする。

は なので、 は

よって整数部分 。小数部分は

(2) は、 の形にすると根号が消しやすい( になる)。

45xb
x=√6+2≈4.449。整数部分 a=4、小数部分 b=x−4

まとめ: となって、2乗すると根号が消える。

発展。 小数部分 には、いつでも という不等式が付いてくる。この範囲が小数部分のいちばん大事な性質で、応用問題ではこの不等式を中心に考える。

整数部分は「ガウス記号」という道具に一般化され、入試の応用問題で活躍する。「有理化して値を見る → 範囲を挟む → 引き算」という今回の3手は、その最初の型だ。

答

(1) 、 (2)

別解

(2)は工夫に気づけなくても、 と を別々に計算して足せば届く。

と が途中で消えて になる。そのまま計算しても根号が消える理由は、 と平方の形に直せるからだ。工夫するやり方でも、そのまま計算するやり方でも、同じ答えになる。

ポイント

  • 大きさがわからない式は、まず有理化して見やすくする
  • 整数部分・小数部分は、有理化した後に大小を調べる
  • と平方を作ると、根号が消しやすい

よくある間違い

  • 有理化する前に、 のまま大きさを判断しようとする
  • (2)で の形を作らず、そのまま代入して計算をこじらせる
  • 小数部分を と小数の近似値にしてしまう( と根号のまま正確に扱う)

問6対称式の値(基本対称式の利用)

★★ 標準対称式式の値

問題

、 のとき、次の式の値を求めよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

を個別に扱わず、 と を先に。 も も も、すべてこの2つで書ける。どの変形公式を使うかだけ選ぼう。

解答・解説

方針

対称式は と から求まる。まずこの2つを出す。(2)の は公式 を使う。(1)で求めた を利用する別解もある。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 求める式を見ると、どれも と を入れかえても変わらない(対称式)。

対称式と見抜けたら、個別に代入する道は捨てる。 と の2つをまず計算する道を選ぶ。実際、、 ときれいな値になる。3乗の和もこの2つの部品から変形で組み立てられる。

公式基本対称式 、 を先に求める。

まず基本対称式を求める。

(1) 。

(2) 。 なので

(3) は通分して 。(1)と結果を使って

対称式はまず と を出し、あとは公式に当てはめるだけ。

発展。 どんな対称式も と (基本対称式)だけで必ず書ける。これは定理として知られていて、今回の(1)〜(3)はその実例だ。

数学IIで「解と係数の関係」を学ぶと、2次方程式の係数から と が直接読み取れるようになる。対称式の技はそこでさらに役に立つ。

答

(1) (2) (3)

別解

(2)は別の公式 を使ってもよい。(1)の を利用して

(1)の結果がそのまま使えて、こちらのほうが計算が少ない。小問が並んでいるときは「前の結果を次で使えないか」を疑うと、こういう近道が見つかる。

ポイント

  • 対称式は と から。まずこの2つを求める
  • (または )

よくある間違い

  • を としてしまう( の補正を忘れる)
  • 、 を別々に3乗して、計算を複雑にする
  • (3)で通分して に直さず、分数のまま別々に有理化して遠回りする

問7x+1/x 型の対称式

★★ 標準対称式有理化

問題

のとき、次の式の値を求めよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

と を組にしてみる。まず を有理化して を出す。あとは2乗・3乗の和はこの 1つから組み立てられる。

解答・解説

方針

は と の対称式のようなもの。これさえ求めれば、 や は公式で出せる。まず を有理化して を求める。あとは などを使う( になるのがミソ)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の値は汚いのに、聞かれているのは の仲間ばかり。ここに出題の意図がある。

逆数との和は、有理化すると根号が打ち消し合って、きれいな値になることが多い。だからまず という「部品」を作る。部品さえできれば、2乗の和・3乗の和は公式の変形で芋づる式に出る。 単体を2乗・3乗する必要は最後までない。

(1) まず を求める。 の逆数なので 。これを有理化する。

よって

が消えて3。

(2) なので、。

(まん中の が出るのがポイント。)

(3) 。

まとめ: さえ求めれば、あとは公式で次々に出せる。 になるのが、この型のうまみだ。

発展。 を部品にする発想は、この先も何度も再登場する。数学IIの相反方程式では の置きかえが解法の中心になるし、指数の式 も同じ構造だ。

「大きいものと小さいものの対で1つの部品を作る」。この型を今のうちに手になじませておくと、あとで何度も助けられる。

答

(1) (2) (3)

