数学C / 空間ベクトル

空間ベクトル ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 空間のなす角
  2. 空間で垂直なベクトル
  3. 基本ベクトルによる分解
  4. 空間ベクトルの大きさの最小
  5. 空間の内分点
  6. 空間の直線のベクトル方程式
  7. 球面の方程式
  8. 平行六面体の体積
  9. 内積とベクトルの大きさ(空間)
  10. 平面のベクトル方程式(法線)
  11. 3点が一直線上にある条件
  12. 空間で垂直なベクトルの作成

問1空間のなす角

★★ 標準なす角内積

問題

、 のなす角 の余弦 を求めよ。

ヒントを見る

内積と つの大きさを計算して比を作る。分母に根号が つ出るので、有理化して整えるところまでやろう。

解答・解説

方針

。内積と大きさを計算して代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 成分が つに増えても、なす角の公式は同じ形だ。

内積は「成分の積を つ足す」、大きさは「 つの 乗和の平方根」で、部品の計算が 成分ぶん増えるだけである。、、。代入して 。

公式なす角

① 内積と大きさを求める。

② を計算する。

abθO
a=(1,1,1), b=(1,1,0) のなす角。cosθ=√6/3

まとめ:空間のなす角も平面と同じ「内積 ÷(大きさの積)」。 を有理化して 。 成分の内積・大きさを正確に計算するのがポイント。

発展。 立方体の対角線 が各軸となす角も同じ計算で出る: が 回現れ、(方向余弦の関係)が成り立つ。空間の向きは つの の組で記述でき、その 乗和は必ず になる。これは大きさの定義( 乗和)の言い換えである。

なす角の公式が平面・空間で同じ形なのは偶然でなく、内積の幾何的定義()が次元に依らないから。 次元でも 次元でも同じ式で「角度」が定義できる。データ解析のコサイン類似度はこの定義を使っている。

答

(すなわち )

別解

この 本は立方体の中のよく知られた角を測っている。 辺 の立方体を原点に置くと、 は空間の対角線(頂点から最も遠い頂点へ)、 は底面の対角線だ。問題の角は「立方体の対角線が底面から立ち上がる角」である。

しかも は の 成分を にしたものだ。つまり を床(xy 平面)に落とした影そのものである。影とのなす角の は

(影の長さ 、本体 の直角三角形で、高さは残りの 成分 である。)内積の計算と一致する。

「片方が他方の影(射影)になっている」配置では、なす角は直角三角形の辺の比で読める。立方体の対角線が床となす角、というこの値()は結晶学や CG でもよく出てくる角だ。

ポイント

  • 。
  • 有理化して答える。

よくある間違い

  • 内積や大きさの計算で第 成分を足し忘れる(平面の癖)
  • の有理化 を誤る
  • を とする( 乗和の「平方根」)

問2空間で垂直なベクトル

★★ 標準垂直

問題

と が垂直であることを確かめよ。また、、 の両方に垂直なベクトルの つを求めよ。

ヒントを見る

垂直の確認は内積で。『両方に垂直』は、内積 の条件が 本立つということだ。未知数 つに式 本なので、 つは自由に決めてよい。

解答・解説

方針

垂直は内積 で確認。両方に垂直なベクトル は、 と の連立を解く(自由度 なので つ選ぶ)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 前半は内積の確認で、 なので垂直。

後半の「両方に垂直なベクトル」は未知の をおいて条件を式にする。

式 本に未知数 つなので、解は つに決まらず、向きが決まって長さが自由(自由度 )になる。どれか つ、たとえば と選んで連立を解けば が得られる。

重要。両方に垂直なベクトルは連立方程式で

① 垂直を確認する。

よって 。

② 両方に垂直なベクトル を求める。 と垂直:、 と垂直:。

とおく。 から 。、、、。整数にするため 倍して 。

(確認:、。)

xyzab
a·b=0 で a⊥b。両方に垂直な n=(−6,3,5) が第3の向き

まとめ:空間で「 ベクトルの両方に垂直」なベクトルは、 つの内積 の連立を解く。方向だけ決まればよいので、 文字( 等)を固定して残りを求める。これは外積の方向にあたる。

