数学II / 図形と方程式

図形と方程式 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 2点間の距離
  2. 内分点・外分点・中点
  3. 三角形の重心
  4. 直線の方程式
  5. 平行・垂直な直線
  6. 点と直線の距離
  7. 円の方程式
  8. 円と直線の共有点
  9. 円上の点における接線
  10. 弦の長さ
  11. 2直線の交点
  12. 対称な点

問12点間の距離

★ 基礎2点間の距離

問題

2点 、 の間の距離 を求めよ。

ヒントを見る

と を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形を図にかいてみよう。横の長さと縦の長さが分かれば、斜辺は三平方で出せる。

解答・解説

方針

横のずれと縦のずれを2辺とする直角三角形を考える。斜辺が で、三平方の定理で長さが出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 点の距離は、三平方の定理そのものだ。

点を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形を、頭の中で(できれば図の上で)作る。

  • 横の長さ: 座標の差
  • 縦の長さ: 座標の差

斜辺は三平方の定理で。

公式として書くと

乗するので、引き算の順序はどちらでもよい( でも でも )。ここは気楽に構えてよいところだ。

公式2点間の距離

の差は 、 の差は 。それぞれ2乗して足し、ルートをとる。

xyOA(1,2)B(4,6)34
横3・縦4の直角三角形の斜辺が AB=5

発展。 「距離」の測り方は、実は 通りではない。

ふだん使うのはユークリッド距離(直線距離)だ。

しかし、碁盤の目の街を歩くときはどうか。ビルを突っ切れないので、横に 進み、縦に 進むしかない。

これをマンハッタン距離という(ニューヨークの街路にちなむ)。同じ 点なのに、距離が にも にもなる。

「距離」は目的に応じて選ぶ物差しだ。

  • ユークリッド距離: カラスが飛ぶ最短距離。幾何学の標準
  • マンハッタン距離: 街を歩く距離。都市計画、回路設計
  • チェビシェフ距離(): チェスの王が動く手数

数学は「距離とは何か」を抽象化した。 次の 条件を満たすものは、すべて距離と呼んでよい。

  1. 、 となるのは のときだけ
  2. (対称性)
  3. (三角不等式。寄り道すると長くなる)

この 条件を満たせば、何を距離と呼んでもよい。 文字列の「編集距離」(何文字変えれば別の文字列になるか)や、遺伝子の「進化距離」まで、同じ枠組みで扱える。当たり前に見える から、「測るとは何か」という問いにつながる。

答

別解

距離の公式は「三平方の定理の言い換え」にすぎない。 そのことを確認したうえで、 次元への拡張と、距離が中心になる場面を見ておこう。まず、絵で確認する。

から真横に進んで まで行き、そこから真上に進んで に着く、カギ型の経路を考える。

  • 横に進んだ距離:
  • 縦に進んだ距離:

この 辺を持つ直角三角形の、斜辺が である。

、、 の直角三角形が現れた。教科書でおなじみの組だ。

距離の公式を「覚える」必要はない。 座標の差を 辺とする直角三角形を描けば、三平方の定理ですべて分かる。 次元でも、同じ形で拡張される。

たとえば と の距離は

なぜ 乗根ではなく、平方根のままなのか。 三平方の定理を 回使っているからだ。まず床の上で を出し、次にそれと高さ で直角三角形を作る()。 段重ねの三平方になっているので、足す項が増えるだけで、根号の形は変わらない。

次元でも、 次元でも同じだ。 データ分析では 個の特徴を持つデータ点どうしの「距離」を、この公式で測る。距離の概念は次元を選ばない。

そして、距離を中心に考える場面を見る。

  • 円: 「中心からの距離が一定」の点の集まり( 円の方程式)
  • 垂直二等分線: 「 点から等距離」の点の集まり
  • 楕円: 「 定点からの距離の和が一定」
  • 放物線: 「定点と定直線からの距離が等しい」

この単元(そして数Cの 次曲線)は、「距離の条件」を「方程式」で表す方法でできている。

距離の公式はその最初の道具だ。 という式を書けることが、円も、軌跡も、すべての出発点になる。

ポイント

  • 距離=(横の差)と(縦の差)で作る直角三角形の斜辺。
  • 、、 の直角三角形になっている。

よくある間違い

  • 座標の差と 座標の差を足してから2乗する(それぞれを2乗してから足す)
  • 根号を外し忘れて と答える
  • 座標の差を引く順序を気にして混乱する(2乗するので、どちらから引いても同じ)

問2内分点・外分点・中点

★ 基礎内分点外分点中点

問題

2点 、 について、次の点の座標を求めよ。

(1) 線分 の中点

(2) 線分 を に内分する点

(3) 線分 を に外分する点

ヒントを見る

内分点の公式を思い出す前に、図で位置のイメージを持とう(比の取り違えがいちばん多いミス)。中点は の特別な場合、外分は比の一方を負とみなせば同じ枠組みで扱える。 と は別々に計算。

解答・解説

方針

内分点の公式に当てはめる。外分は比の一方をマイナスにする(または『内分の公式で片方を負に』)と覚える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内分点の公式は、たすきに掛けるところに注意する。

には (遠いほうの比)、 には (近いほうの比)が掛かる。ここが逆になりやすい。

覚え方。「 側の比 が の座標に掛かる」と丸暗記せず、 に近い点ほど の重みが大きいと考える。 の内分点は 寄りだから、 の重みが で大きい。

(1) 中点は の内分だから、ただの平均。

(3) 外分は比の一方を負にした内分と考えると、公式が 本で済む(別解で詳しく)。

公式、 を に内分する点は 。外分は を にする

(1) 中点は の内分なので、単純に平均。

(2) の内分。公式に 、 を入れる。

(3) の外分。 を にして同じ公式。

xyOABMPQ
A・B と、中点 M・内分点 P・外分点 Q(外分は線分の外)

発展。 内分点の公式はベクトルで書くと 行になる。

座標と 座標を別々に書く必要がない。 ベクトルは「 つの座標をまとめて扱う」ための記法だから、公式が半分の長さになる。そして、この形は「重みつき平均」そのものだ。

