数学III / 関数と極限

関数と極限 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 数列の極限(∞-∞・有理化)
  2. 関数の極限(有理化)
  3. 無限等比級数(係数つき)
  4. 循環小数を分数に(無限級数)
  5. 三角関数の極限(角の調整)
  6. 三角関数の極限(1-cos)
  7. はさみうちの原理
  8. 関数の極限(∞-∞・有理化)
  9. 無限級数(部分分数)
  10. 中間値の定理
  11. 関数の極限(3次の0分の0)
  12. 無限等比級数の収束条件

問1数列の極限(∞-∞・有理化)

★★ 標準数列の極限有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

の形はこのままでは判定できない。根号を含む差は、和を掛けて割る(有理化)と引き算が消える。変形してから最高次で割る。

解答・解説

方針

の不定形。分子・分母に をかけて有理化すると、根号が消えて の形になる。あとは最高次で割る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) も も無限大へ向かうので、 の不定形だ。このままでは大小の綱引きが見えない。

根号入りの の定跡は有理化。 に を掛けると、分子は と根号が消える。

の形に持ち込めたら、あとは分母・分子を で割る。いつもの最高次で割る方法だ。

重要(根号を含む)は、有理化して に直す

① 有理化する。 を分子・分母にかける。

② 分母の最高次 で割る。 根号の中は でくくると 。

③ 極限をとる。 なので 。

まとめ: で根号があれば、まず有理化。根号が消えて分数の形になれば、最高次で割るいつもの手順に乗る。 の変形が決め手だ。

発展。 と一般化できる(同じ有理化で分子が になる)。答えは係数 の半分で、別解の平均の見方なら「 と の真ん中」としてすぐに読める。

数値検証の注意もひとつ。 を非常に大きくして を電卓やプログラムで直接計算すると、大きな数どうしの引き算で有効数字が消える(桁落ち)。有理化した形 なら安定して計算できる。有理化は理論の道具であると同時に、数値計算の実務でも使われる変形である。

答

別解

答えが になる理由を、平均の言葉で先読みできる。 は、 と の相乗平均だ。相乗平均は算術平均(ふつうの平均)にとても近い。 と のふつうの平均は

だから で、引き算の残りは になる。これが答えの値の理由である。数値でも確かめられる。 なら で、確かに のすぐそばにある( つの平均の差は が大きいほど消えていく)。

答えの見当を素朴につけてから、有理化で正当化する。極限の答えに直感の裏付けがあると、計算ミスにも気づきやすくなる。

ポイント

  • (根号)は有理化。
  • で最高次を出す。

よくある間違い

  • を「」と即断する(大きさの綱引きは有理化するまで分からない)
  • 有理化後、分母の を で割るとき とせず 扱いする
  • のくくり出しで を根号の外に のまま出す

問2関数の極限(有理化)

★★ 標準関数の極限有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

型。分子の根号が邪魔なので有理化する。すると分子に が現れて、分母と約分できる。

解答・解説

方針

で 。分子を有理化する。 を分子・分母にかけると、分子の根号が消えて が約分できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を入れると分子 、分母 となり、 の不定形だ。約分できる共通因数が隠れているサインである。

根号があるから、隠れた因数は有理化であぶり出す。分子・分母に を掛けると

が約分されて不定形が解消。残った式に を入れるだけだ。

重要根号を含む は、分子を有理化して約分する

① 分子を有理化する。 を分子・分母にかける。

② 約分する。 なので で約分。

③ 代入する。 。

まとめ:根号の は有理化で解く。分子の に共役 をかけると根号が消え、 を作っていた が約分できる。約分してから代入だ。

発展。 答え は「 が小さいとき 」という近似の係数でもある。、 のように平方根の暗算に使える実用近似で、物理でも頻出だ。

型の処理はこの単元では「因数分解 or 有理化で共通因数を約分」。微分を学んだ後は「微分係数として読む」という第 の道が開き、さらに先には不定形を微分で処理する一般定理(ロピタルの定理・大学)まで続いている。

