数学I / 図形と計量

図形と計量 ★★★ 応用の問題 全8問

入試標準レベル。複数の考え方を組み合わせる

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 余弦定理と対称式(b+c から2辺を決定)
  2. sinθ+cosθ の値から各三角比を決定
  3. 正四面体の計量(角・高さ・体積)
  4. 円に内接する四角形の角と面積
  5. 測量への応用(2地点からの測角と仰角)
  6. 角の二等分線と中線の長さ
  7. 13-14-15 の三角形(面積・外接円・内接円)
  8. 三角形の形状決定

問1余弦定理と対称式(b+c から2辺を決定)

★★★ 応用余弦定理対称式面積

問題

において、、、 である。

(1) の値を求めよ。

(2) 、 の長さを求めよ。ただし とする。

(3) の面積 を求めよ。

ヒントを見る

だけが与えられ、個別の辺は不明。だが余弦定理の右辺は と 、つまり対称式でできている。個別の辺を追わず、和と積で表せないか。

解答・解説

方針

という条件が目を引く。2辺の和だけがわかっていて、個別の値は不明という設定だ。

ここで思い出したいのが、対称式の変形 。余弦定理 の右辺をこの形に書き直すと、式全体が『 と 』だけで書ける。つまり与えられた和がそのまま使えて、残る未知数は積 1つになる。

和と積がそろえば、解と係数の関係で 、 自体も復元できる。数と式でやった対称式が、図形の中で生きてくる問題だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 。和だけ与えられて個別の辺は不明、という形は対称式のサインだ。

余弦定理に現れる を に書き換える。すると余弦定理そのものが の方程式になる。「定理の式を対称式で読み替える」ことができれば解ける。

60°ABC23√7
∠A = 60°、BC = √7、AB + AC = 5(答: AB = 2、AC = 3)

、、 とおく。条件は だ。

公式余弦定理

(1) 余弦定理より

このままでは 、 は個別にわからない。でも聞かれているのは積 だ。そこで を代入して、式を『和と積の言葉』に書き直す。

よって 、すなわち

(2) 和 と積 がそろった。『和と積がわかれば元の2数がわかる』。解と係数の関係により、、 は の2次方程式

の2解だ。よって で、()より

どちらが でどちらが かは、方程式だけでは決まらない。問題文の大小条件で振り分ける、この最後の詰めを忘れないこと。

(3) 面積公式より

面積公式に入るのは積 そのもの。(1)の結果がそのまま使えて、、 の個別の値は実は要らない。

振り返り。 この問題の決め手は『余弦定理は と 、つまり対称式だけでできている』という観察だ。だから和 が与えられた瞬間に、個別の辺がわからなくても方程式が回り出す。『求めたいものを直接追わず、和と積を追う』。対称式の考え方は方程式の単元を出てもこうして生き続ける。

発展。 この問題は「 と辺の和 を固定すると、向かいの辺 はどこまで動けるか」と一般化できる。

で、 は相加相乗平均より 。等号は のときだ。このとき は最小の 、つまり 。逆に が に近づくと は に近づく。だから の動ける範囲は で、 はちょうどこの中にある。

と を固定したとき、向かいの辺が最短になるのは二等辺のとき。「和が同じなら差が小さいほど積が大きい」という相加相乗の感覚が、図形の長さにそのまま当てはまっている。

答

(1) (2) (3)

別解

別解: を代入して直接 次方程式にするルート(苦手な人向けの素直な計算)。 積 を経由せず、文字を つに減らして素直に解く。

、 とおくと 、だから と書ける。 なので余弦定理は 。ここへ を入れる。

左辺を展開すると だから

または 。 より 、。すると 、面積は 。対称式で積 を先に取り出す本解と、同じ答えに至る。

ポイント

  • 余弦定理の は と対称式に直すと、和・積の情報とつながる
  • 和と積が分かれば の2解として2辺が決まる
  • 面積公式に必要なのは積 だけだ。何が本当に必要かを見極めると計算が減る

