レンズの符号運用 — 写像公式1本で凸・凹・実像・虚像・鏡を扱う
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日
レンズの問題は、凸レンズ・凹レンズ・実像・虚像・鏡と、場合ごとに公式を覚えようとすると混乱します。実際には、写像公式 と倍率 の2本を、符号の約束で運用すれば、すべての場合が1本の式で扱えます。この記事では、その符号の約束と、作図との対応、2枚のレンズや鏡への広がりを説明します。
符号の約束
物体の位置 は、レンズの手前(光が来る側)にあれば正です。像の位置 は、レンズの向こう側(光が進む側)にできれば正(実像)、手前にできれば負(虚像)です。焦点距離 は、凸レンズなら正、凹レンズなら負です。倍率 は、正なら倒立、負なら正立で、大きさは絶対値です。
この約束のもとで、 に数値を入れて を求めれば、 の符号で実像か虚像かが、 の符号で倒立か正立かが、自動的に決まります。「絵から判断する」のではなく「符号で判定する」のが、この方法の要点です。
3つの基本の場合
凸レンズで物体を焦点の外()に置くと、 で実像・倒立です。 のとき で等倍、 が大きいほど像は焦点に近づいて小さくなります(カメラ)。光の基礎「凸レンズの実像」で確認してください。
凸レンズで物体を焦点の内側()に置くと、 で虚像・正立・拡大です(虫めがね)。基礎の虚像(虫めがね)で確認してください。
凹レンズ()では、物体をどこに置いても で虚像・正立・縮小です(近視の眼鏡)。基礎の凹レンズの像で確認してください。
この3つを、写像公式の符号だけで区別できることを、実際に数値を入れて確かめてください。
作図との対応
作図では、3本の光線(光軸に平行な光は焦点を通る、中心を通る光は直進する、焦点を通る光は光軸に平行になる)を描いて、交点が像です。虚像は、光線が実際には交わらず、逆向きに延長した交点です。基礎のレンズの作図(3本の光線)で、作図と公式の答えが一致することを確認してください。
作図は「像がどこにできるか」の感覚を作り、公式は「正確な位置と大きさ」を出します。両方を使えるようにしておくと、公式の符号を間違えたときに作図で気づけます。
物体を動かすと像はどう動くか
物体をレンズに近づけると、実像は遠ざかって大きくなり、焦点を越えると虚像に変わります。物体を遠ざけると、実像は焦点に近づいて小さくなります。標準の物体を動かすと像はどう動くかで、公式で数値を追いながら確かめてください。「像の位置が から に変わる」という設問は、写像公式を2回使う問題です。
レンズの半分を覆っても、像は欠けずに暗くなるだけです(標準の同名の問題)。像の1点には、レンズ全面から来た光が集まっているからで、作図の3本の光線は「代表」にすぎないことを示す問題です。
2枚のレンズ
レンズが2枚あるときは、1枚目の像を2枚目の物体として、写像公式を2回使います。1枚目の像が2枚目の向こう側にできる(2枚目にとって「物体が向こう側にある」)場合は、 として公式に入れます。倍率は2枚の積で、倒立 × 倒立 = 正立です。応用の2枚のレンズの組み合わせで確認してください。顕微鏡と望遠鏡は、この2枚の組合せです。
鏡
凹面鏡は、( は曲率半径)として、レンズと同じ写像公式が使えます。ただし、像の「向こう側」がレンズと逆(光が反射して戻る側が実像側)なので、符号の約束を鏡用に読み替えます。標準の凹面鏡の実像で確認してください。平面鏡は で、(等倍の正立虚像)です。全身を映す鏡の長さが身長の半分で足りること(標準の同名の問題)は、平面鏡の作図の問題です。
つまずきやすいところ
最も多い誤りは、虚像の を正のまま公式に入れることです。虚像は です。次に、凹レンズの を正にすることです。3つ目は、2枚のレンズで「1枚目の像が2枚目の向こう側にある」場合の を扱えないことです。符号の約束を一貫させれば、すべて1本の式で処理できます。
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屈折と全反射、光の干渉を含む単元全体は光の記事にまとめてあります。最難関編には、レンズを動かして焦点距離を測るベッセル法、虫めがねで太陽の像をつくる、平行平面ガラスの横ずれなど、幾何光学を深く扱う問題を置いてあります。