数学III / 積分法の計算

積分法の計算 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 置換積分
  2. 部分積分(対数関数)
  3. 部分分数分解の積分
  4. 半角を用いる三角関数の積分
  5. 部分積分(循環型)
  6. 対称性を使う定積分(King Property)
  7. 区分求積法
  8. 絶対値を含む定積分

問1置換積分

★★★★ 難関置換積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

被積分関数に と があり、 は の微分の一部。 と置換すると がまとめて置きかわる。区間も直す。

解答・解説

方針

とおくと 、すなわち 。積分区間も で に直す。 を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 被積分関数 を見る。 の指数 の微分は で、前の がその一部になっている。

こういう「中身の微分が外にある」形は、置換積分の合図。 とおけば がまとめて に置きかわり、 という簡単な積分になる。定積分なので、区間も から に直しておく、と見通す。

重要置換積分: とおくと 。定積分では区間も に直す

① 置換する。 とおくと 、すなわち 。区間は に対して 。

② 積分する。

よって 。

まとめ:「中身の微分が外にある」形は置換積分。 で とまとめ、 に。定積分は区間も に直せば、 に戻す手間が省ける。 の前の係数と の関係()を正確に。

発展。 置換積分は「合成関数の微分(連鎖律)の逆回し」。 を逆から読めば、。前の係数を合わせれば今回の積分になる。

一般に「」の形は、 を の原始関数として が原始関数。、 など、パターンは同じ。だから被積分関数を見たら「中身とその微分が両方いるか」をまず探す。いれば置換ですぐに片づく。

答

別解

別解:原始関数を見抜いて検算する(得意な人向けの視点)。 置換を書き下さなくても、 の原始関数を「あたりをつけて」微分で確かめられる。

を微分すると 。前に が つだから、原始関数は と見当がつく。確かめると

ぴたり一致。あとは代入するだけ。

と置換する本解と同じ。置換に慣れると、こうして「原始関数を予想 → 微分で検算」と暗算に近い形で進める。係数 は「 の を打ち消す」ぶんだと分かる。

ポイント

  • 、、区間 。
  • 。

よくある間違い

  • の係数 を落とす。
  • 定積分の区間を に直さず、 のままにする(または最後に へ戻し忘れる)。
  • の原始関数を係数なしの 自身としてしまう。

問2部分積分(対数関数)

★★★★ 難関部分積分対数

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

の積分は とみて部分積分。 を積分()、 を微分()する。

解答・解説

方針

とみて、 を積分する側、 を微分する側にして部分積分する。。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) をそのまま積分する公式はない。そこで部分積分に持ち込む。

とみて、 を「積分する側」()、 を「微分する側」()にする。すると残る積分が という簡単な形になる。 は微分すると簡単になるので、微分する側に置くのが基本、と見通す。

公式部分積分 。 は とみて を積分側に

① 部分積分する。 ()、()とすると

② 定積分を計算する。

まとめ: の積分は「 とみて部分積分」。 を積分して 、 を微分して 、すると の積分になる。原始関数は 。、 の代入に注意。

発展。 「 とみて部分積分」の手は微分すると簡単になる関数すべてに使える。 や の積分も、同じく を掛けて部分積分すれば原始関数が出る。

部分積分そのものは積の微分 を移項して積分した式。だから「積の微分の逆回し」だ。 はよく使う原始関数。定積分 は、曲線 と 軸・直線 で囲む面積でもある。式の裏に図がある。

答

別解

別解:原始関数を予想して微分で確かめる(得意な人向けの視点)。 部分積分の組み立てを思い出せなくても、 の原始関数を予想して検算できる。

を含む式で微分すると が出そうなのは 。ただし微分すると余分が出る。

余分な を消すために を足す。。ぴたり一致。

だから原始関数は 。代入して

部分積分で組み立てる本解と同じ。「 を微分すると余分な が出る、それを で打ち消す」と見れば、原始関数 の形が腑に落ちる。、 の代入だけ注意。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • を積分側に置いてしまい、部分積分が回らない。
  • 、 の代入を誤る。
  • 原始関数を だけにして、 の項を落とす。

