数学I / データの分析

データの分析 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 尺度の異なる2つの成績を標準化して比較する
  2. 2つのデータを訂正したときの平均と分散
  3. 相関係数の計算
  4. 度数分布表からの平均と分散
  5. 仮説検定の考え方(コイン)
  6. 偏差の2乗和を最小にする値は平均
  7. 標準化したデータの平均は0・分散は1
  8. 四分位数・四分位範囲と外れ値

問1尺度の異なる2つの成績を標準化して比較する

★★★★ 難関標準化平均標準偏差

問題

ある生徒の国語の得点は 点、数学の得点は 点であった。国語は受験者全体の平均 点・標準偏差 点、数学は平均 点・標準偏差 点であった。この生徒は国語と数学のどちらが相対的に良い成績か、理由とともに答えよ。

ヒントを見る

点数そのままでは平均も散らばりも違って比べられない。各科目で「平均から標準偏差何個分うわ回ったか」に直すと、共通のものさしで比較できる。

解答・解説

方針

得点の差(点数)だけでは平均や散らばりが違うので比べられない。各科目で「平均から標準偏差いくつ分離れているか」= に直して比べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 得点の差(点数)だけでは比べられない。国語と数学では平均も散らばりも違うからだ。 点が 点より高い、では相対的な良さは測れない。

比べるには「平均から標準偏差いくつ分離れているか」にそろえる。これが標準化 。国語は 、数学は 。同じ「ものさし」に乗せると、数学の方が平均から上に離れている(相対的に良い)。

重要標準化 は、平均からの離れ具合を標準偏差を単位にして測る。尺度の異なるデータを公平に比較できる

① 国語を標準化する。 平均 、標準偏差 、得点 だから

② 数学を標準化する。 平均 、標準偏差 、得点 だから

③ 比べる。 。数学のほうが平均から標準偏差の何個分も上にあるので、相対的に良い成績。

まとめ:得点そのものではなく「標準偏差を単位にした平均からの距離」で比べるのが公平。数学は素点の差が大きい()だけでなく、集団の中での位置(標準化した値)も上。素点だけで判断すると、散らばりの違いを見落とす。

発展。 標準化 を に乗せ替えたのが偏差値。国語の偏差値は 、数学は 。標準化は「異なる分布のデータを共通のものさしで比べる」ための基本操作で、正規分布と組み合わせると「上位何%か」まで分かる(統計的推測の基礎になる)。

答

標準化すると国語 、数学 。数学のほうが相対的に良い

別解

別解:「平均からの隔たり」を標準偏差の目盛りで直感的に読む(苦手な人向け)。 標準化 は「平均から標準偏差何個分ずれているか」を数えたもの。定規の目盛りを、科目ごとの標準偏差に取り替えると考えるとよい。

国語: 平均 からこの生徒の までは 点上。国語の標準偏差はちょうど 点だから、「標準偏差 個分」上。。

数学: 平均 から までは 点上。数学の標準偏差は 点だから、 個分上。。

同じ「標準偏差何個分」という目盛りで比べると、数学( 個分)の方が国語( 個分)より高い位置。だから相対的に数学が良い。

の式(本解)と同じだが、「標準偏差を 目盛りにした定規で、平均から何目盛り上か」と読むと、なぜ点数の差でなく標準偏差で割るのかが腑に落ちる。偏差値()も、この を 中心・ 刻みに乗せ替えただけだ。

ポイント

  • 点数の差は平均・散らばりが違うと比較できない。
  • 標準化 で国語 、数学 → 数学が上。

よくある間違い

  • 点数の差()だけで数学が良いと判断する(平均・散らばりが違うので直接比較できない)。
  • 標準化で標準偏差でなく分散で割る(、 は標準偏差)。
  • が大きいほど相対的に上位、という向きを取り違える。

問22つのデータを訂正したときの平均と分散

★★★★ 難関分散データの修正分散の公式

問題

個のデータがあり、平均は 、分散は であった。あとで、データのうち 個の値 と が、正しくはそれぞれ と であったことがわかった。訂正後のデータの平均と分散を求めよ。

ヒントを見る

平均は合計で決まる。訂正で合計はどれだけ変わるか。分散は「 乗の平均 (平均)」だから、 乗の合計 の変化を追えばよい。

解答・解説

方針

平均は「合計 個数」。訂正で合計の変化は なので平均は不変。分散は「 乗の平均 平均」。 乗の合計 の変化を追う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 平均と分散を、 個ずつ再計算するのは無駄。「合計」と「 乗の合計」の変化だけを追う。

