数学I / 実数と1次不等式

実数と1次不等式 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 絶対値の和を最小にする(中央にそろえる)
  2. 相加相乗で下から押さえる不等式
  3. コーシー・シュワルツの不等式
  4. 有理化で望遠鏡和(根号の和)
  5. 入れ子の絶対値方程式の解の個数
  6. 3乗の和の不等式(因数分解と相加相乗)
  7. √の整数部分の和(床関数と数え上げ)
  8. 相加相乗を3項に分けて使う最小値

問1絶対値の和を最小にする(中央にそろえる)

実戦編実数と1次不等式絶対値最大・最小場合分け単元横断

問題

の最小値を求めよ。

ヒントを見る

は と の距離。 点 への距離の和が最小になるのはどこ? 数直線で考える(または区間で場合分け)。

解答・解説

方針

を数直線上の距離とみる。距離の和を最小にする点を考えるか、区間ごとに場合分けして 次関数の最小を調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「数直線上で から までの距離」。だから は点 から3地点 への距離の合計だ。

「3軒の家に近い場所を探す」と読み替えると、真ん中の家 に立つのがよさそうだ、と見当がつく。答案では絶対値を区間ごとに外して1次関数のつなぎ合わせ(折れ線)にし、どこで下げ止まるかを確かめる。

重要 は と の距離。複数点への距離の和は中央値(点が奇数個なら真ん中の点)で最小

① 区間で場合分け。 で絶対値を外すと、 は各区間で 次関数。傾きは順に 。

② 傾きの変化。 傾きが負から正に変わるのは の前後(傾き )。よって は で最小。

③ 最小値。

123最小は中央 x=2
3点1,2,3への距離の和 |x−1|+|x−2|+|x−3|。中央 x=2 で最小(=2)

まとめ を距離とみると、 点への距離の和は中央 で最小。最小値 。区間ごとの傾きが に変わる点でもある。絶対値と最大最小の融合。 個の点なら中央値で最小。

発展。 地点を増やして にしても、傾きの勘定はそのまま通り、最小は「中央値」で起きる( が偶数なら中央の2点の間ずっと最小)。データの分析で「絶対偏差の和は中央値で最小・平方偏差の和は平均で最小」と対で学ぶ事実の、前半の完全な証明がこの傾き勘定だ。

答

は「 から までの距離」。 点 への距離の和は中央の で最小。最小値は 。

別解

傾きを数えて折れ線を読む(場合分けせずに増減が見える)。 の傾きは、 が の左なら 、右なら 。3本の和の傾きは、その合計で

つまり左から順に と、地点を1つ通過するたびに ずつ増える。傾きが負から正に変わるのは で、そこが谷底になり、最小値は だ。

場合分けの計算(本解)をしなくても、「傾き=右の点の数−左の点の数」の勘定だけで谷の位置が読める。地点が 個なら谷は「中央の点」(偶数個なら中央の区間)になる。データの分析で学ぶ「絶対偏差の和は中央値で最小」も、この傾き勘定で説明できる。

ポイント

  • は と の距離。
  • 点への距離の和は中央 で最小。
  • 最小値 。

よくある間違い

  • 場合分けの境目()で関数の値が食い違う書き方をする(折れ線は連続。各区間の式を端点で検算)。
  • 「真ん中で最小」を直感のまま答えにする(場合分けか傾きの議論で、増減の根拠を書く)。
  • 最小値を場所()だけ答えて、値 を書き忘れる。

問2相加相乗で下から押さえる不等式

実戦編実数と1次不等式不等式相加相乗平均最大・最小単元横断

問題

のとき が成り立つことを示し、等号が成り立つ条件を求めよ。

ヒントを見る

展開すると 。 と は積が 。相加相乗で下から押さえる。

解答・解説

方針

左辺を展開して にし、 に相加相乗平均を適用する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 左辺を展開してみる: 。

残った は「正の数とその逆数の和」で、相加相乗平均がいちばん使いやすい形だ。 で全体は 以上。等号の条件まで、相加相乗の等号( つの数が等しい)から自動で降りてくる。