問3部分分数分解の積分

★★★★ 難関部分分数分数関数

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

を部分分数に分けると、 つの の差。それぞれ で積分できる。

解答・解説

方針

と部分分数に分ける。それぞれ の積分になる。区間を代入して整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母が積の分数は、そのままでは積分できない。そこで部分分数に分ける。

は に分解できる。各項は の形で、 の積分になる。分けてから積分し、区間を代入する、と見通す。分母の差が なので係数はそのまま 。

重要部分分数 。

① 部分分数に分ける。

② 積分する。

③ 代入する。

まとめ:分母が積の分数は「部分分数に分けて の積分」。 と分け、 を代入。 とまとめる。

発展。 一般に 。今回は だから係数が で、きれいにまとまった。

分母の差が や なら、その逆数が前に出る。部分分数は「有理関数の積分」ならいつでも使える方法で、分母を 次式の積に分けさえすれば、あとはすべて に落ちる。

定積分 が という簡単な値になるのは、両端で が と という有理数になるから。分数の積分が対数を生む、という基本形だ。

答

別解

別解:係数を「隠す」方法で部分分数を作る(得意な人向けの視点)。 の は、代入の一手ですぐに出せる。

を出すには、両辺に を掛けて を代入する。左辺は の 、つまり 。だから 。

も同様に、 を掛けて を代入。 で 。よって 。あとは積分して

分解を天下り的に使う本解と同じ。「消したい因数を掛けて、その根を代入する」この隠す方法(ヘヴィサイドの方法)なら、係数を連立せずにすぐに決められる。

ポイント

  • 部分分数 。
  • 。

よくある間違い

  • 部分分数の係数(分母の差が なので )を誤る。
  • 対数の計算 の整理を誤る。
  • の絶対値・積分を取り違える。

問4半角を用いる三角関数の積分

★★★★ 難関三角関数の積分半角

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

は半角の公式で に直す。 の積分は 。

解答・解説

方針

はそのままでは積分しにくい。半角の公式 で次数を下げると、 の積分になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) をそのまま積分する公式はない。そこで半角の公式で次数を下げる。

にすれば、定数 と の積分に分かれる。どちらも積分できる形。 の積分は中身 の微分 で割って 。次数を下げて素直に積分する、と見通す。

公式半角の公式 。

① 次数を下げる。

② 積分する。

③ 代入する。 、 だから

まとめ: の積分は「半角で次数を下げる」。 にすると の積分()に。 で の項が消え、 が残る。 なら 。

発展。 の 周期にわたる平均は 。区間 の長さ にこの平均 を掛けると、ちょうど 。積分の値は「平均 幅」でもある。

半角で次数を下げる手は 、 など高次でも使える。 の 上の積分はウォリスの公式として知られ、値に が現れる。「 乗は積分しにくいが、半角で 次に落とせば積分できる」というのが、三角関数の偶数乗を積分する常道だ。

答

別解

別解:対称性で と をそろえる(得意な人向けの視点)。 半角の公式を使わず、区間 の対称性だけで求まる。

の置換で が入れかわるので

この つを とおくと、足し合わせは

を使うと、右辺は幅 の積分になる。よって 。半角で次数を下げる本解と同じ。 と が対称で、和が という関係を使うと、原始関数を計算せずに答えが出る。区間 だから使える方法だ。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • で中身の で割る()のを忘れる。
  • 半角の公式の符号( は )を取り違える。
  • を の などと、誤った原始関数で積分する。

問5部分積分(循環型)

★★★★ 難関部分積分循環型

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

の部分積分は、 回行うともとの積分が再び現れる。それを とおいて方程式を立てると解ける。

解答・解説

方針

部分積分を 回行うと、もとの積分 が右辺に再び現れる(循環)。 についての方程式を立てて解く。 となる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、部分積分しても 、 と「指数 三角」の形が出続ける。堂々巡りに見える。

だが、 回部分積分すると、もとの積分 そのものが右辺に現れる(循環)。そこで という方程式が立つ。これを について解けば原始関数が出る、という「循環型」の手法で進む、と見通す。

