数学C / 複素数平面

複素数平面 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 極形式とド・モアブルの定理
  2. z³=8i を解く
  3. 点のまわりの回転
  4. 距離の比が一定な点の軌跡
  5. |z|=1 のときの z+1/z の範囲
  6. 正三角形をなす第3の頂点
  7. 3点が一直線上にある判定
  8. 1の5乗根の和

問1極形式とド・モアブルの定理

★★★★ 難関ド・モアブル極形式

問題

を計算せよ。

ヒントを見る

を極形式(絶対値と偏角)に直す。ド・モアブルの定理で 乗すると、絶対値は 乗、偏角は 倍。

解答・解説

方針

を極形式にする:絶対値 、偏角 。ド・モアブルの定理で 乗すると 。偏角を簡単にして計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 複素数の高い累乗は、極形式に直してド・モアブルの定理を使うのが基本だ。

の絶対値と偏角を求める。 乗は「絶対値を 乗、偏角を 倍」するだけ。偏角が を超えたら簡単な角に直す、と見通す。 は 。

公式ド・モアブルの定理:

① 極形式にする。 、偏角は 。よって

② ド・モアブルで 乗。

③ 計算する。 、 だから

まとめ:高い累乗は「極形式 → ド・モアブル」。絶対値 を 乗()、偏角 を 倍()。偏角を第 象限の角に直して実部・虚部を計算する。

発展。 ド・モアブルの定理の心は「掛け算を角の足し算に変える」こと。極形式なら、 乗は絶対値を 乗し、偏角を 倍するだけ。だから複雑な累乗が角の計算になる。

これを一段推し進めると、(オイラーの公式)と書ける。 乗は 。指数法則がそのまま偏角の計算になる。

「回転と拡大」を数の掛け算で表せるのが、複素数の強み。累乗は「同じ回転を何度も重ねる」ことにほかならない。

答

別解

別解:先に 乗して指数を下げる(得意な人向けの視点)。 極形式に直す前に、 を計算しておくと、あとの偏角が扱いやすくなる。

これを極形式にすると、絶対値 、偏角 。つまり 。求めるのは 乗なので、この 乗を 乗すればよい。ド・モアブルで

はじめから極形式にする本解と同じ。 乗で偏角が と整い、 乗するだけで済む。累乗の指数を分けて小さくするのも、計算を軽くする一手だ。

ポイント

  • 。
  • 乗 。

よくある間違い

  • 偏角 の三角比の符号を誤る。
  • 絶対値の 乗()を計算し間違える。
  • 偏角を 倍せず、絶対値だけ 乗する。

問2z³=8i を解く

★★★★ 難関z^n=α1のn乗根

問題

方程式 を解け。

ヒントを見る

を極形式に。解を とおくと 、。 で 個の解。

解答・解説

方針

右辺 を極形式にする:絶対値 、偏角 。解 とおき、、()から を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「 乗根を求める」問題。 を極形式 とおくのが基本だ。

右辺 も極形式にする。絶対値どうし()、偏角どうし()を比べる。偏角に の周期を入れて とすると、 個の解が出る、と見通す。

公式 の解は 個。 とおき、絶対値 、偏角

① 右辺を極形式に。 。

② 絶対値と偏角。 とおくと より 。偏角は

③ 各解を求める。

  • :、。
  • :、。
  • :、。
xyO√3+i−√3+i−2i
z³=8i の3解は半径2の円周を3等分した位置(正三角形の頂点)に並ぶ

まとめ: は「極形式で絶対値と偏角を比較」。、偏角は から ずつ増える 個。 解は半径 の円周を 等分した位置(正三角形の頂点)に並ぶ。

発展。 の解は半径 の円周を 等分した位置、つまり正 角形の頂点に並ぶ。 乗根なら正三角形、 乗根なら正五角形だ。

だから つ根が見つかれば、残りは「 の 乗根を掛ける」だけで得られる。 の 乗根 を掛けると、 ずつ回った次の頂点になる。 なら、これら 個の解の和はつねに (重心が中心)。 乗根の幾何は正多角形の対称性そのものだ。

答

別解

別解: つの根に の 乗根を掛ける(得意な人向けの視点)。 個の偏角を別々に計算しなくても、 つ根を見つければ、残りは回転で出せる。

まず の根 を求める。 乗根は正三角形の頂点に並ぶので、 を ずつ回せば残り つ。 の 乗根 を掛ける。

( の偏角 に を足すと になり、それぞれ 、。) の偏角を順に計算する本解と同じ 解。「 つ求めて を掛ける」と、偏角を毎回足す手間が省ける。正三角形の対称性を使った近道だ。

