数学III / 関数と極限

関数と極限 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. √(n²+1) の正弦の極限
  2. 1に近づく底の累乗の極限
  3. n乗の和の n乗根の極限
  4. 調和級数の発散
  5. cos x = x の解の存在と一意性
  6. 極限で定義された関数の連続性
  7. (等差)×(等比)の無限級数と正当化
  8. 逆数の平方和の n 倍の極限

問1√(n²+1) の正弦の極限

最難関編周期性有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

角がどんどん大きくなる正弦は、そのままでは極限が見えない。sin の周期性を使って、角から「邪魔な大きな部分」を取り除けないか。残った小さな角はどんな形か。

解答・解説

方針

sin の中身は大きくなる一方に見えるが、周期 2π の整数倍 2πn を引いても値は変わらない。引いた後の 2π(√(n²+1)−n) は有理化すると0に近づく小さな角になるので、あとはいつもの sinθ/θ→1 で片づける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は限りなく大きくなるので、一見激しく振動しそうだ。だが は より「ほんの少し」大きいだけ。

そして は周期 だから、周期の整数倍 を引いても値は変わらない。引き算 は有理化すれば 。つまりこの正弦は「0に近づく小さな角の正弦」だ。 倍とのバランスは で測れる。

公式。

① 周期の整数倍をはがす。

② 有理化して小さな角にする。

③ 倍とのバランスをとる。

ここで

とあわせて

まとめ: 大きく回って見える角は、周期の整数倍をはがして小さくする。正弦の周期性を極限の道具として使えば解ける。はがした後は有理化 → のいつもの組み合わせで、 と の差の部分だけが答えに残る。

発展。 根号の中の を に変えると、同じ計算で答えは になる(差のかけら が答えを運ぶ)。さらに にすると、半端 が の周期の半分を食い、その先の補正 が答えを決めて になる。「根号を と読む」精度を1段ずつ上げる感覚が、この型の全部を支配している。

答

別解

先に見積もる( の目)。 答えの見当を、根号の近似でつけてしまう手がある。

(「( が小さいとき)」という平方根の1次近似。)すると角は

周期分 を除けば残りは 。 だから、 倍すれば となり、3行で答えの見当がつく。

もちろんこのままでは答案にならない(「」は証明でない)。だが先に結論を知ってから本解の有理化・はさみで固めると、計算の目的地が明確になり道に迷わない。見積もりと厳密化の2段階は極限の問題を解くときの基本だ。

ポイント

  • (周期性)。
  • 有理化で 。
  • 、 で答えは 。

よくある間違い

  • 「角が発散する正弦は振動するから極限なし」と早合点する。周期の整数倍をはがすと、実は0に近づく角だった。
  • の周期を と混同して を引く( と符号が暴れる。はがしてよいのは の整数倍)。
  • を黙って に置き換える。 を掛ける形で明示する。

問21に近づく底の累乗の極限

最難関編対数化標準極限の連鎖

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

1に近づくものの大きな累乗は、直接は測れない。この形でよく使う最初の一手は何か。対数を取ったあと、cos(1/n) を「1+(小さいもの)」と見ると、知っている極限が2つ連鎖しないか。

解答・解説

方針

底が1に近づき指数が発散する不定形。対数を取って n²log cos(1/n) の極限に直し、「(1−cos u)/u²→1/2」と「log(1+t)/t→1」の2つの標準極限の積に分解する。最後に指数関数の連続性で値に戻す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 底 、指数 の「1の無限乗」型不定形だ。この型は対数を取って積の形に直すのが基本になる。

とおく。()と見ると、 の標準極限と の標準極限が連鎖する形に分解できる。部品を2つつないで組み立てる、という設計図が最初に見えれば、あとは各部品の値を入れるだけだ。

公式、

① 対数を取り、分解する。 とおくと

② それぞれの因子の極限。 前の因子は として

後の因子は だから 。よって 。

③ 指数に戻す。 指数関数は連続だから

まとめ: 「1の無限乗」は対数化 → 標準極限の積に分解、が設計図。 と という2つの部品を、置き換え でつないで組み立てる。極限の計算は部品の連鎖で書くと迷いがない。