答

別解

この極限、少し先の単元(微分)を知っている人には見覚えのある形だ。 とおくと、 だから

これは の における微分係数の定義式そのものだ。つまりこの極限は を聞いている。(微分法で学ぶ)だから となり、有理化の答えと一致する。

型の極限の多くは、どこかの関数の微分係数を別の形で書いたものだ。「分子が に見えないか」という目を持つと、極限の単元と微分の単元が 本につながる。

ポイント

  • 根号の は分子を有理化。
  • 共役をかけて根号を消し、 を約分。

よくある間違い

  • 分母だけ・分子だけに を掛けて式の値を変えてしまう(必ず両方に)
  • 有理化後の約分を忘れ、 を代入してまた に戻る
  • でなく を掛けて根号が消えない

問3無限等比級数(係数つき)

★★ 標準無限級数等比級数

問題

無限等比級数 の和を求めよ。

ヒントを見る

の形から初項と公比を読み取る。収束の確認をしてから和の公式へ。

解答・解説

方針

初項 と公比 を読み取る。 を入れると初項 、比は 。 なので和は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 無限等比級数の和は、 つの読み取りで決まる。初項 と公比 だ。

を代入して初項 。となりの項との比が 。収束の確認を忘れないこと。 だから和は存在して

「読み取る → 収束確認 → 公式」の三拍子である。

公式無限等比級数の和 (、 は初項)

① 初項と公比を読む。 で初項 。公比 。 なので収束。

② 和の公式に入れる。

まとめ: 記号の等比級数はまず初項( を代入)と公比を読み取る。あとは 。初項は 、公比 で和は 。

発展。 別解の警告(収束しないのに とおくと偽の答え)は、極限の論理でいちばん大事な注意点だ。「」という等式は、 という値が存在するなら成り立つ関係にすぎない。存在の保証(、または部分和の極限の計算)が先で、方程式は後だ。この順序が崩れた議論は答えが合っていても減点対象になる。

自己相似の見方は図形の無限級数(正方形や三角形を無限に入れ子にする問題)でそのまま活きる。「全体 最初の 個 縮小した全体」という等式が立てば、どんな入れ子も 次方程式で解ける。

答

別解

公式 を忘れても、自己相似の 行で和が出せる。求める和を とおく。

先頭の を除いた残り()をよく見ると、全体 の各項をちょうど 倍した級数になっている。つまり

これを解いて 、。「無限の尻尾は、全体の縮小コピー」になっている。等比級数はこの入れ子構造をもち、和の公式 はこの 行の一般化にすぎない。

ただし、この方法は「 が存在する()」ことが前提。収束しない級数に同じ操作をすると偽の答えが出る( から となってしまう)ので、収束確認とセットで使う。

ポイント

  • 初項は を代入、公比は比の値。
  • 和 ()。

よくある間違い

  • 初項を 代入や係数だけで誤読する( を実際に代入して )
  • 収束条件 の確認を書かずに公式を使う
  • の繁分数の処理で 等と誤る(分母分子に を掛ける)

問4循環小数を分数に(無限級数)

★★ 標準無限級数循環小数

問題

循環小数 を、無限等比級数を用いて分数で表せ。

ヒントを見る

を『位ごとの和』に分解して書き並べてみよう。それは無限等比級数の形をしている。

解答・解説

方針

と、無限等比級数に分解する。初項 、公比 。和の公式 を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を「桁ごとにばらす」と、無限等比級数が現れる。

各項は前の項の なので、初項 、公比 の無限等比級数だ。 だから収束して

「循環小数 桁の無限級数」という見方が、この問題の主題である。

公式循環小数は無限等比級数。和

① 無限等比級数に分解する。

初項 、公比 ()。

② 和の公式に入れる。

まとめ:循環小数は「同じ数字がくり返す無限等比級数」。 と分けると、初項 ・公比 。和の公式で分数に直せる。 の確認にもなる。

発展。 同じ級数分解で、どんな循環小数も分数に直せる。 は初項 ・公比 で となる。「循環節を で割る」という数Aの規則は、和の公式の分母 から来ていたと分かる。

