数学I / 図形と計量

図形と計量 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 円に内接する四角形
  2. 対辺が等しい四面体の体積
  3. 角の二等分線の長さ
  4. 正四角錐の体積と二面角
  5. cos36°の値
  6. 13-14-15の三角形
  7. 円錐面上の最短経路
  8. 三角形の形状の決定

問1円に内接する四角形

最難関編余弦定理面積

問題

円に内接する四角形 ABCD において である。対角線 AC の長さと、四角形 ABCD の面積を求めよ。

ヒントを見る

対角線 AC を2通りに(△ABC と △ACD で)余弦定理で表す。円に内接する四角形の向かい合う角は和が 。だから一方の余弦は他方の余弦の符号違い。この1本の等式から が決まる。

解答・解説

方針

対角線 AC を と の両方から余弦定理で表す。円に内接するので 、つまり 。この関係で を決め、AC を出す。面積は2つの三角形の和。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 対角線 AC は、 と の両方に共有されている。だから AC を両方の三角形から余弦定理で表し、等号で結ぶ。

未知の角が2つ()出てくるが、ここで円に内接する条件を使う。向かい合う角の和が だから、。未知は ひとつになり、AC が決まる。

面積も同じ角を使う。2つの三角形の和で出せばよい。

定理円に内接する四角形の対角の和は 。ゆえに

① AC を2通りに表す。 で 。 で 。

② 対角の関係で結ぶ。 を代入して等号で結ぶ:

③ AC を求める。

④ 面積。 。 だから

ABCD1234
円に内接する四角形 ABCD(AB=1, BC=2, CD=3, DA=4)。対角 B と D は補角(和が180°)。対角線 AC=√(55/7)、面積は 2√6

まとめ: 共有する対角線を2つの三角形から表し、対角の和 ()で結ぶ。これが内接四角形の計量の型だ。面積は が共通だから とまとまり、きれいに になる。

発展。 円に内接する四角形の面積には、ヘロンの公式の親戚「ブラーマグプタの公式」( は周の半分)がある。本問では で 。④の答えと一致する。

答

、面積

別解

もう1本の対角線とトレミーの定理(得意な人向けの検算)。 同じ手順を対角線 BD に使ってみる。 と で BD を2通りに表すと

( を使った)。等号で結んで 、。ここで、円に内接する四角形についての「トレミーの定理」(対角線の積 対辺の積の和)を検算に使える:

一方、。ぴったり一致した。2本の対角線を別々に求めて、トレミーで突き合わせる。答えを自分で確かめられるうえ、 という複雑な値でも、定理の式ではきちんと成り立つことが分かる。

ポイント

  • 対角線 AC を2三角形で余弦定理。
  • 対角 で 。
  • 、面積 。

よくある間違い

  • と一緒に としてしまう。 は補角で等しい()。面積の合算はこれで成り立つ。
  • 代入時の符号処理を誤り のまま進める。 だから に変わる。
  • 面積を と で別々に計算しようとして手が止まる。 で1つの にまとまるのが、この配置の利点だ。

問2対辺が等しい四面体の体積

最難関編空間図形体積

問題

四面体 ABCD において、、、 が成り立つ。この四面体の体積を求めよ。

ヒントを見る

対辺が3組とも等しい四面体は、直方体の「4つの頂点を1つおきに選んだもの」として作れる。直方体の辺を とすると、四面体の各辺は面対角線 などになる。3つの2乗の値から を求められるか。

解答・解説

方針

3組の対辺がそれぞれ等しい四面体は、直方体の対角(面対角線)として埋め込める。直方体の辺を とし、面対角線の2乗が 等になることから を決める。体積は直方体の 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「3組の対辺がそれぞれ等しい」という強い対称性は、直方体への埋め込みを示唆する。直方体の8頂点から1つおきに4頂点を選ぶと四面体ができ、その6辺はちょうど直方体の面対角線(3種類が2本ずつ)になるからだ。

直方体の辺を とすれば、四面体の辺の2乗は 。与えられた をこれに対応させて を求める。体積は「直方体から四隅の三角錐4つを切り落とす」と直方体の になる。

重要対辺が3組とも等しい四面体は直方体に内接。四面体の体積は直方体の体積の (四隅の直角三角錐4個を除く)

① 直方体の辺を求める。 辺 の直方体で、面対角線の2乗は 。これらが (順不同)だ。3式を全部足すと

各辺の2乗は から対応する面対角線の2乗を引けば出る。。すなわち 。

② 体積。 直方体の体積は 。四面体はその だから

xyzABCD
3組の対辺が等しい四面体 ABCD(AB=CD=√5, AC=BD=√10, AD=BC=√13)。各辺を直方体(1×2×3)の面対角線とみて埋め込むと、体積は直方体の 1/3 で 2

