数学A / 図形の性質

図形の性質 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 内分点が作る三角形の面積比
  2. 2つの線分の交点の比
  3. 接線と割線(方べきと接弦定理)
  4. 内心と角の関係
  5. 接点への線が1点で交わる
  6. 3中線の長さの2乗の和
  7. 正十二面体とオイラーの多面体定理
  8. 傍接円の半径

問1内分点が作る三角形の面積比

最難関編面積比メネラウス

問題

の辺 BC を に内分する点を D、辺 CA を に内分する点を E、辺 AB を に内分する点を F とする。 の面積は の面積の何倍か。

ヒントを見る

を直接求めるより、 から3つの隅の三角形を引く。隅の三角形(例 )の面積は 。3つ足して引けるか。

解答・解説

方針

隅の三角形。各隅の三角形 AFE, BFD, CDE の面積を「2辺の比の積 」で表して引く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内側の をじかに求めるのは大変だ。全体から3隅の三角形を引く。これが基本の方法になる。

各隅の三角形は「頂点を共有する2辺の比の積」で の何倍かがすぐ出る( なら 倍)。この公式は、はさむ角が共通なので、面積 の比がそのまま辺の比の積になることから来る。3つ足して から引けば、 の割合だ。

重要頂点を共有する三角形の面積比 (共有点から出る2辺の長さの比の積)。例:

① 各辺の比を読む。 D は BC を 、E は CA を 、F は AB を 。頂点ごとに、そこから出る2辺の比を取り出す:

  • 頂点 A:、(E は CA を なので 、)
  • 頂点 B:、
  • 頂点 C:、

② 3隅の面積(全体を として)。

③ 引く。

ABCDEF
△ABC の辺を D(BC を1:2)、E(CA を3:1)、F(AB を2:3)に分ける。3隅の三角形の面積の和は全体の 4/5、内側の △DEF は 1/5

まとめ: 内側を直接でなく「全体 3隅」で攻め、各隅を2辺の比の積で出す。3つの比 を足して から引くだけだ。

発展。 3辺の分け方を一般の比にした答えをまとめて与える公式が、ラウスの定理として知られている。たとえば3辺すべてを に分けると、内側の三角形はちょうど になる(有名な「7分の1の三角形」)。本問の解き方(全体−3隅)はその定理の証明そのものでもある。

答

倍

別解

座標に置いて機械的に(検算ルート)。 比の議論に不安が残るときは、座標が最終兵器になる。面積比は三角形の形によらないから、いちばん計算しやすい直角三角形 で確かめてよい。

分点を座標にすると

(D は 、E は 。)3点の面積公式で

だから比は 。本解と一致した。「比だけの問題は、都合のよい三角形で計算してよい」と言えるのは、アフィン変換で面積比が保たれるからだ。答案では比の議論を中心に書き、検算には座標を使う、と使い分けたい。

ポイント

  • 隅。
  • 各隅 2辺の比の積:。
  • 。

よくある間違い

  • E の比の向きを取り違える。「CA を 」は C 側から測って 、つまり 。
  • 隅の面積公式(2辺の比の積)を天下りに使う。共通の角をはさむ2辺の積の比、という根拠()を一言添える。
  • 3隅の和の通分でミスする。 と分母をそろえて足す。

問22つの線分の交点の比

最難関編メネラウス線分比

問題

において、辺 AB を に内分する点を P、辺 AC を に内分する点を Q とする。線分 BQ と線分 CP の交点を R とするとき、 を求めよ。

ヒントを見る

を横切る直線 CP に注目してメネラウスの定理を立てる。あるいは、頂点に「重さ」を置いて内分点で釣り合うように決めると、交点での比が重さの比で読める。

解答・解説

方針

と直線 CP(直線 CPR)にメネラウスの定理を用いる。または重さ(質点)をおいて釣り合いから比を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交点の比は、メネラウスの定理か、質点法(てこの釣り合い)で出せる。ここでは見通しのよい質点法で進める。

各頂点に重さを置き、内分点でちょうど釣り合うように重さを決める。すると2本の線分の交点は全体の重心になり、その位置(比)が重さの比で読める。

P は AB を 、Q は AC を に分ける。この条件から、A, B, C の重さを整合させればよい。

定理メネラウスの定理: を直線 -- が横切るとき

① 質点を置く。 P が AB を に分けるには、 の重さを にする(重い方に近い所で釣り合う)。Q が AC を に分けるには 。A の重さを両方でそろえるため、 とする。

