数学A / 図形の性質

図形の性質 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 平行線と線分の比
  2. 内角・外角の二等分線
  3. 中線定理と面積
  4. 内心と角の大きさ
  5. 外心と角の大きさ
  6. チェバの定理と長さ
  7. メネラウスの定理と中線
  8. 弧の比と円周角
  9. 円に内接する四角形と外角
  10. 接弦定理と三角形
  11. 方べきの定理(接線と割線)
  12. 正八面体とねじれの位置

問1平行線と線分の比

★★ 標準平行線と比

問題

3本の平行な直線 、、 に、2本の直線が交わっている。1本目の直線上では上から順に長さ 、 に分けられ、2本目の直線上では上の部分が である。

nmℓABCDEF346EF
平行線 ℓ・m・n は横断線を同じ比 3:4 に切る

2本目の直線の下の部分 の長さを求めよ。

ヒントを見る

平行線が横切る直線を切るとき、切られた部分の比はどの横断線でも同じになる。1本目でできた比を、2本目の と等しいとおいてみよう。

解答・解説

方針

平行な直線はそれを横切る直線を「同じ比」で切る。だから1本目でできた比 が、2本目にもそのまま当てはまる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 平行な直線たちは、横切る直線を「同じ比」で切る。これがこの図のすべてだ。

1本目の直線でできた比は 。この比が2本目の直線にもそのまま写る。上が なら、。比例式を解いて となる。

定理平行線と線分の比:平行な直線は、2本の横断線を同じ比に切る

1本目の直線でできた比は 。平行線はどの横断線も同じ比で切るので、2本目の直線でも上下の比は 。

比の式を分数にして

たすきにかけて 。よって

発展。 「平行線が比を保つ」は、三角形の中では「辺に平行な直線が他の2辺を同じ比で切る」という形になり、中点連結定理( の特別な場合)もここから出る。

この先の内分・外分、チェバ・メネラウスの定理まで、この単元の道具はすべて「比を図形の中でどう運ぶか」の技術だ。出発点のこの1問がその原理のいちばん純粋な形である。

答

別解

「倍率」で読むと、比例式を立てるまでもない。2本目の上の部分 は1本目の上の部分 のちょうど 倍だ。平行線で切られる限り、上下の伸び方は共通の倍率で決まる。だから下の部分も 倍で、。

「対応する部分どうしの倍率は全部同じ」という見方は、相似の考え方そのものだ。比例式()と倍率()は同じ内容の2つの書き方で、数がきれいなときは倍率のほうが速い。

ポイント

  • 平行線は横切る直線をどれも同じ比で切る。
  • 比の等式は「分数どうし」または「たすきがけ」で解ける。

よくある間違い

  • 比の向き(上:下)を1本目と2本目でそろえず、答えがずれる
  • 比例式の内項・外項の積を取り違える
  • 「平行だから比が写る」の根拠を、平行でない図にも使ってしまう(平行の確認が前提)

問2内角・外角の二等分線

★★ 標準角の二等分線内分と外分

問題

で 、、 とする。 の内角の二等分線が と交わる点を 、外角の二等分線が の延長と交わる点を とする。

ABCDE64
内角の二等分線 AD(内分)と外角の二等分線 AE(外分)

線分 の長さを求めよ。

ヒントを見る

内角の二等分線は を に内分、外角の二等分線は同じ で外分する。 を 、 を とおいて、 と の位置を数で出してみよう。

解答・解説

方針

内角の二等分線は を に「内分」、外角の二等分線は同じ比で「外分」する。 と の位置を数直線上で求めて、その差をとる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内角の二等分線は、向かいの辺を に内分する。外角の二等分線は同じ比で外分する。

比はどちらも 。 は を に内分、 は に外分する点だ。あとは と の位置を確定して、距離をとる。外分点は辺の外(今回は の先)に出ることを、図でも確認しておく。

定理角の二等分線:内角の二等分線は を に内分、外角の二等分線は同じ比に外分する

。数直線で 、 とおく。

内分点 : なので

外分点 : で は の外側。 とおくと 。

よって 。

差をとる:

発展。 内角と外角の二等分線は、実は直交する()。内角の半分と外角の半分を足すと、ちょうど になるからだ。つまり 、 は「直角を見込む2点」で、 は を直径とする円の上に乗っている。