まとめ: 対辺が等しい四面体を直方体に埋め込む。これに気づけば解ける。面対角線の2乗の和から を出し、各辺を引き算で逆算する。体積は直方体の としてすぐに出る。

発展。 この四面体は4つの面がすべて合同(等面四面体)になっている。「対辺が3組等しい ⟺ 直方体に埋め込める ⟺ 4面が合同」で、しかも各面は必ず鋭角三角形になる。直方体という「箱」から、この立体の性質がすべて分かる。

答

別解

四隅を実際に切り落とす(体積 1/3 になる理由)。 「直方体の 」を公式として使わず、その場で確かめよう。

の直方体から四面体 ABCD を取り出すと、残りは「隅の三角錐」4個だ。どの隅の三角錐も直方体の1つの頂点に集まる3辺()を直交する3辺としてもつ。だから1個の体積は

(底面は直角三角形で面積 、高さ 。)これが4個で 。よって

一般の でも同じ計算で、隅1個は 、4個で 。残る四面体は になる。「」になる理由はこの四隅の切り落としにある。

ポイント

  • 対辺が等しい → 直方体に内接()。
  • 面対角線の2乗和 。
  • 。

よくある間違い

  • どの長さがどの面対角線に対応するか、で悩み続ける。3式の和 から入れば、対応を決めなくても各辺が引き算で決まる。
  • 四面体の体積を直方体の と思い込む。切り落とす隅は4個あり、残りは 。
  • 面対角線と空間対角線()を混同する。四面体の辺になるのは面対角線。

問3角の二等分線の長さ

最難関編余弦定理面積

問題

において である。 の二等分線が辺 BC と交わる点を D とするとき、線分 AD の長さを求めよ。

ヒントを見る

を二等分すると、 と の A での角はともに 。3つの三角形の面積は で書ける。全体 分割の和、という面積の等式から AD が出せるか。

解答・解説

方針

面積の分割を使う。。それぞれ などと表し、AD について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 角の二等分線 AD の長さは、面積の分割でとらえるのが速い。

を二等分するので 。 の各面積を「」で表す。AD を未知数 にすると、面積の等式が の1次方程式になり、すぐに解ける。

公式三角形の面積

① 全体の面積。 。

② 分割の和。 とおく。 より

③ 等式を解く。 だから

両辺を で割って 。すなわち 。

120°ABCD537
△ABC(AB=5, AC=3, ∠A=120°)。∠A の二等分線 AD の長さは 15/8。余弦定理で BC=7

まとめ: 二等分線で が に分かれることを使い、「面積 分割の和」を AD の方程式にする。 が全項で共通だから約せて、一般形 の形になる。

発展。 一般形を整理すると 。前半の は2辺 の調和平均だ。二等分線の長さは「調和平均 × 半角の余弦」という覚え方ができる。

答

別解

二等分線の長さの公式で(得意な人向け)。 角の二等分線には、方べきの定理の香りがする名公式がある:

使ってみよう。まず余弦定理で 、。二等分線の性質から なので、。よって

公式の出どころも一言。AD を延長して外接円との交点を E とすると、円周角から と が相似で 。方べきの定理で 。差をとると が残る。円の道具(数A)と計量を組み合わせた公式だ。

ポイント

  • 二等分で 。
  • 面積 。
  • より 。

よくある間違い

  • BD, DC を先に求めてから で余弦定理、と遠回りして計算が重くなる。面積分割なら AD の1次方程式で済む。
  • と を取り違える。値はどちらも で同じだが、「どの角をはさむ2辺か」の対応を誤ると式自体が崩れる。
  • 最後の約分で を残したまま混乱する。全項共通の因子は先に割ってしまう。

問4正四角錐の体積と二面角

最難関編空間図形体積

問題

底面が1辺 の正方形 ABCD、他の 辺(側辺)がすべて の正四角錐 P-ABCD がある。この四角錐の体積と、側面と底面のなす角 の余弦 を求めよ。

ヒントを見る

正四角錐だから頂点の真下は底面の中心。中心から底面の頂点までの長さ(対角線の半分)と側辺 で高さが三平方から出る。二面角は「頂点→辺の中点→中心」の直角三角形で、底辺(中心から辺の中点)と斜辺(頂点から辺の中点)の比を考える。