別解

(3)は別の公式でも出せる。 で、(1)(2)の結果を使って

(1)の と(2)の がそのまま使えて、こちらもラクだ。3乗の公式を忘れたときは、 を自分で展開して余分()を引く、と現場で復元することもできる。

ポイント

  • を求めれば、、 は公式で出る
  • ( より)

よくある間違い

  • を出すときの を忘れて とする
  • の有理化を間違える
  • (3)の を と書いてしまい、 とする

問81次不等式の解法(分数・小数係数)

★★ 標準1次不等式

問題

次の1次不等式を解け。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

文字を左・数を右に集め、負の係数で割ると向きが逆になる。ここは基本どおりだ。(2)は分母をはらう、(3)は 倍して、まず係数を整数にしてから解く。

解答・解説

方針

1次不等式は文字を左・数を右に集め、 の係数で割る。負で割ると不等号の向きが逆になる、が最重要ルール。(2)は分数があるので、まず分母をはらって整数の式にする。(3)は小数なので10倍する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分数・小数のまま進めると、移項のたびにミスを呼ぶ。

最初の一手は「係数を整数にそろえる」だ。分数は分母の最小公倍数を掛けて払う。小数は 倍する。

整数にしてしまえば、あとは中学と同じ移項の作業。警戒するのは1点だけ、負の数で割るときに不等号の向きが逆になることだ。

公式1次不等式:負の数で割ると不等号の向きが逆になる

(1) 文字を左、数を右に集める。

(負)で割るので向きが逆になり

(2) 分数があるので、両辺に12(分母3と4の最小公倍数)をかけて分母をはらう。

の係数5は正なので、向きはそのまま。

(3) 小数があるので、両辺を10倍する。

(負)で割るので向きが逆になり

『負で割ると不等号が逆』を、毎回声に出して確認しよう。

発展。 不等式の変形が等式と違うのは、実は「負を掛ける・割ると向きが変わる」の1点だけだ。

この1点がこの先いろいろな姿で再登場する。2次不等式ではグラフの上下として、数学IIの対数不等式では底が より小さいときの反転として。「大小を保つ操作か、ひっくり返す操作か」を意識する習慣は、どの問題にも通じる。

答

(1) (2) (3)

別解

「向きの反転」がどうしても不安な人には、反転を一度も使わないルートがある。 の係数が正になる側に集めるのだ。(1) なら、 を右辺に集める。両辺から を引くと 。

さらに を引いて 。正の で割って 。これは と同じことだ。負で割る場面が最初から現れないので、向きを間違えようがない。

どちらの辺に集めるかはこちらの自由、という当たり前の事実を使うのが、ミスを防ぐいちばん確実な方法だ。

ポイント

  • 文字を左・数を右に集め、 の係数で割る
  • 負の数で割ると、不等号の向きが逆になる
  • 分数は分母をはらい、小数は10倍して整数に

よくある間違い

  • 負の数で割るとき、不等号の向きを変え忘れる
  • 分母をはらうとき、右辺の など一部の項に掛け忘れる
  • 解を出したあと、範囲内の具体値(たとえば (1) なら )を元の式に入れて向きを確かめる検算をしない

問9連立1次不等式と整数解の個数

★★ 標準連立不等式整数解

問題

次の連立不等式を解け。また、この連立不等式を満たす整数 は全部で何個あるか。

ヒントを見る

2つを別々に解いて共通範囲を出す。そのあと『範囲に入る整数を数える』。端が か かで、端の整数を含むか含まないかが変わる。数え間違いに注意。

解答・解説

方針

連立不等式は別々に解いて共通部分をとる。数直線でかくと重なりが見える。そのあと『整数が何個あるか』を聞かれているので、共通部分の中の整数を、端に注意して数える(≦か<かで端を含むかが変わる)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 問いは2段構えだ。まず範囲を出す。次に整数を数える。

範囲を出すまでは機械的でいい。2本を別々に解いて、共通部分をとる。数直線に描けば重なりが見える。

「数える」段になったら、注意すべきは端の扱いに変わる。 なら端を含む、 なら含まない。ここを最初から意識して数直線を描いておくと、最後で迷わない。

x-305
解 −3 ≤ x < 5 に含まれる整数は −3 から 4 までの 8 個

それぞれを別々に解く。

で割って向きが逆になり

もう1つは、分母2をはらってから整理する。

共通部分は

次に、この範囲の整数を数える。 は を含む(≦)、 は5を含まない(<)ので

の8個。端の等号(含む・含まない)に注意して数えるのがポイント。

発展。 「 個」という数え方は、植木算と同じ理屈だ。差だけだと片端が抜けるから を足す。

この数え方は、数学Bの数列で「項数を数える」場面にそのままつながる。連立不等式に整数条件が加わった応用問題(解の個数から定数の範囲を逆算する型)でも、端の検分と個数の算術が中心になる。