ポイント

  • 、。
  • ()で 。

よくある間違い

  • 偏角に の周期を入れず、解を つしか出さない。
  • から を求め損ねる。
  • の 個で止めず、 以降(重複)まで数える。

問3点のまわりの回転

★★★★ 難関回転複素数平面

問題

複素数平面上で、点 を、点 を中心として 回転させた点 を求めよ。

ヒントを見る

中心 のまわりの回転はいったん を原点に移し()、回転()して、 を戻す。 なら 。

解答・解説

方針

点 を中心とする 回転は 。 回転は を掛ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 中心が原点でない回転は「中心を原点に移す → 回転する → 戻す」の 段。

を原点に移すと、 は になる。 回転は を掛ける()。最後に を足して戻す。式にすると 、と見通す。

重要点 のまわりの 回転:。 回転は

① 中心を原点に移す。 。

② 回転()。

③ 中心を戻す。 を足して

xyOαzw90°
点αのまわりに z を θ回転: w=α+(z−α)(cosθ+isinθ)。図は α=1+i, z=3+i を90°回転→w=1+3i

まとめ:中心 の回転は「」。 は 。 を原点に移す()、回して、戻す()の 段。。

発展。 複素数の掛け算は「回転と拡大」。 を掛けると 回転、 を掛けると 回転、 を掛けると「 回転して 倍」。だから回転が数の掛け算で書ける。

中心が原点でないときは、「平行移動で中心を原点に合わせ、回して、平行移動で戻す」。 の つの部分が、この 段に対応する。

一般の図形の回転・拡大・移動(相似変換)は、( は複素数)の形にまとめられる。複素数平面は平面の変換を計算する道具でもある。

答

別解

別解:座標で 回転を実行する(苦手な人向けの視点)。 複素数の掛け算に慣れていなくても、点を座標とみて回転すれば同じ答えが出る。

は点 、中心 は点 。まず中心から へのベクトルを出す。

このベクトルを原点まわりに 反時計回りに回す。 回転は だから

中心 を足して戻す。

これは複素数で 。 で回す本解と同じ 。座標での 回転 が、複素数の「」とちょうど同じ働きをする。慣れないうちは座標で確かめると安心だ。

ポイント

  • 、 で 。
  • で 。

よくある間違い

  • 中心を原点に移さず、 に直接 を掛ける。
  • 回転後に を戻すのを忘れる。
  • 回転を でなく (逆回り)とする。

問4距離の比が一定な点の軌跡

★★★★ 難関軌跡アポロニウスの円

問題

複素数平面上で、 を満たす点 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

とおき、 を 乗する。 を で表して整理。

解答・解説

方針

とおき、両辺を 乗する:。、 を代入して整理すると円になる(アポロニウスの円)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 複素数の軌跡は とおいて、 の関係式に直す。

絶対値は根号が絡むので、 乗する()。、 を代入する。整理すると円になるはず(距離の比が一定 → アポロニウスの円)、と見通す。

公式 点からの距離の比が一定の点の軌跡はアポロニウスの円。

① 乗して立式する。 とおき、 を 乗する。

② 整理する。 展開して

両辺を で割り、 について平方完成する。

xyO中心 −13
|z−3|=2|z| の軌跡は円 (x+1)²+y²=4(中心 −1、半径 2)

まとめ:複素数の距離の軌跡は「 で 乗して立式」。 は距離の比 で、アポロニウスの円 (中心 、半径 )。比が でないので直線でなく円になる。

発展。 定点 からの距離の比 が一定 の点の軌跡は、 なら円(アポロニウスの円)、 なら垂直二等分線(直線)になる。今回は 、、。

比が からずれるほど、円は小さいほうの定点に寄る。 なら 側(遠いほう)寄りではなく、近いほうに小さくまとまる感覚だ。複素数で扱うと、 と共役の積で書けるので、成分に分けなくても計算できる。円という図形が絶対値ひとつの条件から現れる。

答

円 (中心 、半径 )

別解

別解:共役を使って複素数のまま整理する(得意な人向けの視点)。 に分けず、 を使って複素数のまま計算しても円が出る。

の両辺を 乗する。、 だから

左辺を展開すると 。移項して

ここで だから、、すなわち

これは中心 、半径 の円。 に分けて計算する本解と同じ 。 を使うと、 とすぐに円の形にまとまる。共役をうまく使うと計算が短くなる。

ポイント

  • 乗して 。
  • 整理して (アポロニウスの円)。

よくある間違い

  • を 乗する際、右辺の の 乗()を忘れる。
  • 平方完成の定数項の処理を誤る。
  • 軌跡を直線と誤る(比が でないので円になる)。

問5|z|=1 のときの z+1/z の範囲

★★★★ 難関絶対値z+1/z

問題

を満たす複素数 に対して、 の取り得る値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

なら は共役 。すると で実数になる。 で表すと。

解答・解説

方針

のとき (共役)。よって 。 とすると で、範囲は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) という条件から、多くのことが分かる。 より (共役)。