この円はアポロニウスの円と呼ばれ、「2定点からの距離の比が一定の点の軌跡」として数学IIの軌跡の単元で再登場する。

答

別解

内分・外分の扱いに不安があるなら、直線 に「数直線」を敷いてしまうのが確実だ。 を 、 を とする。 は の内分点だから、 から までを で分けて、座標 。

は の外分点。外分の公式で 。

数直線に乗せると、内分も外分も「座標の計算」という同じ土俵になり、 が ()のはるか先に出ることも数字で見える。図の直感と座標の計算、両方で確かめられれば盤石だ。

ポイント

  • 内角の二等分線=内分、外角の二等分線=外分。どちらも比は 。
  • 外分点は数直線で「線分の外側」に来る。式 で位置を出す。

よくある間違い

  • 外分を内分と同じ向きで計算してしまう( は の外に出る)
  • 比 を の順に取り違える
  • を に分けるとき、 の長さの計算を誤る(数直線なら引き算1回で済む)

問3中線定理と面積

★★ 標準中線定理重心面積比

問題

で 、、 とする。 は辺 の中点、 は重心である。

GABCM756
中線 AM と重心 G(G は AM を 2:1 に分ける)

(1) 中線 の長さを求めよ。

(2) の面積が のとき、 の面積を求めよ。

ヒントを見る

(1) 中線 の長さは、3辺だけから出せる公式がある。 を使う。(2) 重心 は中線を に分ける。 の高さは の高さの何分のいくつかを考えよう。

解答・解説

方針

(1) は中線の長さを出す公式(中線定理)を使う。(2) は重心が三角形を面積の等しい6つに分けることから、 が全体の何分の1かを考える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)は3辺と中線の関係、中線定理を使う。 に数値を流し込む。

(2)は重心の性質で決まる。重心は各中線を に分けるから、 の高さは の高さの 。底辺 は共通だ。

だから面積も で、。「重心は三角形を面積3等分する」と覚えてよい。

定理中線定理: が の中点のとき

(1) 。公式に入れる。

(2) と は、底辺 が共通。高さの比を考える。

重心 は中線 を に分けるので、 から までの高さは から までの高さの 。

発展。 重心は三角形を3等分するだけでなく、3本の中線で「面積の等しい6つの小三角形」に切り分けている。3等分はその6つを2個ずつまとめた姿だ。

中線定理は数学IIの座標、数学Cのベクトル( の2乗)でも導ける。同じ事実に3つの方法(初等幾何・座標・ベクトル)からたどり着ける、よい題材である。

答

(1) (2)

別解

(1)は中線定理を忘れても座標で押し切れる。、 と置くと、。 は 、 から

差をとると で 、。

中線定理はこの座標計算を文字のまま一般化した結果でもある。「定理を忘れたら座標に置く」という避難路は、図形と計量・図形と方程式でも一貫して使える。

ポイント

  • 中線の長さは中線定理で。3辺と だけで求まる。
  • 底辺が同じ三角形は、面積の比 = 高さの比。重心で高さが になる。

よくある間違い

  • 中線定理の右辺の 倍を忘れる()
  • (2)で の比を逆にして、 を全体の とする
  • に 全体の を入れてしまう(中点までの が正しい)

問4内心と角の大きさ

★★ 標準内心角度

問題

は の内心である。

IABC
内心 I は角の二等分線の交点。∠BIC = 90° + ∠A/2

(1) のとき、 を求めよ。

(2) のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

は角の二等分線の交点なので、、。 の内角の和 と、 を合わせてみよう。

解答・解説

方針

内心 は角の二等分線の交点。 の内角の和を考えると、 が だけで書ける公式が出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内心 は、角の二等分線の交点。だから 、 と、半分の角が手に入る。

の内角の和を書くと、。 を入れれば、。 だけで書ける公式になり、(1)(2)は代入と逆算で終わる。

定理内心と角:

なぜこうなるか。 は角の二等分線の交点なので 、。 の内角の和から

を入れると

(1) を代入。

(2) を公式に入れて逆算。

発展。 は必ず より大きい。内心から見ると、どの辺も鈍角に見えている。

を動かしても が一定なら、 は を一定の角で見込む円弧上にいる。実はこの弧の中心は「弧 の中点」で、内心・傍心が同じ円上に並ぶという事実(トリリウムの定理と呼ばれる)につながっている。