発展。 平行でない 本に垂直な方向は空間ではただ つ(±の向きを除いて)である。この事実が平面の法線ベクトルの存在を保証している。平面は 本のベクトルで張られ、その両方に垂直な 方向が平面の「顔の向き」だ。

平面( 次元)では 本に垂直な方向が つだったのに対し、空間では 本に垂直な方向は無数(平面をなす)で、 本に垂直でやっと つに絞れる。「垂直の条件 つで自由度が 減る」という勘定は、次元が上がっても通用する。

答

で垂直。両方に垂直なベクトルの例:

別解

「両方に垂直なベクトル」をすぐに作れる公式として、外積(クロス積)を紹介する。

見た目は複雑だが、規則は つしかない。第 成分は「 を除いた 成分のたすき掛け」、以下 / と番号を巡回させるだけだ。、 で計算すると

連立の答えと一致する。検算すると とも とも内積 だ。

外積は高校の範囲外だが、「連立を解いた結果はいつもこの形になる」と知っておくと、答えの検算・平面の法線ベクトル探し・平行六面体の体積で役に立つ近道になる。平面のたすき掛け が、外積の第 成分として再登場していることにも注目したい。

ポイント

  • 垂直 = 内積 。
  • 両方に垂直 = つの内積 の連立( つ選ぶ)。

よくある間違い

  • 連立(式 本・未知数 つ)を「解けない」と思い込み手が止まる(1 変数を自由に選んでよい)
  • 「両方に垂直」の答えが 本に定まると誤解する(実数倍はすべて答え)
  • 内積の計算で負の成分の積()の符号を落とす

問3基本ベクトルによる分解

★★ 標準1次結合

問題

を、基本ベクトル 、、 の 次結合で表せ。

ヒントを見る

基本ベクトルの 次結合は、実は成分表示そのものの言い換え。成分がそのまま係数になる。

解答・解説

方針

基本ベクトルの 次結合の係数は、そのまま各成分になる。。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 基本ベクトル は各座標軸方向の「長さ の物差し」。任意のベクトルの 次結合への分解は

つまり成分がそのまま係数になる。 で完了だ。これは計算というより「成分表示の意味の確認」だ。座標とは基本ベクトルによる分解の係数の別名である。

公式(成分 = 基本ベクトルの係数)

基本ベクトルは 軸方向の単位ベクトル。 の各成分がそのまま係数になる。

2e₁3e₂4e₃(2,3,4)O
(2,3,4)=2e₁+3e₂+4e₃。x に2, y に3, z に4 進む

まとめ:空間の成分表示 は、 つの基本ベクトルの 次結合そのもの。係数 = 成分。ベクトルの成分の意味(各軸方向にどれだけ進むか)がよく分かる基本だ。

発展。 基本ベクトルが役に立つのは、「取り替えられる」からだ。 の代わりに、平行六面体の 辺のような斜めの 本(一次独立なら何でも)を物差しにしても、任意のベクトルはただ 通りに分解できる。そのときの係数を求めるのが「 次結合で表せ」型の応用問題で、連立方程式が登場する。

空間は 本で張れて、 本目は必ず余分(先の 本で書ける)。この「次元 」という言明の正確な意味が、基本ベクトルの分解の一意性である。線形代数の「基底」と「次元」の概念が、この単純な問題の中にすでに全部ある。

答

別解

この式を道順の住所として読むと、成分表示の意味が体に入る。 という行き先へは、東( 方向)へ 歩、北()へ 歩、上()へ 歩で着く。

は、この 段の階段をベクトルの足し算で書いたものだ。 の直方体の対角線をたどる絵を描くと、途中の角 、 を経由する折れ線が見える。

歩く順番は自由(ベクトルの和は交換可能なので、先に上へ 歩でも同じ角に着く)で、しかもこの歩数の組はただ 通りに決まる。もし なら、成分を比べて しかない(一次独立)。