この事実の裏返しとして、 となる。「 はちょうど 」という有名な等式も、級数の収束として正確に意味づけられる。循環小数は無限等比級数の応用例そのものである。

答

別解

数Aで習った「 倍して引く」古典手法と、今回の級数ルートを並べてみよう。 とおく。 倍すると小数点が つ動いて

より で、級数の答えと一致する。この つは、同じことをしている。「 の小数部分がもとの と同じ」という観察は、級数の言葉では「公比 の自己相似(尻尾が全体の )」そのもの。 倍法の は、和の公式の分母 を 倍した姿だ。

数Aでは天下り的だった「 倍して引く」に、極限の理屈(部分和が収束するからこの操作が正当)という根拠が加わる。単元をまたいで同じ事実を二度見る意味はここにある。

ポイント

  • 循環小数 = 無限等比級数。
  • 初項と公比を読んで 。

よくある間違い

  • 公比を と誤読する(となりの項との比は )
  • を約分せず小数 に戻して堂々巡りになる
  • 「収束するか」の確認なしに無限の足し算を有限の値と同一視する(答案では に触れる)

問5三角関数の極限(角の調整)

★★ 標準三角関数の極限

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

基本極限は『 の中身と分母が同じ形』のときに使える。中身が なら、分母にも を作り出す。帳尻合わせの掛け算で調整する。

解答・解説

方針

基本極限 を使うには、分母を の中身 にそろえる。分母・分子を に合わせる工夫をする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 三角関数の極限の要は、基本極限 ()ただひとつ。

問題の式 は、 の中身は なのに分母は で、そろっていない。中身と分母をそろえるのが仕事だ。

こうすれば前半は基本極限の形( も に向かう)で へ、残った が答えになる。

定理。 の中身と分母をそろえる

① の中身 を分母に作る。 分母・分子を調整する。

② 基本極限を使う。 のとき なので 。

xyO→1
y=sin x / x は x→0 で 1 に近づく。sin3x/x=3·(sin3x)/(3x)→3

まとめ: の形に持ち込むのが基本だ。分母を の中身 にそろえ、つじつま合わせに をかける。角の係数がそのまま答えに出る。

発展。 「角が小さければ 」は、ラジアンという角の測り方の存在理由でもある。度数法だと と余計な係数が付く。係数が になるように角の単位を設計したのがラジアンだ。微分 がきれいな形なのも同じ理由による。

この近似は振り子の等時性(物理)の導出にも使われる。振れ角が小さいとき を で置き換えると運動方程式が解ける。数IIIの基本極限は理科の教科書でも使われている。

答

別解

答え を、近似の感覚で「見る」方法がある。基本極限 の意味は、角が小さいとき (ラジアンなら とほぼ角そのもの)ということだ。この目で問題を見ると

分子の が「ほぼ 」になるから、比は で、答えが 行で分かる。

もちろん「」のままでは証明にならないので、答案は本解のように と正確な形に組む。だが「、だから係数の比が答え」という感覚を持っておくと、 のような複合形も、計算の前に答えの見当がつく。検算にも見通しにも役立つ近似の見方だ。

ポイント

  • の形にそろえる。
  • 分母を中身に合わせ、係数を外に出す。

よくある間違い

  • と誤って分解する( は線形ではない。 倍角の公式は別物)
  • 分母だけ に替えて辻褄の を掛け忘れる
  • 度数法の感覚のまま考える(基本極限はラジアンでのみ )

問6三角関数の極限(1-cos)

★★ 標準三角関数の極限

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

のままでは進まない。組になる式()を掛けると の 乗が現れて、基本極限につながる形になる。

解答・解説

方針

は分子・分母に をかけて に変える()。すると の形が作れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) で 。基本極限 に持ち込みたいが、分子は で、 が見当たらない。