発展。 に変えると答えは 。これは という2次の近似がそのまま指数に乗る、と読める。この「関数を多項式で近似して極限を読む」視点は、数IIIの先(テイラー展開)で本格的に使われる。 も も、その最初の2項を見たものだ。

答

別解

の定義の形に直接寄せる(対数を経由しない)。 とおくと、与式は

と、 の定義の形 を無理やりくくり出せる。中身は だから 。肩に乗った指数は

よって全体は 。対数化(本解)と の定義くくり出し(本ルート)は、同じ計算の表と裏だ。「 に近づくものの大きな累乗を見たら、 を作って をくくり出す」という手順は、 系の問題すべてに使える。

ポイント

  • 対数化 で積に分解。
  • 、。
  • (指数関数の連続性)。

よくある間違い

  • 「底が1より小さいものの無限乗だから0」と即断する。底が1に近づく速さと指数の伸びの競争で、答えは0でも1でもない値になる。
  • の を落として とする。
  • 対数の底を途中で混ぜる( は自然対数の性質。全編自然対数で通す)。

問3n乗の和の n乗根の極限

最難関編はさみうち支配項

問題

とする。極限 を求めよ。

ヒントを見る

と 、 が大きいときに和を支配するのはどちらか。支配する項だけで和を上下から見積もると、あとに残る仕事は「 がどこへ行くか」だけになる。

解答・解説

方針

n乗の和は大きい方の項が支配する: a≥b とすると aⁿ ≤ aⁿ+bⁿ ≤ 2aⁿ。1/n 乗してはさむと両端が a と a·2^{1/n} になり、2^{1/n}→1 を二項定理で示せば挟み撃ちが完成する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 乗すると、大小の差が急速に開く。和 は大きい方の項に支配されるはずだ。

としてよい( なら記号を替えるだけ)。支配項ではさむと で、 乗すれば両端は と 。残る仕事は の一点だけ。これは二項定理の評価で片づく。

重要支配項ではさむ: なら 。 は とおいて二項定理で

① 支配項ではさむ。 とすると だから

② を示す。 とおくと (二項定理の最初の2項)より

よって 。

③ はさみうちで結論。 両端がともに に収束するから

( の場合は役割を入れ替えて 。 のときも ①の形から で同じ。)

まとめ: 和は最大項が支配する。そのことをはさみうちで定量的に示すのが本問だ。答えに が現れる極限の代表格で、項が3つ以上( など)でも係数が から項数に変わるだけで同じ論法が通る。

発展。 項を増やしても (係数が から に変わるだけ)。 乗和の 乗根をとると、最大値が取り出される。この事実は距離や誤差の測り方を 乗和で定める分野(いわゆる ノルム)で「 の極限が最大値ノルム」という基本定理になっている。

答

( の大きい方)

別解

対数で「支配」を式にする(数III らしい第2の道)。 対数を取ると、支配の構造が足し算に開かれる。 として

ここで だから

よって対数は に収束し、指数関数の連続性から与式は に収束する。

はさみうち(本解)は素朴で強く、対数ルートは「大きい方をくくり出すと、残りは で御しやすい」という支配項くくり出しの型がそのまま見える。 乗の比較はまず比を作る。この習慣は数IIIの多くの場面で役に立つ。

ポイント

  • ()。
  • (二項定理で )。
  • はさみうちで 。

よくある間違い

  • を「明らか」で済ませる。二項定理の評価()か対数か、道具を明示して示す。
  • の場合を別扱いし忘れて不安になる(実ははさみの式がそのまま通る。確認の一言を添える)。
  • はさむ不等式の向きを混乱する( を使うのは上からの 側)。

問4調和級数の発散

最難関編級数の発散ブロック評価

問題

(1) すべての自然数 について、次の不等式が成り立つことを示せ。

(2) 無限級数 は発散することを示せ。

ヒントを見る

各項は0に近づくのに、和が大きくなり続けることをどう示すか。和を「区切りのよいかたまり」に分けて、各かたまりを最小の項×個数で下から見積もるとどうなるか。どのかたまりも同じ量だけ稼いでいないか。