② 交点 R の比。 R は BQ 上の点で、B(重さ )と Q(重さ )の釣り合い点。てこの原理で

③ メネラウスでの確認。 と直線 CPR:。。また より 。よって 、。

ABCPQR
△ABC で P は AB を2:1、Q は AC を1:2 に分ける点。線分 BQ と CP の交点 R は BQ を 3:4(BR:RQ)に分ける

まとめ: 質点法なら「内分比 → 重さ」「交点 → 重さの逆比」で機械的に進む。メネラウスでも同じ答え。2通りで一致を確かめられるのが強みだ。

発展。 重さの組 には、もう1つの意味がある。交点は 、つまり重みつき平均そのものになっている(重心座標)。あらゆる「線分の交点の比」の問題が、この3つの数の割り算に還元される。

答

別解

座標でパラメータを解く(第3の道)。 比の道具をまだ信じ切れないときは、座標で交点を出してしまえばよい。 とすると、、。

直線 BQ 上の点は 、直線 CP 上の点は 。成分を等しくおいて

第2式から 。第1式に入れて 、。よって

パラメータ が「B からどれだけ進んだか」の割合そのものなので、比が直接読める。しかも を検算すると質点法の重さ がそのまま現れる。3つの道具(質点・メネラウス・座標)が同じ1点を指す様子は壮観だ。

ポイント

  • 質点 (内分比から)。
  • R は BQ 上:(Q の重さ):(B の重さ)。
  • メネラウスでも 。

よくある間違い

  • 質点の置き方を逆にする。釣り合いの点は「重い方に近い」。(P が B 寄り)なら B が重い。
  • メネラウスの3つの比を、頂点→分点→頂点の巡回順に取らずに崩す。三角形と横断線を図で確認してから式にする。
  • を と混同する。分母は辺全体 CA( なら )。

問3接線と割線(方べきと接弦定理)

最難関編方べきの定理接弦定理

問題

の外接円について、点 A における接線と直線 BC が点 P で交わっている。( は と の間)であるとき、接線の長さ と、比 を求めよ。

ヒントを見る

接線と割線が同じ点 P から出ているので方べきの定理。 は、 と が接弦定理で相似(∠PAB=∠PCA、∠P共通)になることから相似比で読める。

解答・解説

方針

接線 PA と割線 PBC に方べきの定理 を使う。 は接弦定理でできる相似 の相似比から。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) P から円へ、接線 PA と割線 PBC が出ている典型配置だ。

長さは方べきの定理 ですぐに出る。比 は、接弦定理(接線と弦の作る角 その弦の上に立つ円周角)から が言え、 が共通なので 。この相似の対応辺の比が を与える。

定理方べきの定理(接線と割線):

① 接線の長さ。

② 相似を作る。

定理接弦定理:接線 PA と弦 AB の作る角 は、弧 AB の円周角 に等しい

、(共通)より 。

③ 相似比。 対応する辺の比は

だから

ABCP
外接円の点 A における接線と直線 BC が P で交わる。方べきの定理 PA²=PB·PC(=4·9)より PA=6。接弦定理から △PAB∽△PCA で AB:AC=2:3

まとめ: 同じ点からの接線・割線 → 方べきで長さ、接弦定理 → 相似で比、の2段構え。 が「大きい三角形の短辺」と「小さい三角形の長辺」の役割を兼ねるところが、この相似の要点だ。

発展。 は と の幾何平均 になっている。円の大きさや形は1つに決まらないのに、 と比 だけは配置から確定する。「決まるものと決まらないもの」を見分ける目も、この問題の収穫だ。

答

、

別解

相似だけで両方とる(方べきを導いて使う)。 実は①の方べきの定理も、②の相似から出てくる。相似を先に立てて、1つの相似から両方の答えを収穫してみよう。

接弦定理と共通角から (②と同じ)。対応辺の比を書き並べると

最初の等式から、分母を払って

これで方べきの定理そのものが導けた。続いて第2の等式に値を入れると

答えは本解と同じ。方べきの定理(接線版)はこの接弦相似から導かれる。定理を「使う」だけでなく、依存関係ごと理解しておくと、忘れても現場で復元できる。

ポイント

  • 方べき → 。
  • 接弦定理で 。
  • 。

よくある間違い

  • 配置(B が P と C の間)を確認せずに値を置く。 という並びが方べきの積の中身。
  • 相似の対応を書き違える。 の対応(角の等しさから)を明示してから比を書く。
  • 方べきを とする。割線側は「P から測った2つの距離」の積()。