解答・解説

方針

頂点 P から底面へ下ろした垂線の足は正方形の中心。中心から頂点までの距離(対角線の半分) と側辺 で高さ 。二面角は底面の中心と辺の中点・頂点で作る直角三角形で測る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 正四角錐は上下対称だから、頂点 P の真下は底面の正方形の中心 O だ。まず高さ を、直角三角形 P-O-(底面の頂点)で三平方から求める。体積はそれで出る。

二面角(側面と底面のなす角)は、底面の辺の中点 M を使う。辺に垂直な断面が直角三角形 P-O-M で、 は中心から辺までの距離、 は側面の高さ。 で測れる。

① 高さ。 底面の対角線は で、中心 O から頂点までは半分の 。側辺 の直角三角形 P-O-A で

定理三平方の定理

② 体積。 底面積 より

③ 二面角。 底面の辺の中点を M とすると、(中心から辺までの距離 )。側面の高さは 。二面角 は直角三角形 P-O-M で

PABD5√7
底面が1辺6の正方形、他の4辺が5の正四角錐。高さは√7、体積は12√7。側面と底面のなす角 θ は cosθ=3/4

まとめ: 垂線の足=中心、で高さを三平方から出すのが第一。二面角は「辺に垂直な断面(直角三角形 P-O-M)」で測る。立体の角度は適切な断面に落とせば平面の計算になる。

発展。 一般に、平面図形を角 だけ傾いた平面に正射影すると、面積は 倍になる。二面角の計算はこの原理の逆用でもできて、複雑な立体では「影の面積 ÷ 実面積」が角度の測定器になる。

答

体積 、

別解

影の面積で測る(正射影ルート)。 二面角を長さの比でなく面積の比で測ることもできる。側面 PAB を、真上から底面に投影してみる。P は中心 O に落ち、A, B はそのまま。影は OAB だ。

2つの三角形は底辺 AB()を共有し、高さだけが違う。側面の高さは 、影の高さは 。斜面が角 だけ傾いているとき、高さは 倍に縮む()。だから

「傾いた面の影は 倍」という見方は、面積さえ分かれば角が出るので、断面の直角三角形が見つけにくい複雑な立体ほど役に立つ。

ポイント

  • 垂線の足=中心、。
  • 。
  • 二面角は △PMO で 。

よくある間違い

  • 二面角を PAO(側辺と底面の角)で測ってしまう。二面角は「辺に垂直な断面」で測る決まりで、使うのは辺の中点 M。
  • を対角線の半分 と混同する。中心から「辺」までの距離は (辺の半分ではなく、1辺の長さの半分)。
  • (側面の高さ )と側辺 を混同する。側面の三角形の中でも、どの線分かを図で確認する。

問5cos36°の値

最難関編三角比正五角形

問題

の値を求めよ。

ヒントを見る

の 倍と 倍を足すと 。だから 、すなわち 。両辺を2倍角・3倍角で展開すると ()の方程式になる。 で割れるか。

解答・解説

方針

とすると で 、つまり 。2倍角・3倍角で の方程式にして解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は有名角ではないのに、値が求まる。決め手は という関係だ。

は補角で等しいから 、つまり ()。ここに2倍角・3倍角の公式を入れると、 だけの方程式になる。 を2次方程式の解として求めればよい。

公式、

① 等式を立てる。 とすると より 。

② 公式で展開する。

だから両辺を で割ってよい。 を代入して

③ の方程式を解く。 とおくと

だから正の解をとって

ABCDE108°
正五角形と対角線。1つの内角は108°、二等辺三角形の相似から cos36°=(1+√5)/4 が導ける

まとめ: から を作り、倍角の公式で の2次方程式に落とす。最後は符号()で解を選ぶ。 が「方程式の解」として捕まる瞬間だ。

発展。 ( は黄金比)。正五角形の対角線と辺の比がちょうど で、五芒星の中には同じ比が入れ子で無限に現れる。 の三角比は黄金比の別の表し方である。

答

別解

正五角形の相似で(数Iだけの黄金比ルート)。 倍角の公式(数II)を使わずに、図形の相似だけでも出せる。頂角 、底角 、等しい2辺が の二等辺三角形を考える(正五角形の対角線2本が作る三角形)。底辺を とする。

底角()の二等分線を引くと、 の角が2つでき、もとの三角形と相似な小さい二等辺三角形が現れる。等しい線分を追うと、二等分線の長さも、切り取られる線分も になり、相似比の等式

