数学III / 積分法の計算

積分法の計算 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 置換積分(指数)
  2. 置換積分(分数)
  3. 部分積分(x eˣ)
  4. 部分積分(x cos x)
  5. sin² の積分(半角)
  6. 定積分(1/(1+x²))
  7. 部分分数の積分
  8. 置換積分(根号)
  9. 定積分(部分積分)
  10. 定積分(sin²)
  11. log x の積分
  12. 定積分(log x)

問1置換積分(指数)

★★ 標準置換積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

の肩に 、その手前に がある。肩の微分がすぐ隣にある形は、置換積分を使う目印だ。肩を新しい文字とおいてみよう。

解答・解説

方針

とおくと 。ちょうど がそろっているので、 になる。置換積分。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 被積分関数に「中身 」と「その微分 」がセットで入っているので、置換積分を使う。

とおくと 。式の中の がそっくり に置き換わって

置換積分では中身と中身の微分のペアを探すことだけに注目すればよい。

重要置換積分: とおき、 で の式を の式にまるごと置きかえる

① 置きかえる。 とおくと 、すなわち 。

② の積分にする。 がそのまま になる。

③ に戻す。

まとめ:置換積分は「中身を とおき、その微分 がそろっているか見る」。ここは がぴったり。 と簡単になり、最後に に戻す。 の逆をたどっている。

発展。 係数がぴったりでない場合の調整も知っておきたい。 なら でなく しかないが、 と定数倍で埋め合わせできる。定数の過不足は調整できるが、 の過不足は調整できない( 単体は高校の関数では書けない有名な例)。この区別で、置換を使える範囲が決まる。

「セットが揃っているか」を見る目は、()、()など、この単元の置換問題すべてで共通して使う。

答

別解

積分は「微分の逆演算」である。この原点に立ち返ると、置換積分が何をしているかが分かる。答えの候補 を微分してみる。合成関数の微分(外はそのまま、内側の微分を掛ける)で

これは被積分関数そのものだ。だから 。

つまり置換積分は、合成関数の微分を逆向きにたどる計算である。微分では「内側の微分 が自動で出てくる」が、積分では「 が最初から用意されているかを確認して、外側だけ積分する」ことになる。同じ連鎖律を、逆向きに使っている。

この見方の実用点は検算にある。積分の答えを出したら必ず微分して元に戻るか確かめる。微分は機械的にできるので、積分の答えの正誤は自分で完全に判定できる。積分が「答え合わせ付きの計算」であることは、この単元最大の安心材料だ。

ポイント

  • (中身)とおき 。
  • がそろっていれば置換できる。

よくある間違い

  • の関係を作らず を機械的に へ替える
  • の積分を のように「割って」処理する(積分に商の逆公式はない)
  • 最後に を へ戻し忘れる・積分定数 を落とす

問2置換積分(分数)

★★ 標準置換積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

分母の微分が分子とほぼ同じ形になっている。『分母の微分 ÷ 分母』の型に整えると、対数の積分に帰着する。係数の帳尻合わせを忘れずに。

解答・解説

方針

分母 を とおくと 。分子は なので 。 になる。分母の微分が分子にある形は (分母)になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母 の微分は で、分子の と定数倍しか違わない。「分母の微分が分子にいる」形だ。

とおくと 、分子の は 。

( なので絶対値は外せる。)この形は に落ちる。分数の積分でいちばん重要なパターンである。

重要(分母の微分が分子にある形)

① 置きかえる。 とおくと 、すなわち 。

② の積分にする。

③ に戻す。 なので絶対値は外せる。

まとめ:「分母の微分が分子(の定数倍)にある」形は (分母)になる。ここは分母 の微分 が、分子 の 倍。 を出して 。 の形を覚えておくと速い。

発展。 分子が でなく だったら、分解して とする。前半は今回の 型、後半は 置換の型()。分数の積分は「分母の微分の部分」と「定数の部分」に分子を割るのが一般戦略で、この問題はその前半部品にあたる。

は微分の側では「変化率(対数微分)」だった。積分の側では「変化率を足し合わせると (累積の倍率)が戻る」。これは、複利の計算で利率を積み上げると元利合計の対数になる、という金融の計算と同じ構造である。