つの係数を足すと ()。これが「線分 上の点」であることの、代数的な特徴づけだ。

係数の和が で、両方 以上 → 線分 上。 係数の和が で、片方が負 → 直線 上だが、線分の外(外分点)。

「係数の和が 」が、直線を特徴づける。 この見方は数Cのベクトルで「点が直線上にある条件」として再登場し、さらに「点が平面上にある条件」()へと拡張される。

外分点が「負の係数」で表されることも、この枠組みなら自然だ。 は

係数の和は のまま、片方が負になっただけ。 内分と外分は、 つの式の中で連続的につながっている。

答

(1) (2) (3)

別解

外分の公式を、内分と別に覚える必要はない。 「外分 比を負にした内分」という統一の見方を身につけよう。そして、比の向きを間違えないてこの見方も紹介する。

統一の視点: 外分は「負の比の内分」。内分点の公式は

の外分は の内分として計算する。 を代入するだけだ。

公式が 本になった。 外分点の公式()を別に覚える必要はない。内分の公式で、 を にするだけである。

なぜ「負の比」でよいのか。 外分点とは「線分の外側にある点で、 からの距離と からの距離の比が になる点」だ。 は の外側にあるので、 から見ると と は同じ側にあり、向きが揃っている。この「向きの反転」が負の符号として現れるのだ。

てこの見方(比の向きを間違えないために)。内分点をシーソーのつり合う点だと思う。

なら、 側の腕が長く、 側の腕が短い。

てこの原理: 腕が短い側に、重い重りを置く。 だから

重みつき平均をとると

「 に近い点だから、 の重みが大きい」と考えると、直感と一致する。公式の と がどちらに掛かるか、二度と迷わない。

検算も忘れずに。

外分点 でも確かめる。

比は確かに 。ただし は線分の外側にいる。これが「外分」の意味である。

ポイント

  • 内分点は比を『たすきに』かけて足し、比の和で割る。
  • 外分は比の一方を負にするだけ。 は線分の外に出る。

よくある間違い

  • 内分点で比のかけ方が逆になるミス。 内分は 側に が対応する
  • 外分点の分母を にしてしまう(外分では 。比を負にした内分と考えると統一できる)
  • 外分点が線分 の内側に出てきたのに、そのまま答えてしまう(外分点は必ず線分の外)

問3三角形の重心

★ 基礎重心の座標

問題

3点 、、 を頂点とする三角形の重心 の座標を求めよ。

ヒントを見る

重心の座標は、 頂点の座標からすぐに出せるシンプルな関係がある。思い出せなければ、中線を に内分する点として計算してもたどり着ける。

解答・解説

方針

重心の座標は、3頂点の 座標の平均、 座標の平均。それだけだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 重心の座標は、 頂点の平均。それだけだ。

中点が「 点の平均」なら、重心は「 点の平均」 のように、拡張として自然に覚えられる。

この公式は 、、 について完全に対称だ。どの頂点を先に書いても答えは同じ。だからこそ「 本の中線が 点で交わる」という事実まで、この式が保証している(別解で説明)。

公式重心の座標

座標の平均と 座標の平均を計算する。

xyOABCG
3頂点 A・B・C と重心 G(1,2)

発展。 重心の公式 は物理の「質量中心」そのものである。

頂点に同じ重さのおもりを置いたとき、全体がつり合う点が重心だ。 個の位置の平均をとる、というのは物理でも同じ計算になる。

重さが違ったらどうなるか。 質量 、、 のおもりなら

重みつき平均になる。数Aで学んだ「質量法(てこの原理)」で三角形の内部の点を扱ったときも、この式を使っていた。そして、この形は統計の「平均」とも同じである。

データの平均も、三角形の重心も、物体の質量中心も、全部おなじ式である。

平均とは「つり合いの点」である。 データの分析で「平均はシーソーの支点」と学んだことと、三角形の重心が「板を支えられる 点」であることは、まったく同じ数学で説明できる。

単元をまたいで、同じ式が出てくる。 別の単元で同じ式に出会ったとき、「これ、前にも見た形だ」という感覚を、大事にしたい。

答

別解

「なぜ平均でよいのか」を、中線の から確かめる。 数Aの図形の性質で学んだ事実と、座標の計算がぴったり一致する。中線を使って、重心を出し直す。

手順1: 辺 の中点 を求める。

手順2: 重心は中線 を に内分する点。(数Aで学んだ性質。頂点側が 。)

内分点の公式を使う( に 、 に の重み)。

平均で出した答えと、完全に一致した。なぜ一致するのか、式で見る。

と が約分されて、きれいな平均になった。 「中線を に内分」と「 点の平均」は、同じことを言っているのだ。そして、この式の形に注目してほしい。

、、 が完全に対等である。どれを入れかえても、式は変わらない(対称式だ)。この対称性が重大な事実を証明している。

上の計算では から出る中線を使った。しかし から出る中線を使っても、 から出る中線を使っても、まったく同じ計算で同じ にたどり着く(式が対称だから)。

「 本の中線が 点で交わる」という、当たり前ではない幾何の定理が、座標の対称式 本から出てきた。

これが座標幾何の利点だ。 図形の性質(数A)では、チェバの定理を持ち出して証明したこの事実が、座標では「平均の式が対称だから」の一言で片づく。

幾何の問題を座標で表す。 そうすると、幾何的なひらめきが要らなくなり、計算だけで答えが出る。デカルトが座標を発明した意義は、ここにある。図形が代数の言葉で語れるようになったのである。

検算しておこう。 は本当に か。

ポイント

  • 重心=3頂点の平均。、 別々に平均する。

よくある間違い

  • で割るのを忘れて、座標の和をそのまま答えてしまう
  • 座標だけ平均して 座標を忘れる(両方を平均する)
  • 重心を「中点」と混同する(中点は2点の平均、重心は3点の平均)

