数学I / データの分析

データの分析 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 分散の変形(2乗の平均−平均の2乗)
  2. 相関係数は−1以上1以下(判別式)
  3. 偏差平方和を最小にする値は平均
  4. 偏差の絶対値の和を最小にする値は中央値
  5. データの1次変換と標準化(相関係数の不変性)
  6. 2組のデータを合併したときの分散
  7. 平均から離れた値の割合の上限(チェビシェフ)
  8. 和のデータの分散(共分散が現れる)

問1分散の変形(2乗の平均−平均の2乗)

実戦編データの分析分散平均式変形単元横断

問題

個のデータ の平均を 、分散を とする。(「 乗の平均」引く「平均の 乗」)が成り立つことを示せ。ただし とする。

ヒントを見る

を する。、 は定数。

解答・解説

方針

分散の定義 を展開し、、 を代入して整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 定義どおりの分散 を、展開して整理するだけの証明だ。

展開すると 。使う事実は2つ: (平均の定義の言い換え)と、。代入すれば真ん中が 、最後が になり、合わせて 。

重要、

① 定義を展開。 ② を分配。 は定数だから (途中 を使った。)

③ 整理。

まとめ偏差 乗の平均を展開し を代入すると 。実際の分散計算はこの形が速い。分散と式変形の融合。

発展。 仮平均の恒等式 は、「どの基準で測っても、散らばりの最小記録は平均のとき」という次問の内容を先取りしている。統計的な推測(数B)では、この式の確率変数版 が同じ形で再登場する。記号は変わっても、恒等式としては同じものだ。

答

を展開し、 を使うと 。

別解

仮平均の恒等式の特別な場合と見る。 どんな値 を基準に測っても

という恒等式が成り立つ(展開すると交差項が で消える)。ここで とおくと、左辺は 、右辺は となる。移項すれば示す式そのものだ。

つまり「2乗の平均 平均の2乗」とは、基準点 で測った散らばりから、平均のずれの分を差し引いたもの。この恒等式は次の問題(偏差平方和の最小)でも中心になる式で、実務では「仮平均法」(計算しやすい仮の平均で測ってから補正する)として電卓時代の分散計算に使われた。

ポイント

  • を展開。
  • 、 は定数。
  • 。

よくある間違い

  • を とする( は定数なので和は 。 と合わせて が1個残る)。
  • の置き換えを忘れ、真ん中の項が にまとまらない。
  • 記号 (2乗の平均)と (平均の2乗)を途中で混同する。

問2相関係数は−1以上1以下(判別式)

実戦編データの分析相関係数2次関数判別式単元横断

問題

変量データの相関係数を ( は共分散、 は標準偏差)とする。 が成り立つことを示せ。ただし とする。

ヒントを見る

は常に 。展開すると の 次式。すべての で なら判別式は?

解答・解説

方針

偏差の 次結合の 乗和 を の 次関数とみる。すべての で なので判別式 、これが を与える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「2乗の和はつねに 以上」という当たり前を、 の2次関数に仕込むのがこの証明の設計だ。

を展開すると

となり、係数に分散と共分散が現れる。すべての で だから判別式 : 。両辺の平方根をとれば だ。

重要 次関数 ()がすべての で 判別式

① 乗和の関数。 展開して を分配すると ここで 、、。

② 判別式。 で上に凸でなく、すべての で だから判別式 : ③ 結論。 両辺を で割ると 、すなわち 。ゆえに

まとめ偏差の 次結合の 乗和 を判別式の条件に書き直すと 、。相関係数と 次関数(判別式)の融合。

発展。 の描像から、回帰直線(散布図に最も沿う直線)の傾きが になることも見通せる( の 方向への正射影)。 は「 の散らばりのうち直線で説明できる割合」(決定係数)を表す。相関係数に関係する統計の道具は、どれもこの 次元の直角三角形から導かれる。

答

(すべての )。判別式 から 、。

別解

偏差ベクトルの「なす角」と見る(コーシー・シュワルツ)。 偏差を並べた 次元のベクトル

を作ると、、、。つまり

つまり、相関係数は偏差ベクトルのなす角の余弦そのものだ。(コーシー・シュワルツの不等式)から が即座に出る。

の2次式(本解)はこのコーシー・シュワルツの標準的な証明を分散の言葉で実行したもの。 の描像を持つと、「 ⟺ ベクトルが平行 ⟺ 点が一直線上」という等号条件の意味も、 が「直交」であることも、一目で見えるようになる。