答

別解

置換の手続きを省いた速記を持っておくと、この型はすぐに書ける。覚えるのは次の 行だ。

(微分の の逆読みだ。)問題の式で とすると 。分子は で、 の半分しかない。足りない定数は外で調整して

視線の動きは「分母を微分 → 分子と見比べ → 定数倍を合わせる」の ステップだけ。(分子が分母の微分の 倍)も同じ速記で落ちる。分数の積分ではまず「分母の微分」を疑う。この習慣をつけるのが標準問題の目的だ。

ポイント

  • 。
  • 分母の微分が分子の何倍かを合わせる。

よくある間違い

  • 係数 を落として と答える(分子は の半分)
  • を 等と誤って「約分」する(分数は項ごとに割れない)
  • 型(、分子が定数)と混同する(分子に があるかどうかで、解き方がまったく変わる)

問3部分積分(x eˣ)

★★ 標準部分積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

積の形で、片方()は微分すると簡単になり、もう片方()は積分しても形が変わらない。この形は部分積分で解く。どちらを微分する側に選ぶかで決まる。

解答・解説

方針

(微分すると簡単になる)を 、(積分しても変わらない)を として部分積分 を使う。 を微分で消すのが狙い。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の積には、置換のセット(中身と中身の微分)が見当たらない。積の積分は部分積分を使う。

役の割り振りがいちばん大事だ。微分すると簡単になる方( は微分で になる)を 、積分しても複雑にならない方()を にする。すると右辺の残りの積分は となり、ただの に落ちる。

部分積分の狙いは を微分で消すことだ。

重要部分積分 。微分で簡単になるほうを にする

① 、 を決める。 は微分すると で簡単に。()、()。

② 公式にあてはめる。

③ 残りを積分する。

まとめ:部分積分は「(多項式)× 」のような積に使える。微分で消えるほう()を 、積分しやすいほう()を にするのがコツ。 回で が消え、残りの が計算できる。

発展。 では部分積分を 回(次数が ずつ下がる)、 なら 回。結果には規則があり、、 のように、符号が交互で係数は階乗的に大きくなる。未定係数法ならこの形をまとめて決められる。

役の選び方の指針として「対数 → 多項式 → 三角・指数」の順に (微分される側)へ回す、という経験則(LATE の順)がある。対数は微分すると大きく簡単になり、指数・三角は積分しても形が変わらない。各関数の「微分耐性」の順序にしたがって、部分積分の役を決める。

答

別解

部分積分を使わず、答えの形を予想して係数を決める方法がある。 の積分は、たぶん「( 次式)」の形になるはずだ。微分しても を含む形のままだからだ。そこで

とおいて微分する。積の微分で

これが に一致してほしいから、係数を比べて 、 となり、。

部分積分と同じ答えだ。この「形を予想 → 微分 → 係数比較」は未定係数法と呼ばれ、 なら 、 なら とおけばよく、形の見当がつく積分すべてに使える。部分積分を 回繰り返すような問題ほど、こちらが速いことも多い。

ポイント

  • 。
  • 微分で簡単になるほうを 。

よくある間違い

  • 役を逆(、)にして残りの積分が複雑化する(方針転換のサイン)
  • の引き算を足し算にする
  • 残った の前の符号を混同し とする(微分して検算)

問4部分積分(x cos x)

★★ 標準部分積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

部分積分で。多項式の側を微分する側に選ぶと、残る積分が簡単になる。符号の管理を丁寧に。

解答・解説

方針

、()で部分積分。 を微分で消し、残りの を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の積なので、部分積分で「 を微分で消す」型だ。

、()として

残った の符号が最後の関門。引き算の中のマイナスで、答えでは になる。微分して戻るか確かめれば確実だ。

重要部分積分

① 、 を決める。 ()、()。

② 公式にあてはめる。

③ 残りを積分する。 。

まとめ:「多項式 × 三角関数」も部分積分。 を にして微分で消す。残りの の符号処理()に注意。

発展。 の積分も同じ並べ替えで出る( を移項)。答えは で、ペアで導出しておくと、符号の混同がなくなる。

では部分積分 回、 では 回やると元の積分が右辺に再登場して方程式として解く「循環型」になる。これらは部分積分の応用の 大パターンで、この単元の後半の山場だ。どちらも「積の微分の並べ替え」という原理は変わらない。