公式相加平均・相乗平均 (、等号は )

① 展開する。 ② 相加相乗を適用。 で積が だから ③ 結論。 よって 。等号は 、すなわち のとき。

まとめ展開して 、逆数の和に相加相乗で 。等号は 。不等式と相加相乗の融合。

発展。 個への一般化 は、コーシー・シュワルツの同じ代入で1行だ。両辺を で割ると「相加平均 調和平均」の形になり、相加相乗と合わせて の3段の鎖が完成する。並列抵抗・平均速度など、「逆数の平均」が現れる場面の基礎になる不等式だ。

答

展開すると 。相加相乗で だから全体 。等号は 、すなわち 。

別解

コーシー・シュワルツですぐに示す(次の問題との連携)。 この不等式はコーシー・シュワルツ()の直接の帰結でもある。 とおくと

等号は 、整理して のとき。展開+相加相乗(本解)は部品が最小限、コーシー・シュワルツは「和×逆数和 (個数)」という一般形( 個でも )がそのまま見える。この形は物理(合成抵抗)や統計で繰り返し出会う。

ポイント

  • 展開すると 。
  • は積 、相加相乗で和 。
  • 全体 、等号は 。

よくある間違い

  • 相加相乗を でなく と に別々に使い、 の形で等号条件の検討を雑にする(結論は出るが、等号が両方で同時に成り立つかの確認が要る)。
  • 相加相乗の適用条件(両項が正)への言及を落とす。
  • 等号条件を「」など誤った形で書く(、正だから)。

問3コーシー・シュワルツの不等式

実戦編実数と1次不等式不等式平方最大・最小単元横断

問題

実数 に対し が成り立つことを示し、等号が成り立つ条件を求めよ。

ヒントを見る

左辺 右辺を展開してみる。うまく整理すると つの完全平方 にまとまる。

解答・解説

方針

左辺 右辺を展開して整理すると、完全平方 になる。それが 以上であることから不等式が従う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 不等式の証明の基本は「差をとって 以上を示す」。

左辺 右辺を展開すると、 と は打ち消し合い、残った項がぴったり完全平方 にまとまる。

平方は 以上なので、これで証明が終わり、等号条件(、つまり2組の比が等しい)まで同時に手に入る。「差が平方の和に畳まれる」のは、有名不等式に共通の形だ。

重要不等式は差を計算し、完全平方 に帰着させる

① 差を展開する。 左を展開すると 、右を展開すると 。差をとると ② 不等式。 だから すなわち 。

③ 等号条件。 等号は 、すなわち ()。これは と が比例する(平行)ことを意味する。

まとめ差 。等号は (比例)。コーシー・シュワルツの不等式。不等式と平方の融合。

発展。 この不等式はベクトルの言葉で書くと ()になる。内積と大きさの関係、つまり の代数版だ。判別式ルートは文字数によらないので 次元でも同じ3行で通り、数B・数Cのベクトル、そして統計の相関係数()まで、この1本の不等式から出てくる。

答

両辺の差を計算すると 。等号は 、すなわち と が比例するとき。

別解

2次式の判別式から(「なぜ平方が出るのか」の理由)。 どんな実数 に対しても

は明らか。左辺を について展開すると

のとき、この2次式がすべての で 以上である条件は判別式 :

これは示したい不等式そのものだ( の場合は両辺 で自明)。等号は、ある で かつ 、すなわち が の定数倍のとき。

差の平方(本解)は最短の証明、判別式は「 個の2乗和でも同じ設計が通る」拡張性が売りだ。実際 から、 次元のコーシー・シュワルツが同じ3行で出る。

ポイント

  • 差 (ラグランジュの恒等式)。
  • 乗が 以上から不等式。
  • 等号は ( と が比例)。

よくある間違い

  • 展開の途中で の項を落とす(差にちょうど が現れて の交差項になる)。
  • 等号条件を「」とだけ書いて、 や が の場合の表現()に触れない。
  • 両辺が平方の形なので「両辺の平方根をとって 」から始めようとして、根号の扱いで迷子になる(差をとるのが先)。

