数学III / 関数と極限

関数と極限 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 三角関数の極限(半角の利用)
  2. 無限等比級数の和
  3. 数列の極限(∞−∞の有理化)
  4. 階乗を含む数列の極限(はさみうち)
  5. 部分分数の無限級数
  6. 漸化式で定まる数列の極限
  7. 中間値の定理による解の存在
  8. 無限等比級数の収束条件

問1三角関数の極限(半角の利用)

★★★★ 難関三角関数の極限sinx/x

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

分子 を の式に直す(半角の公式)。すると の形が現れる。

解答・解説

方針

分子 を 倍角(半角)で に直す。すると となり、 が使える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) で分母 、分子 の 型。

三角関数の 型は、 に持ち込むのが基本だ。そのために、 を含む分子を の式に書き直したい。 倍角(半角) を使う。すると分子・分母に が現れて約分でき、 の形になる、と見通す。

公式、

① 分子を書き直す。 だから

② 極限をとる。

まとめ:三角関数の 型は「 に持ち込む」。 の半角変形で分子に を出し、 を約分すると が現れる。 の形も同様に使える。

発展。 こうした極限は、 の近くでの近似 、 を知っていると即座に見当がつく。

分子 、分母 。比は 。この「主要な項だけを残す」考えはテイラー展開や微分係数の定義そのもの。極限計算は関数を の近くで多項式に置きかえて先頭だけ見る作業だ、と捉えると全体が見通せる。

答

別解

別解:もう つの基本極限 を使う(得意な人向けの視点)。 半角変形をしなくても、 型の基本極限を直接あてはめられる。

分母・分子を でそろえるように書きかえる。

で、(角を とみた基本極限)、。よって

半角で に直す本解と同じ。 と の つを道具として持っておくと、 が絡む 型はたいてい角をそろえるだけで片づく。

ポイント

  • で に。
  • より 。

よくある間違い

  • の半角変形()を誤り、 などとする。
  • に持ち込まず、そのまま代入して で止まる。
  • の係数 を落とし、答えを にしてしまう。

問2無限等比級数の和

★★★★ 難関無限等比級数

問題

無限級数 の和を求めよ。

ヒントを見る

を つの分数に分けると、それぞれ公比の分かる等比数列になる。 つの無限等比級数の和を別々に求めて足す。

解答・解説

方針

と つの無限等比級数に分ける。それぞれ公比が ()で収束するので、 で和を求めて足す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は分子が和なので、 つに割れる。

。それぞれ公比 の等比数列。どちらも だから、無限等比級数として収束する。各々を で計算して足す、と見通す。

公式無限等比級数(初項 、公比 、)の和は

① つに分ける。

② それぞれの和。 は初項 、公比 :。 は初項 、公比 :。

③ 足す。

まとめ:分子が和の分数級数は「 つの等比級数に分ける」。 のように公比を見抜き、 を確認して 。初項が から始まる()ことに注意。

発展。 うまく割れたのは だから。 のように、 が と を打ち消す。

一般に と分けられる。分子が和・積の分数級数は、まず「割って等比に見えるか」を試すのが第一手。無限等比級数 は、あらゆるべき級数のいちばん基本の形。多くの級数はこれに帰着させて和を出す。

答

別解

別解: から始めて を引く(苦手な人向けの整理ルート)。 「初項が公比に等しい」で迷いやすいなら、いったん から足して、あとで の項を引くと安全。

。ここから の項 を引くと、 の和は 。同じく 。 の項 を引いて、 の和は 。

足すと 。 を 始まりで直接使う本解と同じ。 始まりの公式 は から始まる形なので覚えやすく、初項の取り違えを防げる。

ポイント

  • 。
  • 和 。

よくある間違い

  • 初項を とする( から始まるので初項は公比に等しい)。
  • 公比の見分け()を誤り、 とする。
  • を とまとめてしまう( は ではない)。

問3数列の極限(∞−∞の有理化)

★★★★ 難関数列の極限有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

は の不定形。 を掛けて有理化する。分母・分子を で割って極限を調べる。

解答・解説

方針

の不定形。分子・分母(分母は )に を掛けて有理化すると、 になる。分母・分子を で割って極限をとる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 、 で の不定形。