よくある間違い

  • で を掛け忘れ、 などとして を誤る。
  • まで出したのに、和と積から 辺を復元する段()を思いつかず、個別の辺のところで手が止まる。
  • を求めた後、 の指定を見落として 、 と逆に答える。

問2sinθ+cosθ の値から各三角比を決定

★★★ 応用相互関係対称式

問題

で

であるとき、次の値を求めよ。

(1)

(2)

(3) 、、

ヒントを見る

和 → 積 → 差 → 個別、と対称式をたどる。山場は差の符号決定。積が負とわかったことと、この範囲で が動く向き、この2つを重ねると の符号まで絞れる。

解答・解説

方針

という1本の式から、、、 をすべて確定させる問題だ。段取りはこうなる。(1)2乗して積 を出す。(2)差 を出す。(3)和と差を連立すれば、足して 、引いて が個別に取り出せる。

山場は(2)の符号決定だ。 の平方根には の2択が出る。でも(1)で積が負とわかること、 で であることを組み合わせると、 の符号まで決まって2択が1つに絞れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 本の式から つの値をすべて確定させる。この問題では段取りの設計が中心になる。

まず和を 乗して積を出す。ここで隠れた式 を使う。和と積が分かれば 数を復元できる。これは対称式の定跡だ。

そこへ「積が負だから のほうが負」という符号の推理が加わる。

公式三角比の相互関係

(1) の両辺を2乗して、 を使うと

積が負。この符号は後で使うので覚えておく。

(2) 差を直接求めることはできないので、まず2乗の値を計算する。和の2乗との違いは中央の項の符号だけだ。

よって 。ここで安易に正を選んではいけない。根拠を積み上げて符号を決める。

では だ。(1)より 、つまり2つは異符号なので、 かつ と決まる。したがって は(正)(負)で正だ。

(3) 和と差を連立する。

辺々加えて より 。辺々引いて より 。

検算: 、

振り返り。 『和 → (2乗して)積 → 差 → 連立で個別の値』という流れは、対称式から元の2数を復元するいつもの道すじだ。計算はほぼ機械的に進むが、唯一頭を使うのが(2)の符号決定。そしてそこで決め手になるのは計算ではなく、『この範囲では は負にならない』という定義域の知識だった。難しい問題ほど、最後の分岐を決めるのは基本事項だ。

発展。 そもそも和 を つ決めるだけで、なぜ積や差まで芋づる式に決まるのか。

理由は、 と が独立ではなく、 つの角 で同時に決まるからだ。この拘束が 、すなわち単位円の方程式そのもの。だから和を とおくと、積は必ず に定まり、差の 乗も と決まってしまう。

合成すると だから、和が取れる値は に限られる。今回の はこの幅の中に収まっており、解が確かに存在することも同時に分かる。

答

(1) (2) (3) 、、

別解

別解:単位円と直線 の交点としてまとめて求めるルート(視覚で捉える)。 、 とおくと、点 は単位円 の上にあり、条件 は直線 を表す。

求めるのは、この円と直線の交点だ。 を円の式に代入する。

よって または 。 では 、すなわち が要る。これを満たすのは のほうだけだ。

このとき 、、。差 もその場で読める。和と積を行き来する本解と、同じ結論に着く。

ポイント

  • 和 → 2乗して積、積 → で差、と対称式の道具でつなぐ
  • 差の符号は「 と積の符号」から論理的に決定する(勘で選ばない)
  • 和と差がそろえば、加減して が個別に取り出せる

よくある間違い

  • から を出したところで、根拠を示さず正の側を選んでしまう。
  • 符号を決める段で の範囲を使わず、 の場合まで延々と調べ続けて時間を失う。
  • 和と差を連立するとき、足して ・引いて の対応を取り違え、 などとする。

問3正四面体の計量(角・高さ・体積)

★★★ 応用空間図形正四面体体積

問題

1辺の長さが の正四面体 がある。辺 の中点を とする。

(1) の値を求めよ。

(2) 頂点 から底面 に下ろした垂線の長さ を求めよ。

(3) 正四面体 の体積 を求めよ。

ヒントを見る

立体はうまい平面で切って平面問題に。(2)で考えるべきは、頂点 から下ろした垂線の足がどこに落ちるかだ。 の対称性から、底面のある特別な点に一致する。それはどこ?