が立つ。 より 。仕上げは余弦定理だ。頂角 をはさむ2辺が 、対辺が だから

図形の中に方程式 (黄金比の方程式)が隠れている。それを取り出すのがこのルートの見どころだ。

ポイント

  • → 。
  • 倍角で 。
  • 。

よくある間違い

  • で割るときに の確認を書かない。 だから でない、の一言を添える。
  • 2次方程式の2解 のうち、どちらを取るかの根拠()を書かない。負の解は に対応している。
  • 「有名角でないから値は求められない」と手を止める。 のような角の関係式が、特別な角の値を生む。

問613-14-15の三角形

最難関編面積外接円内接円

問題

3辺の長さが の三角形の面積 、内接円の半径 、外接円の半径 を求めよ。

ヒントを見る

3辺がそろっているのでまずヘロンの公式で面積。内接円半径は「面積 内接円半径 周の半分」から、外接円半径は「面積 」から、それぞれ逆算できるか。

解答・解説

方針

ヘロンの公式で面積 を出す。内接円は ( は周の半分)、外接円は から半径を逆算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3辺の長さだけが与えられている。まずヘロンの公式で面積 を確定させる。

さえ出れば、あとは逆算だ。内接円半径は (面積 内接円半径 周の半分)。外接円半径は 。面積を「共通の橋」にして、2つの半径を取り出す。

公式ヘロンの公式 ()

① 面積(ヘロン)。 。

② 内接円半径。

公式(内接円半径 、周の半分 )

③ 外接円半径。

公式(外接円半径 )

まとめ: 面積を先に確定し、 と で を逆算する。3つの量が、面積という1つの値を軸につながっている。

発展。 は「辺も面積も整数」になるヘロン三角形の代表格だ。この三角形は直角三角形 -- と -- を高さ で貼り合わせたものだ(別解)。この見方を知っていると、 も も、いつでもすぐに再現できる。

答

別解

垂線で2つの直角三角形に割る(ヘロンを使わないルート)。 ヘロンの公式を忘れても、垂線1本で解ける。BC を底辺にして、A から垂線 AH を下ろす。 とおくと 。左右の直角三角形で高さ を2通りに表す:

展開すると 、整理して 、。

BCAH13151259
13-14-15 の三角形の成り立ち。A から垂線を下ろすと BH=5, HC=9, AH=12。直角三角形 5-12-13 と 9-12-15 の貼り合わせで、面積は 14×12÷2=84

すると 、。実は左は --、右は --()という有名直角三角形の貼り合わせだった。面積は

、 は本解と同じ。-- がどういう三角形かが分かるルートだ。

ポイント

  • ヘロンで 。
  • より 。
  • より 。

よくある間違い

  • の を周の長さ と取り違える。 は周の半分()。
  • の分母分子を逆にして が小さく出る。 に整理してから代入する。
  • を暗算で押し切って計算ミス。、、 と段階を書く。

問7円錐面上の最短経路

最難関編空間図形展開図

問題

底面の半径が 、母線の長さが の直円錐がある。母線 OA 上の点 A(底面の周上)から出発し、円錐の側面を1周して A に戻る糸を最も短く張ったとき、その長さを求めよ。

ヒントを見る

曲面上の最短は「展開して直線」。円錐の側面を開くと扇形になり、その中心角は 。展開図で A と「1周後の A」は中心から同じ距離 。2点間の直線距離を余弦定理で。

解答・解説

方針

側面を平面に展開すると扇形になる。扇形の中心角は(底面の周)÷(母線)… で決まる。展開図上で始点 A と1周後の A は同じ半径 の位置にあり、その2点を結ぶ直線が最短。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 曲面に沿った最短経路は、曲面を平面に展開して直線で結ぶ。これが原則だ。

円錐の側面を切り開くと扇形になる。扇形の半径は母線 。中心角は「底面の円周 扇形の弧の長さ」から決まる。

展開図の上で、出発点 A と「1周して戻ってきた A」は、扇形の両端の半径の上に、ともに中心から距離 の位置に現れる。この2点を結ぶ直線の長さが、求める最短だ。

重要円錐(母線 、底面半径 )の側面の展開図は、半径 ・中心角 の扇形

① 展開図の中心角。 底面の円周は 。これが半径 の扇形の弧の長さになる。中心角を とすると弧長 、すなわち

② 展開図上の2点。 出発点 A と1周後の A′ は扇形の2つの半径(ともに長さ )の端にあり、はさむ角は中心角 。

π/2OAA′444√2
側面の展開図: 半径4(母線)、中心角 π/2 の扇形。A と1周後の A′ を結ぶ直線(赤)が最短の糸で、長さは 4√2。破線の弧は底面の円周に対応する