答

別解

部分積分の公式がなぜあの形なのかを、積の微分の並べ替えとして自力で導きながら解いてみる。積の微分から出発する。

求めたい が右辺にいる。移項すると

両辺を積分すれば、 の積分は に戻るから

部分積分の公式 は、この「積の微分を書いて、いらない項を移項する」操作を一般化して名前をつけたものにすぎない。

公式の丸暗記で符号に不安が出たときは、この導出を 行書く方が確実で速い。微分の公式はどれも、逆から読めば積分の公式になる。部分積分は積の微分の、置換積分は合成関数の微分の、それぞれ逆回しである。

ポイント

  • を微分で消す。
  • の符号に注意。

よくある間違い

  • の二重符号を処理し損ね と答える
  • とすべきところを 等、 の原始関数を誤る
  • 答えを微分して検算しない( で戻るかすぐに確認できる)

問5sin² の積分(半角)

★★ 標準三角関数の積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

のままでは積分できない。次数を下げる変形(半角の関係)で の 次式に直してから積分する。

解答・解説

方針

はそのままでは積分できない。半角の公式 で次数を下げてから積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は 乗のままでは積分できない( の原始関数の知識が直接使えない)。

三角関数の 乗は、半角(次数下げ)の公式で 次に落とすのが定跡だ。

乗が消えて、定数と の和になった。あとは項ごとに積分するだけだ。 の積分で内側の で割ること()にだけ注意する。

公式半角の公式 (次数を下げてから積分)

① 半角の公式で次数を下げる。

② 積分する。 。

まとめ:、 は半角の公式で「 次(の )」に下げてから積分。( を忘れずに)。三角関数の 乗の積分でよく使う方法だ。

発展。 答えの主要部 には意味がある。 は と の間を波打つが、その平均の高さはちょうど である。積分(面積の累積)は平均の高さ 長さでほぼ と伸び、 の項は波打ちの端数を微調整しているだけだ。交流電力の実効値( の平均が だから最大値の )は、この計算で求める。

乗以上は道具が替わる。 は奇数乗なので と置換()、 は半角を 回使う。「偶数乗は次数下げ、奇数乗は置換」と整理して覚えておくとよい。

答

別解

半角公式を思い出せないとき、 とペアで連立して出す道がある。 つの積分を 、 とおく。使うのは基本の恒等式 本だ。

和: を積分して

差: (倍角公式)を積分して

本を連立して(2)

半角公式ルートと同じ答えだ。おまけに も同時に手に入る。半角公式は、実はこの連立の結果を 行にまとめたもの。「 と は和も差も簡単なので、個々も出せる」という対称式の発想は、三角関数の計算全般で使い回せる。

ポイント

  • で次数を下げる。
  • 。

よくある間違い

  • を とする(べき乗の公式は 専用。中身が でない)
  • 半角公式の符号を誤り ( の方)と取り違える
  • の積分で で割り忘れ のままにする

問6定積分(1/(1+x²))

★★ 標準定積分置換積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

分母が の形には、 とおく置換の決まった攻め方がある。置換すると被積分関数がとても単純になる。積分区間の読み替えも忘れないこと。

解答・解説

方針

と置換する。、 となり、きれいに消し合う。積分区間も に応じて に変える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、分子に分母の微分()がないから 型ではない。この形の専用置換が

だ。ねらいは恒等式 。分母がこれで になり、 とぴったり打ち消し合って、被積分関数がただの になる。

定積分では区間も置き換える。 は ()。答えはその区間幅 だ。

重要 型は で置換()

① 置換する。 とおくと 。また 。

② 区間を変える。 、。

③ 被積分関数を書きかえる。

④ 計算する。

まとめ: は で置換すると、 と の が打ち消し合って被積分関数が になる。定積分では区間も に変えるのを忘れずに。答えは 。

発展。 上端を から に伸ばすと は までとなり、 が得られる。無限に広がる領域の面積が有限で、しかも円周率に関係する値になる。広義積分(大学)で最初に出会う例だ。

また (等比級数)を項別に積分すると となる。これがライプニッツの円周率公式である。今回の 問は を計算する古典的方法のもとにもなっている。

答

別解

なぜ「」なのかを逆関数の微分から説明すると、この置換を使う理由が分かる。 の逆関数(値から角を返す関数)を考える。逆関数の微分は「もとの微分の逆数」だから、 を使って