解答・解説

方針

正四面体を前に、どこから手をつけるか。基本の考え方は『立体の問題は、うまい平面で切って平面の問題にする』だ。(1)は辺 の中点 を通る断面 に注目する。中線 、 の長さは正三角形の中でわかるので、3辺がそろって余弦定理が使える。

(2)の決め手は、頂点 から下ろした垂線の足 が底面の重心に一致すること( の対称性による)。重心の性質『中線を に内分』で がわかれば、三平方の定理で高さが出る。(3)は錐の体積公式で仕上げる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 正四面体を前に、まずどこを切るかを決める。

中点 を通る対称面 で切る。この 枚に、必要な量が全部乗る。高さも体積もこの断面の中の直角三角形の計算に帰着する。

HMABCD6
正四面体 ABCD(M は BC の中点、H は A から底面への垂線の足)
定理三平方の定理 ( は斜辺)
公式余弦定理(角を求める形) 、錐の体積 ( 底面積、 高さ)

(1) は1辺 の正三角形なので、中線 は と垂直に交わる。直角三角形 で三平方の定理より

同じように で だ。これで断面 の3辺 、 がそろった。3辺から角を求めるのだから余弦定理だ。

(この角は、正四面体の『辺 を折り目とする面と面のなす角』、つまり二面角と呼ばれる量だ。断面を取ると、立体の角がただの三角形の角になる。これが最初に言った考え方の意味だ。)

(2) 垂線の足を とする。 の位置を特定するのが、この小問の中心になる。 なので、 は 、、 から等距離、つまり の外心。そして正三角形では外心と重心が一致するので、 は の重心だ。

重心は中線 を頂点から に内分するので

直角三角形 で三平方の定理より

(3) 底面 は1辺 の正三角形なので

よって体積は

振り返り。 使った道具は三平方・余弦定理・重心の性質・体積公式と、どれも単体では基本レベルだ。難しさは道具ではなく『どの平面を切り出すか』『 がどこに落ちるか』という空間の見取りにあった。特に『等距離 → 外心 → (正三角形なら)重心』という筋道は、正四面体に限らず対称性のある立体すべてで通用する。結果の より、この筋道を持ち帰ってほしい。

発展。 で求めた は、辺 を折り目とする面 と面 のなす角、いわゆる二面角だ。

正四面体には、もう つ有名な角がある。全体の中心から 頂点を見込む角で、その余弦は 。この角 は、化学でメタン分子の結合角として現れる。 つの角の余弦が と 、和がちょうど になるのは偶然ではない。

体積のほうも、 辺 の正四面体では という一般公式にまとまる。 を入れると で、確かに一致する。

答

(1) (2) (3)

別解

別解:座標を置いて成分計算で押すルート(得意な人向けの視点)。 底面 を水平面に置き、すべて成分で計算する。

を原点にとり 、 とすると 、 は中点になる。 は が正三角形になる位置 ()。頂点 は底面の重心の真上にあり、 とおくと を満たす。

から見て 、。

高さは の 座標そのもので (底面が 、 がその真上だから)。体積は 。断面と重心で攻める本解と、同じ値になる。

ポイント

  • 正四面体の計量は「正三角形の中線 」と「重心の 内分」が部品になる
  • 空間の角は、3辺の長さがそろう三角形を見つけて余弦定理に帰着させる
  • 頂点から等距離 → 垂線の足は外心。正三角形なら重心と一致

よくある間違い

  • 垂線の足 を辺 の中点 と混同し、 をそのまま高さとして を誤る。
  • 重心が中線を分ける比を と逆にとり、 として高さがずれる。
  • どの平面で切るかを決めずに立体のまま各辺を追い、余弦定理を使う三角形が定まらず手が止まる。