解答・解説

方針

和を 2 のべきで区切ったブロックに分け、各ブロックの項をいちばん小さい項で置き換えて下から見積もる: 2^{m−1}+1 から 2^m までの 2^{m−1} 個の項はどれも 1/2^m 以上なので、ブロック和は必ず 1/2 以上。ブロックが n 個で n/2 稼げる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の和に公式はない。発散を示すには下からの評価があればよい。

基本の方法は「ブロック分割+最小項×個数」だ。和を のべきで区切ると、区間 には 個の項があり、どれも 以上。だからブロック1つで必ず 稼げる。

項がいくら小さくなっても、ブロックの「個数×最小値」が一定に保たれる。これがこの級数の注意すべき性質だ。

重要下からの評価: ブロック内の各項を最小の項で置き換える。区間 の項数は 、各項は

① ブロックの評価。 に対し

② 足し上げる((1)の証明)。 から までの和は、先頭の と 個のブロックに分かれるから

③ 発散((2)の証明)。 部分和 は増加する。どんな数 に対しても、 ととれば

つまり部分和はどんな数をも超えるので、この級数は(一定の値に収束せず)発散する。

まとめ: 「各項 でも和は発散し得る」ことのいちばん重要な実例。倍々のブロックで切ると、どのブロックも ずつ和を増やす、という構造に気づくことが決め手だ。収束・発散の判定は和を「評価できる形」に組み替える技術である。

発展。 ブロック評価は上からも使える: 各ブロックは(最大項)×(個数) 以下なので 。下界 とあわせて、部分和 は の定数倍の速さで(そしてその速さでしか)育たないことが分かる。「発散するが、対数的にしか発散しない」という調和級数の性質は、この両側評価で初めてはっきり分かる。

答

(1) ブロックごとの下からの評価(証明) (2) 部分和がどんな数をも超えるので発散

別解

背理法で(収束すると仮定して自分より大きくなる)。 発散の証明には背理法を使う方法もある。仮に が値 に収束したとする。項を偶数番目と奇数番目に分けると(すべて正の項なので、部分和で考えれば分割してよい)

偶数番目の和は 。一方、奇数番目の和は各項で だから偶数番目の和より真に大きい。すると

は矛盾。よって収束せず、正項級数だから発散する。ブロック評価(本解)は「どれだけゆっくりか( 程度)」まで分かる定量的な方法、背理法は存在しないことをすぐに示す定性的な方法だ。両方持っておくと級数の議論が立体的になる。

ポイント

  • ブロック 。
  • 。
  • 部分和が任意の を超える → 発散。

よくある間違い

  • 「各項が0に近づくから収束する」と考える(最頻の誤り。本問はその反例そのもの)。
  • ブロック内の項数を 個と数える(区間 の項数は 個)。
  • (2)で「部分和がどんな をも超える」の論理を書かず、「どんどん大きくなるから発散」で済ませる。

問5cos x = x の解の存在と一意性

最難関編中間値の定理単調性

問題

方程式 はただ1つの実数解をもつことを示せ。また、その解が の範囲にあることを示せ。

ヒントを見る

解の存在は端点の符号で。ただ1つであることは、g(x)=x−cosx が「増える一方」だと言えれば十分だ。cos の差は x の差よりも必ず小さい、という評価を、和積と |sin t|≤|t| から作れないか。

解答・解説

方針

g(x)=x−cos x とおく。存在は g(0)<0<g(π/2) と連続性(中間値の定理)。一意性は g が狭義増加であることから言える。cos の差を和積でほどき、|sin t|≤|t| を使うと |cos x₂−cos x₁|<|x₂−x₁| が出て、差 g(x₂)−g(x₁) が正と言い切れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 解の存在は中間値の定理(連続関数が両端で符号を変えれば間に解がある)で、 の端点の符号を見るだけ。