「座標 東西・南北・上下の歩数」「一意 住所は つ」と考えればよい。どんな複雑な分解の問題もこの単純な絵の一般化である。

ポイント

  • 成分 = 基本ベクトルの係数。
  • は各軸方向の単位ベクトル。

よくある間違い

  • の対応する軸(どれが 方向か)を取り違える
  • 係数を求める計算(連立)を始めてしまう(基本ベクトルなら成分がそのまま係数)
  • 次結合の「結合」を積( 等)と誤解する(実数倍の和)

問4空間ベクトルの大きさの最小

★★ 標準内積最小

問題

、 とする。 が実数全体を動くとき、 を最小にする の値を求めよ。

ヒントを見る

乗を内積で展開すると の 次関数。頂点の を求める。平面のときと完全に同じ流れだ。

解答・解説

方針

( の 次関数)。平方完成して最小の を求める。空間でも平面と全く同じ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 空間でも、 の最小化は平面とまったく同じ手が通る。 乗を内積で開くと

(、。) の 次関数の頂点で最小で、 となる。成分が つでも、展開した後は 変数 の話になる。次元の増加は係数の計算にしか現れない。

重要( の 次関数)

① 各量を求める。 、、。

② の 次関数にする。

③ 最小の を求める。 頂点の は 。

a+tb の直線a最小(垂線の足)O
|a+tb|² 最小。点 a+tb は直線を動き、最小は原点からの垂線の足(t=−1/2)

まとめ: の最小は、空間でも平面と全く同じで「 の 次関数の頂点」。 成分の内積・大きさを使うだけ。最小のとき (垂線)。

発展。 最小値そのものは で、これは「原点と直線の距離の 乗」である。点と直線の距離が、空間では公式でなくこの最小化として計算される(平面の にあたる既製公式が、空間の直線にはない)。

垂線の足 は正射影の直交成分。CG のライティングや機械学習の誤差最小化でも、「垂らして最短」という考え方が近似計算の中心になっている。

答

別解

平面版と同じ垂線の絵が、空間でもそのまま通用する。 は「点 を通り方向 の直線」上の点。その原点からの距離が最小になるのは垂線の足である。つまり最小の瞬間

展開せず 次方程式 本で終わり。この論法が次元を一切問わないことに注目する。垂直条件の式には「平面か空間か」の情報がどこにも入っていない。内積さえ定義できれば、 次元でも 次元でも「最短 垂線の足」で同じ が出る。

成分計算(次元が上がると手間が増える)より、内積の関係式(次元によらない)で考える。空間ベクトルの学習で身につけたい「座標を離れる」視点の、手頃な練習台である。

ポイント

  • は の 次関数(空間も同じ)。
  • 最小のとき 。

よくある間違い

  • の計算で第 成分()を書き漏らして係数がずれる
  • 中間項の 倍()を忘れる
  • 最小値()を聞かれていると誤読する(問いは最小にする )

問5空間の内分点

★★ 標準内分点

問題

点 、 を結ぶ線分 を に内分する点 の座標を求めよ。

ヒントを見る

内分点の公式は空間でもそのまま使える。比の向きだけ図で確認して代入。

解答・解説

方針

内分点の公式 。 なので 。 成分それぞれ計算。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内分点の公式は空間でも同じで、成分が つに増えるだけだ。

( の内分は 寄りだから、 に大きい係数 。)成分ごとに

の 回、同じ計算を繰り返すだけである。

公式 内分点 (空間でも同じ)

内分なので 。

ABP12
線分 AB を 1:2 に内分する点 P(3,4,5)。A(1,2,3), B(7,8,9)