根号を含む は「共役 を掛けて有理化」が基本だ。有理化すると分子が と簡単になる。あとは分母・分子を最高次の で割れば、極限が読める、と見通す。

重要 や の は、共役を掛けて有理化する

① 有理化する。 を掛けて割ると

② で割る。 分母・分子を で割る( に注意)。

③ 極限をとる。 で だから

まとめ:根号の は「共役を掛けて有理化 → 最高次で割る」。有理化で分子が になり、 で割ると 。 の変形が要。

発展。 有理化のもとには、近似 (小さい )がある。。

だから は大きな では直線 にほぼ重なる。この が数列の漸近線で、差の極限 はその「ずれ」を表す。一般に 。 次の係数 を で割った値になる。 の 次近似の係数 が答えに現れている。

答

別解

別解: をくくり出して近似で見通す(得意な人向けの視点)。 有理化のかわりに、根号から をくくり出して考える。

ここで (分子の有理化)を で使うと

で だから、。はじめから共役を掛ける本解と、やっていることは同じだ。 を知っていれば、 から差が とほぼ暗算で見当がつくのが、この見方の強みだ。

ポイント

  • 有理化で 。
  • で割って 。

よくある間違い

  • 有理化せず と雑に扱い、極限を と誤る。
  • の変形を誤り、 でくくり出せない。
  • 有理化の分子 の計算を誤る。

問4階乗を含む数列の極限(はさみうち)

★★★★ 難関数列の極限はさみうち

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

と分数の積で書く。 番目以降の因数は 以下。上から に収束する式で押さえる。

解答・解説

方針

を と書き、 では 以下の因数が並ぶことを使う。 ではさみうちする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) も も に発散するが、階乗のほうがはるかに速く増える。だから極限は と予想できる。

これを厳密に示すには、 を分数の積 とみる。 番目以降の因数 はすべて 以下。そこで、 に収束する等比の式で上から押さえる(はさみうち)、と見通す。

重要はさみうちの原理: で なら

① 分数の積で書く。

② 上から押さえる。 のとき、 はすべて 以下。前の 因数 をまとめると、残り 個の因数がそれぞれ 以下だから

③ はさみうち。 だから 、右辺 。よって

まとめ:階乗を含む極限は「分数の積にして、途中から一定の比以下で押さえる → はさみうち」。 で因数が 以下なので、 に収束する等比の式で上から挟む。階乗の増加は指数より速い、を厳密化した形。

発展。 じつは を任意の定数 に替えても 。階乗はどんな指数関数より速く増える。

この事実は が収束することの基礎でもある。収束する級数の各項は に近づかねばならないから、 が必要になる。「階乗 指数 多項式 対数」という増加の速さの序列は、極限の大小を見抜く物差しになる。迷ったらこの序列を思い出すとよい。

答

別解

別解:隣どうしの比を見る(得意な人向けの視点)。 項がどれくらいの速さで小さくなるかは、隣の項との比で分かる。

が大きくなると比は に近づく。とくに では 。つまり第 項からは 項進むごとに半分以下になる。 を出発点にすると

分数の積で 以下を並べる本解と同じ発想を、「比」で言い換えたもの。比が一定値未満に収まれば、項は等比のように へ落ちる。級数の収束判定(ダランベール)につながる見方だ。

ポイント

  • 、 番目以降 。
  • ではさみうち。

よくある間違い

  • はさみうちの上界を作らず、 のまま止まる。
  • 因数が 以下になるのが 番目からであることを見落とす。
  • が に「勝つ」と思い込み、極限を とする。

問5部分分数の無限級数

★★★★ 難関無限級数部分分数

問題

無限級数 の和を求めよ。

ヒントを見る

を部分分数に分ける(分母の差が なので )。差が とびなので、部分和では 項ずつ残る。 の極限を。

解答・解説

方針

部分分数 に分ける。部分和(第 項まで)を望遠鏡和で求め、 の極限をとる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 無限級数は「部分和(有限個の和)を求めて、その極限をとる」のが基本。

は部分分数で に分けられる。差が とびなので、望遠鏡和では隣ではなく つ先が消える。両端には 項ずつ残る。まず部分和 を出し、 とする、と見通す。

重要無限級数は「部分和 を求めて 」。

① 部分分数に分ける。

② 部分和を求める。 第 項までの和は、 とびの差なので が前に、 が後に残る。

③ 極限をとる。 で だから

まとめ:無限級数は「部分和 → 極限」。部分分数の差が とびだと、望遠鏡和で両端に 項ずつ残る( と )。後ろの 項は に収束し、和は 。

発展。 同じやり方で、間隔を一般の にした も求まる。差の間隔が とびだから、前に 項が残る。

結果は 。今回の なら 、 なら 、 なら 。前に残る 項の和が調和数 。望遠鏡和は「差にして両端だけ残す」道具で、間隔ぶんの項が残る、と一般化して覚えておくとよい。