ポイント

  • 。
  • 展開すると 。
  • 判別式 で 、。

よくある間違い

  • から判別式 とする(等号=全点が一直線、のとき判別式 。 が正しい)。
  • (全データが同じ値)の場合を無視する(本問は の仮定つきなので、仮定を使う場面を明示する)。
  • から へ移るとき、平方根と絶対値の処理()を雑にする。

問3偏差平方和を最小にする値は平均

実戦編データの分析平均2次関数最小単元横断

問題

個のデータ に対し、 を最小にする を求め、そのときの最小値を求めよ。

ヒントを見る

を展開すると の 次関数(下に凸)。平方完成の頂点の は? そのときの値は分散。

解答・解説

方針

を の 次関数として展開し、平方完成する。頂点の が最小を与え、最小値が分散になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は の2次関数だ。データの問題に見えるが、中身は平方完成の問題になる。

展開すると 。平方完成して

。最小は (平均)のときで、最小値は 、つまり分散そのものである。「平均は、平方誤差でデータに一番近い1点」という統計の基本的な性質が、放物線の頂点として現れる。

重要(下に凸、頂点 )

① の 次関数に。 ② 平方完成。 ③ 最小。 だから、(平均)で最小。最小値は

xyOa=平均で最小
Σ(xᵢ−a)² は a の2次関数。a=平均 のとき最小(偏差平方和は平均で最小)

まとめ は の下に凸な 次関数、頂点 で最小、最小値は分散 。平均は「 乗ずれを最小にする点」。平均と 次関数(平方完成)の融合。

発展。 「平方誤差の最小=平均」と、次問の「絶対誤差の最小=中央値」は、誤差の測り方(2乗か絶対値か)で最良の代表値が変わる、という対をなす。外れ値に平均が引きずられ中央値が頑健なのも、この2つの最小化問題の性格の違いから来ている。代表値を選ぶことは、「どの誤差を最小化したいか」を選ぶことにあたる。

答

。(平均)で最小、最小値は分散 。

別解

交差項が消える分解で(平方完成の仕組み)。 偏差を「平均まで」と「平均から まで」に付け替える:

2乗して平均すると、交差項は (偏差の和は )で消え

すると という分解の恒等式が出る。第2項は で 、それ以外では正。よって最小は平均で、最小値は分散。

平方完成(本解)と同じ結論だが、この形は「誤差 本来の散らばり 基準のずれの2乗」という分解として読める。統計学で繰り返し現れる「平方和の分解」の、いちばん簡単な例だ。

ポイント

  • 。
  • 最小を与える (平均)。
  • 最小値は分散 。

よくある間違い

  • 交差項 が になる理由(偏差の和=0)を書かずに消す。
  • 最小値を「」と答える(最小値は分散 。 になるのは全データが等しいときだけ)。
  • の最小を微分で求めようとする(数Iでは平方完成。結論は同じだが道具の選択)。

問4偏差の絶対値の和を最小にする値は中央値

実戦編データの分析中央値絶対値最小単元横断

問題

相異なる実数 に対し、 を考える。 が奇数のとき を最小にする を求めよ。

ヒントを見る

を少し増やすと、 より小さい点それぞれから距離が 、大きい点それぞれから 。傾き (左の個数)(右の個数)。これが をまたぐのは?

解答・解説

方針

は折れ線(区分的に 次)。 の左にある点の個数と右にある個数の差が傾き。傾きが負→正に変わる点(中央値)で最小。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は絶対値の和なので、グラフは折れ線(区分的に1次)だ。増減は傾きで読む。

がデータ点でない場所での傾きは、 ごとの の合計: 左に 個・右に 個なら傾き 。

が左から右へ動くと、傾きは から へ、点を通過するたび ずつ増える。 が奇数なら、傾きが負から正に変わるのは中央値のところで、そこが谷底になる。

重要 の傾き (左の点の個数)(右の点の個数)。負→正の切り替えで最小

① 傾きを読む。 のとき、 より左に 個、右に 個。 を微小に増やすと の変化率(傾き)は ② 符号の変化。 、。 が小さい( 小)ときは負、大きい( 大)ときは正。傾きが負から正に変わる所で最小。