答

解は 、これを満たす整数 は 個

別解

整数の個数は書き出さずに引き算で数えることもできる。連続する整数 から までの個数は 個。「両端を含むから を足す」のがポイントだ。今回の範囲は 。含まれる整数は から まで(右端の は なので入らない)。

だから 個。書き出しは確実だが、範囲が広いと現実的でない。「端がどの整数になるかを確定 → 引き算 」の2段で数える方法も持っておくと、大きな数の問題でも同じ手が使える。

ポイント

  • 連立不等式は別々に解いて共通部分をとる
  • 整数の個数は、端の等号(≦か<か)で含む・含まないが変わる
  • 数直線でかくと、範囲と端が目で見える

よくある間違い

  • 端の を含めるか含めないかで数え間違える
  • 共通部分をとらず、片方の不等式だけで数えてしまう
  • 右端が (含まない)なのに整数 を数えて 個と答える

問10絶対値を含む方程式・不等式(基本形)

★★ 標準絶対値不等式

問題

次の方程式・不等式を解け。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

(1) は 。(2) は間、(3) は外側。 か かで、はさむのか外に分かれるのかを見分けてから解く。

解答・解説

方針

3つの型を使い分ける。方程式 は 。不等式 は間()、(や )は外( または )。

『等号は2本、小さいは間、大きいは外』を思い出そう。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 方程式と不等式が混ざっていても、絶対値の外し方の規則は3つだけだ。

は の2本。 は内側(間)。 や は外側。

手を動かす前に、それぞれの式がどの型かをラベリングする。「等号は2本、小さいは間、大きいは外」。型さえ確定すれば、あとは1次方程式・1次不等式の作業になる。

公式()

(1) は または 。だから または 。

(2)

x-32
(2) |2x + 1| < 5 ⇔ −5 < 2x + 1 < 5 ⇔ −3 < x < 2

は『間』の型。

各辺から1を引いて

各辺を2で割って

(3)

x147
(3) |x − 4| ≥ 3 ⇔ 4 からの距離が 3 以上 ⇔ x ≤ 1 または x ≥ 7

は『外』の型。中身 が 以下か、 以上。 から 。 から 。

よって または 。『等号は2本、小さいは間、大きいは外』の使い分けが、この単元の要だ。

発展。 「中心からの距離」という読み方は、次元を上げると図形になる。数学IIの図形と方程式では、平面上で「点からの距離が一定」が円になる。

は、いわば1次元の「円の内部」だ。絶対値の不等式を距離で読む習慣は、そのまま円や領域の理解につながっていく。

答

(1) (2) (3) または

別解

絶対値を数直線上の「距離」とみる方法もある。 は「 と の距離」。だから(1)は、距離がちょうど になる点を探せばいい。 から左右に 進んで 、すなわち 。

(3)は「 からの距離が 以上」。 から左右に 離れた と を境にして外側、つまり または と読み取れる。言い換えの公式を忘れても、距離のイメージから復元できる。

ポイント

  • は (2本)
  • は間 、()は外
  • 『小さいは間、大きいは外』で型を見分ける

よくある間違い

  • 『外』の型を間としてしまう(または逆にする)
  • (3)で か の一方を落とす
  • (2)の答え に等号を混ぜてしまう(元の式が なら端は入らない)

問11絶対値を含む方程式・不等式(場合分け)

★★ 標準絶対値場合分け

問題

次の方程式・不等式を解け。

(1)

(2)

ヒントを見る

右辺に があると、単純に では外せない。中身が正か負かで場合を分けて を外し、各場合で『その場合の条件( など)に合う解だけ』を残す。

解答・解説

方針

右辺に が入っている絶対値の方程式・不等式は、 の公式が使えない( が定数でないから)。そこで、中身の符号で場合分けして絶対値を外す。 なら、 のとき 、 のとき 。それぞれの場合で解き、最後に『その場合の条件』と合うものだけを残す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 右辺に が入っている。ここが前問までとの違いだ。

型の公式は、 が定数だから使えた。右辺が の式だと、負になる可能性があって丸写しできない。

そこで、中身の符号で場合分けして絶対値を外す方針に切り替える。各場合で解いたら、その解が「場合の前提」に合っているかを必ず照合する。この確認までが1セットだ。

重要右辺に文字がある絶対値方程式は、中身の符号で場合分けして絶対値を外す

右辺に があるので、中身の符号で場合分けする。

(1) 。

のとき: より 、。でもこれは を満たさないので不適。 のとき: より 、、。これは を満たすので適する。

よって 。(念のため確認: 、 で両辺が等しい。)