答

別解

別解:項を書き出して消え方を見る(苦手な人向けの整理ルート)。 どの項が残るか不安なら、 を最初から並べてみる。

の は の と消える。 の は の と消える。 つ先とペアで消えていく。

結局、前で消し相手がいない と だけが残り(後ろの 項 は に収束)、和は

部分和の式をまとめて書く本解と同じだ。 とびの差では「前に 項残る」ことが、書き出すと目で見える。消える相手が つ隣ではなく つ隣、というのがこの問題のポイントだ。

ポイント

  • 。
  • 部分和 。

よくある間違い

  • とびの望遠鏡和で前に 項()残ることを見落とす。
  • 部分和を求めず、無限和を直接足そうとする。
  • 部分分数の係数 (分母の差が )を忘れ、和が 倍ずれる。

問6漸化式で定まる数列の極限

★★★★ 難関漸化式数列の極限

問題

、 で定まる数列 は、ある値に収束する。その極限値を求めよ(収束することは認めてよい)。

ヒントを見る

収束値を とおくと、漸化式の両辺の極限から 。 乗して解き、 の条件で選ぶ。

解答・解説

方針

収束するとして極限値を とおく。、 だから、漸化式で とすると 。これを解く( に注意)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「収束する」ことは認められているので、極限値 を求めるだけでよい。

なら、 つ先の も同じ に近づく。だから漸化式 で とすると、 の方程式 が得られる。これを解けばよい。 は根号の値なので 、と押さえておく。

重要収束する数列 の漸化式で とすると、極限値 は を満たす

① 極限の方程式を作る。 極限値を とおく。、 だから、漸化式で とすると

② 解く。 両辺を 乗して 、すなわち 、 より 。

③ 符号で選ぶ。 なので極限 。よって 。

(実際、 と に近づく。)

a1a2a32
a₁=1, a_{n+1}=√(2+a_n) の項 1, √3, … は 2 に近づく

まとめ:漸化式の極限は「収束を認め、極限値 を漸化式に代入して方程式」。 を 乗して解き、 で を選ぶ。 乗で出る余分な解()を符号で捨てるのが要。

発展。 極限 は関数 の不動点(= となる点)。数列は という反復で、 を繰り返し施している。

反復が不動点に吸い込まれるかどうかは、その点での傾き で決まる。 で、。傾きが 未満だから、 は引き寄せる(収束する)不動点だ。

もう つの解 は定義域の外で不動点にならない。「 乗で増えた無縁解を捨てる」のは、この事情の裏返しでもある。

答

別解

別解:収束することを自分で示す(得意な人向けの視点)。 問題は収束を認めてよいとしているが、実際に「上に有界で単調増加だから収束する」ことまで確かめられる。

まず上に有界: なら 。 だから、すべての で 。次に単調増加: は、両辺正なので 乗して 、すなわち 、、つまり と同値。いま だから成り立つ。

上に有界な単調増加数列は収束する。極限を とすれば から 。極限値だけ出す本解に、「なぜ収束するか」の裏づけを与えた形。 に近づく上限()と、 へ登り続ける単調性が、収束の 本柱だ。

ポイント

  • 極限値 。
  • 、 より 。

よくある間違い

  • 乗して出る を、符号()で捨てずに残す。
  • と の極限が同じ()であることを使えない。
  • 収束を使わず、 の一般項を無理に求めようとして詰まる。

問7中間値の定理による解の存在

★★★★ 難関中間値の定理連続関数

問題

方程式 は、 の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを示せ。

ヒントを見る

の連続性と、区間の両端 、 の符号に注目する。異符号なら中間値の定理が使える。

解答・解説

方針

とおく。 は連続。両端の符号 と を調べ、異符号なら中間値の定理より間に解がある。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「解が存在する」ことを、解を求めずに示すには中間値の定理。