問4直線の方程式

★ 基礎直線の方程式

問題

(1) 傾きが で、点 を通る直線の方程式を求めよ。

(2) 2点 、 を通る直線の方程式を求めよ。

ヒントを見る

(1) 傾きと通る点が分かっているときの直線の書き方を思い出そう。(2) は情報が 点なので、まず傾きを自分で作るところから始める。

解答・解説

方針

(1)は「傾きと1点」の公式にそのまま。(2)はまず2点から傾きを出して、あとは同じ公式。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線を決めるには、傾きと、通る点 つの つがあればよい。

この形( 点と傾きの公式)が使えれば、直線の問題は 割片づく。

(1) 傾き 、点 → そのまま代入する。

(2) 点しか与えられていない。傾きを、 点から計算する。

傾きが出れば、あとは(1)と同じ。 通る点はどちらを使ってもよい( が計算は楽だ)。

公式傾き 、点 を通る直線

(1) 、通る点 を入れる。

(2) まず傾きを出す。

点 を通るので

xyO(1,3)(-1,0)(2,6)
2本の直線 y=2x+1(青)と y=2x+2(赤)は平行

発展。 「 点を通る直線は、ただ 本」というのは、幾何の公理(証明せずに認める大前提)である。ユークリッドの『原論』の第 公準そのものだ。

では、座標を使うと、この公理はどうなるか。 点 、 を通る直線は

この式は (縦の直線)でも成り立つ( の形で、 を表す)。分母がないので、場合分けが不要になる。「直線が 本に決まる」という幾何の公理が、代数では「連立方程式の解が つに決まる」ことに対応する。

、 についての連立 次方程式。 なら、解はただ 組なので、直線はただ 本だ。

幾何の「公理」が代数では「定理」になった。 座標を導入すると、図形の性質が計算で証明できるようになる。

デカルトの座標(解析幾何)は 年続いたユークリッド幾何を、根底から変えた発明だった。「図を描いて、ひらめく」やり方を「座標を置いて、計算する」やり方に変え、ひらめきを、手続きに置きかえたのである。

座標の考え方は身の回りの技術でも使われている。コンピュータグラフィックスや GPS でも、図形を座標(数)で表す方法が使われている。

答

(1) (2)

別解

直線の表し方には、いくつかの「形」がある。 それぞれの得意分野を知っておくと、問題に応じて最短の道が選べる。そして検算の作法を固めよう。

まず検算。求めた直線に、与えられた点を代入する。

(2)の答え に、 点とも入れる。

両方通った。 点を通る直線を求めたら、必ず 点とも代入して確かめる。すぐにできる。片方だけ通って安心すると、傾きの計算ミスを見逃す。

直線の つの表し方。

型1: (傾きと切片)

いちばん馴染みのある形。グラフを描くのに便利。 ただし 軸に平行な直線( など)は表せないという弱点がある。

型2: ( 点と傾き)

「点を通り、傾きが決まっている」問題に最も向いている。 切片を計算する手間が省ける。接線・平行線・垂線の問題はほぼこれで書く。

型3: (一般形)

すべての直線を表せる( も と書ける)。点と直線の距離の公式は、この形でないと使えない。型4: 点を通る直線の公式

点 、 なら

傾きを別に計算しなくてよいのが利点。ただし分母が になる( の)ときは使えない。

どの形を選ぶか。

状況 最適な形
グラフを描く
点と傾きが分かっている
点と直線の距離を求める
軸に平行な直線がありうる

「 軸に平行」の見落としが間違いのもとになる。 たとえば「点 を通り、円に接する直線」を求めるとき、 とだけ置くと、 という接線を取りこぼすことがある。 の形は、 つだけ表せない直線があることを、いつも頭の隅に置いておきたい。

ポイント

  • 「傾き+1点」→ 。
  • 2点が与えられたら、まず傾き 。

よくある間違い

  • 傾きの計算で の差と の差を逆にする(傾きは の差 の差)
  • (2)で傾きを出したあと、通る点を代入し忘れて切片を決めない
  • の形では 軸に平行な直線( など)が表せないことを忘れる

問5平行・垂直な直線

★ 基礎平行と垂直

問題

直線 について、点 を通り、次の条件を満たす直線の方程式を求めよ。

(1) この直線に平行

(2) この直線に垂直

ヒントを見る

平行と垂直、それぞれで傾きにどんな関係があったか。それが分かれば、あとは『傾きと 点』から直線を書く問題になる。

解答・解説

方針

平行なら傾きが同じ、垂直なら傾きの積が 。もとの傾き から、それぞれの傾きを決めて、点を通る式を作る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 傾きだけが問題だ。通る点はどちらも で共通なので、傾きさえ決まれば に入れて終わる。

(1) 平行 → 傾きが同じ。

(2) 垂直 → 傾きの積が 。

垂直の傾きは「逆数にして、符号を変える」。 の 段階だ。符号を変えるのを忘れるのが最頻ミスである。

公式平行 傾きが等しい。垂直 傾きの積が

もとの直線の傾きは 。

(1) 平行は傾きも 。点 を通るので

(2) 垂直は傾きの積が 。 より 。点 を通るので

xyO(2,1)
点(2,1)を通る平行線(赤)と垂直線(緑)

発展。 「傾きの積が 」という公式には、使えない場合がある。

軸に平行な直線(、傾き )と、 軸に平行な直線(、傾きなし)。この 本は明らかに垂直だが、

計算できない。 傾き の直線に垂直な直線は「傾きが定義されない」( 軸に平行)ので、公式が破綻する。

これが という表し方の弱点だ。 「傾き」という概念が、縦の直線を扱えない。一般形なら、この問題は起きない。

()と ()なら

確かに「垂直」と判定される。 例外がない。

この という式は、実は「法線ベクトルの内積 」である。 直線 の法線ベクトル(直線に垂直な方向)は で、係数がそのまま法線の向きを表しているのだ。 直線が垂直 法線どうしも垂直 内積が 。

「傾き」は便利だが、どんな直線にも使えるわけではない。 縦の直線という特異点を持つ。一方、一般形と法線ベクトルは、すべての直線を平等に扱える。

表現の選び方が扱える範囲を決める。 数学では「どう書くか」が「何ができるか」を左右する。記法は考えるための道具でもある。

答

(1) (2)