から を作る定跡は、共役 を掛けること。

が現れた。 と の積で答えが出る。

重要 は をかけて に変える()

① をかける。

② の形にする。

③ 極限をとる。 、。

まとめ: を見たら「 をかけて に」が合言葉。 が使える形に変形するのが目標。有名な結果 だ。

発展。 この極限は「角が小さいとき 」と読み替えられる。 が 次の近似なら、こちらは の 次の近似だ。セットで覚えると、 のような複合極限も見通せる(分子 )。

物理では、この が「振り子の高さ 」などエネルギーの 次近似として出てくる。 は「ずれの 乗」と同じ程度の大きさの量だ。

答

別解

共役を掛ける代わりに、半角公式で をすぐに に変える方法がある。

(倍角公式 の並べ替えだ。)これを入れると

だからカッコの中は へ。答え が、係数として最初から見えているのがこの変形の利点だ。

を見たら「共役を掛ける」か「半角で に開く」かのどちらかを使う。どちらも を作る手段で、後者は分数の階数が増えない分、複雑な問題ほど計算が軽くなる。

ポイント

  • は をかけて に。
  • を使う。

よくある間違い

  • を つ分しか作らず、 に対して との対応( 乗ずつ)を崩す
  • の極限を とする( で だから )
  • 半角ルートで の を落とし、答えが になる

問7はさみうちの原理

★★ 標準数列の極限はさみうち

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

は極限を持たないが、大きさはつねに一定の範囲に収まっている。両側から挟む論法を使う。何と何で挟むか。

解答・解説

方針

は から の間で振動して、単純には極限が分からない。しかし で上下からはさめる。両側を で割ると、両端が に収束する。はさみうちの原理。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は と の間を不規則に振動し、極限を持たない。分子の行き先が分からないのに、全体の極限は求まるのか。

分母の があるので、求まる。振動していても、大きさが抑えられてさえいればよい。

両端はどちらも へ。あいだに挟まれた も へ行くしかない。これがはさみうちの原理だ。「行き先の分からない量は、行き先の分かる つで挟む」。

定理はさみうちの原理: で なら

① 上下からはさむ。 は必ず 以上 以下。

② 各辺を で割る。 なので不等号の向きはそのまま。

③ 両端の極限をとる。 、。両端が同じ に収束するので、はさまれた も 。

まとめ: のように「振動して極限が直接分からない」ものは、はさみうちが有効。 で上下からはさみ、両端()が同じ値に収束すれば、真ん中もその値に決まる。

発展。 はさみうちが特に役に立つのは、 の証明そのものだ(扇形の面積を三角形 つで挟む)。この単元の基本極限は、はさみうちから導かれる。

「有界 消える 消える」の型は、 や ()など応用問題の常連。逆に「有界でない量 消える量」( など)は結論が定まらない。この型では「どちらが有界か」を最初に見分けることから始める。

答

別解

同じ内容を、絶対値で書くと 行になる。

「絶対値が に押しつぶされるなら、もとの量も に行く」ことを使っている。挟む 本の式を書く代わりに、大きさ 本で済ませた形だ(下から で挟んでいることは絶対値が保証している)。この書き方の効用は、構造が名前で見えること。

(有界な量)(0 に向かう量)

の具体的な値(いくつに振動するか)は一切使っていない。「 に収まる」ことだけが必要だった。だから でも でも、同じ 行で と即答できる。

はさみうちは「両側から」が基本形だが、 が目的地のときは「絶対値 消える量」の片側版が最速である。

ポイント

  • 振動する量は ではさむ。
  • 両端が同じ極限 → 真ん中も同じ(はさみうち)。

よくある間違い

  • が存在しないから全体も「極限なし」と結論する(分母が大きくなるので、振動する部分は全体として小さくなる)
  • のような意味を持たない書き方をする
  • はさむ両端の極限が一致することを確認せず原理を使う(両端が同じ値に向かうことが条件)

問8関数の極限(∞-∞・有理化)