平均は「合計 個数」。訂正による合計の変化は 。だから平均 は変わらない。

分散は「 乗の平均 平均」。平均が不変なので、 の変化だけ追えばよい。 乗の合計の変化 を反映させる。

公式分散

① 平均の変化。 合計の変化は 。合計が変わらないので、平均は のまま。

② 乗の合計を出す。 元の分散 より

③ 乗の合計の変化。 を除いて を加える。

④ 訂正後の分散。 平均は のままだから

まとめ:データの訂正は「合計」と「 乗の合計」の増減だけ追えばよい。今回は合計が不変で平均は変わらず、 乗の合計が減ったので分散だけが と小さくなった(極端な値が中央寄りに直ったため)。分散は 経由で扱うのが基本だ。

発展。 データを訂正・追加・削除したときの平均・分散の更新は、 と の つを保持すれば全データを見直さずに済む。この「 つの累積和で分散が計算できる」性質は、大量データをリアルタイムに集計する場面(オンライン統計、ストリーム処理)で重宝される。

答

平均 (変わらない)、分散

別解

別解:分散を「平均まわりの偏差の乗和」で直接追う(得意な人向けの視点)。 平均が で不変だから、各データの「平均 からの偏差」の乗和を追えば分散が出る。分散 。

元の分散 より 。訂正で変わるのは 個だけ。

  • : 偏差の乗が から へ、。
  • : から へ、。

偏差乗和の変化は 。新しい和は 、新しい分散は 。 を追う本解と同じ の変化に着くが、「平均が変わらない」ので偏差の乗を直接追える。訂正で (\pm512,18平均から )へ、平均に近づいたぶん散らばりが減る、という意味が見える。

ポイント

  • 合計の変化 → 平均は で不変。
  • を と更新し、分散 。

よくある間違い

  • 平均が訂正で変わると思い込む(合計変化 なので不変)。
  • 分散を 個ずつ再計算して手間取る( か偏差乗和の変化だけ追う)。
  • 乗の合計の変化 の計算を誤る。

問3相関係数の計算

★★★★ 難関相関係数共分散散布図

問題

次の 人の 科目の得点 について、相関係数を求めよ。

ヒントを見る

相関係数は「共分散 ( 各々の標準偏差の積)」。まず両方の平均を出し、偏差の積の平均(共分散)と、偏差の 乗の平均(分散)を求める。

解答・解説

方針

相関係数 。それぞれの平均を出し、偏差の積の平均(共分散)と、各偏差の 乗の平均(分散)を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 相関係数は 。順に部品を計算する。

まず それぞれの平均。、。次に偏差(、)を出し、偏差の積の平均(共分散)と、各偏差の乗の平均(分散)を計算する。 が増えると が減る傾向なので、共分散は負。相関係数は になる。

公式相関係数 。共分散 、標準偏差

① 平均を出す。 、。

② 偏差を並べる。 。。

1234512345xy
5点の散布図。右下がりに並び、相関係数 r=−0.9(強い負の相関)

③ 共分散と分散。 偏差の積 。その平均が共分散:

の分散 、 も同様に 。

④ 相関係数。

まとめ:相関係数は「共分散 標準偏差の積」で機械的に出る。 は に近く、強い負の相関( が大きいほど が小さい)を表す。散布図でも右下がりに並ぶ。

発展。 は強い負の相関(右下がり)。相関係数は必ず で、 に近いほど点が直線に近く並ぶ。ただし「相関」は直線的な関係の強さで、因果関係とは別。 の乗(決定係数)は「 の散らばりのうち で説明できる割合」を表し、回帰分析につながる。

答

別解

別解:偏差の表を作って積を数える(苦手な人にも確実なルート)。 、 を引いた偏差の表を作る。

積

列を合計すると、積の和 、 の和 、 の和 。

(共分散・分散を しても、分子分母で相殺するので和のままでよい。)公式に数値を入れる本解と同じだが、偏差の表を作ると計算ミスが大きく減る。積の列がすべて なのは、 が増えると が減る右下がりの関係の現れだ。

ポイント

  • 共分散 、。
  • (強い負の相関)。

よくある間違い

  • 相関係数の分母を分散でなく標準偏差の積にする(共分散 (各標準偏差の積))。
  • 偏差の積の和(共分散)の符号を誤る( 増で 減なので負)。
  • 共分散・分散を するかどうかを片方だけにする(分子分母で相殺するので和のままでも可)。