別解

「なぜ垂直だと傾きの積が なのか」を知ると、公式が忘れられなくなる。そして、一般形での平行・垂直の作り方という実戦的な技も手に入る。

理由: 回転で考える。

傾き の直線は右へ 進むと上へ 進む。方向を表す矢印は だ。この矢印を 回転させると、垂直な方向になる。

平面で を 回転すると になる(反時計回り)。

回転後の矢印は 。 その傾きは

垂直な直線の傾きが出た。

「逆数にして符号を変える」操作は 回転を表していたのだ。 を回すと になり、傾きは で、必ず「逆数 」になる。

掛け算で確かめると

積が 。 これが公式の理由である。(ベクトルを学ぶと、これは内積が と言い換えられる: 。垂直 内積 が、数Cでの標準的な言い方だ。)

さて、実戦的な技を紹介する。一般形なら、平行・垂直がすぐに書ける。直線 を一般形にすると

平行な直線は定数項だけを変える。

点 を通るので、代入して → 。

垂直な直線は と の係数を入れかえて、片方の符号を変える。

( と を入れかえて 、 → 符号調整して 、。)点 を代入して → 。

分数が出てこない。 の形で計算すると という分数を扱うことになるが、一般形なら整数のまま進められる。

まとめておく。 直線 に対して

  • 平行: (係数はそのまま、定数だけ変える)
  • 垂直: (係数を入れかえて、片方の符号を反転)

この 行は計算を大幅に速くする。 特に「点と直線の距離」や「垂線の足」を求める問題では、一般形のまま進めるのが定跡だ。

ポイント

  • 平行=傾き同じ。垂直=傾きの積 (逆数の符号違い)。

よくある間違い

  • 垂直の傾きを逆数にするだけで、符号を変え忘れる( の垂直は )
  • 平行な直線を求めるとき、切片まで同じにしてしまう(元の直線と一致してしまう)
  • 点 を通ることを使わず、傾きだけで答えを止めてしまう

問6点と直線の距離

★ 基礎点と直線の距離

問題

点 と直線 の距離を求めよ。

ヒントを見る

点と直線の距離の公式を使う。使う前に直線の式を『』の形に整えておくこと、分子に絶対値がつくことの 点に注意。

解答・解説

方針

点と直線の距離の公式にそのまま代入する。分子は直線の式に点の座標を入れた絶対値、分母は係数の2乗和のルート。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 点と直線の距離には、公式がある。

使う前に、直線を の形(一般形)にしておく。 今回は最初からその形だ。

分子: 点の座標を直線の式に代入して絶対値。

分母: 係数の 乗和の平方根。

分子の絶対値を忘れない。 距離は必ず正だから、 のままにしてはいけない。

公式点 と直線 の距離

① 公式の意味を一言で。 直線 にとって は直線と垂直な向き(法線)。 は点が直線からどれだけ離れているかに比例した量で、それを法線の長さ で割ると、ちょうど点から直線へ下ろした垂線の長さ(=距離)になる。だから分母に が要る。

② 当てはめる。 、、、点 。

xyO(2,3)1
点(2,3)から直線への垂線の長さが距離1

まとめ:点と直線の距離は「垂線の長さ」。分子 を法線の大きさ で割ると、その垂線の長さになる、という仕組みだ。

発展。 点と直線の距離の公式は、「絶対値」を外すと符号がつく。

この符号つきの量を「符号つき距離」といい、点が直線のどちら側にあるかを表す。

  • 正 → 直線の一方の側
  • → 直線上
  • 負 → もう一方の側

この性質が領域の問題(数IIの「軌跡と領域」)の基礎になる。 という不等式が「直線の片側」を表すのは、この符号の性質による。そして、機械学習の分類器もこの符号で動いている。

「メールがスパムか否か」「画像が猫か犬か」を判定する最も基本的な手法(サポートベクターマシン)は、データ点を空間に配置し、直線(高次元では超平面)で つに切り分ける。

そして「どの直線が最良か」を決める基準が、「点と直線の距離」だ。 両クラスから最も遠い(マージンが最大の)直線を選ぶ。この最適化がSVM の中心となる考え方である。

高校で学ぶ が、そのまま人工知能の中で動いている。

「点と直線の距離」は、単なる計算問題ではなく、「データをどう分けるか」という問題に、直接つながっている。

答

別解

公式を使わず、垂線の足を実際に求めて距離を測る。 遠回りだが、公式の意味が分かるし、「垂線の足の座標」自体を聞かれたときにも使える。

手順1: 垂線の方程式を作る。

直線 の傾きは ( と変形すれば分かる)。

垂直な直線の傾きは 。 これが点 を通る。

手順2: 交点(垂線の足 )を求める。

式を連立して解く。 を、元の直線に代入すると

倍して整理すると

垂線の足は 。

手順3: 点間の距離を計算する。

公式と同じ答えが出た。

手間を比べてほしい。 公式なら 秒、垂線ルートなら 分。公式を使う利点がよく分かる。

しかし、垂線ルートにしかできないこともある。

  • 垂線の足の座標そのものを聞かれたとき()
  • 対称点を求めるとき(点 の対称点 は、 を中点とする点だから )
  • 直線への正射影を考えるとき

公式で分かるのは「距離」だけだ。垂線を求める方法なら「どこに落ちるか」まで分かる。

そして、公式の意味も分かる。 分子 は「点を代入したときの、式のズレ具合」だ。直線上の点なら 、離れるほど大きくなる。

分母 はそのズレを「実際の距離」に換算するための係数である( と は同じ直線だが、代入値は 倍になる。だから係数の大きさで割って、正規化する必要がある)。

点と直線の距離の公式は、「式の値のズレ」を「幾何的な距離」に変える式だ。

ポイント

  • 距離公式の分子は『直線の式に点を代入した値の絶対値』。
  • 分母は 、 の係数の2乗和のルート。

よくある間違い

  • 分子の絶対値を忘れて、負の距離が出てしまう
  • 直線を の形に直さずに公式へ入れる( のままでは使えない)
  • 分母を や にしてしまう(正しくは )