③ 中央値。 が奇数なら、 で傾き負、 で傾き正。境目の点 (中央値)で最小。

137中央値=最小
Σ|xᵢ−a| はデータ 1,3,7 の中央値 a=3 のとき最小(偏差の絶対値の和は中央値で最小)

まとめ の傾きは左右の個数差 。負→正に変わる中央値 で最小。「絶対値ずれ」の最小は中央値。中央値と絶対値関数(折れ線)の融合。

発展。 が偶数のときは、中央の2点の間のどこでも最小になる(傾きが の平らな区間ができる)。「中央値」を中央2点の平均と定義するのは、この最小区間の代表を1つ選ぶ約束事だ。また本問の折れ線の議論は、実数と1次不等式で学んだ の最小と同じものだ。3点から 点へ一般化したものを、統計の言葉で言い直した形になる。

答

を動かすと、 より左のデータ数と右のデータ数の差が傾きを決める(左 個・右 個で傾き )。 奇数では中央値 で傾きが負から正に変わり最小。

別解

外側からペアで押さえる(はさみの下界)。 最小と最大をペアにすると、三角不等式から

同様に内側へ: (等号は がこの区間内)、…と外側から順にペアを組む。 が奇数なら、最後に中央の1項 (等号は 中央値)が残る。

全部の等号を同時に成り立たせられる は、すべての入れ子区間に属し、かつ中央値に一致する点だ。つまり 中央値である。そのとき最小値は「外側ペアの差の総和」 になる。

傾きの勘定(本解)は増減を追う解析の道、ペアリングは「どの項がどれだけ下がれるか」を幾何(距離)で見る道。等号条件の入れ子構造まで見えるのが、この論法の御利益だ。

ポイント

  • は区分的 次(折れ線)。
  • 傾き (左の個数)(右の個数)。
  • 傾きが負→正の中央値 で最小。

よくある間違い

  • が偶数の場合の感覚(中央の2点の間ならどこでも最小)を奇数の場合に混ぜて、「中央の区間」と答える(奇数なら1点)。
  • 傾きの変化を「点を通るたび 」とする(各 の傾きが と変わるので )。
  • データが相異なる(同順位なし)という仮定を使っている箇所を意識しない(重複があれば傾きの跳びが 重複数になる)。

問5データの1次変換と標準化(相関係数の不変性)

実戦編データの分析1次変換相関係数標準化単元横断

問題

データ を ()、 を ()と変換する。 と の相関係数 がもとの と の相関係数 と一致することを示せ。

ヒントを見る

。共分散 。標準偏差は 。比をとると?

解答・解説

方針

次変換で標準偏差は 倍・ 倍、共分散は 倍になることを偏差から示す。相関係数は比なので係数が約分される。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 相関係数は という比。だから「1次変換で分子と分母が同じ倍率で変わる」ことを言えば、比は変わらない。

偏差で追うと: (切片 は平均ごと消える)。よって標準偏差は ()、共分散は 。比をとれば が約分されて 。

重要(定数 は偏差から消える)

① 偏差の変換。 なので 。同様に 。

② 共分散・標準偏差。 ③ 相関係数。

まとめ 次変換で偏差が 倍 → 共分散 倍・標準偏差 倍、比の相関係数では約分されて 。相関は位置と尺度に依らない。相関係数と 次変換の融合。

発展。 標準化 は「平均0・標準偏差1」の共通のものさしへの乗り換えで、実用では偏差値()がその代表だ。(符号を反転する変換)では の符号だけが反転する( は不変)。「相関の強さは単位に依らず、向きは軸の向きに従う」とまとめれば、変換の影響が整理できる。

答

、共分散 。。

別解

「標準化してから測る量」と読む(定義の再解釈)。 データ の標準化(平均 ・標準偏差 への変換)を とすると、相関係数は

つまり、標準化データの積の平均として書ける。ここで ()の標準化を計算すると となり、標準化は1次変換を完全に吸収して不変である。よって も不変だ。

係数の約分(本解)は計算による確認、標準化の視点は「 は単位や原点の取り方を消してから測る設計になっている」という定義の思想の説明。摂氏を華氏に変えても、cmをインチに変えても相関が変わらないのは、この定義のためだ。