答

(1) (2)

別解

「外角」を2回使う導き方もある。補助線は直線 の延長だ。 を延長して、 を2つの角に割る。

延長線の左側の角は の外角だから、遠くの2内角の和 に等しい。右側の角も同様に、 の外角で 。足すと

内角の和ルートと同じ公式に着く。「外角=遠くの2角の和」は、角の問題全般でよく使う。この道で導けると、公式を忘れても図からすぐに復元できる。

ポイント

  • 。内心はいつも より大きい角になる。
  • 公式を覚えていなくても、 の内角の和からその場で作れる。

よくある間違い

  • 公式を と符号を取り違えて覚えている(外心の との混同)
  • (2)の逆算で の 倍を忘れる
  • 内心を外心・重心と取り違えて、別の性質を使ってしまう

問5外心と角の大きさ

★★ 標準外心角度

問題

は の外心で、 とする。

70°OABC
外心 O。OB=OC(半径)より △OBC は二等辺三角形

(1) を求めよ。

(2) を求めよ。

ヒントを見る

(1) は弧 の中心角、 は円周角。(2) と はどちらも外接円の半径なので長さが等しい。 はどんな三角形か。

解答・解説

方針

(1) は中心角=円周角×2。(2) は (ともに外接円の半径)なので が二等辺三角形であることを使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 外心 は外接円の中心。だから (1) は「中心角=円周角の2倍」で即座に 。

(2)では (どちらも半径)であることに気づけば解ける。 は二等辺三角形だ。頂角 が分かっているから、底角は 。外心の問題は「半径で二等辺三角形を作る」が基本である。

定理中心角は円周角の2倍。外心 では 外接円の半径

(1) は弧 の中心角、 は同じ弧の円周角なので

(2) (半径)だから は二等辺三角形。底角 と は等しい。内角の和から

発展。 が鈍角になると、外心 は三角形の外へ出て、 は を超える側(優角)で数えることになる。公式 が負になるのは、その状況の信号だ。場合分けまで含めて理解できると強い。

外心の位置(鋭角三角形なら内部、直角三角形なら斜辺の中点、鈍角三角形なら外部)は、円周角の定理と表裏の関係にある。「直角三角形の外心=斜辺の中点」は、それ自体が頻出の道具である。

答

(1) (2)

別解

(1)(2)をまとめて文字で処理すると、便利な公式が1本手に入る。 とすると、中心角は 。二等辺三角形 の底角は

つまり「外心から見た底角は、向かいの頂角の余角」だ。今回は とすぐに出る。内心の と並べて、「内心はプラス、外心はマイナス」の対で覚えておくと、五心の角度問題での取り違えが減る。もちろん、忘れたら二等辺三角形からその場で導き直せばよい。

ポイント

  • 外心から各頂点までは同じ長さ(半径)。だから は二等辺。
  • 中心角を出す → 二等辺の底角 =(180° − 頂角)÷ 2。

よくある間違い

  • 中心角と円周角の2倍の関係を逆にする( が半分だと誤る)
  • (2)で (半径)に気づかず、手がかりを失う
  • 鈍角三角形で外心が三角形の外に出る場合を想像できず、図を1種類しか描かない

問6チェバの定理と長さ

★★ 標準チェバの定理

問題

の内部で3本の線 、、 が1点で交わっている( は 上、 は 上、 は 上)。、 とする。

ABCDEF
3本の線が1点で交わる。BD:DC=2:3、CE:EA=4:1

(1) を求めよ。

(2) のとき、 の長さを求めよ。

ヒントを見る

チェバの定理で を先に出す。比の式に と を代入。長さは を出た比で分ければよい。

解答・解説

方針

3本が1点で交わる → チェバの定理。3つの比のかけ算 = 1 に、分かっている2つを入れて を出す。長さは比から配分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3本の線が1点で交わっている。この配置を見たら、チェバの定理が第一候補だ。

頂点から出発して三角形を一周する向きで、3つの比を掛けると になる。

分かっている2つの比を入れれば、残りの が逆算できる。(2)は比が出たあとの配分の計算だ。

定理チェバの定理:

(1) 値を入れる。

数の部分は なので

よって 。

(2) を に分けた「 のほう」が 。合計は 個分。

発展。 別解の面積比 は交点 の「重心座標」と呼ばれるものにあたる。3つの数の組が三角形内の点の位置を完全に決める、という見方は、数学Cのベクトル(点の存在範囲)で本格化する。