★★ 標準関数の極限有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

型。根号との差は有理化で商の形に直す。 で割るとき、根号の中へ を入れる処理を正確に。

解答・解説

方針

。有理化して に直す。()と変形して最高次で割る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の不定形で、数列版()とまったく同じ型の関数版だ。処方も同じ、有理化。

になったら最高次の で割る。分母の根号は で とくくり出せるから、割った結果は 。

重要(根号)は有理化。 では ()

① 有理化する。

② 分母の最高次 で割る。 ()。

③ 極限をとる。 。

まとめ: の根号は有理化してから最高次で割る。分子の の係数 が最後まで残り、答えは 。 で (絶対値に注意)。

発展。 別解の「遠方で に寄り添う」は、双曲線の漸近線の親戚だ。実際、 のグラフは遠方でこの直線との差が に近づく。極限の計算がグラフの漸近的な形の計算になっている。

版( の形になる)では の処理が加わり、この型の頻出ひっかけになる。「 のどちらへ飛ばすか」で根号の外し方が変わる。符号の検分だけは近似の感覚に頼らず、毎回手で確かめたい。

答

別解

くくり出しのあとに現れる を、一次近似で読むと答えが先に見える。 が小さいとき

( という平方根の暗算術だ。) が大きければ は小さいから

つまり は遠方で「 という直線」にぴったり寄り添う。 を引いた残りが で、極限の答えはこの漸近直線の切片だった。

を使わない正式な答案は本解の有理化で書く。だが「根号の中の は、外では半分の になる」という半減の感覚は、この型()を見た瞬間の即答と検算を可能にする。

ポイント

  • (根号)は有理化 → 最高次で割る。
  • では 。

よくある間違い

  • を のように根号を分配してしまう(根号は和をバラせない)
  • 分母を で割るとき、根号の中は で割る( の外の は中の )
  • の同型問題と混同する( では となり符号処理が変わる)

問9無限級数(部分分数)

★★ 標準無限級数部分分数

問題

無限級数 の和を求めよ。

ヒントを見る

無限級数は『部分和の極限』が定義。まず第 項までの和を、部分分数の打ち消し合いで閉じた式にする。それから極限をとる。

解答・解説

方針

まず第 項までの部分和 を求める。部分分数分解 で途中の項を消し、 を出す。無限級数の和は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 無限級数の和は、いきなり「無限に足す」のではなく、部分和 を求めて、その極限をとる。この二段が定義だ。

の計算は数Bでやった部分分数の望遠鏡和。

途中が打ち消し合って 。あとは で 、和は 。有限の和を閉じた式にしてから極限をとる。等比でない無限級数はいつもこの手順で和を求める。

重要無限級数の和 (部分和の極限)。部分分数で を求める

① 部分和 を求める。 部分分数 で望遠鏡和になる。

② 部分和の極限をとる。 これが無限級数の和。

まとめ:無限級数は「部分和 を出して、その極限をとる」の 段階。部分分数で が出れば、 で 、和は 。等比級数以外はこの手順が基本だ。

発展。 似た顔の (調和級数)は、項が に向かうのに和は無限大に発散する。「項 」は収束の必要条件であって十分条件ではない。この級数(、収束)と調和級数(発散)のペアは、その区別を覚えるのにちょうどよい例だ。

さらに は収束して (バーゼル問題・オイラー)。 の挟み込みで収束だけなら高校の道具でも示せる。望遠鏡和は収束判定の「ものさし」としても使える。

答

別解

和がちょうど になることを、 本の線分の絵で見ることができる。長さ の線分 に、点 を打っていく(点 の列で、 に限りなく近づく)。区切られた各小片の長さを測ると

第 片の長さは で、これは級数の各項そのものだ。つまりこの級数は長さ の線分を無限個の小片に切り分けたもの。全部足せば線分全体の長さ に戻るのは当然で、部分和 は「 片目までで線分のどこまで来たか」を表している。