(2) 。

のとき: より 、。 と合わせて 。 のとき: より 、、。 と合わせて 。

2つの場合( と )を合わせると

まとめ:場合分けのコツは、各場合で出た解が『その場合の条件』に合うかを必ず確かめること。合わない解は捨てる。

発展。 「場合ごとに解いて、前提と照合する」作法は、この先の絶対値を含む2次関数や、数学IIIの微分でも同じ形で登場する。場合分けの本体は解くことよりも照合にある。

もう1つ、グラフで見る方法も役に立つ。(1)は の折れ線と直線 の交点の問題と見ることができる。図を描くと、交点が1つしかない理由まで目で分かる。

答

(1) (2)

別解

(1)は 型の言い換え「 かつ( または )」でも解ける。 すなわち のもとで、2本の方程式を解く。 からは 。これは を満たさず不適。

からは 、。これは を満たし適する。

よって と同じ結果になる。「右辺は 以上でなければならない」という条件を忘れないことが、この方法の注意点である。中身の符号で分けるか、右辺の符号で縛るか。分け方の軸が違うだけで、どちらも「絶対値の等式が成り立つ条件」を漏れなく数えている。

ポイント

  • 右辺に がある絶対値は、中身の符号で場合分けする
  • 各場合で解いた後、その場合の条件に合う解だけ残す
  • 不等式は各場合の解を最後に合わせる(つなぐ)

よくある間違い

  • 場合分けの条件に合わない解を、そのまま答えに残してしまう
  • 最後に2つの場合の解を合わせ忘れる
  • 出た答えを元の式に代入して確かめる検算を飛ばす(絶対値の問題では、代入による確認が特に役立つ)

問121次不等式の文章題(個数と代金)

★★ 標準文章題1次不等式

問題

1個150円のケーキと1個90円のシュークリームを合わせて15個買い、代金の合計を1800円以下にしたい。ケーキをできるだけ多く買うとすると、ケーキは最大何個買えるか。ただし、ケーキとシュークリームはどちらも1個以上買うものとする。

ヒントを見る

ケーキを 個とおくと、シューは 個。代金 を式にして の範囲へ。 は整数で、できるだけ大きい値を選ぶ。

解答・解説

方針

ケーキの個数を 個とすると、シュークリームは 個。代金が1800円以下、という条件を不等式にする。解いて、 が整数であることと、『どちらも1個以上』という条件に注意して、ケーキの最大個数を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 文章が長くても、構造は単純だ。「1つを とおけば、残りは自動的に決まる」型である。

個数の合計が 個と固定されている。だからケーキを 個とすれば、シュークリームは 個と書ける。未知数は1つで済む。

あとは「代金の合計が 円以下」を不等式で表す。答えは個数なので、最後に整数の条件で仕上げる。ケーキを 個買うとすると、シュークリームは 個。代金の合計を1800円以下にするので

解く。

は個数だから整数。 を満たす最大の整数は 。(このとき、シュークリームは 個で1個以上、代金は 円で1800円以下。条件をすべて満たす。)

まとめ:よってケーキは最大7個。文章題は『 とおく → 不等式 → 解く → 整数・現実の条件で答える』の流れ。最後に条件を満たすか確かめると安心だ。

発展。 「合計が固定なら未知数は1つ」という見方は、数学IIの軌跡と領域で学ぶ線形計画法の1変数版だ。条件が増えて2変数になると、領域と直線で最大最小を探す問題になる。

別解の「置き換え1回あたりの差額」という考え方は、変化の割合(1次関数の傾き)そのものでもある。文章題の式には、いつも具体的な意味が張り付いている。

答

ケーキは最大 個(このときシュークリームは 個、代金は 円)

別解

算数の「つるかめ算」の考え方でも解ける。置き換えの差額に注目するのだ。まず全部シュークリームだと考える。 個で 円。

シュークリーム1個をケーキ1個に置き換えるたびに、代金は 円ずつ増える。予算の余裕は 円。 だから、置き換えは 回まで。よってケーキは最大 個だ。

不等式と同じ答えに着く。式の変形が「置き換え1回あたり 円」という具体的な意味を持っていることが、このルートだとよく見える。

ポイント

  • ケーキ 個、シュー 個とおく
  • の最大整数は7(小数のまま答えない)
  • 求めた後、代金や個数の条件を満たすか確かめる

よくある間違い

  • から 個や 個と答えてしまう(個数は整数なので最大 個)
  • シュークリームの個数を とおけず、未知数を2つ作って行き詰まる
  • 『どちらも1個以上』の条件の確認を飛ばす( ならシュークリームは 個で条件を満たす)