問4度数分布表からの平均と分散

★★★★ 難関度数分布表平均分散

問題

次の度数分布表について、階級値を用いてデータの平均と分散、標準偏差を求めよ。

階級値
度数
ヒントを見る

度数分布表では各階級値をその度数の回数だけ足すイメージ。平均は(階級値 × 度数)の合計 ÷ 総度数。分散は「 乗の平均 平均」を、同じく度数で重みづけして。

解答・解説

方針

平均は 。分散は「 乗の平均 平均」で、 乗の平均も度数の重みで計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 度数分布表では、各階級値を「度数の重み」で計算する。まず総度数 。

平均は 。。分散は「 乗の平均 平均」。 乗の平均も度数で重みづけ。 を計算する。

公式平均 、分散 (度数 、総度数 )

① 総度数と平均。 総度数 。

② 乗の平均。

③ 分散と標準偏差。

まとめ:度数分布表は「階級値 × 度数」で重みづけして合計するのが基本。分散は「 乗の平均 平均」の公式が、度数つきでもそのまま使える。 と の つの表を作ると計算が整理される。

発展。 仮平均(別解)を使う計算は、「原点をずらしても分散は不変・平均は同じだけずれる」という次式変換の性質そのもの。さらに階級の幅が一定なら「」と幅でも割ると、 が整数になり計算がもっと楽になる(度数分布の平均・分散の高速計算法)。

答

平均 、分散 、標準偏差

別解

別解:仮平均を使って計算を軽くする(得意な人向けの時短ルート)。 階級値の真ん中あたり を「仮平均」にとり、そこからの差 で計算する。 は と小さい数になる。

真の平均は 。分散は仮平均をずらしても変わらない( 次式変換で は分散に影響しない)。 の分散を計算すると

標準偏差は 。階級値をそのまま使う本解より、仮平均 を引くと数が小さくなり、 乗の計算が楽。「分散は原点をずらしても不変」という次式変換の性質を使った、計算量を減らす基本の方法だ。

ポイント

  • 平均 。
  • 分散 、標準偏差 。

よくある間違い

  • 平均を「階級値の平均」とする(度数の重みが必要。)。
  • 乗の平均を計算するとき、度数の重みを忘れる。
  • 分散を「平均の乗 乗の平均」と逆にする(正しくは 乗の平均 平均)。

問5仮説検定の考え方(コイン)

★★★★ 難関仮説検定確率

問題

あるコインを 回投げたところ、表が 回出た。「このコインは表と裏が同じ確からしさで出る」という仮説を、有意水準 で検定せよ(表が出やすい可能性を疑う片側の検定とする)。

ヒントを見る

仮説(五分五分)が正しいと仮定して、「今回以上に表が多い」= 表 回または 回の確率を計算する。それが より小さいかどうかで判断する。

解答・解説

方針

仮説(表裏五分五分)が正しいとして、観測された「表 回」か、それより極端な「 回」が起こる確率を計算する。それが有意水準 より小さければ「めったに起きないことが起きた」として仮説を棄却する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 仮説検定の考え方はこうだ。「仮説(表裏五分五分)が正しいとしたら、観測された結果はどれくらい珍しいか」を確率で測る。

観測は「 回中表 回」。片側検定だから、「 回か、それより極端な 回」が起こる確率を計算する。。これが有意水準 より小さいから、「めったに起きないことが起きた=仮説が疑わしい」として棄却する。

重要仮説検定では、仮説が正しいと仮定して「観測された結果か、それより極端な結果」の確率を求め、有意水準より小さければ仮説を棄却する

① 仮説のもとでの確率を計算する。 仮説が正しければ表の出る確率は 。 回投げて「表 回以上」(= 回または 回)が起こる確率は、反復試行の考えで

② 有意水準と比べる。 。これは有意水準 より小さい。

③ 判断する。 仮説が正しいとすると「表 回以上」は 未満のめったに起きないことになる。それが実際に起きたのだから、仮説「表裏は同じ確からしさ」は棄却され、表が出やすいと判断してよい。

まとめ:仮説検定は「仮説が正しいなら今回の偏りはどれだけ珍しいか」を確率で測り、 を基準に判断する。 より小さければ「偶然とは考えにくい」として仮説を捨てる。基準の取り方(片側・両側や有意水準)で結論が変わり得る点にも注意。

発展。 この検定は二項分布 の上側確率を有意水準と比べたもの。 が大きくなると二項分布は正規分布で近似でき、 値で棄却域を判定する(数Bの統計的推測)。「めったに起きないことが起きたら仮説を疑う」という背理法に似た論法が、統計的検定の基本の考え方だ。

答

仮説のもとで「表が 回以上」の確率は なので、仮説は棄却され、表が出やすいと判断してよい

別解

別解: 回の結果を全部数え上げて確率を出す(苦手な人にも確実なルート)。 表裏五分五分なら、 回の出方は 通りで、どれも同じ確からしさ。このうち「表 回以上」が何通りかを数える。