問4内心と角の関係

最難関編内心角度

問題

の内心を I とする。 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

内心 I は の二等分線上にあるので、 の底の2角は 。三角形の内角の和から を で表し、 で に書きかえる。

解答・解説

方針

内心は各角の二等分線上にあるので 。 の内角の和 から を求め、 を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内心 I は、各内角の二等分線の交点だ。だから に注目すると、底の2角 はそれぞれ と分かる。

あとは の内角の和 から を で表し、 を使って の式に直すだけ。目標の が自然に出る。

定理内心は3つの内角の二等分線の交点。よって

① の底の2角。 I は の二等分線上にあるから

② 内角の和。 で

③ に書きかえる。 より 。代入して

∠BICIABC
△ABC の内心 I。内心の性質から ∠BIC=90°+(∠A)/2。内心は3つの内角の二等分線の交点

まとめ: 内心 → 二等分線 → の底角 、という橋渡しが決め手だ。内角の和を2回使うだけで、 という定数が自然に現れる。検算は正三角形()で 、たしかに 。

発展。 内心と対になる傍心 (辺 BC 側の傍接円の中心)では、対になる式 が成り立つ。足すと 。つまり B, I, C, は同一円周上にある(内接四角形の対角)。1本の式の裏に、円がもう1つ隠れていた。

答

の内角の和と、内心が角の二等分線上にあることから導く

別解

外角で組み立てる(もう1つの角度計算)。 内角の和を使わずに、外角の定理2回で作る道もある。 の二等分線 AI を延長し、辺 BC との交点を D とする。 は D をはさんで に割れる。

ここで は の外角だから、遠い2つの内角の和:

同様に 。足して

この道の良さは、 の出どころが見えること。 がまるごと1回と、残り が半分ずつ。「二等分線たちが角をどう配り直すか」の会計が、式の形にそのまま写っている。

ポイント

  • 内心 → 。
  • 。
  • で 。

よくある間違い

  • を そのものとしてしまう。I は二等分線上なので半分の 。
  • 内角の和 を と のどちらで使っているか混線する。②は 、③の は 。
  • 検算を省く。正三角形()で になるか、一度は数値で確かめる。

問5接点への線が1点で交わる

最難関編チェバの定理内接円

問題

の内接円が辺 BC, CA, AB に接する点をそれぞれ D, E, F とする。3直線 AD, BE, CF が1点で交わることを、チェバの定理を用いて示せ。

ヒントを見る

同じ点から円に引いた2接線の長さは等しい。 それぞれについてこれを書くと、チェバの定理の積 の中身がうまく約分できないか。

解答・解説

方針

円外の点から引いた2本の接線の長さは等しい。よって 。これをチェバの定理の積に代入するとすべて約分され になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3直線が1点で交わることの証明は、チェバの定理の逆(積が なら共点)を使うのが基本だ。

必要な線分比 は、「円外の1点から引いた2本の接線の長さは等しい」という性質でそろえられる。各頂点から出る2つの接線が等しいので、積を作ると分子分母がすべて打ち消し合って になる。そう読めればよい。

定理円外の点から円に引いた2本の接線の長さは等しい。よって

① 接線の長さ。 接点 D, E, F について、各頂点からの接線の長さが等しいから

(これらを とおける。。)

② チェバの積。 チェバの定理の左辺に代入:

③ 結論。 積が になったので、チェバの定理の逆により3直線 AD, BE, CF は1点で交わる。

定理チェバの定理の逆: ならば AD, BE, CF は共点
ABCDEFG
内接円が辺 BC, CA, AB に接する点 D, E, F。接線の長さが等しい(BD=BF など)ので、AD, BE, CF は1点(ジェルゴンヌ点 G)で交わる

まとめ: 接線の長さが等しい( 型)を3頂点で書くと、チェバの積が ときれいに消える。この交点はジェルゴンヌ点と呼ばれる。

発展。 内接円の代わりに3つの傍接円の接点で同じことをすると、やはり3直線が1点で交わる(ナーゲル点)。接点の位置は たちの並び替えで、チェバの積はまた に畳まれる。「接線の長さの等式 → チェバ」という本問の型は、点の名前を変えて何度でも働く。

答

接線の長さが等しいこと( など)からチェバの積が になり、共点

別解

重さを置いて重心として見つける(質点法ルート)。 チェバの逆を使わずに、交点そのものを構成してしまう道もある。頂点 A, B, C に、重さ ( など①の長さ)を置く。

