方針
求める積分を I とし、x→2π−x の置換を行うと、sin と cos が入れかわった積分 J になる。I+J を計算すると被積分関数が 1 になり、I=J から I が求まる。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 分母に sinx+cosx があり、直接は積分しにくい。
ここで区間 [0,2π] の対称性、x→2π−x の置換に注目する。この置換で sinx↔cosx が入れかわる。もとの積分 I と、置換後の積分を足すと、分子が sinx+cosx になって分母と約分され、1 の積分になる。
しかも置換しただけなので値は同じ(I=J)。だから 2I から I が求まる、と見通す。
重要∫0af(x)dx=∫0af(a−x)dx(区間の対称性)。区間 [0,2π] では x→2π−x で sin↔cos
① 置換して J を作る。 I=∫0π/2sinx+cosxsinxdx とおく。x→2π−x の置換で、sin(2π−x)=cosx、cos(2π−x)=sinx だから
I=∫0π/2cosx+sinxcosxdx (=J)
(置換しただけなので値は同じ I。)
② I+I を計算する。 もとの I(分子 sinx)と、いまの I(分子 cosx)を足すと、分子が sinx+cosx になって分母と約分される。
2I=∫0π/2sinx+cosxsinx+cosxdx=∫0π/21dx=2π
③ I を求める。
I=4π
まとめ:分母が sin+cos の積分は「x→2π−x の置換で sin↔cos」。もとと置換後を足すと分子が分母と同じになり ∫1=2π。値が同じ(I=J)ことから 2I=2π、I=4π。積分を計算せず、対称性だけで求まる。
発展。 この手の要は ∫0af(x)dx=∫0af(a−x)dx(積分の対称性)。被積分関数を「折り返したもの」と足すと、扱いやすい形にそろうことが多い。
じつはこの積分は、原始関数を直接求めることもできる。sinx+cosxsinx=21(1−sinx+cosxcosx−sinx) と書けて、第 2 項は log(sinx+cosx) の微分だから、区間の両端で打ち消し合って 0。残るのは 21⋅2π=4π。
対称性ですぐに出す方法と、原始関数を作る地道な方法のどちらでも、同じ 4π にたどり着く。うまい対称性は計算の大半を省いてくれる。
別解
別解:分子を変形して直接積分する(得意な人向けの視点)。 対称性に頼らず、被積分関数を「定数 + 対数の微分」に分けても求まる。
分子 sinx を、分母 sinx+cosx とその微分 cosx−sinx で表す。
sinx+cosxsinx=21⋅sinx+cosx2sinx=21(1−sinx+cosxcosx−sinx).
第 2 項の分子 cosx−sinx は分母 sinx+cosx の微分そのもの。だから sinx+cosxcosx−sinx=(log(sinx+cosx))′。積分すると
I=21∫0π/21dx−21[log(sinx+cosx)]0π/2=21⋅2π−21(log1−log1)=4π.
(x=2π,0 でどちらも sinx+cosx=1 なので対数の差は 0。)対称性で 2I=2π とする本解と同じ 4π。「分子を分母とその微分で書く」と、分数の積分は定数と対数に分かれる。この積分が確かに原始関数をもつことも、この道なら見える。
ポイント
- x→2π−x で sin↔cos、I=J。
- 2I=∫0π/21dx=2π、I=4π。
よくある間違い
- 置換で sin,cos が入れかわることに気づかず、直接積分しようとして詰まる。
- I+J が 2I(I=J だから)であることを使えない。
- 置換 x→2π−x で dx の符号と積分区間の向きの処理を誤る。