問1複素数の絶対値
問題
複素数 の絶対値 を求めよ。
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絶対値は原点からの距離で、実部と虚部でできる直角三角形の斜辺にあたる。三平方で出す。
解答・解説
方針
複素数 の絶対値は 。複素数平面での原点からの距離。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 複素数 を、平面上の点 だと思ってみよう。
これが複素数平面の発想だ。
- 実部 → 横()座標
- 虚部 → 縦()座標
そして、絶対値 とは原点からその点までの距離である。
三平方の定理そのものだ。
ベクトルの大きさと、まったく同じ計算になる。
複素数はこの点では平面のベクトルと同じだ。では、何が違うのか。
複素数どうしは、掛け算ができる。
ベクトルには「掛けて別のベクトルを作る」演算がない(内積は数になってしまう)。
その掛け算が回転を表す。それが、この単元の主題である。
まとめ:複素数 は複素数平面で点 。絶対値はその点と原点の距離 。 は原点から 。ベクトルの大きさと同じ考え方だ。
発展。 複素数は、なぜ「数」でありながら、「平面」でもあるのか。
歴史をたどってみよう。
世紀、 次方程式の解の公式が発見された。そこで、思いがけないことが起きた。
という方程式。 実数解 をもつことは、代入すればすぐ分かる。ところが、解の公式に当てはめると
という、負の数の平方根が出てきてしまう。「あり得ない数」を経由しないと、正しい実数解()にたどり着けない。
数学者たちは困惑した。 ボンベリは、この を「詭弁的な量」と呼びながら、計算に使った。そして、確かに答えが合う。
「存在しないはずの数が、正しい答えを導く」この不気味な事実が、複素数の出発点だった。
デカルトはこれを「想像上の数」(imaginary)と名づけた。 蔑称である。オイラーが という記号を導入し( 年)、ガウスが複素数平面を導入した( 年)。
ガウスの考えは大きな転換点になった。「 を、平面の点 と見なせばよい」この 行で、複素数は「想像上のもの」から「目に見えるもの」になった。
もはや不気味ではなく、ただの平面の点だ。そして、この見方から、次の重要な事実が導かれる。
代数学の基本定理(ガウス、 年)。「 次方程式は、複素数の範囲で、必ず 個の解をもつ。」実数の範囲では、 は解をもたない。
だが複素数なら、 という 個の解がある。どんな方程式も複素数の中では「完結」する。これ以上、数を拡張する必要がない。
「複素数は、代数的に閉じている」負の数()を認めたら、 次方程式のためにさらに新しい数が要るのでは、と心配する必要はない。複素数で、すべて足りる。
という、素朴な計算。そこには、「あり得ない数」を認めたことで、方程式の解がすべて数の中に収まるようになった、という歴史がある。
別解
図を使わず、共役との積()から絶対値を出す。複素数には、こんな公式がある。
「自分自身と、その共役を掛けると、絶対値の 乗になる。」
確かめよう。 、。
和と差の積の公式 を使う。
ここで だから
という実数になった。
虚数単位がきれいに消える。
( なので、正のほうを取る。)
本解と同じ答え
この方法の何が便利なのか。「図形(距離)の問題を、代数(掛け算)で解いた」
三平方の定理を使っていない。 ただ、 という規則に従って計算しただけだ。そして、 が必ず実数になるという事実は、極めて重要である。
一般に なら
確かに実数、しかも 以上。 そして、これは にほかならない。この公式が分数の計算を可能にする。
複素数で割り算をするとき、分母を実数にしたい。
分母・分子に共役を掛けると、分母が実数になる。
「有理化」の複素数版だ。
根号を消すために共役()を掛けたように、虚数を消すために共役()を掛ける。さらに、この公式から、絶対値の性質も導ける。
「積の絶対値は、絶対値の積」これは、次に学ぶ「掛け算で長さが掛け算される」という性質の、代数的な証明になっている。図形的な事実が という 行の規則から、すべて導かれるのだ。
ポイント
- 。
- 複素数平面での原点からの距離。
よくある間違い
- を としてしまう。絶対値は原点からの距離で、
- 虚部の まで 乗して としてしまう。絶対値の公式では、虚部の「係数」()だけを 乗する
- 絶対値が負になると考える。 で、必ず 以上