問4有理化で望遠鏡和(根号の和)

実戦編実数と1次不等式有理化望遠鏡和数列単元横断

問題

の値を求めよ。

ヒントを見る

の分母・分子に を掛けると、分母が になり 。和は隣どうし打ち消す。

解答・解説

方針

各項の分母を有理化する。 に を掛けると になり、和が望遠鏡的に縮む。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母に根号の和が並んだら、有理化が合図だ。分子分母に を掛けると、分母は で消えて 。

各項が「隣り合う量の差」に変わった。足すと途中がすべて打ち消し合い(望遠鏡)、最初と最後だけが残る。。

重要

① 有理化。 各項は 。

② 望遠鏡和。 から まで足すと 中間の がすべて打ち消し合い、

まとめ各項を有理化すると の差になり、望遠鏡和で両端 だけ残る。有理化と数列(望遠鏡和)の融合。

発展。 「分母の和を有理化すると差になる」仕掛けは、分母が (差が2)なら と2つ飛びの望遠鏡になる、というように自在に変形できる。また各項 は約 だ。この観察を逆向きに使うと、 を 程度と評価する不等式(最難関編でよく出る)につながる。

答

各項を有理化すると 。和は望遠鏡的に打ち消し合い 。

別解

部分和を予想して帰納法で確かめる(答えから逆走する)。 最初の数項を足してみる。

と予想できる。帰納法で確かめると

(2項目は有理化。)予想が再生産されて閉じる。 で 。

一括の望遠鏡(本解)が見えないときでも、「数項計算 → 形を予想 → 帰納法」は必ず前に進める迂回路だ。なお似た形の は等式にならず、不等式ではさむしかない(最難関編の類題)。本問がぴったり消えるのは、分母が「隣の和」だからだ。

ポイント

  • (有理化)。
  • 差の和は望遠鏡的に打ち消し合う。
  • 残るのは 。

よくある間違い

  • 有理化の符号を誤って (負)にする(分子分母に掛けるのは「大きい方−小さい方」)。
  • 望遠鏡で残る項を 絡みと勘違いする(最後の項は 、残るのは と先頭の )。
  • 項数(99項)を100項と数える(分母は で から )。

問5入れ子の絶対値方程式の解の個数

実戦編実数と1次不等式絶対値解の個数場合分け単元横断

問題

を実数の定数とする。方程式 の実数解の個数を、 の値によって分類せよ。

ヒントを見る

のグラフは W 字(谷が で 、 で )。水平線 との交点の個数を、 の高さで場合分け。

解答・解説

方針

を 、すなわち と外し、さらに の解の個数を数える。または W 字グラフと水平線 の交点で数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 入れ子の絶対値は、外側から1枚ずつ外す。 は、まず が必要で、外すと 、すなわち または 。

あとは の解の個数( で2個、 で1個、 で0個)という対応表で、2つの値それぞれを数えて合計する。グラフ(W字と水平線)で数える道もあり、両方で照合すると数え漏れが消える。

重要 の解の個数 W 字グラフ と水平線 の交点の個数

① 外して整理する。 のとき または 。

xyOy=a
y=||x|−2| は W 字。水平線 y=a との交点の個数が解の個数。0<a<2(例 a=1)で4個。

② (値)の解の個数。 は、 で 個()、 で 個、 で 個。

③ 場合分け。

  • :右辺が負で解なし。 個。
  • : のみ、。 個。
  • :(、 個)と (、 個)。 個。
  • :( 個)と ( 個)。 個。
  • :( 個)のみ( は解なし)。 個。

まとめ W 字グラフと水平線 の交点で数える。 の高さで 個と変わる。絶対値と解の個数(グラフ)の融合。

発展。 「パラメータ を動かして解の個数を数える」問題の一般原理は、個数が変わるのは水平線が山・谷・折れ目に触れる瞬間だけ、ということ。境目は、2次関数なら接するとき(判別式0)、絶対値なら折れ目だ。境目の を全部拾い、各区間で1点ずつ試せば個数マップが完成する。この設計図は3次方程式の解の個数(定数分離)でそのまま再登場する。