すると辺 AB 上の釣り合い点は を(重さの逆比で)ちょうど満たす点、つまり接点 F になる。同様に、BC の釣り合い点は D、CA の釣り合い点は E。

てこの原理から、3点に置いた重さ全体の重心 G は、「A と(BC の釣り合い点 D)を結ぶ線分の上」にある。同じ理由で BE の上にも、CF の上にもある。つまり AD, BE, CF はすべて重心 G を通る。共点だ。

チェバの定理を経由せず、交わる1点を重さの言葉で名指しする構成的な証明。この証明から、ジェルゴンヌ点は重さ の重心だということも分かる。

ポイント

  • 2接線の長さは等しい: など。
  • チェバの積 。
  • 逆定理より AD, BE, CF は共点(ジェルゴンヌ点)。

よくある間違い

  • チェバの定理(共点→積1)と、その逆(積1→共点)の役割を区別しない。本問で使うのは逆の向き。
  • 接線の等しい組の対応を取り違える。頂点ごとに「その頂点から出る2本」( なら )でまとめる。
  • などの検算( を解く)を飛ばす。連立で出すと理解が締まる。

問63中線の長さの2乗の和

最難関編中線定理計量

問題

の3辺の長さを とし、各頂点から対辺の中点に引いた中線の長さを とする。 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

中線 の2乗は中線定理で 。 も同様に書いて3つ足すと、 がそれぞれ何回現れるか数えられるか。

解答・解説

方針

中線定理(パップスの定理)より 。同様に を書き、3つ足すと各辺の2乗が 回ずつ現れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 中線の長さの2乗は、中線定理(パップスの定理)で辺の長さの式に書ける:。 も同じ形だ。

これを3つ足すと、 が対称に足し合わされて、係数がそろう。左辺・右辺とも の定数倍になるはず、と見当をつけて計算する。

定理中線定理: の頂点 A から辺 BC の中点への中線 について

① 各中線の2乗。 中線定理より

② 3つ足す。 分子で の係数を数える。 から 、 から 、 から 、合計 。 も対称に 。したがって

まとめ: 中線定理で各中線を辺の式に直し、足すと係数が対称に にそろう。 の帳尻が3辺すべてで合うので、きれいに になる。検算は正三角形(、)で、。

発展。 3本の中線は(ベクトルとして足すと0になるので)それ自身で三角形を作れる。その「中線三角形」の面積はもとの三角形のちょうど 倍。長さの2乗の和にも面積にも同じ が現れるのは、偶然ではない。

答

中線定理から 等を作り、3つ足す

別解

重心を原点に置くベクトルで短く示す(得意な人向け)。 ベクトル(数C)を先取りできるなら、この恒等式は2行になる。重心 G を原点にとる。すると だ。A から BC の中点への中線ベクトルは

つまり中線の長さは 。よって

一方、辺は など。 を2乗した関係を使って整理すると が出る。2つを比べて

中線は重心でつながり、重心から見ると中線ベクトルは になる。中線定理を3回使う代わりに、重心の対称性を使えば全部を一度に処理できる。

ポイント

  • 中線定理 。
  • 3つ足すと各辺の2乗の係数が 。
  • 。

よくある間違い

  • 中線定理の形 から に直すときの係数ミス。両辺を丁寧に整理する。
  • 係数勘定 の符号を落とす。表にして の行ごとに数える。
  • 答えの と を取り違える。正三角形()の検算で即座に判別できる。

問7正十二面体とオイラーの多面体定理

最難関編正多面体オイラーの定理

問題

正十二面体( 個の正五角形の面をもつ正多面体)について、頂点の数 、辺の数 、面の数 を求め、(オイラーの多面体定理)が成り立つことを確かめよ。

ヒントを見る

面 。辺は各面が5辺で、1本の辺は2面に共有される。頂点は各面が5頂点で、正十二面体では1つの頂点に3面が集まる。この重複の割り算で を数えられるか。

解答・解説

方針

面は正五角形が 枚。辺は「面の数 1面の辺数 」(各辺は2面に共有)。頂点は「面の数 1面の頂点数 (1頂点に集まる面の数)」。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 正多面体の は、「面あたりの数」を数えて重複で割ると求まる。