つまり の原始関数は「 の逆関数(角を返す関数)」そのものだ。だから定積分は角の差になる。

「多項式の積分から円周率が出てくる」のは、 を通じて分数関数と角度がつながっているからだ。 の置換はこの隠れた対応を明示的にたどる手続きである。

ポイント

  • は で置換。
  • 定積分は区間も に変える。

よくある間違い

  • 積分区間の置き換えを忘れ、 の積分に の区間 を使う
  • を 系と混同する(分子に がいるかで型が分かれる)
  • の変換を落とし、 をそのまま使う

問7部分分数の積分

★★ 標準部分分数不定積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

分母が 次式の積なので、部分分数に分解すれば、各項は対数の積分になる。分解の係数は通分して確かめよう。

解答・解説

方針

分母が因数の積なので、部分分数分解 をしてから、各項を で積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母が つの因数の積なので、このままでは積分の型に合わない。部分分数分解で「簡単な分数の差」にほどく。

(分母の差が だから係数は 。通分して戻ることを確認。)分解後は各項が 型で、それぞれ に積分できる。 どうしの差は商にまとめられる。数列の和で使った部分分数が、積分でも同じ形で使える。

重要分数関数は部分分数分解してから積分。

① 部分分数に分ける。 分母の差が なので

② 各項を積分する。

③ をまとめる。

まとめ:分数関数の積分は「部分分数分解 → 各項を 」。 の積分は 。最後は の差を の商 にまとめると、すっきりする。

発展。 部分分数は「数列の和では途中を打ち消す道具、積分では型に落とす道具」になる。同じ分解が つの単元で別の役をしている。実際 と は、離散と連続の兄弟問題だ。

理論面では「どんな分数関数も、多項式 型 型の和に分解できる」ことが知られており、したがって分数関数はすべて積分できる( と で書ける)。部分分数分解はその手順の中心になる。

答

別解

分解の係数を暗算で出す、片方を隠す速算(被覆法)を紹介する。

とおく。 を知りたければ、両辺に を掛けてから を代入するのと同じことを、すぐにできる方法がある。左辺の を指で隠して、残りに を代入する。

も同様に を隠して :

連立方程式なしで が出た。因数が つ( など)に増えるほど、この速算は役に立つ(通常の係数比較は連立が膨らむ)。「隠して代入」は部分分数の実戦テクニックとして身につけておきたい。

ポイント

  • 部分分数分解してから積分。
  • 。

よくある間違い

  • 分解を和 と誤る(通分して分子が に戻るか確認)
  • の絶対値を落とす(、 は負にもなり得る)
  • を とまとめる( の差は中身の商)

問8置換積分(根号)

★★ 標準置換積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

根号の中の 次式を新しい文字とおく置換で。 と の関係から出る係数を落とさないように。

解答・解説

方針

とおくと 、。 になり、累乗の公式で積分できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 根号の中身が という1次式なので、もっとも軽い置換で済む形だ。

とおくと 、。

とべきに読み替えて累乗の公式、が中身のすべて。1次式の置換は が定数倍にしかならないので、必ず成功する。

重要 次式の根号は で置換。

① 置換する。 とおくと 、。

② の積分にする。

③ 累乗の公式で積分する。 。

まとめ: のような「 次式の根号」は で置換。 の が出る。あとは を累乗の公式で。 できれいに に戻る。

発展。 答えの検算はいつでも微分でできる。 で、連鎖律の と根号の微分の が打ち消し合うことが、答えに係数が付かなかった理由だ。

根号の中が 次式になると難度が跳ね上がる。 は 、 は とおく。中身の次数によって、必要な置換の重さが決まる。「1次はずらすだけ、2次は三角関数」という地図を持っておこう。

答

別解

中身が1次式のときだけ使える速記を知っていると、置換の手続きすら省略できる。 が の原始関数なら

これは「中身が なら、そのまま積分して係数 で割る」ということだ。理由は微分の検算で一目: を微分すると連鎖律で が飛び出すから、先回りして を掛けておくのだ。今回は (原始関数 )、 だから

行で終わる。、 のように使う。数IIIの積分で最頻出の操作なので、置換を書かずにこの形で処理できるようにしておくと、複雑な問題での消耗が大きく減る。ただし使えるのは中身が1次式のときだけ( 入りでは連鎖律の出す が定数でないため不成立)。