答

は W 字型のグラフ。水平線 との交点の個数で、:0、:2、:4、:3、:2。

別解

グラフを描いて水平線を上下させる(全体像が1枚に)。 のグラフを組み立てる。(V字)→ 下げて → 負の部分を折り返して とすると、谷2つ( で高さ0)と山1つ( で高さ2)のW字になる。

水平線 を下から上へ動かすと、交点の個数は

  • : 0個 → : 谷の2点 → : 4個 → : 山の頂点を通り3個 → : 2個

個数が変わるのは、水平線が谷や山にちょうど触れる瞬間だけ。対応表(本解)は場合分けの見落としを防ぎ、グラフは「なぜその境目で変わるのか」を一目で示す。両方で数えて一致したら、答えはまず間違いない。

ポイント

  • 。
  • W 字グラフと水平線 の交点で数える。
  • :0、:2、:4、:3、:2。

よくある間違い

  • の右辺の符号( との大小)の場合分けを忘れ、 でも2個と数える。
  • のとき と が同じ値になる重複を2重に数えて4個とする。
  • 境目 の「ちょうど接する」場合を、両側の個数のどちらかと同じだと思い込む(頂点・谷を通る瞬間は個数が独自の値になる)。

問63乗の和の不等式(因数分解と相加相乗)

実戦編実数と1次不等式不等式因数分解相加相乗平均単元横断

問題

のとき が成り立つことを示し、等号が成り立つ条件を求めよ。

ヒントを見る

。第 因子は で 以上。

解答・解説

方針

因数分解 を使い、第 因子が平方の和で 以上であることを示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 差 には、名高い因数分解がある: だ。

第1因子は から 以上。第2因子は と平方の和に書けて、これも 以上。積は 以上なので、不等式と等号条件()が一度に出る。

重要

① 因数分解。 ② 各因子の符号。 より 。第 因子は (平方の和)。

③ 不等式と等号。 積が 以上だから 、すなわち 。等号は第 因子が 、すなわち ( は でこれも含む)。

まとめ因数分解して「」×「平方の和 」だから 。等号は 。不等式と因数分解(相加相乗)の融合。

発展。 と置き換えれば、この不等式は となり、3変数の相加相乗平均そのものだ。つまり3変数の相加相乗平均の不等式は、この因数分解1本で示せる。 変数への一般化は対数の凸性(接線 )経由の証明を数IIIで学ぶ。

答

。等号は 。

別解

2変数の不等式を部品にして組み上げる(因数分解を知らなくても)。 まず2変数で

これを3組 に使って足すと

右辺の6項に相加相乗平均(6項版)を使うと

つないで 、両辺を2で割って結論。等号はどちらの段でも 。因数分解(本解)は1行で決まる方法で、2段組みは「2変数の簡単な部品から3変数を組む」方法だ。因数分解を思い出せないときでも、部品の組み立てなら再現できる。

ポイント

  • 。
  • 第 因子 。
  • 、等号 。

よくある間違い

  • 因数分解の第2因子を「正」と書く( で になる。「 以上」が正確で、そこが等号条件)。
  • 等号条件を だけにする( 側、すなわち非負条件下では の場合も等号になる。結局 に含まれるが、因子ごとの検討を見せる)。
  • の を落として係数が合わなくなる。

問7√の整数部分の和(床関数と数え上げ)

実戦編実数と1次不等式整数部分床関数数え上げ単元横断

問題

を を超えない最大の整数(ガウス記号)とする。 を求めよ。

ヒントを見る

となるのは 、すなわち が 個。 から まで、最後 は 。個数と値を掛けて足す。

解答・解説

方針

の値が になる の範囲()を数え、 を で合計する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、 が平方数に達するたびに1増える階段だ。 の順に足すのではなく、同じ値をとる の群れごとに「値×個数」で足す。