重要 は 回部分積分するともとの積分が現れる。 とおいて方程式を解く

① 部分積分を 回。 不定積分 とおく。 を積分側にして

もう 回、 を代入すると

② について解く。 、よって

③ 定積分を計算する。 で 、 で 。

まとめ:指数 × 三角の積分は「 回部分積分して循環 → の方程式」。 から原始関数 。 で三角の和が になり、。

発展。 循環は複素数を使うと説明できる。 は の実部で、指数関数はどんな回数微分・積分しても形が崩れない。

そのため、 とすぐに積分でき、実部をとると原始関数 が出る。分母の から、あの「 で割る」が出てくる。 も も、複素指数 ひとつにまとめて処理できる。循環型の部分積分は複素数を使わずに同じ結果へたどり着く道だ。

答

別解

別解:複素指数にまとめて積分する(得意な人向けの視点)。 を、複素指数 の実部とみると、部分積分を回さずに済む。

オイラーの公式から 。その実部が 。指数関数の積分は簡単で

だから、分子は 。分母を有理化して

求める積分はこの実部だから、。 回部分積分して循環させる本解と同じ 。複素指数を使うと「指数 三角」の積分が、ただの指数関数の積分になる。 の実部が原始関数の の出どころだ。

ポイント

  • 回部分積分で 。
  • 、定積分 。

よくある間違い

  • 部分積分の途中で や符号を取り違え、循環がうまく閉じない。
  • を右辺から移項して にまとめるのを忘れる。
  • で 、 の代入を誤る。

問6対称性を使う定積分(King Property)

★★★★ 難関定積分対称性

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

と置換すると と が入れかわる。もとの積分 と置換後 を足すと分母・分子がそろって簡単になる。

解答・解説

方針

求める積分を とし、 の置換を行うと、 と が入れかわった積分 になる。 を計算すると被積分関数が になり、 から が求まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母に があり、直接は積分しにくい。

ここで区間 の対称性、 の置換に注目する。この置換で が入れかわる。もとの積分 と、置換後の積分を足すと、分子が になって分母と約分され、 の積分になる。

しかも置換しただけなので値は同じ()。だから から が求まる、と見通す。

重要(区間の対称性)。区間 では で

① 置換して を作る。 とおく。 の置換で、、 だから

(置換しただけなので値は同じ 。)

② を計算する。 もとの (分子 )と、いまの (分子 )を足すと、分子が になって分母と約分される。

③ を求める。

まとめ:分母が の積分は「 の置換で 」。もとと置換後を足すと分子が分母と同じになり 。値が同じ()ことから 、。積分を計算せず、対称性だけで求まる。

発展。 この手の要は (積分の対称性)。被積分関数を「折り返したもの」と足すと、扱いやすい形にそろうことが多い。

じつはこの積分は、原始関数を直接求めることもできる。 と書けて、第 項は の微分だから、区間の両端で打ち消し合って 。残るのは 。

対称性ですぐに出す方法と、原始関数を作る地道な方法のどちらでも、同じ にたどり着く。うまい対称性は計算の大半を省いてくれる。

答

別解

別解:分子を変形して直接積分する(得意な人向けの視点)。 対称性に頼らず、被積分関数を「定数 対数の微分」に分けても求まる。

分子 を、分母 とその微分 で表す。

第 項の分子 は分母 の微分そのもの。だから 。積分すると

( でどちらも なので対数の差は 。)対称性で とする本解と同じ 。「分子を分母とその微分で書く」と、分数の積分は定数と対数に分かれる。この積分が確かに原始関数をもつことも、この道なら見える。

ポイント

  • で 、。
  • 、。

よくある間違い

  • 置換で が入れかわることに気づかず、直接積分しようとして詰まる。
  • が ( だから)であることを使えない。
  • 置換 で の符号と積分区間の向きの処理を誤る。

問7区分求積法

★★★★ 難関区分求積法極限

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

の形は区分求積法で 。 を積分する( になる)。

解答・解説

方針

は、区分求積法により に等しい。 とみて から まで積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) という形は、区分求積法の合図。