問7円の方程式

★ 基礎円の方程式

問題

(1) 中心が 、半径が の円の方程式を求めよ。

(2) 円 の中心と半径を求めよ。

ヒントを見る

(1) 中心と半径が分かっているときの円の標準形を思い出そう。(2) は逆向きの作業だ。 のグループと のグループをそれぞれ平方完成して、標準形に寄せていく。

解答・解説

方針

(1)は中心と半径をそのまま公式へ。(2)は 、 それぞれ平方完成して、円の標準形に直す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円の定義は「中心から等距離にある点の集まり」。距離の公式をそのまま式にすればよい。

(1) 中心 、半径 を代入する。

となるので、符号の反転に注意。 右辺は ( ではない)。

(2)は逆の操作。 展開された形()から、中心と半径を読み取る。

やることは平方完成だ。 と 、それぞれについて。

数Iの平方完成がそのまま使える。

公式中心 、半径 の円:

(1) 中心 、半径 を入れる。

(2) 、 ごとに平方完成する。

もとの式に戻して整理する。

よって中心 、半径 。

xyO(1,-2)3
中心(1,-2)・半径3の円

発展。 円の方程式 には、 つの未知数(、、)がある。

ということは、 個の条件があれば円が決まる。

「 点を通る円は、ただ つに決まる」(ただし 点が一直線上にないとき)ことは、外接円の存在の代数的な証明になっている。 点を代入すれば、、、 についての連立 次方程式が 本立ち、解がただ 組に決まる。

数Aの図形の性質では「 辺の垂直二等分線が 点で交わる」という幾何的な議論で外心の存在を示した。 座標では、連立方程式が解けるという代数的な事実がそれを保証する。

同じ定理の、 つの証明。 どちらも正しい証明だ。そして、円と直線の「次数」の違いに注目したい。

  • 直線: 、未知数 個(比を除く)→ 点で決まる
  • 円: 、未知数 個 → 点で決まる
  • 次曲線一般(楕円・双曲線・放物線): 、未知数 個 → 点で決まる

「決めるのに必要な点の数」が、図形の自由度を表している。

点を通る 次曲線がただ つ決まる、という事実は、天文学で大きな役割を果たした。平面上の 次曲線は曲線上の 点で確定する。ガウスは 年、わずかな観測データから小惑星ケレスの軌道を計算し、見失われていた天体の再発見を導いた(このときガウスは、空間内の軌道を 回の観測から決める方法を使った)。

方程式の未知数の個数から、条件がいくつ必要かが分かる。

答

(1) (2) 中心 、半径

別解

(2)は平方完成をせずに「公式」ですぐに読める。 そして、その公式から円が存在しない場合まで分かる。

一般形の円の方程式。

この形なら、中心と半径が直接読める。

今回の に当てはめる。 、、。

中心:

半径:

平方完成を書かずに、答えが出た。「 の係数の半分に、マイナスをつける」と、中心の座標になる。 の半分は 、符号を変えて 。 の半分は 、符号を変えて 。暗算でできる。

そして、この公式から「円が存在するか」まで分かる。半径の根号の中身に注目してほしい。

これが負なら、半径が虚数になってしまう。 つまり円は存在しない。

つの場合がある。

根号の中身 図形
正 円(半径 )
点(半径 の「円」)
負 何もない(実数の点は つもない)

例を見よう。 は、、 なので

円ではない。 当たり前だ。 を満たす実数 、 は存在しない( 乗の和が負になることはない)。

なら? となり、点 ただ 点だけ。半径 の円である。

「円の方程式のように見えても、円とは限らない」ので、この確認を忘れないこと。入試では「 が円を表すような の範囲を求めよ」といった形で問われる。

答えは「根号の中身 」 から

式の形だけを見て「円だ」と決めつけない。 半径が実在するかを、必ず確かめる。

ポイント

  • 円の標準形は 、中心 ・半径 。
  • 一般形は平方完成で標準形に直す。

よくある間違い

  • 右辺を にする( が正しい。半径3なら右辺は9)
  • 中心の符号を間違える(中心 なら )
  • 平方完成で引いた分を右辺に足し忘れる(左辺で 、 したぶんを右辺で調整する)

問8円と直線の共有点

★ 基礎円と直線

問題

円 と直線 の共有点の座標を求めよ。

ヒントを見る

共有点は『両方の式を同時に満たす点』。直線の式を円に代入して、 文字の 次方程式に落とそう。 が つ出たら、対応する も忘れずに。

解答・解説

方針

直線の式を円の式に代入して、 だけの2次方程式にする。それを解けば共有点の 座標が出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「共有点」とは、両方の式を同時に満たす点。だから連立方程式を解けばよい。

直線の式を円の式に代入する。( が で表されているので、代入が楽だ。)

次方程式になった。

を忘れずに求める。 に戻して

だけ出して安心しない。 聞かれているのは点の座標である。

重要円と直線の共有点は、直線の式を円に代入して2次方程式を解く

を に代入する。

展開して整理する。

因数分解して

に戻す。 のとき 、 のとき 。よって共有点は 、。

xyO(-2,-1)(1,2)
円と直線の2つの交点(-2,-1)・(1,2)

発展。 円と直線の共有点は、多くても 個である。これは「円が 次曲線だから」だ。

代入して得られる方程式の次数が、共有点の個数の上限を決める。

  • 直線と直線: 次方程式 → 共有点は最大 個
  • 円と直線: 次方程式 → 最大 個
  • 円と円: (引き算すると直線になる)→ 最大 個
  • 次曲線と直線: 次方程式 → 最大 個

「 次曲線と 次曲線の交点は、最大 個」 という事実を、ベズーの定理という(複素数の範囲で、重複も数えれば、ちょうど 個)。

円( 次)と円( 次)なら 個のはずだが、実際には最大 個に見える。残りの 個はどこへ行ったのか。

答え: 無限遠点と、複素数の点に隠れている。 すべての円は「無限遠にある つの虚な点」を共有している、という事実がある(円点と呼ばれる)。だから実際に見える交点は 個。

この 「見えない交点」 を数に入れることで、定理がきれいに成立する。 数学では、法則が例外なく成り立つように、考える範囲を広げることがよくある。虚数を導入したのと同じ考え方である。