ポイント

  • 次式の根号は (中身)で置換。
  • の係数を忘れない。

よくある間違い

  • 係数 の調整を忘れて と答える
  • の積分を 乗のまま扱い 等とする(指数は して割る)
  • を のように分解する(根号は和をバラせない)

問9定積分(部分積分)

★★ 標準定積分部分積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

部分積分で原始関数を作ってから、上端・下端を代入。代入時の の扱いまで丁寧に。

解答・解説

方針

部分積分で原始関数 を求め、上端・下端を代入する。または の形で定積分のまま進める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の定積分で、原始関数はもう知っている(、部分積分の基本問題)。定積分ではそれに上端・下端を代入するだけだ。

もうひとつの流儀は定積分のまま部分積分する形 。どちらでも同じ に着く。好みで選んでよいが、両方書けると検算になる。

重要定積分の部分積分

① 原始関数を求める。 部分積分で (部分積分で求めた結果)。

② 代入して引く。

まとめ:定積分の部分積分は「原始関数を出してから代入」でよい。 に を入れる。 で 、 で 、引くと 。符号の処理を丁寧に。

発展。 答えがちょうど という整数になったのは偶然ではない趣がある。 となり、 を含む計算なのに が消える。 もそうで、実はこの つの積分は逆関数の関係で同じ図形を別の軸から見たものである(対数の定積分の問題で理由を説明する)。

パラメータ微分をもう 回やれば 、もう 回で が求まる。部分積分の繰り返しが「微分の繰り返し」に置きかわる。計算の手段が変わると、繰り返しの構造まで見え方が変わる好例だ。

答

別解

部分積分を使わない、少し高い視点の方法として、パラメータで微分する方法を紹介する。まず簡単な積分を、文字 入りで計算しておく。

この両辺を で微分する。左辺は(積分の中身を で微分して) となり、欲しい形に が降りてきた。右辺は商の微分で計算できる。 を代入すると

部分積分と同じ答えだ。

「積分の中に を つ増やしたければ、パラメータで 回微分する」という方法は、物理学者ファインマンがよく使ったことで知られ、大学以降の積分計算でよく使われる。高校範囲では部分積分が正道だが、 つの積分が「 でつながった積分の家族」の一員だ、という見方は知っておく価値がある。

ポイント

  • 部分積分で原始関数 。
  • 代入して引く。符号に注意。

よくある間違い

  • の下端代入 の符号処理を誤り 等と答える
  • 定積分のまま進める流儀で の項を忘れ だけ計算する
  • 上端・下端の代入順(上 下)を逆にする

問10定積分(sin²)

★★ 標準定積分三角関数の積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

次数下げ(半角の関係)で の式に直してから積分。上端で がちょうど になって計算が軽くなる。

解答・解説

方針

半角の公式で に直してから定積分する。原始関数 に代入。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の定積分も、不定積分のときと同じく、半角の公式で次数を下げてから積分する。

上端で 、下端で 。答え 。 の項が両端で消える()ため、実質は の差だけになる。この「振動項が区間の端で消える」現象は三角関数の定積分でよく起こる。

公式半角 。原始関数

① 半角で直して積分する。

② 代入して引く。 で 。 で 。

まとめ: の定積分は半角の公式で下げてから。 の項は でも でも になり消える。残るのは の部分で 。

発展。 答え は「区間幅 平均の高さ 」と読める。 の平均が になるのは交流電流の実効値の計算と同じで、コンセントの「V」は振幅 V の波の 平均から来た値だ。

と偶数乗を上げていくと、この区間の積分は と規則的に縮む(ウォリスの公式)。 の はその無限の階段の最初の一段である。

答

別解

この区間 には特別な対称性があり、積分をまったく計算せずに が出せる。 と、組になる を並べる。

観察 : 。 区間を と裏返すと( と が入れ替わるだけで区間は同じ)、 は に変わる()。つまり の山と の山はこの区間の中で鏡写しになっていて、面積は等しい。

観察 : 。 を積分すれば、幅 の長方形の面積そのもの。 つ合わせて 、。

「対称で等しい つに割る」のは、ケーキを公平に切るのと同じ発想だ。この区間の 交換(King Property と呼ばれる技の特別な場合)は、もっと複雑な定積分( など)で大いに役に立つ。