は多項式なので、すべての で連続。連続な関数が、区間の両端で符号が反対( と が異符号)なら、途中で必ず を通る。だから両端の値 の符号を調べる、と見通す。

定理中間値の定理: が閉区間 で連続で と が異符号なら、 に の解がある

① 関数をおく。 。多項式だからすべての で連続。

② 両端の符号。

xyOf(0)=1f(1)=−1
f(x)=x³−3x+1。f(0)=1>0、f(1)=−1<0 で符号が変わり、(0,1)で x 軸を横切る

③ 中間値の定理を適用する。 は で連続で、、 と異符号。よって中間値の定理により、 の範囲に となる が少なくとも つ存在する。(証明終)

まとめ:解の存在は「連続 + 両端が異符号 → 中間値の定理」。、 で符号が変わるので、 にグラフが 軸を横切る点(=解)がある。解を求めずに存在だけを言える、役に立つ定理だ。

発展。 じつはこの 次方程式は三角関数で解ける。 と置くと、 倍角から 。

だから方程式は 、すなわち になる。 の解は に対応し、。 つの実解 が、この形で書ける。中間値の定理は「存在」だけを言うが、実際の解は三角関数で表せる。

答

は連続で 、。中間値の定理より に の解がある。証明は解答参照

別解

別解:符号の変化から つの解を数える(得意な人向けの視点)。 同じ中間値の定理を、いくつかの区間に広げて使うと、この方程式が実は 実解をもつと分かる。

いくつかの整数で符号を調べる。

符号が と 回変わる。中間値の定理を各区間に使うと、、、 にそれぞれ解が つずつある。 次方程式の実解は多くても 個だから、これでちょうど 個すべて。問われた の解はそのうちの つ。

つの区間だけ調べる本解を、複数区間へ広げた形。符号の変化を追うと、存在だけでなく「解が何個・どこにあるか」まで分かる。

ポイント

  • は連続。
  • 、 → 中間値の定理で に解。

よくある間違い

  • の連続性に触れずに中間値の定理を使う。
  • 両端の値の符号計算()を誤る。
  • 「解はちょうど つ」と結論する(中間値の定理は存在を言うだけで、個数は別に調べる)。

問8無限等比級数の収束条件

★★★★ 難関無限等比級数収束条件

問題

を実数とする。無限級数 が収束するような の値の範囲を求め、そのときの和を求めよ。

ヒントを見る

初項 、公比 の無限等比級数とみる。収束するのは、公比の絶対値が 未満のとき(または初項が )。和は 。

解答・解説

方針

初項 、公比 の無限等比級数。公比 について、収束条件は「公比が 」または「初項が 」。 を解き、和 を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、初項 ( の項)、公比 の無限等比級数とみる。

無限等比級数が収束するのは「公比の絶対値が 未満」()、または「初項が 」のとき。まず を解いて、収束する の範囲を求める。その範囲で、和 を計算する、と見通す。

公式無限等比級数(初項 、公比 )は または のとき収束し、和は ( なら和 )

① 収束条件。 公比は 。 を解くと

(初項 のときは各項が で和 。収束はするが以下では和 を出すため を主とする。)

② 和を求める。 のとき、初項 、公比 より

まとめ:無限等比級数の収束は「 または初項 」。ここでは公比 で 、すなわち 。和は と、 によらず になる。初項 公比の 開始に注意。

発展。 和が によらず になるのには意味がある。 のとき、 は「成功確率 の試行で、 回失敗してから成功する確率」と読める。

いつか必ず成功するので、その確率を全部足せば 。これが「和 」となる理由だ(幾何分布の全確率が )。

では公比 が負になり各項の符号が交互に変わるが、等比級数の公式はそのまま成り立ち和は のまま。確率の話は に限るが、級数としての等式はより広い範囲へ延びている。

答

のとき収束し、和は ( では各項 で和 )

別解

別解:部分和を直接計算する(得意な人向けの視点)。 収束条件と和を、部分和 からいっぺんに出せる。

初項 、公比 の等比数列の第 項までの和は

( で約分できる。)これが で収束するのは、 が極限をもつとき。、すなわち なら で、。

公式 に代入する本解と同じ結論。部分和が とわかると、「収束するか」も「和がいくつか」も一目で読める。公式を暗記していなくても、部分和からその場で作れるのが強い。

ポイント

  • 初項 、公比 。収束条件 → 。
  • 和 。

よくある間違い

  • 公比を や と取り違える(正しくは )。
  • から始まるので初項が (公比の 乗 )であることを誤る。
  • 収束条件を とし、端点 の扱いを誤る(公比 では収束しない)。