難所は一意性だ。 が狭義増加なら解は1つに限る。微分を使わずに単調性を出すには、 の差を和積でほどいて に落とす。

すると「 の値の差は の差より必ず小さい(縮む)」ことが分かり、 の増加分を打ち消せない、と言い切れる。

重要(等号は のみ)から、 なら 。中間値の定理: 連続関数が区間の両端で異符号なら、間に解がある

① 存在。 は連続で

よって中間値の定理から に解が存在する。

② cos の差の縮小。 とする。和積の公式で

絶対値をとると、 と ( だから等号なし)より

③ 一意性。 ②より

よって は狭義増加で、 の解はただ1つ。①とあわせて、解はただ1つで にある。

xyO交点y=cos xy=x
y=cos x と y=x はただ1点で交わる(交点は 0 と π/2 の間、x≈0.74)。x−cos x が増える一方であることが「1点だけ」の理由

まとめ: 「存在=中間値、一意=単調」の役割分担。単調性を『差の縮小』 で示すのが本問の腕で、この解()は電卓で を押し続けると誰もが出会う「動かない点」だ。

発展。 ②の縮小性 は、一意性だけでなく収束まで与える。どんな値から始めても、 を繰り返し押すと()、不動点との距離が毎回縮み、 に吸い込まれていく。電卓で を連打すると出てくるあの数は、「縮小写像の不動点」と呼ばれるものだ。

答

存在は中間値の定理、一意性は の狭義増加()による(証明)

別解

微分を学んだあとの視点( の3行)。 微分法(この先の単元)を使えるようになると、一意性の議論は大きく短くなる。

等号は 、すなわち の孤立した点だけで起きる。区間のどこでも で、恒等的に になる区間はないから、 は狭義増加。よって の解は高々1つで、存在(中間値の定理)とあわせてちょうど1つ。

本解の和積+ は、この の内容を「微分なしの言葉」で言い直したものにほかならない。実際、 の縮小率が 未満というのは、平均変化率の言葉で ということだ。学年が進んだら、証明を微分で書き直してみると両者の対応が腑に落ちる。

ポイント

  • で存在。
  • 和積+ で 。
  • が狭義増加 → 解は1つ。

よくある間違い

  • 存在(中間値の定理)だけ示して満足する。「ただ1つ」の要求は一意性の証明まで含む。
  • 中間値の定理を使うとき、 が連続であることと両端で異符号であることの2つの前提を明示しない。
  • の等号を放置する( なら中身が0でないので等号なし。等号が成り立たないことから一意性が言える)。

問6極限で定義された関数の連続性

最難関編極限関数連続性

問題

を実数の定数とし、

とする。

(1) を求めよ( の値の範囲によって場合分けせよ)。

(2) がすべての実数 で連続となるような の値を求めよ。

ヒントを見る

を動かす前に を固定して考える。 の行き先は と1の大小で3通りある。極限関数が「つぎはぎ」になったら、連続性が問われるのはどこか。つなぎ目での値が「平均」の形になることにも注意。

解答・解説

方針

x^{2n} の極限は |x|<1 で 0、|x|=1 で 1、|x|>1 で発散、の三通りになる。まず場合分けして極限関数を具体的に求める。すると区間ごとに違う式のつぎはぎになるので、連続になる条件は「つなぎ目 x=±1 で左右の極限と値が一致すること」に帰着する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) この は「 を止めるごとに の極限をとる」関数だ。 の行き先は

の三態。だから、まず場合分けで極限関数を具体的に求める。

出てくるのは区間ごとに別の式のつぎはぎ関数だ。内側では直線 、外側では 、つなぎ目 では分子分母がともに残って「平均」の値をとる。連続になる条件はつなぎ目で左右の極限と値の3つが一致することに尽きる。

重要 は と1の大小で 0・1・発散の三態。極限で定義された関数の連続性は「つなぎ目での一致」に帰着する

① 極限関数を求める((1))。

  • : だから
  • : 分子分母を で割ると
  • : 、: より

② つなぎ目 の条件。 左から( 側)の極限は 、右からの極限は 。値は 。3つが一致する条件は

③ つなぎ目 の条件と結論。 左から( 側)は 、右からは 、値は 。一致する条件は 。②と連立して

このとき は でも となり、すべての で となるので、たしかに連続である。

xyOy=xy=ax+b1-1
a=1/2, b=1/5 の例: 極限関数は x=±1 で途切れる(外側は y=x、内側は y=ax+b、x=±1 では平均の値=赤点)。すべてつながるのは a=1, b=0 のときだけ