問4円に内接する四角形の角と面積

★★★ 応用円に内接する四角形余弦定理面積

問題

円に内接する四角形 において、、、、 である。

(1) とおくとき、 の値を求めよ。

(2) 四角形 の面積 を求めよ。

ヒントを見る

標準で見た型の完成形。対角線で三角形2つに割り、同じ対角線を2通りに表す。 は補角で符号が反転し、 は変わらない。この違いが、(1)で方程式を、(2)で楽な面積計算を生む。

解答・解説

方針

円に内接する四角形。標準問題で扱った型の完成版だ。方針は同じで、対角線 を引いて と に分け、 を2通りに表して等式を作る。

円に内接する条件から 、よって となり、未知数は 1つ。面積では を使うと、2つの三角形の が共通になる。 は反転し は変わらない。この補角の公式の非対称を、両方の場面で使い分ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 標準問題と同じ骨組みで攻める。

対角線で割って を 通りに表し、内接条件で が符号違いになることを使う。完成版では面積も聞かれる。だが つの三角形の面積の和は、同じ でまとめられる。骨組みを再利用して部品を増やす、という構えだ。

A180°−AABCD1234BD
円に内接する四角形(AB = 1、BC = 2、CD = 3、DA = 4)
定理円に内接する四角形は、向かい合う角の和が
公式余弦定理

(1) 円に内接する四角形の対角の和は なので だ。

で余弦定理より

では、 より

。マイナス同士の打ち消しで符号が変わるこの箇所が、この型で最も間違えやすい。両者は同じ対角線の2乗なので等しいとおけて

がきれいな角(60°など)にならないが、それでいい。続きの計算は の値のまま進められる。

(2) 面積公式に必要なのは なので、相互関係で乗りかえる。 より なので

四角形を対角線 で分割する。ここで 。 とちがって は補角で値が変わらないので、2つの三角形の面積が同じ でくくれる。

よって

振り返り。 この型の仕組みを振り返ると、どれも補角の公式の非対称がもとになっている。(反転する)から の2式が異なる式になって方程式が立ち、(変わらない)から面積の2項が同じ でまとまる。『円に内接する四角形を見たら、対角線 + 補角の公式』。型として頭に入れておけば、入試でも初動が迷わない。

発展。 ふつうの四角形は、 辺の長さを決めてもまだ形が定まらない。関節のようにぐにゃぐにゃ動き、面積も変わる。

ところが「円に内接する」という条件を一つ足すと、向かい合う角の和が に固定され、形がただ一つに決まる。三角形が 辺で決まる(合同)のと同じことが、四角形では「 辺 円に内接」で起こる。本解で が一つの値に定まったのは、この一意性の現れだ。

さらに強いことも言える。 辺の長さを固定したとき、面積が最大になるのは円に内接する形のときだ。だから を辺にもつ四角形の面積は、どう変形しても を超えない。

答

(1) (2)

別解

別解:ブラーマグプタの公式で面積を直接出すルート(得意な人向けの高い視点)。 円に内接する四角形の面積には、 辺だけで書ける専用公式がある。

辺を 、 とすると、面積は 。三角形のヘロンの公式の、四角形版だ。いま だから 。

対角線を引かなくても面積が出た。この公式は、じつは本解の「対角線 で つに分け、内接条件で を消す」計算を一般化して整えたもの。内部には が織り込まれている。だから本解と同じ になる。

ポイント

  • 円に内接する四角形は「対角の和 」で が符号反転、 は共通
  • 対角線を2通りの余弦定理で表す → の1次方程式
  • 面積の和は でくくると計算がずっと簡単になる

よくある間違い

  • の符号を落とし、 として方程式を誤る。
  • 面積を出すのに対角線 の長さがいると思い込み、 の計算に入り込んで遠回りする。
  • (補角で不変)に気づかず、 つの三角形の を別物として扱う。

問5測量への応用(2地点からの測角と仰角)

★★★ 応用測量正弦定理仰角

問題

水平な地面の上に塔がまっすぐに立っている。地面上の2地点 は 離れており、塔の真下の地点 に対して

である。また、地点 から塔の先端を見上げた仰角は であった。塔の高さを求めよ。ただし、目の高さは考えないものとする。

ヒントを見る

空間だが、平面2枚に分ければ易しい。地面の三角形と、鉛直に立つ直角三角形だ。地面の三角形である線分の長さを出し、それを鉛直面へ持ちこむ。2枚をつなぐ蝶番はどの線分?