無限級数の和が有限に収まることが、「有限の線分を細かく分けただけ」という絵で腑に落ちる。

ポイント

  • 無限級数の和 。
  • 部分分数で部分和 を求める。

よくある間違い

  • 部分和を経由せず「無限に打ち消して 」と直感だけで書く(答案は 極限の二段で)
  • 打ち消しの残りを とする(最後に残るのは )
  • の級数(調和級数)と混同して「発散するのでは」と迷う(あちらは打ち消しがない)

問10中間値の定理

★★ 標準中間値の定理連続関数

問題

方程式 が の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを、中間値の定理を用いて示せ。

ヒントを見る

連続な関数が区間の両端で符号を変えれば、途中で必ず を通る。問題が指定する定理の主張はこれだ。両端の値の符号を確かめて、条件がそろっていることを述べよう。

解答・解説

方針

とおく。 は連続。 と の符号が反対(片方が負、片方が正)なら、中間値の定理より、あいだで となる が存在する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「解を求めよ」ではなく「解があることを示せ」なので、存在証明だ。 次方程式の解の公式を知らなくても、存在だけなら言える。それが中間値の定理の仕事である。

とおく。多項式だから は連続で、グラフは切れ目なくつながっている。

で海面下、 で海面上。切れ目なくつながった線が海面下から海面上へ行くには、途中で必ず海面()を横切る。その横切る場所が解だ。

定理中間値の定理: が で連続で と が異符号なら、 となる が に存在

① 関数をおき、連続性を確認する。 。多項式なので連続。

② 両端の符号を調べる。

③ 中間値の定理を適用する。 で符号が反対。 は連続なので、中間値の定理より となる が に少なくとも つ存在する。

よって方程式 は に実数解をもつ。

xyOf(1)=−1f(2)=512
y=x³−x−1。f(1)=−1<0, f(2)=5>0 なので(1,2)で x軸を横切る

まとめ:中間値の定理は「連続なグラフが負から正へ移るなら、途中で必ず を通る」という当たり前を保証する定理。使い方は「連続を確認 → 両端の符号が反対を示す」の 点。解を具体的に求めなくても、存在だけは言える。

発展。 「連続」の仮定がどこまで必要かは、反例で確かめるとよく分かる。 は 、 だが、間に解はない( で不連続に飛んでいる)。符号の変化だけでは足りず、「切れ目なく」が必要だった。

この解 は「プラスチック数」と呼ばれ、 を満たす特別な定数(黄金比 の 次版)。存在証明 → 二分法 → 特別な定数、と 問の裏に数学の層が重なっている。

答

f(1)<0<f(2) なので f(x)=0 となる x が (1,2) に存在

別解

中間値の定理は「あるかないか」しか教えない。だが、同じ発想を繰り返すと、解の居場所をどこまでも絞り込める。区間 の真ん中 で値を見る。

だから、解は前半分 にいる。もう一度真ん中で

今度は なので、解は にある。 回の計算ごとに、解の居場所の幅が半分になる。

回繰り返せば幅は約 、 回で 万分の 。この「二分法」は、コンピュータが方程式を解く最も基本的なアルゴリズムで、中間値の定理はその正しさの保証書だ(実際の解は )。

存在定理は抽象的に見えて、実は「計算で解を求める手続き」の基礎になっている。

ポイント

  • 連続 + 両端が異符号 → あいだに解が存在。
  • 解の存在だけを示す(値は求めない)。

よくある間違い

  • が連続であることに触れない(定理の前提。多項式だから連続、の一言を必ず書く)
  • 、 の値だけ書いて「符号が異なる」の明言と定理の適用文を省く
  • 「少なくとも つ」を「ちょうど つ」と書く(個数の議論には増減の情報が別に要る)

問11関数の極限(3次の0分の0)

★★ 標準関数の極限

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

型。 乗の差の因数分解を思い出せば、邪魔な因数が消える。

解答・解説

方針

で 。分子を因数分解する()。分母の と約分してから代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を入れると 。分子と分母がそろって になるのは、両方が因数 を隠し持っているからだ。