まとめ: 極限で定義された関数は先に を済ませて具体的な式にする。三通りの場合分けをしてから、つぎはぎのつなぎ目で連続条件を調べる、という2段階で解く。つなぎ目で値が左右の「平均」になるのは分子分母に両者が対等に残るからで、この現象ごと理解しておきたい型だ。

発展。 各 の関数 はどれも連続なのに、極限を取ると( 以外では)不連続になる。「連続関数の極限は連続とは限らない」ことの代表例だ。つなぎ目で値が左右の平均になる現象も含め、収束の「質」(各点か一様か)は大学数学(解析学)で詳しく扱う。

答

(1) で 、 で 、 で 、 で (2) (このとき )

別解

割り算で分解してから極限を取る(場合分けが1本の式にまとまる)。 分子を分母で1回割っておくと、構造が先に見える:

だから、極限を取る前の関数そのものが

と、「y=x +補正項」の形に分解される。あとは補正項の分母 の極限(三態)だけを見ればよい:

  • : 分母 で補正は がそのまま残る →
  • : 分母 で補正は消える →
  • : 分母 で補正は半分 → 平均の値

連続になる条件も一目だ。補正項の「残り方」が場所で違うことが不連続の原因だから、補正の分子 が で になればつなぎ目が消える: かつ 、すなわち 。このとき補正は恒等的に で、。

場合分けの前の「1回の割り算」が(1)(2)を丸ごと透明にする。分数関数はまず帯分数化する。数IIIでよく使う整理の方法だ。

ポイント

  • : / : / : 平均の値。
  • : 、: 。
  • (極限関数は )。

よくある間違い

  • を「内側か外側のどちらかの式に含まれる」と思い込む( が残り、どちらでもない「平均」の値になる)。
  • で の符号を落とし、 の分子を とする(正しくは )。
  • つなぎ目の条件を「左右の極限の一致」だけにして、その点での値との一致を確認しない。

問7(等差)×(等比)の無限級数と正当化

最難関編無限級数評価の正当化

問題

(1) のとき が成り立つことを示せ。

(2) を示せ。

(3) 無限級数 の和を求めよ。

ヒントを見る

(3)のずらし引き自体は有限和の技術。無限和として仕上げるとき、端に残る項はどうなるか。それを0と言い切るために(1)(2)が用意されている。(1)は 3=1+2 と分けて展開すると。

解答・解説

方針

(3)は(等差)×(等比)のずらし引きで求める。ただし無限和では、部分和に残る端の項 n/3^{n+1} が消えることを言わねばならず、そのための評価が(1)(2)だ。3ⁿ=(1+2)ⁿ を二項定理の2次の項で下から押さえれば(1)は解ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (3)は(等差)×(等比)型で、有限和なら「ずらし引き」で機械的に求まる。

だが無限級数として答えるには部分和の極限を取る必要がある。そのとき端に 型の項が残る。これが0に消えること((2))を言って、初めて答案が完成する。

(2)のための下ごしらえが(1)だ。 を二項定理で展開し、2次の項だけ拾って下から押さえる。1次の項では に勝てないので、2次まで取るのがミソになる。

公式二項定理: 。等比の和:

① (1) 二項定理で下から。 のとき

(展開のすべての項が正だから、1つの項だけ拾って捨てても不等号が立つ。)

② (2) はさみうち。 (1)より で

よって 。

③ (3) ずらし引き+極限。 部分和 に対し を作ると、各項が1つずつずれてぶつかり

とすると、(2)より最後の項は0に消え

まとめ: 無限の「ずらし引き」は有限で実行 → 端に残る を評価で始末 → 極限、の3段。(1)(2)(3) の小問の並びがそのまま答案の設計図で、「指数は多項式より速い」を二項定理で定量化する(1)が出発点になっている。