まとめ:空間の内分点も平面と同じ公式で、 成分それぞれ計算するだけ。 内分( に近い)は の重みが (たすきがけ)。 座標が加わっただけだ。

発展。 「成分ごとに数直線の計算を繰り返すだけ」という構造は、内分・外分・重心・中点のすべてに共通する。四面体の重心 も、成分ごとの平均を 回とるだけだ。

一方、成分ごとに分けられない量もある。大きさ(成分が混ざる 乗和)、なす角、垂直条件がそれにあたる。空間の問題を見たら「成分ごとに済む話か、成分が絡む話か」をまず仕分けると、計算の見通しが立つ。内分は前者の代表、垂線の足は後者の代表である。

答

別解

この 点は特別に歩きやすいので、歩幅の目で暗算してみる。 から への移動は で、どの成分も の、対角線方向の一本道だ。 の内分点は から全体の だけ進んだ地点。 歩は だから

各成分が「 → → → 」と等間隔に刻まれていく様子まで見える( 地点は )。

内分の計算は実際には数直線の話を成分ごとに 回やっているだけだ。空間だからと身構える必要はない、という感覚をこの問題で確かめておくと、四面体の重心などの応用でも迷わない。

ポイント

  • 内分 。
  • 成分それぞれ計算。

よくある間違い

  • 係数を逆()にして ( の内分点)を答える
  • 成分の計算を忘れて 成分で答える
  • 分母 を一部の成分にだけ適用する

問6空間の直線のベクトル方程式

★★ 標準ベクトル方程式

問題

点 を通り、方向ベクトルが である直線上の点 を、媒介変数 で表せ。また に対応する点を求めよ。

ヒントを見る

直線上の点は『通る点 + 方向ベクトル』。成分ごとに書けば媒介変数表示が完成する。

解答・解説

方針

直線のベクトル方程式 。成分で書き、 を代入する。空間でも平面と同じ形。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線のベクトル方程式は、空間でも平面と同じ形

「通る点 倍の方向」。成分で書けば

成分は方向に含まれないので のまま、 と が同じ速さで動く。 で 。

公式直線のベクトル方程式 (通る点 + ×(方向))

① ベクトル方程式を書く。

② を代入する。

xyzdAt=0(1,2,2)t=2O
点 A(1,0,0) を通り方向 d=(0,1,1) の直線 P=(1,t,t)。t=2 で (1,2,2)

まとめ:空間の直線も「通る点 + 方向ベクトルの実数倍」。平面と同じ形で、成分が つになるだけ。 を動かすと点が直線上を動く。 座標は で固定、 が とともに動く。

発展。 次元の勘定(方程式 本 自由度 )は空間図形の分類表になる。方程式 本 空間全体、 本 平面(または球面などの曲面)、 本 直線(または曲線)、 本 点。「図形を式で書く」とは自由度をいくつ、どう削るかの設計である。

直線の位置関係も空間では種類が増える。交わる・平行に加えて「ねじれの位置」(交わらず平行でもない)が現れる。 と の連立が解を持つか、方向が平行か、の場合分けで判定する応用問題は、この媒介変数表示が主戦場だ。

答

、 で

別解

平面の直線は を消去すると 本の方程式になった。空間で同じことをすると、次の事実が現れる。 から を消すと、残る条件は

方程式が 本出てきて、 本では足りない。

理由は次元の勘定だ。空間は 次元、方程式 本は自由度を つ減らす。 だけなら「 座標が の点全体」で、これは平面(2 次元)だ。 も別の平面。直線( 次元)まで絞るには、 で 枚の平面の交わりとして表すしかない。

つまり空間の直線は「 枚の板の折り目」。 本の式で書ける平面の直線とは、ここが大きく違う。ベクトル方程式 が空間で重宝されるのは、この「 本の連立」を 行で書き切れるからである。

ポイント

  • 直線 (空間も同じ)。
  • は通る点、 は方向。

よくある間違い

  • 方向ベクトルに 成分があると誤読して も で動かす
  • の代入で一部の成分だけ更新して 等とする
  • 「空間の直線を 本の方程式で書こう」として詰まる(空間では平面 枚の連立)