すると となり、これは実数(虚部が打ち消し合う)で 。 と表せば 。 の範囲から値域が出る、と見通す。

重要 のとき 。(実数)

① を共役に。 より 、すなわち 。よって

これは実数。

② 範囲を求める。 (単位円上)とおくと 。よって

だから

xyOz|z|=1
z+1/z が実数 ⟺ |z|=1(単位円上)または z が実数。|z|=1 なら 1/z=z̄ で z+z̄=2Re(z)

まとめ: なら で 。実数で、範囲は 。単位円上の点の実部が の間を動くことを直接使う。

発展。 のとき となる関係は、複素数と三角関数を結ぶ大切な橋。ここから も出て、 を の多項式(チェビシェフ多項式)で表す道具になる。

たとえば から 、すなわち (倍角公式)が導ける。写像 は、単位円を線分 に押しつぶす。翼の断面(ジューコフスキー翼)を作る変換としても知られる。単純な式が豊かな幾何を生む。

答

実数で、

別解

別解: を直接代入する(苦手な人向けの手順ルート)。 を知らなくても、 を単位円上の点として書き、 を素直に計算すればよい。

だから と表せる。 は分母を実数化して

( で分母が 。)これを足すと

虚部が消えて実数。 だから 。 を使う本解と同じ。分母を実数化して を出せば、 が共役だと自然に分かる。手を動かして確かめると納得できる。

ポイント

  • → 、。
  • で 、範囲 。

よくある間違い

  • ( のとき)を使えない。
  • が実数になることに気づかず、複素数のまま扱う。
  • の範囲 から値域を出すとき、 倍を忘れる。

問6正三角形をなす第3の頂点

★★★★ 難関正三角形回転

問題

複素数平面上の 点 、 に対して、 点 が正三角形をなすような をすべて求めよ。

ヒントを見る

正三角形の第 頂点は を を中心に (または )回転した点。回転の公式に当てはめる。

解答・解説

方針

は を のまわりに 回転した点。。 通りある。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) が正三角形なら、 は「 を のまわりに 回転した点」。

辺 を を軸に 回すと、辺 になる(正三角形の内角 )。回転の向きが 通りあるので、 も つ。回転の公式に当てはめる、と見通す。

重要 が正三角形 ⟺

① 回転の公式。 。。、。

② の場合。

③ の場合。

よって または 。

01第3の頂点
2点 0, 1 から正三角形をなす第3の頂点は (1/2, ±√3/2)(60°回転で作る)

まとめ:正三角形の第 頂点は「 回転」。 で 通り。 に を掛けるとき、 で実部が動くのがポイント。

発展。 正三角形の第 頂点が つあるのは、辺 の左右どちらにも三角形が作れるから。 と の回転がその つに対応する。

回転を使わずとも、幾何で捉えられる。第 頂点は辺 の中点から、辺に垂直な向きに高さ だけ進んだ点。中点の左右に つずつだ。

正三角形の条件は複素数では とも書ける(向きによらない対称な形)。回転・中点・対称式、どの見方でも同じ 点に行き着く。

答

または

別解

別解:中点から垂直に高さ 進む(得意な人向けの視点)。 回転の公式を使わず、正三角形の高さから直接、第 頂点を出せる。

は点 、 は点 。辺 は縦向きの線分で、長さ 。その中点は 。

正三角形の第 頂点はこの中点から辺に垂直な向き(いまは横向き)に、高さ だけ進んだ点。左右に つずつあるので

回転で出す本解と同じ 点。正三角形の「中点からの高さ 辺」を使うと、回転の計算をせずに座標が書ける。辺が縦なら垂直は横、と向きが読めるのがこの見方の利点だ。

ポイント

  • 。
  • から 。

よくある間違い

  • 回転の向き()の一方だけで、 を つしか出さない。
  • の計算で の符号を誤る。
  • 回転角を でなく (正三角形の外角)にする。

問73点が一直線上にある判定

★★★★ 難関共線条件複素数平面

問題

複素数平面上の 点 、、 が一直線上にあるかどうかを、複素数を用いて判定せよ。

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点が一直線上 ⟺ が実数(=偏角が か )。この商を計算する。