発展。 同じ2通りの方法で ()が出る。この和は「成功率 の試行で初めて成功するまでの回数の平均が 」という待ち時間の期待値の計算そのもの()。数Bの統計や確率漸化式で、この級数には何度も再会することになる。

答

(1) 二項定理(証明) (2) はさみうち(証明) (3)

別解

二重和の入れ替えで(ずらし引きを使わない)。 を「 を 個足したもの」とほどくと、和の構造が変わる:

(縦に 段積んだ を、横(各 )ごとに足し直した。有限和どうしの入れ替えなので正当。)内側は初項 の等比の和で、 とすれば

よって

ずらし引き(本解)は係数 を機械的に処理する。二重和の入れ替えは「 個の に分けて数え直す」という、数え上げの発想だ。 や が係数でも、同じほどき方が通用する。

ポイント

  • 。
  • 。
  • ずらし引き → 和 。

よくある間違い

  • 無限和のずらし引きで、端に残る を、理由を示さずに捨てる((1)(2)はこの項を0と言うための準備)。
  • を引くとき、等比部分の項数(先頭 から まで 項)を数え違える。
  • (1)で二項定理の1つの項だけ拾う理由(展開のすべての項が正)を書かない。

問8逆数の平方和の n 倍の極限

最難関編はさみうち望遠鏡式

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

の和は正確には求まらないが、分母を「隣どうしの積」に少しゆがめると足せる形になる。上と下、それぞれどちら向きにゆがめるか。足した結果の端の項を 倍するとどうなるか。

解答・解説

方針

各項はおよそ 1/n² でそれが約 n 個あるので、和は約 1/n、n 倍で有限値と見当がつく。正確には 1/k² を 1/(k(k+1)) と 1/((k−1)k) で両側からはさむ。どちらも部分分数で望遠鏡式に消えて端だけが残り、n 倍して両端とも 1/2 に収束する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 各項はほぼ 、項数は 個。和はほぼ で、 倍すれば有限の値に落ち着くはず、と見当がつく。

の和は正確に求まらない。そこで、足すと望遠鏡式に消える形で両側からはさむ。分母 を (大きくゆがめる=下から)と (小さくゆがめる=上から)に取り替えると、どちらも部分分数で崩れて端の項だけが残る。

重要。どちらも 型で望遠鏡式に消える

① 下から。

② 上から。

③ 倍してはさみうち。

両端がともに に収束するから、求める極限は 。

まとめ: 求まらない和は望遠鏡式に消える形で両側からはさむ。決め手は分母のゆがめ方(上へは 、下へは )だ。じつはこの極限は区分求積(曲線 の から までの面積 )としても読めて、2つの道が同じ答えに着地する。

発展。 裾の全体は (同じはさみで出る)。つまり の部分和 は「裾のちょうど半分」を占めている。一般に で、区分求積の言葉なら 。和の範囲を動かすと積分の上端が動くので、2つの見方がそのまま対応する。

答

別解

区分求積で読む(積分を学んだあとの視点)。 ()と添字を平行移動すると

これは関数 を で 等分した長方形の和(区分求積)そのものだ。

xyO1y=1/(1+x)²
区分求積の見方: (1/n)Σ 1/(1+j/n)² は曲線 y=1/(1+x)² の下の長方形の和。n→∞ で 0 から 1 までの面積 ∫dx/(1+x)²=1/2 に近づく(図は n=8)

で和は面積に近づく:

はさみうち(本解)は極限の単元の道具だけで完結し、区分求積は「なぜ なのか」を面積として見せてくれる。積分法を学んだら、この問題に戻って区分求積でも確かめてほしい。

ポイント

  • ではさむ。
  • 望遠鏡式で端だけ残り、 倍して両端とも 。
  • 答えは (区分求積とも整合)。

よくある間違い

  • 項数を 個とする( から までは 個。ただし本問は両側評価なので結論には響かない。響かない理由まで分かって省くのと、気づかず間違えるのは別)。
  • ゆがめる向きを逆にする( だから は小さい=下から。上からは )。
  • 望遠鏡の端の添字を誤る( から の和なら 。最後の を落としやすい)。