ポイント

  • 定数 は偏差 で消える。
  • 。
  • (相関は不変)。

よくある間違い

  • の場合を考えずに とする(一般には 倍。本問は の仮定があるので、仮定を使ったことを明示する)。
  • 切片 が共分散に影響すると思って項を残す(偏差をとった瞬間に消える)。
  • 結論だけ覚えて「なぜ比だと不変か」(分子分母が同じ 倍)を説明できない。

問62組のデータを合併したときの分散

実戦編データの分析分散加重平均合併単元横断

問題

同じ大きさ の 組のデータ がある。 の平均は 、分散は 、 の平均は 、分散は とする。 と を合わせた 個のデータ全体の分散 を、 で表せ。

ヒントを見る

各組で 。全体の 乗平均は 組の平均。全体平均 。。

解答・解説

方針

「 乗の平均−平均の 乗」を使う。各組の から全体の 乗平均を出し、全体平均の 乗を引く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 合併データの分散を定義から直接計算すると、和の分割が煩雑だ。「2乗の平均 平均の2乗」の変形を経由すると流れ作業になる。

各組で (分散の変形の逆読み)。同じ大きさ どうしの合併だから、全体の2乗平均は2組の単純平均:

。全体平均 の2乗を引けば、合併の分散が出る。

重要各組で 。全体で

① 全体平均。 大きさが等しいので ② 全体の 乗平均。 各組で 、。全体では ③ 分散。 後半は 。よって

まとめ合併分散 (各分散の平均)。組内のばらつきに、組の平均差による項が加わる。分散と式変形(合併)の融合。

発展。 サイズが と異なる一般の合併では、重み を使って となる。群内・群間の2階建て構造は同じで、重みが付くだけだ。この分解を多群に広げたものが分散分析(ANOVA)で、「差は群の中の揺れか、群の間の差か」を切り分ける統計学の主要道具になっている。

答

全体平均 。。。

別解

「群内+群間」の形に整理する(分散の2階建て分解)。 本解の結果を整理し直すと

という2階建てになる(検算: の恒等式)。

読み方: 合併データの散らばりは「各組の中での散らばり」と「組どうしの平均のずれ」の2つの寄与の和になる。平均が同じ()なら分散の単純平均で、平均が離れているほど合併の分散は大きくなる。

この「群内・群間」の分解は統計学で分散分析と呼ばれる手法の基礎になっている。公式を丸暗記せず、2階建ての構造で持っておくと、組のサイズが違う一般の場合にも(重みを付けて)自力で再構成できる。

ポイント

  • 各組で 。
  • 全体平均 、。
  • 。

よくある間違い

  • 合併の分散を「分散の平均 」と答える(平均のずれの項 が抜けている。これは のときだけ正しい)。
  • 全体平均を とする(同数の合併なら平均の平均 )。
  • 組のサイズが違う設定(重み付き)に公式を丸写しする(本問の式は同数専用。一般には重み 等が付く)。

問7平均から離れた値の割合の上限(チェビシェフ)

実戦編データの分析分散不等式個数評価単元横断

問題

個のデータの平均を 、標準偏差を とする。平均から 以上離れた値、すなわち ()となるデータの個数を とするとき、 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

の和を、 の項だけに減らしても和は小さくなるだけ。その各項は 以上。

解答・解説

方針

分散の定義の和を、条件を満たす項だけに絞って下から評価する。各項は 以上なので、 個分で 以上。これを と比べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「離れた値は多くない」を示したい。手がかりは、分散の定義の和が全項 以上であることだ。全体の和は一部の項だけの和より小さくならない。

条件 を満たす項だけに絞ると、各項は 以上。 個あるから

。整理すれば 。「大きい項だけで総和を下から押さえる」という、評価の基本の操作1つで結論に届く。

重要非負の和は一部の項だけ残しても全体以下:

① 分散の和を絞る。 すべての項は非負なので、条件 を満たす 個の項だけ残すと ② 各項を下から評価。 残した各項は 。 個あるので ③ 結論。 以上より 。 で割って