チェバの定理の逆(積が1なら3本は1点で交わる)は、三角形の五心の存在証明(3本の中線・角の二等分線が本当に1点で交わること)に使われる。定理と逆定理のセットで持っておきたい。

答

(1) (2)

別解

チェバの定理を使わず、「面積比」で直接解くこともできる。定理の中身を素手でなぞる道だ。交点を とし、3つの小三角形の面積を 、、 とおく。

底辺の比は同じ頂点を持つ三角形の面積比になる。

  • ( を共有する2三角形)
  • ( を共有)

を基準にすると 、。求める比は

チェバの「積が1」は、この3つの面積比を掛けると が全部約分される、という仕組みだったと分かる。定理を忘れても面積比で必ず復元できる。

ポイント

  • チェバで比を出す → 長さは で配分。
  • 比を書く向きは三角形を一周する順にそろえる。

よくある間違い

  • 一周する向きを途中で乱し、比の分子・分母が逆になる
  • (2)で の分母(比の合計 )を取り違える
  • チェバとメネラウスの使い分け(1点で交わる=チェバ、直線が横切る=メネラウス)を混同する

問7メネラウスの定理と中線

★★ 標準メネラウスの定理中線

問題

で を辺 の中点とし、中線 を引く。辺 上に となる点 をとり、直線 が中線 と交わる点を とする。

PABCME
中線 AM と直線 BE の交点 P。△AMC で見るとメネラウス

を求めよ。

ヒントを見る

に注目。直線 は辺 を 、辺 を 、辺 の延長を で横切っている。 が中点だから もわかる。

解答・解説

方針

を直線 が横切っている、と見る。すると3辺 、(延長に )、 の分点についてメネラウスの定理が使える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 求めたいのは中線 上の比 。直線 が三角形を横切ってこの比を作っている。

「三角形を直線が横切る」配置はメネラウスの定理の合図だ。どの三角形に使うかで決まる。求めたい線分 を辺に持つ を選び、横切る直線 -- で一周すれば、 が式に入る。

定理メネラウスの定理:1直線が三角形の3辺(または延長)を切るとき、辺の比のかけ算は

を直線 が横切っている。頂点 と一周して、分点の比をかける。

それぞれ調べる。 は の中点なので、、つまり 。 より 。

代入すると

よって 。

発展。 質量点の「おもり」は別の問題で使った面積比()と同じもので、数学Cで学ぶ位置ベクトルの係数でもある。 という式の分子のおもりが、そのままこの問題の だ。

メネラウス・チェバ・質量点・ベクトルは、同じ「比の運搬」を別の記法でやっている。1つの問題を複数の記法で解き比べると、それぞれがどんな場面に向いているかが分かる。

答

別解

「てこの釣り合い」で解く、質量点という軽快な方法もある。頂点におもりを置き、分点を「釣り合いの支点」と読むのだ。 は の点。てこが釣り合うには、腕の長い側を軽く。 に 、 に のおもりを置くと、支点はちょうど に来る。

は の中点だから、 と は同じ重さ。 に合わせて とする。すると直線 の上では、 に 、 に が乗っている。全体の釣り合いの支点 は、重いほう()に近い位置で

おもりの逆比で比が読める。メネラウスと同じ答えだ。おもちゃのようだが中身は厳密で、複数の比が絡む点ほど役に立つ。

ポイント

  • 中線や分点が混ざったら、うまい三角形を選んでメネラウス。
  • が中点 → を忘れずに入れる。

よくある間違い

  • どの三角形にメネラウスを使うか選び間違え、比が合わなくなる(求める線分を辺に持つ三角形を選ぶ)
  • 一周の順路が乱れて、比の分子・分母が逆になる
  • 質量点で、おもりを腕の比と同じ側に置く(釣り合いは逆比。長い腕ほど軽いおもり)