  • 表 回(全部表): 通り。
  • 表 回(どれか 回だけ裏): 裏の位置が 通り。

合わせて 通り。だから確率は 。これが有意水準 より小さい。「仮説が正しいなら でしか起きないことが実際に起きた」ので、仮説「五分五分」は疑わしい=棄却。表が出やすいと判断してよい。

二項係数 を使う本解と同じ 通りだが、「 通り中、表 回以上は 通り」と全数で数えると、確率の意味(全パターン中の割合)がはっきりする。もし表 回でも棄却されるかは、 で棄却されない、と続けて確かめられる。

ポイント

  • 仮説のもとで 。
  • なので仮説を棄却、表が出やすいと判断。

よくある間違い

  • 片側検定なのに「ちょうど表 回」の確率だけ計算する(「 回以上」= 回と 回を足す)。
  • 全事象を でなく別の数にする。
  • を「棄却しない」と結論を逆にする(有意水準より小さい=棄却)。

問6偏差の2乗和を最小にする値は平均

★★★★ 難関平均分散論証

問題

個のデータ に対し、 の関数

を考える。 を最小にする はデータの平均 であることを示せ。また、そのときの最小値を分散を用いて表せ。

ヒントを見る

和を展開すると についての 次関数。 を使って整理し、 について平方完成する。頂点の が答え。

解答・解説

方針

を展開すると の 次関数になる。 を使って整理し、平方完成すると頂点の が とわかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を の関数とみる。各項が の次だから、 全体も の次関数(下に凸)。

展開すると 。 を代入して について整理する。 を平方完成すると、頂点の が 。だから最小は 。最小値は分散の 倍(分散)になる。

重要(平均の定義)。分散

① 展開して の 次関数にする。

を代入して

② 平方完成する。 について、

の係数 より下に凸。よって で最小になる。(前半の証明終)

③ 最小値を分散で表す。 のとき

よって最小値は 。

まとめ:「偏差の 乗和」は基準 の 次関数で、平均 を基準にとったとき最小になる。これが「平均がデータの中心」であることの数式的な意味。最小値が 分散になるのは、分散が「偏差 乗の平均」だから。

発展。 「偏差の乗和を最小にするのは平均」は、最小二乗法の最も簡単な形。データに直線や曲線を当てはめるとき、「残差の乗和を最小にする」のが最小二乗法で、その解が平均・回帰直線を与える。一方、絶対偏差の和 を最小にするのは中央値。「何を最小にするか」で代表値が変わる。

答

は の 次関数で、平方完成より で最小。最小値は 。証明は解答参照

別解

別解:偏差の分解 で示す(得意な人向けの高い視点)。 各偏差を「平均からの偏差」と「平均と のずれ」に分ける。

乗して和をとると

真ん中の項の (平均からの偏差の和は必ず )。だから消えて

第 項 は で 。だから は で最小、最小値は第 項の 分散。

展開して平方完成する本解より、「偏差を平均経由で分解し、交差項が で消える」と見ると、最小値が 分散になる理由が構造として見える。これは統計の「平方和の分解」の原型で、分散分析の基礎だ。

ポイント

  • と平方完成 → で最小。
  • 最小値 分散。

よくある間違い

  • が の次関数(下に凸)であることに気づかず、最小の求め方が分からない。
  • 平方完成で の代入を誤り、頂点が にならない。
  • 最小値を とする(最小値は 分散)。

問7標準化したデータの平均は0・分散は1

★★★★ 難関標準化平均分散変量変換論証

問題

個のデータ の平均を 、標準偏差を ()とする。各データを

と変換する(標準化)。このとき、変換後のデータ の平均は 、分散は になることを示せ。

ヒントを見る

は の 次式。 次式変換で平均と分散がどう変わるかの規則を思い出す。 が元の分散であることを使う。

解答・解説

方針

は 次式変換。 次式変換 では平均が 、分散が になる規則を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 標準化 は、 の 次式変換( の形、、)。

次式変換には決まった規則がある。平均は 、分散は 。平均は 。分散は ( が元の分散)。だから標準化後は平均 ・分散 。

重要 次式変換 では、平均 、分散 (定数 は散らばりに影響しない)

① 平均を求める。 は 次式()。平均は

② 分散を求める。 次式変換では分散は 倍。元の分散は だから

よって標準化後のデータは平均 、分散 。(証明終)

まとめ:標準化は「平均を引いて標準偏差で割る」 次式変換。平均を引くことで中心が に、標準偏差で割ることで散らばり(分散)が にそろう。だからどんなデータも共通のものさし(平均 ・分散 )に乗せ替えられ、比較が可能になる。