まとめ分散の和を条件を満たす項だけに絞り、各項を で下から押さえると 。ばらつき(分散)が外れ値の割合を縛る。分散と不等式の融合。

発展。 チェビシェフの不等式は分布の形を一切仮定しない普遍の上界で、その分だけ荒い( で 以下)。分布が正規分布と分かっていれば「 の外は約 」とずっと鋭く言える(数Bの正規分布)。この2つの数字を比べると、「仮定が強いほど結論は鋭く、仮定が弱いほど適用は広い」という統計の基本的なトレードオフが分かる。

答

。よって 、。

別解

等号が成り立つ例を作る(不等式の鋭さの確認)。 この上界 はこれ以上改良できない。等号が成り立つデータを実際に作ってみよう。

個のうち、 に 個、 に 個、残り 個を に置く。平均は 、分散は 。ここで となるように選ぶと 、つまり となる。「平均から 以上離れた値」はちょうど の 個で

「証明できた不等式は、等号例を作って鋭さを確かめる」。こうすると、不等式が「上から押さえた」だけでなく、これ以上改良できない最良の評価だと分かる。分布の形を一切仮定しないチェビシェフの普遍性と、その代償(荒さ)の両方が、この例によく表れている。

ポイント

  • 分散の和のうち条件を満たす項だけ残す(和は減るだけ)。
  • 各項は 以上、 個で 以上。
  • から 。

よくある間違い

  • 和を絞るとき、残した項を 「以下」と評価する(条件 の項は 以上)。
  • の仮定なしに で割る。
  • 結論を「 以上離れた値は存在しない」と読み違える(存在してよい。割合が 以下、という主張)。

問8和のデータの分散(共分散が現れる)

実戦編データの分析分散共分散和のデータ単元横断

問題

変量データ ()について、和 のデータの分散 を、 の分散 、 の分散 、共分散 で表せ。また、 が最大・最小になるのはどんなときか、相関係数 の言葉で述べよ。

ヒントを見る

。 乗を平均すると、交差項が共分散になる。 で を 〜 に。

解答・解説

方針

偏差 を 乗して平均。展開すると分散 つと共分散 倍。 と で最大最小。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 和のデータ の偏差は、偏差の和になる:

( だから)。2乗して平均をとれば、 の展開そのままに

で、分散2つと共分散の2倍の和になる。 と を使えば、最大・最小も読める。

重要、()

① 偏差の和を 乗平均。 より (交差項 。)

② 相関で書き直す。 を入れて ③ 最大・最小。 で、

  • のとき最大 ( が完全に同じ向きに動く)。
  • のとき最小 ( が完全に逆向きに動き、ばらつきが打ち消し合う)。

まとめ 。 で最大 、 で最小 。分散と共分散・相関の融合。

発展。 差 なら符号が変わって となる。正の相関があるペアの「差」は安定する(誤差の相殺)。無相関()なら と分散が足し算になり、これが数Bで学ぶ「独立な確率変数の分散の加法性 」の原型。測定を 回平均すると誤差が に縮む、という実験科学の大原則もこの考え方から出てくる。

答

の 乗平均から 。、 より、 で最大 、 で最小 。

別解

偏差ベクトルの「余弦定理」と見る。 前問(相関係数)の描像(偏差ベクトル とそのなす角 、)を使うと、 の偏差ベクトルは で

これはベクトルの和の長さの公式(余弦定理)そのものだ。 で割れば

最大は (、同じ向き)で 、最小は (逆向き)で となる。「2本のベクトルを足すと、平行なら長さが足し算、逆向きなら引き算」という図形の直感が、そのまま分散の増減に対応している。

展開計算(本解)が答案の本文、ベクトルの絵は「なぜ共分散が2倍付くのか( の交差項)」の記憶術。相関・分散・共分散が 次元の三角形1枚の上で統一される。

ポイント

  • (交差項が共分散)。
  • 、。
  • 最大 ()、最小 ()。

よくある間違い

  • 共分散の項を忘れて とする(独立・無相関のときだけ正しい)。
  • 交差項の係数を (2倍忘れ)とする( の )。
  • 最大・最小の条件を「 の最大・最小」のまま答え、(完全な正・負の相関=点が一直線)という言葉に言い換えない。