問8弧の比と円周角

★★ 標準円周角の定理弧と角

問題

円周上に3点 、、 があり、弧 、弧 、弧 (いずれも他の点を含まないほう)の長さの比が である。

ABC234
弧の比 2:3:4。円周角は向かいの弧の中心角の半分

の3つの内角 、、 を求めよ。

ヒントを見る

弧全体で 。これを に分けると各弧の中心角が出る。 が見ているのは、 の向かいにある弧 だ。円周角はその弧の中心角の半分。

解答・解説

方針

円周角は、それが見ている弧の大きさに比例する。まず弧全体()を に分けて各弧の中心角を出し、円周角はその半分。どの角がどの弧を見ているかに注意。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円周角は、見ている弧の大きさに比例する。弧の比が与えられたら、角の比も同じだ。

注意はただ1点、「どの角がどの弧を見ているか」。 が見るのは、 を含まない向かいの弧 である。まず弧全体 を に配分して中心角を出し、円周角はその半分。対応さえ間違えなければ、機械的に終わる。

定理円周角は見ている弧に比例し、その弧の中心角の半分

弧全体は 。これを (合計 )に分けると、各弧の中心角は

各頂点の角はその頂点の「向かい」にある弧を見た円周角(中心角の半分)だ。

確かめると で内角の和に合う。

発展。 「弧の比=円周角の比」は円周角の定理のいちばん実用的な読み方だ。弦の長さの比はこうはいかない(弦は を通じて弧と結びつく。正弦定理が扱う関係)ので、「比例するのは弧まで」という限界も知っておきたい。

円周上に点を増やした問題(円周を 等分した点から作る三角形の内角、鋭角・直角・鈍角三角形の個数など)も、全部この「弧の配分」の発想で数えられる。

答

別解

中心角を経由せず、内角の和 を直接配分する近道もある。3つの内角 は、それぞれ弧 を見ている。円周角は弧に比例するから

(弧の比 を、向かいの角に付け替えた並びだ。)内角の和は 。これを に配分して

を配って半分にする本解と、 を配る別解。半分の操作を先に済ませるか後で済ませるかの違いで、答えはもちろん一致する。対応の付け替え()さえ確実なら、この直行便が最短だ。

ポイント

  • 円周角 = 見ている弧の中心角 ÷ 2。弧の比 = 円周角の比。
  • 頂点の角が見る弧は、その頂点の「向かい」の弧。

よくある間違い

  • が弧 を見ていると取り違える(見るのは向かいの弧 )
  • の配分と の配分を混ぜて、半分の操作を2回やってしまう
  • 答えの3つの角の和が になるかの検算をしない

問9円に内接する四角形と外角

★★ 標準内接四角形外角

問題

四角形 が円に内接し、、 とする。辺 を の側に延長した半直線上に点 をとる。

ABCDE
内接四角形 ABCD。外角 ∠DCE は向かいの内角 ∠BAD に等しい

(1) と を求めよ。

(2) を求めよ。

ヒントを見る

(1) 向かい合う角の和は 。 の向かいは 、 の向かいは 。(2) と は一直線上でとなり合う。

解答・解説

方針

内接四角形は向かい合う角の和が 。これで(1)が出る。(2)の外角は内接四角形の性質から「向かいの内角」に等しくなる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円に内接する四角形でまず使う性質は「向かい合う角の和が 」だ。

(1)はこの性質を2回使うだけ。、。(2)の外角は隣の内角と足して 。つまり で、結果は向かいの内角 と同じ値になる。「外角=内対角」という言い回しで覚えられている性質だ。

定理円に内接する四角形:向かい合う角の和は 。外角は向かいの内角に等しい

(1) 向かい合う角の和は なので

(2) 、、 は一直線上にあるので、 と をたすと 。

まとめ:これは向かいの内角 と一致する。内接四角形の外角は向かいの内角に等しい。

発展。 この性質は逆も成り立つ。「向かい合う角の和が なら、その四角形は円に内接する」。4点が同一円周上にあることを示す道具(共円条件)として、証明問題で頻繁に使われる。

「外角=内対角」も共円の判定に使える形だ。図の中に円が見えないのに角の条件だけが与えられたら、「隠れた円があるのでは」と疑う。その嗅覚がこの単元の応用力である。

答

(1) (2)

別解

「対角の和 」の出どころまで見える、弧で読む方法もある。円周角は見ている弧の半分だった。 は、 の向かい側の弧 を見ているから、弧 。すると残りの弧 は 。これを見るのが だから