面は正五角形 枚だから 。1枚は 辺だが、各辺は2枚の面で共有されるので、辺は 。1枚は 頂点だが、正十二面体では各頂点に3枚の面が集まるので、頂点は 。

最後にオイラーの式で検算する。

定理オイラーの多面体定理:凸多面体では

① 面。 正五角形が 枚だから

② 辺。 各面は 辺、各辺は 面に共有されるので

③ 頂点。 各面は 頂点、各頂点には 面が集まるので

④ 検算。

確かにオイラーの多面体定理が成り立つ。

まとめ: 「面 面あたりの要素 共有数」で を数える。辺は2面共有で 、頂点は3面が集まるので 。数えた がオイラーの式を満たすことで、正しさが確認できる。

発展。 面が正 角形で、各頂点に 面が集まる正多面体が存在する条件は、頂点まわりの角度の余りから 。 の整数解はちょうど5組しかない。正多面体が5種類で打ち止めになる理由が、この小さな不等式に書いてある。

答

、

別解

双対の正二十面体で照合する(得意な人向け)。 正十二面体の各面の中心を頂点として結ぶと、正二十面体(正三角形20枚)ができる。面と頂点が入れ替わる、この関係を双対という。

正二十面体を同じ方法で数えてみる。。各面は3辺で2面共有だから 。各頂点には5枚が集まるから 。

並べて見ると

  • 正十二面体:
  • 正二十面体:

と がそっくり入れ替わり、 は共通。双対の理屈どおりだ。片方を数えれば、もう片方は「ひっくり返すだけ」で検算できる。立方体()と正八面体()にも同じ対がある。

ポイント

  • (正五角形)。
  • (辺は2面共有)。
  • (頂点に3面)、。

よくある間違い

  • 割る数を逆にする。辺は「2面に共有」で 、頂点は「3面が集まる」で 。共有のしかたを図で確認する。
  • 頂点に集まる面の数を、面が五角形だからと にしてしまう。正十二面体の頂点に集まるのは 枚。
  • の符号の並びを取り違える。「頂点 − 辺 + 面 = 2」の順で暗唱する。

問8傍接円の半径

最難関編傍接円面積

問題

の面積を 、 とする。辺 BC の側にある傍接円(辺 BC に接し、他の2辺の延長に接する円)の半径 は で与えられる。これを用いて、3辺が の三角形で、長さ の辺に接する傍接円の半径を求めよ。

ヒントを見る

まず面積 をヘロンで求める。傍接円の公式 に、 を「」として代入する()。 の値を入れるだけ。

解答・解説

方針

面積を傍接円の中心から3辺(2辺は延長)への距離で分割して を導く。 の三角形は だから 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 傍接円の半径の公式 を使う問題だ。まず面積 をヘロンで確定し、 を「辺 」とみなして を計算し、代入する。

公式自体の出どころも押さえておきたい。傍接円の中心から3つの辺(うち2辺は延長線)への距離が等しく で、面積を符号つきで分割すると になる(別解で導く)。

公式傍接円の半径 ( は面積、 は周の半分)

① 面積(ヘロン)。 。

② 傍接円の半径。 長さ の辺を とすると 。

傍心BCA1412
13-14-15 の三角形と、辺 BC(=14)に接する傍接円。中心(傍心)は BC の下側にあり、辺 BC と、辺 AB・AC の延長(破線)に接する。半径は 12

まとめ: 面積をヘロンで出し、傍接円の公式 に代入する。内接円 と比べると、傍接円は の代わりに で割る。だから内接円よりずっと大きくなりうる(本問では3倍)。

発展。 この三角形の4つの円の半径は 。掛けてみると 。実は一般に が成り立つ(ヘロンの公式の分解 そのもの)。4つの円が面積を通じて1本の式に結ばれている。

答

別解

公式を面積の分割で導く(公式が成り立つ理由を見るルート)。 を、証明ごと手に入れよう。傍接円の中心(傍心)を とする。 から辺 BC、および辺 AB, AC の延長線への距離は、すべて半径 だ。

三角形 ABC の面積を、 を頂点とする3つの三角形で符号つきに表す。 は BC の向こう側にいるから

(はみ出した2つから、余計に含んだ を引く。)整理して

これが公式の成り立つ理由だ。内接円の は「3つの三角形を全部足す」、傍接円は「2つ足して1つ引く」。符号の違いが、分母の と の違いにそのまま写っている。

ポイント

  • ヘロンで 、。
  • を とみて 。
  • 。

よくある間違い

  • の を取り違える。「接する辺」の長さが 。本問なら で 。
  • 内接円の公式 と混同して を答える。それは内接円の半径。
  • 導出で3つの三角形を全部足してしまう。傍心は三角形の外にいるので、1つは引く(符号つき分割)。