解答・解説

方針

空間の測量と聞くと難しく感じるが、実際は『地面の三角形』と『鉛直に立つ直角三角形』という2枚の平面に分ければ、それぞれはただの平面問題だ。

段取り。まず地面の で内角の和から を出し、正弦定理で を求める(2角1辺 → 正弦定理、の型)。次に塔を含む鉛直面に乗りかえ、仰角 と で高さへ。

2枚の平面をつなぐ蝶番が線分 。1枚目の答えが2枚目の入力になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 空間の測量は 枚の平面に分解する。「地面の三角形」と「鉛直の直角三角形」だ。

各平面に落とせば、ただの既習問題になる。地面で正弦定理を使って を出す。それを鉛直三角形の底辺として、高さへつなぐ。 枚の平面を「共有する辺 」で接続する。この設計図を最初に描く。

定理正弦定理

まず地面の三角形で AC を求める。

75°60°45°ABC100 m50√6 m
地面の三角形 ABC(正弦定理で AC を求める)

まずは地面だけを真上から見る。塔のことはいったん忘れていい。 の内角の和より

2つの角と1辺がわかっている(そして求めたい の対角 、既知の辺 の対角 とペアがそろう)ので、正弦定理を使う。

次に鉛直の直角三角形で高さを求める。

30°TCA50√6 mh
鉛直の直角三角形(仰角 30° から高さを求める)

ここで視点を切りかえる。今度は と塔を含む鉛直な平面を、真横から見る。塔の先端を 、高さを とすると、塔は地面に垂直なので は の直角三角形で、 での仰角が だ。高さと水平距離を結ぶのは だから

( より約 だ。)

振り返り。 実際の測量もこの手順そのものだ。地上で2地点間の距離と角を測り(手順1)、仰角から高さを計算する(手順2)。直接登れない塔の高さが巻尺と分度器だけで求まる。正弦定理と三角比が『測れないものを測る』道具であることを実感できる問題だ。空間図形はいつでも『どの平面を見るか』の宣言から始めること。

発展。 正弦定理の比 の値は、じつは地面の三角形 の外接円の直径 に等しい。

いまは だから、地面の三角形の外接円の半径は 。 つの辺 はすべて、この同じ外接円を通して角と結びついている。だから一辺と二角が分かれば、残りの辺が芋づる式に出る。

空間の測量は「水平面で位置を、鉛直面で高さを」という二段構えが基本だ。測る角や距離の組み合わせは何通りもあり、どの組から入っても同じ塔にたどり着く。この柔軟さが、直接は登れない高さを測れる理由になっている。

答

(約 )

別解

別解:垂線を下ろして直角三角形だけで を出すルート(正弦定理を使わない)。 地面の で、 から辺 に垂線を下ろし、足を とする。、 はどちらも鋭角なので、 は と のあいだにある。

直角三角形 で 、。直角三角形 で 。 だから

ここで 、 を入れると、カッコの中はきれいに にまとまる。よって 。あとは鉛直の直角三角形で 。正弦定理で を出す本解と、同じ答えに届く。

ポイント

  • 空間の測量は「水平面の三角形(正弦定理)」+「鉛直面の直角三角形()」に分解する
  • 水平面では2角と1辺 → 正弦定理、鉛直面では仰角 → がよく使う組み合わせ
  • のような根号計算を正確に

よくある間違い

  • に対応する対角を でなく ととり、正弦定理の辺と角の対応を崩す。
  • 地面の三角形と鉛直の三角形を一枚に描こうとして、どの角が仰角かを見失い手が止まる。
  • 仰角の を でなく底辺 に掛けてしまい、高さを誤る。