向かい合う2つの角は円周を2つに割った弧をそれぞれ半分ずつ見ている。だから和は必ず 。性質の証明そのものが計算の中に現れた。

弧の言葉に降りると、内接四角形の性質・円周角・接弦定理が全部「弧の半分」という1つの文法で読めるようになる。

ポイント

  • 向かい合う角の和 = 180°(内接四角形)。
  • 外角(辺を延長してできる角)= 向かいの内角。

よくある間違い

  • 「向かい合う角」の組( と 、 と )を取り違える
  • 外角を「隣の内角と等しい」と誤る(等しいのは向かいの内角)
  • 円に内接していない四角形にもこの性質を使ってしまう(内接が前提)

問10接弦定理と三角形

★★ 標準接弦定理内角の和

問題

が円に内接している。点 での接線と弦 のなす角が であり、 である。

62°ABC
A での接線と弦 AB の角 = ∠ACB(接弦定理)

を求めよ。

ヒントを見る

接線と弦 のなす角は、弦 を反対側の弧から見た円周角 と等しい。これで が分かる。あとは三角形の内角の和。

解答・解説

方針

接線と弦 のなす角は、接弦定理から に等しい。 が分かれば、三角形の内角の和で が出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 接線と弦のなす角を見たら、接弦定理だ。「接線と弦 のなす角は、その弦が反対側に作る円周角 に等しい」。

だから が即座に手に入る。あとは三角形の内角の和。 で仕上がる。

定理接弦定理:接線と弦のなす角は、その弦に対する反対側の弧の円周角に等しい

点 での接線と弦 のなす角は、弦 を反対側の弧から見た円周角 に等しい。よって

あとは の内角の和 から

発展。 接弦定理は「円周角の定理の極限」と見ることもできる。弦 の を にどんどん近づけると、弦 は接線に近づき、円周角の定理がそのまま接弦定理の主張になだれ込む。

接弦定理の逆(角が等しければその直線は接線)は、接することの証明に使える。方べきの定理(接線と割線)の証明でも、相似を作る決め手になるのは接弦定理だ。次の問題でその共演が見られる。

答

別解

接弦定理を忘れたときのために、「中心を経由する」導き直しの道を知っておくとよい。円の中心を とする。接線は接点で半径と直角に交わるから、。(半径)の二等辺三角形 で、頂角は

これは弦 の中心角だから、円周角はその半分で 。接弦定理と同じ値が、半径の直角と二等辺三角形だけから出てきた。

実はこれこそが接弦定理の証明である。「接線が出てきたら半径との直角を書き込む」は、接弦定理・接線の長さ・方べきのすべてに通じる、円の問題の第一の反射だ。

ポイント

  • 接弦定理で、接線と弦の角を「円周角」に置きかえる。
  • 角が2つそろえば、三角形の内角の和で3つ目が出る。

よくある間違い

  • 接弦定理の等しい相手を、同じ側の円周角と取り違える(等しいのは弦の反対側の円周角)
  • をそのまま と誤解する
  • 内角の和の計算で、どの2角が確定済みかの整理を怠る

問11方べきの定理(接線と割線)

★★ 標準方べきの定理接線

問題

円の外部の点 から接線 ( は接点)を引く。また から円を貫く割線を引き、円との交点を近いほうから 、 とする。、 とする。

PABT3PT
外部の点 P からの接線 PT と割線 PAB。PT² = PA·PB

(1) 接線 の長さを求めよ。

(2) 弦 の長さを求めよ。

ヒントを見る

接線の長さの2乗が割線側の に等しい。まず を求めよう。 は と の差だ。

解答・解説

方針

接線と割線が引かれているときの方べきの定理は 。接線のほうは2乗になるのがポイント。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 外の点から接線と割線。この配置の方べきの定理は だ。

接線側が2乗になる。「接線は、割線の2交点が1点に重なった特別な場合」と考えると、 の形で自然に覚えられる。 で 。(2)の は割線上の引き算 だ。

定理方べきの定理(接線型):( は接線、・ は割線)

(1) 定理に数を入れる。

(2) は に近いほう、 は遠いほうで、、、 はこの順に一直線上にある。だから

発展。 点 を固定すると、どの割線を引いても の値は同じになる(それが「方べき」の名の由来だ)。この一定値は中心との距離 と半径 で と書ける。接線の場合 は三平方の定理そのものだ。