分子を因数分解する。

分母の と約分すれば不定形は解消。極限は「 そのもの」ではなく「 に近づく」だから、 での約分は正当だ。約分してから を代入して 。

公式( 乗の差の因数分解)

① 因数分解する。

② 約分後に代入する。

まとめ: は共通因数 の約分で解ける。 乗の差 の因数分解を覚えておくと速い。約分後に を代入して 。

発展。 一般に ()。因数分解ルートなら に を入れて 個の 、微分ルートなら の での値を見ればよく、どちらでも 行だ。

この極限は「 に近い数のべき乗」の近似 と同じ内容でもある。複利計算()や誤差の伝播(測定値が ずれると 乗量は約 ずれる)にも使える。答えの は「 乗は変化率を 倍にする」という実用則を表している。

答

別解

「 の近く」を拡大して見るために、 とおく手もある( は )。

で残るのは先頭の 。この形は情報が豊かだ。 という展開から、「 が より だけ大きいとき、比の値は より約 大きい」ことが分かる。極限値だけでなく、近づき方まで分かる。

そして理由を言えば、()は微分係数の定義式で、答え は だ。 の展開の 次の係数が微分係数になる。置換 は、微分の計算のもとになる考え方である。

ポイント

  • は因数分解して約分。
  • 。

よくある間違い

  • の因数分解を や と誤る(展開して戻るか確認)
  • 「 を代入できないのに約分してよいのか」で止まる(極限は の話なので約分は正当)
  • への代入を でやってしまい と答える

問12無限等比級数の収束条件

★★ 標準無限級数収束条件

問題

無限等比級数 が収束するような の範囲を求めよ。また、 のときの和を求めよ。

ヒントを見る

無限等比級数が収束するための公比の条件を答える問題。条件を確認したら、与えられた公比で和の公式に乗せる。

解答・解説

方針

無限等比級数が収束するのは のとき(初項が でない場合)。 はこの範囲内なので、和 を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 無限等比級数 が「収束する」とは、部分和 ()が一定の値に落ち着くこと。

の中で とともに動く部品は だけ。 が収束する条件はよく知っているとおり だが、 は別扱い( で発散)。よって収束条件は 。 はこの範囲にあるから、和は と確定する。

定理無限等比級数(初項 )が収束する条件は ()。和は

① 収束条件を書く。 公比 について

( だと項が に向かわず、和が発散する。)

② の和を求める。 は を満たす。初項 。

まとめ:無限等比級数の収束は「公比の大きさ 」が絶対条件。この範囲でだけ和 が意味をもつ。 では項が小さくならず、無限に足すと発散する。

発展。 一般の無限等比級数(初項 )では、収束条件は「 または 」となる。初項が なら公比が何であれ全項 で収束する。この見落としがちな例外は、初項に文字を含む応用問題( の収束条件など)で正面から問われる。

の は歴史的にも有名で、「 では?」という誤答(グランディ級数)を巡って 世紀の数学者が論争した。部分和の極限、という現代の定義が確立して初めて「収束しない」と決着した。定義を厳密にすることの意味がよく分かる級数である。

答

収束条件 、 のとき和

別解

条件 の輪郭を、境界の実例で確かめておくと忘れない。

  • (範囲内): 部分和は で、 の形をして に向かってじわじわ登る。収束。
  • (境界): 、部分和は そのもの。発散。
  • (境界): 、部分和は と永遠に振動。行き先が定まらず収束しない。
  • (範囲外): 、限りなく大きくなって発散。

境界の つ()がどちらもダメなので、不等号は両方とも「」で、等号は入らない。「公式の適用条件は、境界の反例とセットで覚える」。 という記号の暗記より、 が振動する絵の方が、試験場で確実に思い出せる。

ポイント

  • 収束条件は ()。
  • 収束するときのみ和 。

よくある間違い

  • 収束条件に を含めて とする( は部分和 で発散)
  • の条件()と混同して を「収束」に数える( は でも収束するが級数は別)
  • 和の公式の分母を とする・ の代入で の繁分数を誤る