問6角の二等分線と中線の長さ

★★★ 応用角の二等分線中線余弦定理

問題

において、、、 である。

(1) 辺 の長さを求めよ。

(2) の二等分線と辺 の交点を とするとき、 の長さを求めよ。

(3) 辺 の中点を とするとき、 の長さを求めよ。

ヒントを見る

1つの三角形に二等分線と中線が同居。得意な道具が違う。二等分線は面積分割、中線は共有する角を経由して2段構えで求める。2つの三角形が『何を共有しているか』に注目。

解答・解説

方針

1つの三角形の中に、角の二等分線 と中線 という2種類の線分が同居する問題だ。それぞれに合う道具がちがう。ここがポイントだ。

二等分線は『面積の分割』()で1次方程式に持ちこむのが速い。中線は『余弦定理2回』。まず で を求め、それを で再利用する。

角 が2つの三角形に共有されていることが、この2段構えを可能にしている。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 二等分線 と中線 が同居している。だが使う道具は別だ。

最初にそう仕分けるのが発想の核になる。二等分線は「面積の分割」で攻める。中線は「 で余弦定理」だ。その は元の三角形から先に求めておく。線分の種類ごとに定跡ルートを割り当ててから、順に処理する。

60°60°ABCDM42
二等分線 AD と中線 AM(BD : DC = 2 : 1、M は BC の中点)
公式余弦定理 、三角形の面積 、中線定理

(1) 余弦定理より

よって だ。 の負号と、その前の の負号が打ち消し合って足し算になる。鈍角の余弦定理では2乗の和より大きくなる()ことを検算代わりにするとよい。

(2) は を二等分するので だ。面積の関係 より

なので

(3) 中線 には面積の関係が使えない( は角を二等分しないので が共通にならない)。代わりに、角 を経由する。まず で を求める。

この角 は小さい三角形 の角でもある。ここが乗りかえポイントだ。 は の中点なので 。 で余弦定理より

どうしが約分されてきれいに消える。よって だ。(検算: 中線定理 に代入すると となり、確かに成り立つ。)

振り返り。 『二等分線なら面積分割、中線なら余弦定理2回(共有角を経由)』という道具の対応が今回の収穫だ。どちらの解法も、2つの三角形が何を共有しているかに注目すれば解ける。二等分線では等しい角()と共通の 、中線では共通の角 。図形問題で複数の三角形が現れたら、まず共有物を探す癖をつけたい。

発展。 から辺 上の点へ引いた線分(チェバ線と呼ぶ)の長さには、どの点にも使える公式が つある。スチュワートの定理だ。

を点 が 、 に分けるとき、線分 について が成り立つ(、)。

中点なら を入れると中線定理に、二等分線なら を入れると二等分線の長さの公式になる。今回の中線 も二等分線 も、同じ1つの定理の特別な場合である。線分の種類ごとに別々の道具を使ったが、上から見ると一つの式に収まっている。

答

(1) (2) (3)

別解

別解:座標を置いて つとも距離計算で片づけるルート(得意な人向けの視点)。 頂点 を原点、辺 を 軸に置く。

、。、 だから 。まず 。

は二等分線と の交点。二等分線は対辺を隣り合う辺の比に分けるので 、よって

中点は で、。面積分割と を使い分ける本解と、 つとも同じ値になる。

ポイント

  • 角の二等分線の長さは「面積の和」で1次方程式に持ち込むのが最速
  • 中線の長さは「 を求めてから小さい三角形で余弦定理」の2段構え
  • 中線定理 は検算に便利

よくある間違い

  • の負号を落とし、 として辺の長さを誤る。
  • 中線 も二等分線と同じ面積分割で出そうとするが、 は角を分けないので が共通にならず行き詰まる。
  • (3) で を勝手に直角とみなし、中線を垂線と取り違える。

問713-14-15 の三角形(面積・外接円・内接円)