問7球面の方程式

★★ 標準球面

問題

中心 、半径 の球面の方程式を求めよ。また、点 がこの球面上にあるかを調べよ。

ヒントを見る

球面は『中心からの距離が一定』を式にしたもので、円の方程式の 次元版だ。点が球面上にあるかは、代入して等式が成り立つかで判定する。

解答・解説

方針

球面は「中心からの距離が半径」の点の集まり。。点を代入して左辺 になるか調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 球面とは「中心からの距離が半径に等しい点の集まり」。この日本語を式にしたのが

(左辺は距離の 乗で、円の方程式に の項が つ増えた形だ。)中心 、半径 を入れて

点が球面上かどうかは、座標を左辺に代入して になるかを見ればよい。 では となり、球面上にある。

公式中心 、半径 の球面

① 球面の方程式を書く。

② 点を代入して調べる。 を左辺に。

左辺 なので、点 は球面上にある。

C(1,2,8)
中心 C(1,2,3)・半径5の球面。点(1,2,8)=C+(0,0,5) は球面上

まとめ:球面は円の空間版。。点が球面上かは代入して左辺 かで判定。 なら内部、 なら外部。円の方程式に の項が加わっただけだ。

発展。 ベクトルの言葉では球面は となる。円と全く同じ式で、次元の情報は式に現れない。「中心からの距離一定」という定義が次元を選ばないからだ( 次元で円、 次元で球面、 次元なら超球面)。

展開した一般形 から中心・半径を復元する(平方完成)、球面と平面の交わりが円になる、など円の単元の議論はほぼ全て球面にそのまま使える。「円で学んだことに を加えたもの」として整理すると、この分野の学習は速い。

答

。点 は球面上にある

別解

方程式に代入する代わりに、距離をそのまま測る方が意味が直接的だ。中心 から点 まで、 方向の移動量は で、 は動かず、真上に だけ登った点だ。距離は

半径ちょうどなので、球面上にある( は球の「北極点」だ)。

「方程式に代入して になる」ことと「距離を測って になる」ことは、同じ検査の つの書き方( 乗するかしないか)にすぎない。距離で見ると、判定の結果は次のように位置の言葉で読める。

  • 距離 : 球の内部
  • 距離 : 球面上
  • 距離 : 球の外部

方程式の左辺の値( との大小)が、そのまま内外の判定になる理由もここから分かる。「式 距離の言い換え」という見方は、球と平面・球と直線の位置関係の問題で方針を決める手がかりになる。

ポイント

  • 球面 。
  • 代入して で球面上。

よくある間違い

  • 右辺を のまま( 乗せず)書く
  • 中心の符号を逆にして とする(「引く」のは中心の座標)
  • 代入の判定で左辺の計算()を暗算で誤り「球面上にない」とする

問8平行六面体の体積

★★ 標準体積

問題

つのベクトル 、、 を 辺とする平行六面体の体積を求めよ。

ヒントを見る

辺が互いに直交している特別な配置なので、このときの平行六面体はただの直方体だ。体積は 辺の長さの積。

解答・解説

方針

辺が互いに垂直(座標軸方向)なので、体積 = 各辺の長さの積。一般には (スカラー三重積)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 辺のベクトルを見ると で、互いに垂直で、各座標軸に沿っている。この平行六面体はただの直方体だ。

直方体の体積は縦 横 高さ

一般の(斜めの)平行六面体にはスカラー三重積 という道具があるが、直交する特別な場合は長さの積になる。まず配置を見て、簡単な形かどうか確かめるのが第一手である。

公式平行六面体の体積 。 辺が直交なら 辺の長さの積

① 辺の関係を確かめる。 はそれぞれ 軸方向で、互いに垂直。

② 体積を計算する。 直交する 辺の平行六面体は直方体なので、体積 = 辺の長さの積。

O123
3辺が座標軸に沿う直方体 1×2×3。体積=1·2·3=6

まとめ: 辺が直交する平行六面体は直方体で、体積 = 縦 × 横 × 高さ。一般の平行六面体は「スカラー三重積 」で求まる。ここは軸方向なので単純に 。

発展。 一般の 本 ではスカラー三重積 が符号付き体積を与える( 次の行列式と同じもの)。今回のような対角配置では行列式が対角成分の積 になる。直方体の体積公式は行列式の最も簡単な場合である。