高校の範囲では扱わないが、その先には「射影幾何」「代数幾何」という分野がある。 と の交点を求めるという素朴な計算も、これらの分野の基礎になっている。

答

、

別解

計算する前に、「共有点がいくつあるか」を予言できる。 中心と直線の距離を見るだけだ。この見方は円と直線の問題すべてを見通す。

予言の方法: 中心から直線までの距離 と、半径 を比べる。円 の中心は原点 、半径は 。直線 を一般形に直す。

中心 からの距離を、公式で出す。

比べる。

距離が半径より小さい → 直線は円の中に食い込んでいる → 共有点は 個。計算する前に、答えの個数が分かった。 つの場合を、絵で覚える。

距離と半径 位置関係 共有点 判別式
直線が円を貫く 個
直線が円に接する 個(接点)
直線が円から離れている 個

判別式と、距離。 つの方法は必ず一致する。実際、代入して得た 次方程式 の判別式は

正 → 実数解 個 → 共有点 個。距離で予言した通り。

どちらを使うべきか。

  • 共有点の「座標」が欲しい → 代入して解く(判別式ルート)
  • 共有点の「個数」だけ知りたい → 距離を測る(こちらがずっと速い)
  • 接する条件を求めたい → 距離 半径とおく(判別式 より計算が楽なことが多い)

特に「接する条件」では、距離ルートが強い。たとえば「直線 が円 に接するような を求めよ」なら

行で終わった。 判別式でやると、代入・展開・整理・ と手順が増える。

検算も忘れずに。 求めた 点が本当に円の上にあるか。

両方とも円上にある。 そして直線 上にもある(、)。 つの式を両方チェックする。連立方程式の答えは必ず両方に代入して確かめる。

ポイント

  • 共有点=連立して代入 → 2次方程式。
  • 出た を直線の式に戻して を求める。

よくある間違い

  • の値だけ求めて を出し忘れる(答えは点の座標)
  • の展開で の項を落とす
  • 代入した後の2次方程式で、両辺を2で割るときに定数項を割り忘れる( → )

問9円上の点における接線

★ 基礎円の接線

問題

円 上の点 における接線の方程式を求めよ。

ヒントを見る

円上の点における接線には、接点の座標をそのまま使って書ける形がある。思い出せなければ、半径と接線が垂直であることから傾きを求める道もある。

解答・解説

方針

円 上の点における接線には、そのまま使える公式がある。接点の座標を当てはめるだけだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円 上の点 における接線の公式は、とても覚えやすい。

元の式の を に、 を に置きかえるだけ。 乗のうち、片方を接点の座標にする、と覚える。

まず確認すべきこと: 点 は本当に円上にあるか。

円上にある。 この確認を飛ばしてはいけない。公式は「円上の点」でしか使えないからだ(円の外の点から引く接線は、話が別になる)。

公式円 上の点 における接線

接点 、 を当てはめる。

この接線は中心と接点を結ぶ半径に垂直になっている(図)。

xyOT(3,4)
接線 3x+4y=25 は半径 O→(3,4) に垂直

発展。 接線の公式 の作り方には、「半分ずつ置きかえる」という規則がある。

この規則は、円が中心からずれていても通用する。円 上の点 での接線は

やはり「片方だけ接点に置きかえる」。

この規則は円だけでなく 次曲線一般に成り立つ。 楕円 上の点 での接線は

まったく同じ形をしている。 数Cの「平面上の曲線」で、この公式に再会するだろう。

なぜこんな規則が成り立つのか。 それは、接線が「曲線を微分したもの」だからである。 を で微分すると(陰関数の微分、数III)

点 での傾きは となり、別解で求めた傾きと一致する。

「接線 半径」という幾何的な事実と、「微分が傾きを与える」という解析的な事実が、同じ答えを出す。

幾何・代数・解析の つの分野が、 本の接線について同じ答えを出している。 高校数学の各単元はバラバラに見えて、実は同じ対象を違う言葉で表していることが多い。

答

別解

公式を忘れても、「接線 半径」から自力で導ける。 そして、この導出から公式の意味が分かる。

手順1: 半径の傾きを求める。

中心 と接点 を結ぶ半径 の傾きは

手順2: 接線は半径に垂直。

円の接線は接点を通る半径と必ず垂直である(数Aの図形の性質で学んだ通り)。

手順3: 点 を通る、傾き の直線。

倍して整理する。

公式と同じ答えが出た。

この導出で、公式の構造が見える。 接点が なら、半径の傾きは 、接線の傾きは 。点 を通る直線は

分母を払って整理すると

(最後は「 が円上にある」を使った。)これが公式の証明である。

さらに、 つ目の見方: 中心から接線までの距離がちょうど半径。接線 と中心 の距離を測ってみる。

距離が半径にぴったり等しいことが、「接する」ことの定義そのものだ。答えの検算に使える。

接線の つの捉え方をまとめる。

見方 内容 使いどころ
公式 円上の点での接線(最速)
垂直 接線 半径 公式を忘れたとき、証明したいとき
距離 中心からの距離 半径 円外の点から引く接線、検算

円の外の点から接線を引くときは、公式が使えない。 そのときは「傾き の直線を置いて、中心からの距離 半径」とするのが定跡だ( 本引ける)。状況で道具を替えることが、解く力になる。

ポイント

  • 円 上の点の接線は 。
  • 接線 ⊥ (中心から接点への半径)。

よくある間違い

  • 接点が円上にあることを確認せずに公式を使う(円外の点では公式は使えない)
  • 公式の右辺を にする(右辺は )
  • の 、 に、接点でない別の点の座標を入れてしまう

問10弦の長さ

★ 基礎弦の長さ

問題

円 が直線 から切り取る弦の長さを求めよ。

ヒントを見る

中心から直線までの距離・半径・弦の半分、の つで直角三角形ができる。まず図をかいて、その三角形を見つけてから三平方に乗せよう。

解答・解説

方針

中心から弦までの距離 、半径 、弦の半分で直角三角形ができる。三平方の定理から弦の長さが出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 弦の長さは、直接求めるのがいちばん速い。