幅 の短冊の面積和で、 で定積分 に収束する。ここでは なので、。あとはこれを から まで積分するだけ、と見通す。

公式区分求積法:

① 定積分に直す。 とみると

② 積分する。 の原始関数は (逆正接)。

xyO
区分求積法: (1/n)Σf(k/n) は n→∞ で ∫₀¹f(x)dx。長方形の和が曲線の下の面積に近づく

まとめ: は区分求積法で 。 の積分は で、。和の形から積分を見抜くのがすべて。 が積分変数 、 が に対応する。

発展。 区分求積法はそもそも定積分の定義そのもの。「幅 の短冊を足し、幅を に近づける」極限が積分だ。 が積分変数 、 が に対応する。

答え は、ライプニッツの級数 とも結びつく。 を等比級数に展開して項別積分すると、この交代級数が出てくる。

和の形を見て「これは積分だ」と気づけるかがすべて。逆に、積分を和で近似すれば数値計算になる。和と積分は、離散と連続の同じものの両面だ。

答

別解

別解:積分を三角置換で計算する(得意な人向けの視点)。 区分求積で に直したあと、この積分をなぜ が出るのか、置換で確かめられる。

とおく。、。だから

区間は に対して ()。よって

を原始関数として使う本解と同じ。 の置換で が に変わり、面倒な分数が消えて になる。 が「 の逆」であることが、この置換ではっきり分かる。

ポイント

  • 区分求積で 。
  • 。

よくある間違い

  • と の対応( と )を取り違える。
  • の原始関数が であることを使えない。
  • 和が から なのに、積分区間を でなく 等と取り違える。

問8絶対値を含む定積分

★★★★ 難関定積分絶対値

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

絶対値の中身 の符号で区間を分ける( が境目)。 では負なので符号を反転して積分。

解答・解説

方針

の符号を調べる。 で 、 で 。区間を分けて絶対値を外し、それぞれ積分して足す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値つきの定積分は、中身の符号で区間を分けるのが原則だ。

の符号を調べる。 で負、 で正。負の区間では絶対値を外すとき符号を反転する()。

区間 と に分けて、それぞれ積分して足す、と段取りする。

重要絶対値の定積分は、中身が になる点で区間を分け、各区間で符号に応じて絶対値を外す

① 符号を調べる。 は で 、 で 。

② 区間ごとに積分する。

③ 足す。

まとめ:絶対値の定積分は「符号で区間分け → 各区間で外して積分 → 足す」。 では (反転)、 では 。境目 で分けて、それぞれ 、合わせて 。

発展。 は、曲線 と 軸で囲む「面積」。絶対値がつくと、放物線 の 軸より下の部分が、上に折り返される。

面積はつねに正だから、絶対値の積分は「符号を無視した総量」を測る。もし絶対値を外し忘れて を計算すると、正の部分と負の部分が打ち消し合って になり、面積とはまるで別物になる。

「符号付きの積分」と「絶対値(面積)の積分」は違う、という区別が要。速さと道のり(道のりは速度の絶対値の積分)も、この違いにあたる。

答

別解

別解:符号付き積分から折り返しぶんを足す(得意な人向けの視点)。 区間を分けずに、まず符号付きで積分し、負だった部分を「折り返す」補正を加える手もある。

絶対値なしだと、。この は、負の部分 と正の部分 がちょうど打ち消し合った結果。負の部分の値は 。絶対値をつけると、この負の部分の符号が反転する。だからもとの積分値 に、負だった を「反転で に変える」ぶん、 を足す。

区間ごとに積分して足す本解と同じ。「符号付き積分 (負の部分)」という見方は、負の領域が少ないときに手早い。区間 の が偶関数で となるのも、計算を軽くする。

ポイント

  • の符号で (負)と (正)に分ける。
  • 各積分 、合わせて 。

よくある間違い

  • 絶対値を外さず をそのまま計算する(打ち消して になる)。
  • 負の区間 で符号を反転()し忘れる。
  • つの区間の積分 と の片方だけ答え、足し合わせを忘れる。