③ 直線距離(余弦定理)。 中心 O、、 の三角形で

よって最短の糸の長さは 。

まとめ: 曲面の最短は「展開して直線」。扇形の中心角を「弧長 底面の円周」から出し、両端の A を余弦定理で結ぶ。今回は中心角がちょうど になり、直角二等辺三角形の斜辺として が出た。

発展。 展開図からは追加の情報も読める。糸が頂点に最も近づく距離は、O から線分 AA′ までの距離で 。また、糸の長さ は底面の円周 より短い。まっすぐ張った糸は水平にぐるりと巻くより、頂点側へ膨らむ分だけ得をしている。

答

別解

一般の円錐で公式にする(得意な人向け)。 母線 、底面の半径 の円錐で、同じ計算を文字のまま実行してみる。展開図の中心角は 。1周する最短の糸は、半径 ・頂角 の二等辺三角形の底辺だから、二等辺三角形を半分に割って

本問は で 。一致する。

この公式からは適用範囲も分かる。中心角 が を超える(つまり の平たい円錐)と、2点を結ぶ直線が扇形の外にはみ出してしまい、「展開して直線」の答えはそのままでは使えなくなる。公式化は答えと一緒に「成り立つ条件」まで見せてくれる。

ポイント

  • 側面を展開 → 半径4・中心角 の扇形()。
  • A と1周後の A は中心から距離4、なす角 。
  • 余弦定理で 。

よくある間違い

  • 糸の長さを底面の円周 と答える。側面上を最短で張った糸は、水平に1周するより短くなる()。
  • 中心角を と逆にする。「扇形の弧 底面の円周」から立式すれば間違えない。
  • 展開図の A と A′ を「同じ点だから距離 」としてしまう。切り開いた両端は展開図の上では別の点として扱う。

問8三角形の形状の決定

最難関編正弦定理形状決定

問題

において が成り立つとき、この三角形はどのような形か答えよ。

ヒントを見る

正弦定理で を に置きかえると、両辺に2倍角の形が現れる。 を満たす角の関係は2通り( か、和が )。それぞれ三角形の何を意味するか。

解答・解説

方針

正弦定理で辺を に直すと 、すなわち 。三角方程式として一般解を書くと か 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 辺と角が混じった条件は、正弦定理で辺を角()にそろえると見通しがよい。

を代入すると 。左右とも の形だから、 になる。 が等しい2つの角の関係は、「等しい」か「和が 」の2通り。それぞれが三角形のどんな形を表すかを読む。

定理正弦定理 ( は外接円の半径)

① 角にそろえる。 に正弦定理を代入し、両辺を で割ると

② 三角方程式を解く。 より 。 となるのは

③ 形を読み取る。

  • のとき 。2つの角が等しいから、 の二等辺三角形
  • のとき 。残る角は 、すなわち の直角三角形
ABCabABC
答えの2つの形。左: A=B の二等辺三角形(a=b)。右: C=90° の直角三角形。どちらか一方を満たせばよい(両方満たす直角二等辺もある)

よって は「 の二等辺三角形」または「 の直角三角形」。

まとめ: 辺を正弦定理で角にそろえ、 に持ち込む。 が等しい=「角が等しい」か「和が 」の2通りを、両方書くのが要。形状決定は「どちらか」を落とした時点で誤答になる。

発展。 2つの場合は排反ではない。 の直角二等辺三角形は、両方の条件を同時に満たしている。「または」は「少なくとも一方」の意味で、重なりも許す。単位円で見れば、 は「 と が同じ高さ」で、同じ点か、 軸対称の点かの2通りに対応する。

答

の二等辺三角形、または の直角三角形

別解

辺だけで押し切る(余弦定理ルート)。 を辺で書き下ろして、正弦定理を使わずに解くこともできる。、 を条件式に代入し、両辺に を掛けると

展開して整理する。 が消えて

右辺に移項して因数分解:

よって (二等辺)または (三平方の逆で )。三角方程式の場合分けが因数分解の2つの因数として現れる。ここで を「両辺から割って」消してしまうと、二等辺の答えを自分で捨てることになる。因数の形のまま残すのが原則だ。

ポイント

  • 正弦定理で 。
  • か 。
  • (二等辺)または (直角)。

よくある間違い

  • から だけを取り、「和が 」の枝を落とす。答えが半分になってしまう。この問題でいちばん多い間違いだ。
  • 別解で を両辺から割る。 の場合が消える。0かもしれない式で割らず、因数分解して両方残す。
  • 答えを「二等辺かつ直角」と書く。正しくは「または」(どちらか一方でよく、両方満たす直角二等辺も含む)。