解答・解説

方針

点 が一直線上にある ⟺ が実数。この商を計算して、実数かどうか調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 点が一直線上にあるかは、 が実数かどうかで判定できる。

これは「 から見た の向きと の向きが同じ(または逆)」= 偏角の差が か 、を意味する。だからこの商を計算する。虚部が (実数)なら一直線上、と見通す。

重要 点 が一直線上 ⟺ が実数

① 差を計算する。 、。

② 商を計算する。 分母の共役を掛ける。

③ 判定する。 は実数。よって 点は一直線上にある(しかも より、 は から 方向に 倍の位置)。

まとめ: 点の共線判定は「 が実数か」。分母の共役を掛けて計算し、虚部が なら一直線。値 (実数かつ正)は、 が の延長上にあることも示す。

発展。 という商は、複素数の割り算が「回転と拡大の逆」だから意味をもつ。その偏角は「 から を見る向き」と「 から を見る向き」の角度差。この差が か 、つまり商が実数なら 点は一直線だ。

商の値そのものにも情報がある。実数で正なら は と同じ側(半直線上)、負なら反対側。今回の は正なので、 は から 方向へ 倍伸ばした位置にある。

同じ商が実数でなく「純虚数」なら、(直交)。商の偏角から、 点の位置関係がまるごと分かる。

答

(実数)なので、 点は一直線上にある

別解

別解: が の実数倍かを見る(得意な人向けの視点)。 商を割り算しなくても、 が の実数倍になっているかを直接確かめればよい。

差を計算する。

なので、。実数 倍だから、 は と同じ向き。よって 点は一直線上にある。

座標の傾きで見てもよい。 から への傾きは 、 への傾きも 。傾きが等しいので一直線。

商 を計算する本解と同じ結論。 がすぐに の見やすい実数倍になっていれば、割り算せずとも共線と分かる。実数倍 同じ向き、が判定の核だ。

ポイント

  • 、。
  • (実数)→ 一直線上。

よくある間違い

  • 商の計算で分母の共役を掛けるのを忘れる。
  • が実数 共線、という条件を使えない。
  • 実部だけ見て、虚部が かの確認を飛ばす。

問81の5乗根の和

★★★★ 難関1のn乗根

問題

は の 乗根の つである。 の値を求めよ。

ヒントを見る

は等比数列の和。 で、 に注目。 に注意。

解答・解説

方針

は を満たし、。等比数列の和 を使う。 より分子が 。または、 の 乗根すべての和は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は を満たす( 乗すると偏角が で に戻る)。かつ 。

は、初項 、公比 の等比数列の和で 。分子が になるので、和は 。()だから割ってよい、と見通す。

重要、 のとき ( の 乗根の和は )

① を確認する。 をド・モアブルで 乗すると

かつ ()。

② 等比数列の和。 初項 、公比 、 項の和は

③ 値を求める。 より分子 、 だから

1ζζ²ζ³ζ⁴
1の5乗根は単位円を5等分(正五角形)。5つの和は 0

まとめ: は等比数列の和 で、 だから 。これは「 の 乗根 個の和は 」という事実(正五角形の頂点の重心が中心 )の表れ。 で分母が でないことの確認が要。

発展。 「 の 乗根 個の和は 」は、いつでも成り立つ()。 の 個の解の和が、 の係数(=)で決まるからだ(解と係数の関係)。

幾何的には、 の 乗根は正五角形の頂点。 個の位置ベクトルの和が とは、重心が中心 にあるということ。対称な図形の頂点は足すと打ち消し合う。

実部だけを取り出すと が出る。ここから が求まり、黄金比とつながる。正五角形の対称性が 本の等式に表れている。

答

別解

別解:正五角形の重心が中心 であることから(得意な人向けの視点)。 等比数列の和を経由せず、幾何の対称性からも が分かる。

は の 乗根で、単位円を 等分した位置、つまり正五角形の頂点。それぞれを位置ベクトルとみる。

正五角形は中心 について完全に対称。 ずつ回した 本のベクトルは、あらゆる向きに均等に散らばっている。だから足し合わせると、どの向きの成分も打ち消し合って になる。

言いかえると、 頂点の重心 は図形の中心 。よって

等比数列の和 を使う本解と同じ。「対称な図形の頂点の和は中心(重心)の 倍」で、中心が なら和も 。代数の計算を、正五角形の対称性が裏づける。

ポイント

  • 、。
  • 。

よくある間違い

  • を使わず、各項を成分計算して和を出そうとする。
  • の場合(分母 )と混同する()。
  • 等比数列の和の公式で、分子 を などと誤る。