さらに、同じ 辺から作る四面体の体積は平行六面体の ()。(底面が三角形)(錐)の由来ごと覚えておくと、四面体の体積問題が平行六面体経由で解けるようになる。

答

別解

この体積を「単位立方体の引き伸ばし」として見ると、体積と倍率の関係が身につく。基本ベクトル の作る単位立方体(体積 )から出発する。 辺を

  • 方向に 倍()
  • 方向に 倍()
  • 方向に 倍()

と伸ばすと、体積は倍率の積で

各方向に 倍すると、体積は 倍ずつ掛かる。相似比 の立体の体積が 倍になるのは、 方向とも同じ で伸ばした特別な場合だ。

この「変形で体積がどう変わるか」という見方は、一般の平行六面体(斜めに歪めても、底面 高さが保たれれば体積不変というカヴァリエリの原理)や、スカラー三重積が「 本のベクトルによる単位立方体の変形倍率」であることの理解につながる。体積は長さを 方向分掛けたものであり、次元の感覚そのものである。

ポイント

  • 体積 。
  • 辺が直交なら辺の長さの積。

よくある間違い

  • 体積を辺の長さの和()や表面積と混同する
  • 「平行六面体」の名前に構えて、直方体であることを見抜けず一般公式に突入する
  • ベクトルの大きさでなく成分の絶対値の最大などを辺の長さと取り違える

問9内積とベクトルの大きさ(空間)

★★ 標準内積

問題

、 のとき、 を内積の性質を用いて求めよ。

ヒントを見る

乗の展開(内積版)で。 つの部品(大きさ つと内積)を先に計算してから組み立てる。

解答・解説

方針

。 成分で各量を求めて代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「内積の性質を用いて」とあるので、平面で練習した展開公式の空間版を使う。式の形はまったく同じ。

部品を 成分で計算する。、、。

展開公式は次元を選ばない。それを実際に確かめる問題である。

公式(空間でも同じ)

① 各量を求める。 、、。

② 展開公式に代入する。

(確認:、。)

xyzaba+b
a=(1,2,2), b=(2,0,1)。a+b=(3,2,3) の三角形

まとめ: の展開公式は空間でも同じ。 成分で内積・大きさを計算するだけ。 のベクトル版。

発展。 と の差 に注目する。内積が正だから、 本は「鋭角をなす(同じ向き寄り)」で、和の長さが単純合算()より短いながら()、三平方の よりは長い。 は内積の符号次第で から まで動く。三角不等式の等号条件(平行)まで、この展開式 本から読み取れる。

展開公式・余弦定理・三角不等式など、平面で学んだ関係は成分の個数を問わずすべて成立する。「ベクトルの代数は次元を忘れてよい」が空間ベクトル最大の福音である。

答

別解

成分が与えられているのだから、先に足してから測る直行ルートで検算できる。

展開公式と同じ答えになった。 つの道が同じ場所に着くことが、公式の分配法則の数値による確認になっている。

おまけの観察をひとつ。 は が長さ の整数ベクトルであることを言っている()。 や (長さ )のような「 つの 乗和が平方数」になる組は、ピタゴラス数の 次元版として問題作りによく使われる。見かけたら暗算が速くなる。

成分ルートが使えるのに公式ルートが問われるのは、成分のない抽象問題( だけ与えられる型)への備え。両方の道を持ち、照合する。平面のときと同じ学び方がそのまま空間でも通用する。

ポイント

  • 。
  • 成分で各量を計算。

よくある間違い

  • 中間項の を落として とする
  • 内積 の第 成分 を書き忘れて成分数がずれる
  • ()と ()を取り違えて答える

問10平面のベクトル方程式(法線)