直線 と円 の交点を出す。 を円の式に代入するだけだ。

交点は と 。

弦の長さはこの 点の距離。 同じ高さ()にあるので、 座標の差がそのまま長さになる。

から、いきなり「弦 」としない。 左右に ずつあるので、全体は である。、、そして中心 の 点で、二等辺三角形ができている。図を描けば、 という答えが目で見える。

公式弦の長さ ( は半径、 は中心と直線の距離)

半径 。中心 から直線 までの距離は 。中心・弦の端・弦の中点で直角三角形ができ、弦の半分は 。

xyO(-3,4)(3,4)4
中心からの距離 d=4、半径 r=5、弦の半分は 3

発展。 弦の公式 から、弦の長さと中心からの距離は、たがいに逆向きに動くと分かる。

が大きくなる(直線が中心から離れる)ほど、弦は短くなる。中心を通るとき最長( 直径)、接するとき最短()。

この単調性が最大最小問題に使える。「点 を通る直線が、円 から切り取る弦の長さの最小値は?」

弦が最短 中心からの距離 が最大。 そして、点 を通る直線のうち、中心から最も遠いのは、 に垂直な直線である(それ以外の直線は、中心にもっと近づいてしまう)。

幾何的な洞察( に垂直なとき最遠) 公式で、微分もせずに最小値が出た。

逆に、弦が最長になるのは 、つまり直線が中心を通るとき。 そのとき弦は直径 である。

「最大・最小」の問題は必ずしも微分で解くものではなく、図形の性質を見抜けば、計算せずに答えが分かることがある。

「どこで極端になるか」を、図で考える習慣。 数式に飛びつく前に、 度、図を描いてみるとよい。

答

別解

交点を求めずに、三平方の定理だけで弦の長さが出る。 この方法は、直線が斜めのときに特に役に立つ。発想: 「中心・弦の中点・弦の端」で直角三角形を作る。

中心から弦に垂線を下ろすと、その足は弦の中点になる(二等辺三角形だから)。

  • 斜辺: 中心から弦の端までの距離 半径
  • 辺: 中心から直線までの距離 ( までの距離)
  • もう 辺: 弦の半分

三平方の定理を使う。

公式の形にすると

この公式がなぜ役に立つのか。 直線が斜めのときを考えてみよう。例: 円 が直線 から切り取る弦の長さは?

交点を求めるルートでは代入して 次方程式を解き、 つの交点の座標を出し、距離の公式で計算することになり、かなりの手間だ。

公式ルートなら 行。

交点の座標を 度も計算していない。

この公式は つの量(、、弦)を結びつけている。 どれか つが分かれば、残りが出る。

  • 弦の長さから、中心までの距離を逆算できる
  • 「弦の長さが になるような直線」を探す問題も、 の条件に言い換えられる

そして、極端な場合を確認しておこう。

  • (直線が中心を通る)→ 弦 で、直径になる(最長の弦)
  • (接する)→ 弦 で、接点 点にまとまる
  • → 根号の中が負で、弦は存在しない(直線が円と交わらない)

つの公式が つの位置関係をすべて説明する。 「距離と半径を比べる」という前問の視点が、ここでも生きている。

ポイント

  • 弦の長さ 。
  • 中心・弦の中点・弦の端で直角三角形を作れば解ける。

よくある間違い

  • から弦の長さを としてしまう(左右合わせて )
  • 中心から直線までの距離 と、半径 を取り違えて三平方に入れる
  • の 倍を忘れる(求まるのは弦の半分)

問112直線の交点

★ 基礎2直線の交点

問題

2直線 、 の交点の座標を求めよ。

ヒントを見る

連立して解くだけ。 つの式をどう組み合わせれば文字が つ消えるか、式の形をよく見てから手を動かそう。

解答・解説

方針

交点は2つの直線の式を同時に満たす点。だから連立方程式を解けばよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交点とは「両方の直線の上にある点」。だから両方の式を同時に満たす を探す。つまり連立方程式を解く。

加減法が速い。 の係数が と なので、足すだけで が消える。

を求める。 を、計算が楽なほうの式に代入する。

「連立方程式を解く」ことと「 直線の交点を求める」ことは、まったく同じである。中学から解いてきた連立方程式には、こういう幾何的な意味があった。

重要2直線の交点は2つの方程式を連立して解いた点

2式をたすと が消える。

を に入れて 、。よって交点は 。

xyO(2,1)
2直線の交点は (2,1)

発展。 連立 次方程式と直線の関係は、次元を上げても続く。

変数の 次方程式 は、空間内の平面を表す。

枚の平面の共通部分を求めることが、 元連立 次方程式を解くことにあたる。結末はこうなる。

  • 点で交わる → 解がただ 組(部屋の隅を思い浮かべるとよい。壁 枚と床が 点で出会う)
  • 直線で交わる → 解が無数(本のページのように、 枚が 本の線で綴じられている)
  • 共通部分なし → 解なし(三角柱の側面のように、 枚ずつは交わるのに 枚共通の点はない)

方程式の解の様子がそのまま図形の位置関係になっている。

この対応を体系的に扱うのが線形代数という分野だ。大学で最初に学ぶ数学のひとつで、連立 次方程式を、次元を問わず統一的に解く理論である。そして、線形代数は現代の多くの技術で使われている。

  • D グラフィックス: 物体の回転・拡大は行列の掛け算
  • 画像処理: 画像を大きな行列とみなす
  • 機械学習: ニューラルネットワークの計算は、ほとんどが行列演算
  • 検索エンジン: ページの重要度計算(PageRank)は、巨大行列の固有値問題