発展。 標準化は「どんなデータも平均 ・分散 にそろえる」変換。これにより、単位や尺度の違うデータ(身長 cm と体重 kg など)を同じ土俵で比較・合成できる。主成分分析や機械学習の前処理でも、まず標準化するのが普通だ。 次式変換で平均と分散がどう動くかの理解が、その基礎になる。

答

は 次式変換。平均 、分散は 。証明は解答参照

別解

別解:定義に戻って平均と分散を直接計算する(苦手な人向け)。 次式変換の規則を使わず、 の平均と分散を定義どおり計算する。

平均: 。ここで (偏差の和はゼロ)だから 。分散: なので、 の分散 。

は の分散 。だから の分散 。

次式変換の公式(本解)を暗記していなくても、「偏差の和 」と「分散 偏差乗の平均」の定義だけで、平均 ・分散 が出る。標準化が「どんなデータも平均 ・散らばり にそろえる」変換だと、計算から確かめられる。

ポイント

  • は 次式変換()。
  • 平均 、分散 。

よくある間違い

  • が 次式変換であることを使わず、計算方針が立たない。
  • 分散の変換で 倍(正しくは 倍)とする( の分散 )。
  • 偏差の和 を使わず、平均が になることを示せない。

問8四分位数・四分位範囲と外れ値

★★★★ 難関四分位数四分位範囲外れ値箱ひげ図

問題

次の 個のデータ(小さい順)がある。

第 四分位数 、第 四分位数 、第 四分位数 、四分位範囲を求めよ。また、「 より小さい値、または より大きい値」を外れ値とするとき、外れ値をすべて求めよ。

ヒントを見る

個の中央値は 番目。それを除いた下半分・上半分それぞれの中央値が 。四分位範囲 。外れ値の境界 (四分位範囲)と (四分位範囲)を計算する。

解答・解説

方針

個(奇数)なので中央値 は 番目。中央値を除いた下位 個・上位 個それぞれの中央値が 。四分位範囲 。外れ値の境界を計算して、範囲外の値を探す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 個(奇数)のデータ。中央値 は真ん中、 番目の 。

は「中央値を除いた下半分・上半分の中央値」。下位 個 の中央値が 、上位 個 の中央値が 。四分位範囲は 。

外れ値は境界で判定する。 を超える値を探すと、 が該当する。

重要外れ値の基準は、 より小さい、または より大きい値

① 中央値 。 個の中央は 番目の値。よって 。

② と 。 中央値を除いた下位 個 の中央値 ( 番目)。上位 個 の中央値 。

③ 四分位範囲。

121520242640データ
箱ひげ図。箱は Q1=15〜Q3=24(中央値 20)。右端 40 は Q3+1.5×IQR=37.5 を超える外れ値

④ 外れ値。 境界を計算する。

より小さい値はない。 より大きい値は のみ。よって外れ値は 。

まとめ:奇数個のデータでは中央値を除いて上下に分け、それぞれの中央値が 。外れ値は「四分位範囲の 倍」を箱の外に足し引きした境界で判定する。 は IQR を超えるので外れ値。

発展。 「IQR より小さい / IQR より大きい」を外れ値とみなすのは、テューキーが提案した箱ひげ図の標準ルール。 倍という係数は、正規分布ならおよそ が外れ値になるよう選ばれている。四分位数は平均・標準偏差と違い、外れ値個()に引きずられにくい「頑健な」統計量だ。

答

、四分位範囲 。外れ値は

別解

別解:箱ひげ図を描いて外れ値を目で見つける(視覚で捉えるルート)。 から箱ひげ図を描く。箱は から (四分位範囲 )、中央の仕切りが 。

外れ値の「ひげの限界」を計算して線を引く。上限は 、下限は 。データを箱ひげ図の上に点で置くと、 から までは限界 の内側に収まる。だが だけが上限 を超えて、ひげの外にぽつんと離れる。これが外れ値だ。

以外の値は とまとまっているのに、 だけ飛び離れている。数値で境界を計算する本解と同じだが、箱ひげ図にすると「 が集団から浮いている」ことが一目で分かる。四分位範囲という基準は、箱から箱の 倍だけ離れたら「外れ」とみなす、統計の標準的なルールだ。

ポイント

  • 、下位・上位の中央値で 、四分位範囲 。
  • 外れ値の上限 を超える が外れ値。

よくある間違い

  • 個(奇数)で を求めるとき、中央値 を下半分・上半分に含めてしまう(除く)。
  • 四分位範囲を とする(正しくは )。
  • 外れ値の境界 の計算を誤る。