★★ 標準平面のベクトル方程式

問題

点 が、原点を通り法線ベクトルが である平面上にあるかを調べよ。

ヒントを見る

法線ベクトルと平面の関係を思い出す。平面上の点は、法線との内積が になる。点を代入して内積を計算するだけ。

解答・解説

方針

原点を通り法線 の平面は (位置ベクトルが法線に垂直)。点の座標を として内積が かを調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 原点を通り法線 の平面とは、「原点からの位置ベクトルが と垂直な点の集まり」。式にすれば

判定は内積 回。 で

内積が なので、位置ベクトルが法線と垂直であり、点は平面上にある。

重要原点を通り法線 の平面 (平面上の点の位置ベクトルは法線に垂直)

① 平面の方程式を書く。 なので

② 点を代入して調べる。 を左辺に。

になるので、点 は平面上にある。

n(2,−1,0)O
原点を通り法線 n=(1,2,2) の平面。点(2,−1,0) は n·(2,−1,0)=0 で平面上

まとめ:平面は「法線ベクトルに垂直な点の集まり」。原点を通るなら 、成分で 。点を代入して なら平面上。法線の成分が平面の方程式の係数になる。

発展。 を成分で書けば となる。平面の方程式は 次式で、係数がそのまま法線になる。数IIの直線 の が法線だったのと同一の構造で、次元が つ上がっただけだ。

「 次方程式の係数 法線」という対応は、平面どうしのなす角(法線のなす角)、平面と直線の交点、距離の公式など、空間図形の計量のほぼすべての基礎になる。ベクトル方程式 と成分の 次式は、同じ平面の つの表記として自在に行き来できるようにしておきたい。

答

なので平面上にある

別解

内積 の値そのものに、平面からの距離という意味がある。 かどうかの判定を超えて読んでみる。法線方向の単位ベクトルは ()。任意の点 に対して

は「 の法線方向成分」、つまり点が平面からどれだけ浮いているか(符号付きの距離)を表す。

  • 今回の点: なので浮きはゼロで、平面にぴったり乗っている
  • たとえば なら: で、法線の向きに だけ浮いている

「平面上にあるか」の判定式は、距離の式の値が の場合だった。この読みができると、点と平面の距離の公式 が丸暗記でなく「法線方向の成分を測っているだけ」と分かる。数IIの点と直線の距離と、まったく同じ構造である。

ポイント

  • 平面 (原点通過)。
  • 法線の成分 = 方程式の係数。

よくある間違い

  • 法線ベクトルを「平面に平行なベクトル」と誤解する(法線は平面に垂直な向き)
  • 原点を通らない平面にも を使う(通る点 があれば )
  • 内積の計算で の符号を落とす

問113点が一直線上にある条件

★★ 標準共線

問題

点 、、 が一直線上にあることを示せ。

ヒントを見る

一直線上 ⟺ と が平行(実数倍)。 つのベクトルを作って見比べよう。

解答・解説

方針

点が一直線上 ⟺ と が平行()。 つのベクトルを求めて実数倍の関係を確かめる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 点が一直線上にある条件は、共通の点から見た 本のベクトルが平行であること。

、 を計算すると

で成立する。 は から 方向へ 倍進んだ点で、 点は一直線上にある。空間では「たすき掛け 」の平面用判定式がないので、実数倍の形で示すのが標準だ。

重要 点 が一直線上 (平行)

① つのベクトルを求める。

② 実数倍の関係を確かめる。

が の実数倍なので、。 を共有するので 点は一直線上にある。

ABC
3点 A(0,0,0), B(1,1,1), C(2,2,2) は AC=2AB なので一直線上

まとめ: 点が一直線上にあるかは「共通の点から引いた ベクトルが平行( 実数倍)」で調べる。 なら、 は から 方向に 倍進んだ点で、一直線上だ。

発展。 共線条件の兄貴分が共面条件(4 点が同一平面上): と 本で張れること。「 本で書ければ直線上、 本で書ければ平面上」であり、張るのに必要な本数が図形の次元を表している。