と を解く、という中学以来の作業。 同じ考え方が現代の技術でも使われている。基本の計算を侮ってはいけない。

答

別解

交点を求めずに、「交点を通る直線」を書く方法がある。 直線束という便利な技だ。これを知ると、多くの問題がずっと短くなる。

まず、連立方程式の幾何的な意味を整理する。 直線の連立方程式には、 つの結末がある。

連立方程式 直線 解
ただ 組の解 点で交わる 交点 個
解なし( のような矛盾) 平行(交わらない) なし
無数の解() 一致(同じ直線) 無数

「解なし」は平行だということ。 と を連立すると という矛盾が出る。傾きが同じで切片が違う 直線は、どこまで行っても交わらない。

さて、直線束の技。 直線 、 の交点を通る直線は、次の形で全部書ける。

なぜか。 交点 を代入してみる。

が何であっても、 で成り立つ。 つまりこの式が表す直線は、 をどう変えても必ず交点 を通る。

交点の座標を計算しなくても、「交点を通る直線」が書けてしまった。

使いどころ。

問題: 「 直線 、 の交点を通り、点 を通る直線を求めよ」

直線束を使う。

点 を通るので代入する。

あれ、 が消えてしまった。 これは「点 が 上にある」場合で、直線束では表せない直線( 自身)が答えになる、という特殊なケースだ(直線束の弱点で、 そのものだけは表せない)。別の点で試そう。「交点を通り、点 を通る直線」なら

検算: 交点 で 、原点 で 。

交点を求めずに済んだ。 今回は交点が ときれいだったが、交点が のような分数だったら、直線束を使う利点はずっと大きくなる。

数学には、「答えを求めずに、答えを使う」という技がある。 円の交点を通る円(円束)も、まったく同じ発想で作れる。

ポイント

  • 交点=連立方程式の解。
  • たし算・引き算で1文字を消すのが速い。

よくある間違い

  • を求めただけで満足し、 を出し忘れる
  • 加減法で足すか引くかを間違え、文字が消えない
  • 連立方程式が「解なし」になったとき、計算ミスだと思ってしまう(2直線が平行なら解なしが正しい)

問12対称な点

★ 基礎対称点

問題

点 について、次の点の座標を求めよ。

(1) 軸に関して対称な点

(2) 直線 に関して対称な点

ヒントを見る

実際に図をかいて折り返してみるのが早い。(1) 折り返しで変わる座標はどちらか。(2) での折り返しで座標に何が起きるか、具体的な点で試して規則を見つけよう。

解答・解説

方針

軸対称は の符号を変えるだけ。 に関する対称は 座標と 座標を入れかえるだけ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 対称移動は、図を描けばすぐに分かる。公式を覚える前に、絵で確かめよう。

(1) 軸に関して対称では鏡を 軸に置いて、上下をひっくり返す。

座標は動かない。 座標だけが符号反転する。

(2) 直線 に関して対称では斜め の鏡で映す。

この鏡では、 座標と 座標が入れかわる。

なぜ入れかわるのか。 直線 は「 と が等しい点」の集まり。この直線で折り返すと、 軸と 軸が入れかわるので、座標も入れかわるのだ。

迷ったら、方眼紙に点を打って、折ってみる。 対称移動は手を動かせば必ず分かる。

公式 軸対称は 、 軸対称は 、直線 対称は と を入れかえる

(1) 軸に関する対称は、 座標の符号だけ変える。

(2) 直線 に関する対称は、 座標と 座標を入れかえる。

xyOA(3,2)(3,-2)(2,3)
A(3,2) の x軸対称(3,-2)と y=x 対称(2,3)

発展。 直線 に関する対称移動( と を入れかえる)で、逆関数のグラフが得られる。

のグラフを で折り返すと 、つまり のグラフになる。

例を見よう。

  • ( で 、 で )と ( で 、 で )
  • ()と

「入れかわった つの関数」が、鏡像として向かい合っている。指数関数と対数関数が「逆の関係」にあると習うとき、グラフの上では の鏡で結ばれているのだ。 と が対応していて、これは座標の入れかえである。

そして、対称移動には「合成する」という遊び方もある。

  • 軸対称 → 軸対称の順に 回移すと? となり、原点対称になる
  • 対称 → 軸対称なら? となり、これは 回転だ

回の鏡映が回転を生む。 これは物理の「鏡を 枚合わせると像が回転して見える」現象と同じことだ。

「対称移動」の組み合わせから、平面上のあらゆる合同変換(平行移動・回転・鏡映)が作れる。このしくみを研究するのが群論である。結晶の構造も、素粒子の分類も、この理論の上に立っている。

方眼紙で点をひっくり返す作業が、現代物理で使う考え方につながっている。

答

(1) (2)

別解

「対称点」の定義に立ち返って、答えを検証する。 そして、どんな直線に関する対称点でも求められる一般手順を身につけよう。

対称点の定義。 点 と点 が直線 に関して対称であるとは

  1. の中点が、直線 の上にある
  2. 線分 が直線 と垂直

この 条件だけ。

(2)の答え を、この定義で検証する。

条件1: 中点は 上か。

直線 上にあるか → 。ある。

条件2: 垂直か。

の傾きは

直線 の傾きは 。積は 。垂直。

条件とも満たした。 は確かに対称点である。さて、この定義を使えば、どんな直線でも対称点が求まる。

例: 点 の、直線 に関する対称点は?この場合、「座標を入れかえる」といった簡単な規則は使えない。定義から連立方程式を立てる。

対称点を とおく。

条件1(中点が直線上): 中点 が 上にある。

条件2(垂直): の傾き 。

連立して解く。 を代入すると

汚い数だが、確実に求まる。よく使う対称移動を、表にまとめておく。

何に関して対称か の行き先 の場合
軸
軸
原点
直線
直線

対称は「入れかえ」、 対称は「入れかえて符号反転」。

規則が使えるのは、この つだけ。 それ以外の直線(たとえば )なら、定義に戻って連立方程式を立てる。

「規則を覚える」のではなく「定義から作れる」ようにしておく。 覚えた規則が使えない問題に出会ったとき、定義に戻れる人だけが解ける。

ポイント

  • 軸対称: の符号を変える。 対称: と を入れかえる。

よくある間違い

  • 軸対称と 軸対称を取り違える( 軸対称は の符号が変わる)
  • 対称で符号まで変えてしまう(入れかえるだけ。符号は変えない)
  • 対称を「入れかえるだけ」としてしまう(入れかえたうえで両方の符号を変える)