★★★ 応用余弦定理正弦定理外接円内接円面積

問題

において、、、 である。

(1) と の値を求めよ。

(2) の面積 を求めよ。

(3) 外接円の半径 と内接円の半径 を求めよ。

ヒントを見る

3辺さえあれば、 → → 面積 → 外接円 → 内接円 と一本道で全部出せる。新しい技はない。基本の道具を正しい順につなぐだけだ。まず1つの角の を辺から。

解答・解説

方針

3辺 、、 だけから、・・面積・外接円・内接円と、この単元の主要な量をすべて求める総合問題だ。流れは一本道。①余弦定理で (3辺があれば必ず出せる)。②相互関係で 。③面積公式。④正弦定理で外接円、面積の関係 (周)で内接円。

新しい技はひとつもない。問われているのは、基本の道具を正しい順序でつなぐ構成力だ。ちなみに は面積が整数になる有名な三角形で、入試でも繰り返し登場する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 辺だけから全部を出す総合問題だ。新しい発想は要らない。ルートの接続がすべてになる。

道すじはこうだ。余弦定理()→ 相互関係()→ 面積 → 正弦定理()→ ()。どの量がどの道具から出るか、依存関係の地図を先に描く。あとは一本道で進む。

IrBCA141315
13-14-15 の三角形と内接円(r = 4)・外接円(R = 65/8)
公式余弦定理 、面積 、外接円 、内接円

(1) 角 をはさむ2辺は 、、対辺は だ。余弦定理より

数が大きくて身構えるが、約分すると 。きれいな分数に落ち着く(そうなるように設計された三角形だ)。 より なので

、、。直角三角形の有名な組がここで出てくる。

(2) 面積公式より

が約分で消えて、面積は整数 になる。

(3) 外接円。 正弦定理は『角と対辺のペア』で動く。手元にあるのは角 なので、その対辺 と組ませる。 より

内接円。 面積を2通りに表す関係 より

振り返り。 この一連の流れ『余弦定理 → → 面積 → 、』は、3辺さえ与えられればどんな三角形でも実行できる手順だ。逆に言えば、3辺が決まれば三角形のすべての量が決まる(合同条件の計算版)ということ。各定理はその『決まっているはずの量』を取り出す手続きにすぎない。この見方ができると、図形と計量の全体が1枚の地図としてつながる。

発展。 の三角形は、外接円半径 と内接円半径 が両方きれいに出る、教科書の名物だ。

この つの円の中心、外心 と内心 の距離には、オイラーの定理という公式がある。 だ。入れてみると となる。

この式から、どんな三角形でも が従う(オイラーの不等式、等号は正三角形のとき)。実際 は をわずかに上回るだけ。 と がここまで近いことから、この三角形が正三角形にかなり近い形だと読み取れる。

答

(1) 、 (2) (3) 、

別解

別解:高さで つの直角三角形に割るルート(苦手な人向けの具体・視覚)。 を底辺に置き、頂点 から下ろした垂線の足を 、、 とおく。

つの直角三角形で三平方の定理を書く。 から 、 から 。 の式から の式を引くと 、つまり 。すると 、。

これで は辺 、 は辺 の直角三角形とわかる。直角三角形の比から直接

外接円は から 、内接円は から 。余弦定理から始める本解と、すべて一致する。

ポイント

  • 3辺 → → → 面積 → という単元総まとめの計算リレー
  • は正弦定理()、 は
  • 三角形()は覚えておくと検算に使える有名例

よくある間違い

  • を求めるとき、 に対応する対辺を でなく や ととって値を誤る。
  • 内接円の で を落とし、 としてしまう。
  • 面積 の依存の順を決めずに手を動かし、まだ出ていない量を使おうとして堂々巡りになる。

問8三角形の形状決定

★★★ 応用正弦定理余弦定理形状決定

問題

において、等式

が成り立つとき、この三角形はどのような形の三角形か。ただし、、、 とする。

ヒントを見る

角と辺が混ざった式は扱いにくい。すべて辺の言葉に統一しよう。整理して『(何か)×(何か)』の形へ。ここで決して割ってはいけないものがある。それを割ると、1つの場合を丸ごと落とす。