原点から見た書き方 (係数の和が )も同値な共線条件で、位置ベクトルの応用問題(交点の決定)でよく使う。今回の は で、係数 が確かに成り立っている。

答

(平行)なので一直線上

別解

点の座標をそのまま見ると、等間隔の関係が分かる。

各成分が と等差で並ぶので、 は と のちょうど中点だ。実際

「 が線分 の中点(内分点)」なら、 は当然 上にあり、 点は一直線上にある。

実数倍(本解)と分点(この別解)は、同じ事実の つの言い方だ。「」を分点の言葉で言い換えると「 は を に内分する」となる。一般に の の値から、 点の並び順( の内外、 と の大小)まで分かる。共線の証明では を求めた後に「どの点が間にあるか」まで一言添えると、図の理解が伝わる答案になる。

ポイント

  • 一直線上 。
  • 共通点から ベクトルを引いて比べる。

よくある間違い

  • 起点をそろえず と 等の混在で比べて混乱する(共通の点から 本作る)
  • 成分の「比が等しい」ことを一部の成分だけで確認する(全成分で同じ )
  • を示した後、「よって一直線上」の結論の一文を書かない

問12空間で垂直なベクトルの作成

★★ 標準垂直

問題

に垂直で、 成分が である単位ベクトルを求めよ。

ヒントを見る

条件( 成分 、内積 )を式にすると、成分の関係が決まる。方向が決まったら長さを に整える。答えは つある。

解答・解説

方針

なので 平面内で考える。 に垂直なのは 。それを大きさで割って単位ベクトルにし、 を付ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 条件は つあり、 に垂直、 成分が 、長さ である。

の条件から、探すベクトルは の形になる。実質 平面の中の 次元の問題に落ちる。 も 平面内だから、平面で鍛えた技がそのまま使える: に垂直なのは成分を入れ替えて符号反転した 。長さ で割って

重要条件つきの垂直ベクトルは、内積 と条件を連立して求める

① 条件を書く。 求めるベクトルを ()とする。 と垂直:。よって 。

② 垂直なベクトルを作る。 とすると 。確認:。

③ 単位ベクトルにする。 で割る。

xyzau
a=(1,1,0) に垂直で z成分0 の単位ベクトル (1/√2,−1/√2,0)

まとめ:「垂直 + 条件()」は内積 と条件を連立。 なので実質 平面の問題になり、 に垂直な を作る。大きさで割り、反対向きも答え。

発展。 に垂直なベクトル全体(自由度 の平面)から、今回の答えのほかに 軸方向 も見つかる。実は答えの と の 本が、その垂直平面を張る物差し(正規直交基底)になっている。 と合わせた 本で、空間の傾いた座標系ができる。

「条件 つで自由度 」の勘定は、方程式の本数と図形の次元の関係(直線 平面 枚)と同じもの。ベクトルの問題でも図形の問題でも、まず自由度を数えると解の個数の見通しが立つ。

答

と

別解

なぜ答えが 本しかないのかを、自由度の勘定で見渡してみる。空間のベクトルの自由度は ( を選べる)。条件を つ課すごとに自由度は ずつ減る。

  • 「 に垂直」(): 自由度 で、垂直なベクトルは平面 枚分ある
  • 「」: で、向きが 本の直線方向に絞られる
  • 「長さ 」: で、その直線上で の 点だけが残る

条件で自由度を使い切り、答えは有限個( の 本)になる。勘定と結果が合う。

もし「」の条件がなかったら?自由度が 残り、答えは単位円 周分( に垂直な平面内の全方向)で、無数にある。空間で「垂直な単位ベクトルを求めよ」と言われたら条件の数を数える。答えが 本か、円周分かは問題の設定から先に分かる。

ポイント

  • 内積 と条件()を連立。
  • 大きさで割る。反対向きも答え。

よくある間違い

  • 逆向きの 本を落として片方だけ答える
  • 単位化の分母を でなく ( 乗和のまま)にする
  • 成分 の条件を単位化の後に忘れ、 成分のベクトルとして答える