ポイント

  • 半角で下げてから定積分。
  • の項が端点で になり消える。

よくある間違い

  • の代入で を など 以外の値とする(単位円で確認)
  • 半角公式の分母 と の積分の を混同して係数 を崩す
  • 不定積分の答えに のまま定積分の値を書く(定積分は数値)

問11log x の積分

★★ 標準部分積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

単独の積分は、 とみなして部分積分するのが有名な一手。どちらを微分する側にするか考えてみよう。

解答・解説

方針

を「」とみて部分積分する。、()。 を微分すると になり、 と約分できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 単独で、積の形に見えないのに部分積分を使う。ここが有名な発想の飛躍だ。

と、見えない を掛けて無理やり積にする。(微分すると になって簡単になる)、()で部分積分すると

と の約分で残りが になる。これが「 を掛ける」技の狙いである。

重要 は「」とみて部分積分(、)

① 、 を決める。 ()、()。

② 部分積分の公式にあてはめる。

③ 残りを積分する。

まとめ: 単独の積分は「 とみて部分積分」という有名なテクニック。、 とすると、 ときれいに約分できる。答え を微分すると に戻る。

発展。 同じ「 を掛ける」技で ( 回部分積分)や、逆三角関数の積分(大学)も落ちる。「微分すると簡単になるが、積分の仕方が見えない関数」である 系・逆関数系は、すべてこの型で、 とおく方法が共通して使える。

と書くと、 でちょうど になることが見える。定積分 の計算(次の問題)で、この形の便利さが実感できるはずだ。

答

別解

「 を掛ける」が天下りに感じるなら、予想して補正する素朴なルートで同じ答えに届く。 の原始関数の第一候補は微分と逆に考えて あたりだろう。試しに微分してみる(積の微分)。

惜しいことに、 だけ欲しいのに、余計な が付いてきた。なら、微分して になるもの(つまり )を引いて、お釣りを消せばいい。

ぴったり。よって 。候補を微分し、ずれを見て、ずれを打ち消す項を足す。この試行錯誤は、部分積分の公式が裏でやっていることを手で行ったものだ。公式を忘れても、予想と補正で積分は前に進める。

ポイント

  • とみて部分積分。
  • 、。 で約分。

よくある間違い

  • とする(それは微分。積分は逆演算)
  • 部分積分の役を逆(、)にして の原始関数が必要になり循環する
  • の補正項を落として と答える(微分すると が余る)

問12定積分(log x)

★★ 標準定積分部分積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

の原始関数(部分積分で作る)に上端・下端を代入。、 を使うと、すっきり消える。

解答・解説

方針

の原始関数 (前問)に、上端 ・下端 を代入する。、。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 原始関数 は、前問で求めてある。定積分は代入だけだ。

、 という特別な値を使うと、上端の項が丸ごと に消える。答えは で、これは曲線 が から までに囲む面積である。

重要(部分積分)

① 原始関数を使う。 。

② 代入して引く。 、。

まとめ: の定積分は原始関数 に代入。上端 で 、下端 で 、引くと 。、 の値を正確に使うのがポイント。

発展。 別解の途中に現れた 、指数側の部分積分でよく出る 、そして今回の を並べてみる。最後の つが同じ値なのは偶然でなく、同じ図形を 軸側・ 軸側から測った結果だ。逆関数のペア( と )の積分は、長方形を仲立ちにいつでも互いに言い換えられる。

面積 という値そのものにも意味がある。「 の下の面積が になる区間の右端」として を定義する流儀があるが、その双対として「 の下の面積が 」も の定め方のひとつである。

答

別解

答え を、図形の引き算で計算し直してみる。すると、対数の積分の裏にある「逆関数の絵」が分かる。求める面積は曲線 の下、 から までの部分。この領域を横から( 軸の方向から)見る。

囲いの全体を、大きな長方形(横 、縦 ( から )、面積 )の中に置く。長方形から求める領域を除いた残りは、「曲線の左側」の部分。 を横向きに読むと だから、左側の面積は

(ただの指数関数の積分なので、 よりずっと易しい)よって

の積分が の積分と長方形の引き算になった。「難しい関数の積分は、逆関数を反対の軸から積分して長方形から引く」という素朴な絵が、部分積分の技巧の裏にある。

ポイント

  • 原始関数 に代入。
  • 、。

よくある間違い

  • 下端 の代入 を として答えが になる
  • を 、 を と逆に覚えて代入する
  • 上端 下端の引き算で の二重符号を落とす