解答・解説

方針

『 を満たす三角形はどんな形か』。形状決定と呼ばれる型だ。角と辺が混ざった式は扱いにくいので、まずやることはすべてを辺の言葉に統一すること。

余弦定理の変形 を代入すれば、式は辺だけの多項式になる。あとは『』の形に整理して因数分解する。現れた各因数がそれぞれ1つの図形的な性質(二等辺・直角)に対応する。

因数を1つ見つけて満足しないこと。『または』で結ばれたすべての場合が答えだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「どんな形の三角形か」と問われている。角と辺が混ざった式は、まず言葉を統一する。

余弦定理で を辺だけの式に置き換える。すると条件式は辺だけの代数方程式になる。あとは因数分解して「 または…」と読む。各因数がどんな三角形を表すかを読み取る。

「幾何 → 代数 → 幾何」の往復が形状決定の定跡だ。

公式余弦定理(角を求める形)

まず余弦定理で辺の式に直す。

を与式に代入すると

両辺に を掛けて分母を払うと

見た目は4次式でこわいが、やることは展開と整理だけだ。

整理して因数分解する。 展開すると

両辺の を消して左辺に集めると

ここからが因数分解の見せどころ。 を含む項と含まない項でグループ分けする。

なので、共通因数 がくくり出せて

途中で で割ってはいけない。 の可能性を勝手に消すことになるからだ。割らずに、くくる。

各因数を図形の言葉で言い換える。

、 なので は を意味する。また は、三平方の定理の逆により を意味する。

ABCaba = bABC∠C = 90°
結論: a = b の二等辺三角形、または ∠C = 90° の直角三角形

結論。 は

だ(両方を同時に満たす直角二等辺三角形も含まれる)。

振り返り。 形状決定の失点パターンは決まっている。①因数分解の途中で で割ってしまい、二等辺の場合を落とす。②因数 を『直角三角形』とだけ書いて、どの角が直角か()を明示しない。この2つだ。『割らずにくくる』『因数はすべて拾い、図形の言葉に正確に言い換える』。この2つを守れば、どんな形状決定にも同じ手順で立ち向かえる。

発展。 形状決定でいちばん怖いのは途中で場合を落とすことだ。それを防ぐ見方がある。

条件式 を辺だけの式に直すと 。この式は と を入れ替えても、左辺と右辺がちょうど入れ替わるだけで全体は変わらない。移項して差を とおいた形は、入れ替えで符号が反転する(反対称)から、必ず を因数にもつ。だから「 の二等辺」は初めから解になることが決まっている。

残りの因数 が、もう一つの特殊な形(直角)を決める。条件が について対称なら二等辺が、非対称な残りが直角を生む。この「対称性から二等辺因数を先読みする」見方は、どの形状決定でも役に立つ。

答

の二等辺三角形、または の直角三角形

別解

別解:正弦定理で角の式に直すルート(得意な人向けの視点)。 辺を消して、代わりに角だけの式にしてみる。

正弦定理より 、( は外接円の半径)。これを条件 に入れると、両辺の が消えて

( を使った。) の範囲で となるのは、 か のとき。

前者は 、すなわち の二等辺三角形。後者は 、つまり の直角三角形。この解き方は「割る」操作をしないので、場合を落とす心配がない。辺の因数分解で攻める本解と、まったく同じ 通りの結論に達する。

ポイント

  • 形状決定は「角の式 → 余弦定理・正弦定理で辺だけの式 → 因数分解」の流れ
  • 「」の各因数がそれぞれ1つの形状に対応する。全部挙げる
  • (辺は正)、(三平方の逆)

よくある間違い

  • で両辺を割ってしまい、 の二等辺三角形の場合をまるごと落とす。
  • 因数 を「直角三角形」とだけ書き、直角が最長辺 の対角 であることを示さない。
  • か の片方だけを解にして、「または」で結ぶもう一方を書き忘れる。