「方べき=」という座標寄りの見方は、数学IIの円の方程式(円の外・内の判定)や、2円の根軸の話へまっすぐつながる。

答

(1) (2)

別解

定理の中身は「相似」だ。素手で導くと、2乗になる理由が見える。 と を見比べる。 は共通。そして接弦定理から、(接線と弦 のなす角)は円周角 に等しい。

2角が等しいから 。対応する辺の比をとると

分母を払えば 。数値では で、相似比 の三角形が入れ子になっている。方べきの定理は3つの型(2弦・2割線・接線と割線)があるが、どれも元になっているのは「相似な三角形のペア」である。忘れたら相似を探せばよい。

ポイント

  • 接線がからむ方べきは、接線だけ2乗:。
  • ・・ は一直線。弦 は 。

よくある間違い

  • の2乗を忘れて としてしまう(接線は2乗)
  • を とする( が近い側なので )
  • の に、 の長さを入れてしまう( からの距離で統一)

問12正八面体とねじれの位置

★★ 標準正多面体オイラーの多面体定理ねじれの位置

問題

(1) 正八面体は正三角形の面が 枚集まった立体である。辺の数 と頂点の数 を求めよ。

(2) 立方体 - で、辺 とねじれの位置にある辺は何本あるか。

ABCDEFGH
立方体。辺 AB とねじれの位置にあるのは CG・DH・FG・EH の4本
ヒントを見る

(1) 正三角形1枚に辺3本、1辺は2面で共有。オイラー を使う。(2) と交わる辺・平行な辺をまず消していく。残ったものがねじれの位置。

解答・解説

方針

(1) 面の数と1面の辺の数から辺の総数を出し、オイラーの定理 で頂点を求める。(2) ねじれの位置とは「平行でなく、交わりもしない」辺のこと。 と平行な辺・交わる辺を除いて数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)は「面の情報から数え上げる」。面は8枚、各面は三角形で辺が3本。ただし辺は2つの面に共有されるから、 をそのまま辺の数にはできない。

共有のぶんで割ることを忘れない。頂点も同じ発想で数えられるし、オイラーの定理 で逆算・検算もできる。(2)の「ねじれの位置」は「平行でなく、交わりもしない」こと。正面から探すより、平行な辺と交わる辺を除いて残りを数えるほうが確実だ。

定理オイラーの多面体定理 。ねじれの位置=平行でも交わりでもない2直線

(1) 面は正三角形が 枚。1枚に辺 本、1辺は 面で共有するので

オイラーの定理に入れる。

(2) 立方体には辺が全部で 本。辺 について、他の 本を分類する。

  • と交わる辺(端点 か を共有):、、、 の 本
  • と平行な辺:、、 の 本

残りが「平行でも交わりでもない」= ねじれの位置。

まとめ:具体的には 、、、 の 本。

発展。 「(1つあたりの個数)(共有の重複)」という数え方は、正多面体5種すべてに通用する。正十二面体なら 、、という具合だ。

オイラーの定理 は、どんな凸多面体でも成り立つ等式で、「正多面体が5種類しかない」ことの証明の中心にもなる。数え上げの検算道具として使いながら、どの凸多面体でも成り立つことも確かめてほしい。

答

(1) (2) 本

別解

(1)はオイラーの定理を使わず「共有で割る」だけで両方数え切れる。辺: 8枚の面が3本ずつ辺を持ち、どの辺もちょうど2枚の面に挟まれる。

頂点: 8枚の面が3個ずつ頂点を持ち、正八面体ではどの頂点にも4枚の面が集まる。

仕上げにオイラーの定理で検算すると 。合格だ。(2)は「在庫管理」で数える。立方体の辺は全部で12本。 自身が1本、 に平行な辺が3本、 と交わる辺( か を通る辺)が4本。残りがねじれの位置で

「全体から分類して引く」と、数え落としが構造的に起きない。

ポイント

  • 辺の数 =(1面の辺 × 面の数)÷ 2。頂点はオイラーの定理で。
  • ねじれの位置 = 全部の辺から「交わる辺」と「平行な辺」を引いた残り。

よくある間違い

  • 辺を 本と、面の共有分の を忘れる
  • 「交わらない=ねじれ」と誤解する(平行も交わらない。ねじれは平行でも交わりでもないもの)
  • 1つの頂点に集まる面の数(正八面体は4枚)を、正四面体などの3枚と混同する