になるのは のときで、個数は 個。ただし でちょうど の群れが始まった直後に切れるので、端の群れだけ1個で別扱いする。

重要、その は 個

① 値ごとに個数を数える。 では となる が 個( から まで)。 だけ で 個。

② 和を作る。 ③ 計算する。 。よって

まとめ の は 個。値×個数を足して 。整数部分(床関数)と数え上げの融合。 を用いた。

発展。 上限を一般の にすると で、およそ となる。「 の和」と同じように、増え方のオーダーまで読める。この「階段の和=長方形領域の格子点」の見方は、約数の個数の和など、ガウス記号を含む数え上げで広く使える。

答

。 となる は 個()、 は の 個。和は 。

別解

数える向きを交換する(端の場合分けが消える)。 は「 以下の平方数の個数」と言いかえられる:

だから和は条件 を満たす組 の総数。 ごとでなく ごとに数え直すと、 を固定したとき は から までの 個:

本解で必要だった「 の群れは1個だけ」という端の別扱いが、この向きでは式の中で自然に処理される( で )。群れで数えるか、向きを交換するかは二重数えの表を縦に読むか横に読むかの違いだ。

ポイント

  • ( 個)。
  • 値ごとにまとめて「値 × 個数」を足す。
  • 。

よくある間違い

  • 端の群れを丸ごと 個と数える( の1個だけ)。
  • 群れの幅を とする()。
  • の計算で と の公式の代入を焦って誤る(検算: 個数の合計 )。

問8相加相乗を3項に分けて使う最小値

実戦編実数と1次不等式不等式相加相乗平均最大・最小単元横断

問題

のとき の最小値を求めよ。

ヒントを見る

に 項の相加相乗を使うと積に が残る。 と割って 項 にすると積が によらず一定に。

解答・解説

方針

項のまま相加相乗を使うと積に が残る。 を と つに割って 項にし、積が定数()になるように分ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) そのまま2項で相加相乗を使うと となり、右辺に が残って最小値にならない。

相加相乗で最小値を出すには、積が定数になる割り方が要る。 を と2つに割ると、3項の積は となり、定数になる。3項の相加相乗で 。等号は3項が等しいとき()で、実現も確認できる。

公式 項の相加相乗 (、等号は )

① 項に分ける。 で ② 相加相乗。 項の積は 。よって ③ 等号と最小。 等号は 、すなわち 、、。よって最小値は ( のとき)。

xyO最小3
y=x+4/x²(x>0)。最小値3(x=2)

まとめ相加相乗は積が定数になるように分ける。 を と割って 項にすると積 、最小値 ()。不等式と最大最小の融合。

発展。 一般に …と、べきの比率に合わせて項を割るのが相加相乗の設計のしかただ( と なら で割ると積から が消える。本問の がその例)。微分を学べば からも が出るが、「積が定数になる割り方の設計」なら微分なしで最小値を言い切れる。数Iの範囲の方法だが、先の学年でも役に立つ。

答

と つに割り、 に 項の相加相乗を使うと 。等号 で最小 。

別解

因数分解で直接示す(等号の点から逆算した完全証明)。 最小値が (等号 )と見当がついたら、 を差の因数分解で言い切れる。

分子は で (等号の点)だから で割れて、実は2重に割れる:

よって では

等号は のみ。最小値の候補で差を作ると、等号の点が2重根になって現れる。これは接するときの重解と同じ構造で、相加相乗の割り方(本解)がなぜ だったのか( 項が等しくなる点が )の裏付けにもなっている。

ポイント

  • 相加相乗は積が定数になるように項を分ける。
  • で 項、積 。
  • 最小値 、等号 。

よくある間違い

  • 2項のまま相加相乗を使って 型の「 が残る下界」を最小値と誤認する(下界は正しいが、等号が成り立つ が存在しない)。
  • 3項に割った後、等号成立(、)の確認を落とす。
  • 割り方を など積が定数にならない形にして、相加相乗の右辺に が残る(「積=定数」から逆算して割る)。