共通テスト物理・物理基礎の対策 — グラフ・実験・現象の3形式
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
共通テストの物理と物理基礎は、計算量が少ない代わりに、「グラフを読む」「実験の結果を考察する」「日常の現象を物理で説明する」という設問が多い試験です。計算が速くても、グラフの読み取りで迷うと時間を失います。この記事では、共通テスト特有の出題形式と、それぞれに効く準備を説明します。
出題形式は3つ
1つ目は、グラフの読み取りです。v-tグラフ、P-Vグラフ、波形のグラフ、電流と電圧の特性曲線などを見て、「正しいものを選ぶ」「傾きや面積から値を求める」設問です。物理基礎では、v-tグラフの面積が変位、傾きが加速度、という読み方が毎年のように出ます。このサイトの運動の表し方は、32問中31問にグラフの図を付けてあるので、グラフから式を立てる練習にそのまま使えます。
2つ目は、実験の考察です。気柱の共鳴、弦の振動、比熱の測定、電池の内部抵抗の測定など、教科書の実験を題材に、「測定値からどう値を求めるか」「誤差の原因は何か」を問います。波の性質と音の気柱共鳴の実験(開口端補正)、直流回路の計器の系統誤差、単振動の重力加速度の測定(難関編)は、実験考察の練習になります。
3つ目は、日常の現象の説明です。エアバッグはなぜ衝撃を減らすのか、変圧器はなぜ交流でしか使えないのか、夕焼けはなぜ赤いのか、といった設問で、公式より「原理を言葉で説明できるか」が問われます。このサイトの解説は、「⓪ 発想」で「なぜその法則を使うのか」を言葉で書いてあるので、解いたあとにその段落を自分の言葉で言い直す練習をしてください。
物理基礎の重点
物理基礎は、力学が配点の半分を占めます。運動の表し方、力と運動の法則、仕事と力学的エネルギーの3単元を、基礎と標準まで確実にしてください。とくに「力の図示」と「エネルギーの収支」は、物理基礎の大問の骨格です。力と運動の法則は全32問に力の図を付けてあり、仕事と力学的エネルギーはエネルギーの棒グラフで収支を見せています。
熱・波・電気は、それぞれ大問1つ分です。熱では状態変化のグラフと熱量保存、波では定常波と気柱、電気では回路の合成と電力が定番です。
物理の重点
専門の物理では、力学・熱力学・波動・電磁気・原子から満遍なく出題され、選択問題はありません。範囲が広いので、「捨て分野」を作ると大問1つを丸ごと失います。
力学では、運動量保存とエネルギー保存の使い分け、円運動と単振動の運動方程式が中心です。熱力学では、P-Vグラフ上のサイクルで各過程の熱と仕事を表にする問題が定番です。波動では、ドップラー効果と光の干渉が頻出で、「波長が縮む向き」「位相の反転の数」を図で判断する力が問われます。電磁気では、コンデンサーの極板操作、導体棒とレール、交流の実効値とリアクタンスが出ます。原子は、光電効果のグラフと核反応のエネルギー計算です。
物理の勉強法に、分野ごとの学習の順序をまとめてあります。
選択肢問題の攻め方
共通テストの物理は、数値を求める問題でも選択肢から選ぶ形式です。これを逆に使うと、次の2つの技術が効きます。
1つ目は、次元(単位)のチェックです。求める量が速さなら、選択肢の式が の次元をもつものだけが候補です。 は速さの次元ですが、 はそうではありません。この確認だけで選択肢が半分に減ることがあります。
2つ目は、極限のチェックです。質量を0にしたとき、角度を0にしたとき、抵抗を無限大にしたとき、答えがどうなるべきかを考え、その振る舞いをしない選択肢を消します。このサイトの物理の解説では、「3つの極限で検算する」という形でこの技術を随所に使っています。
時間配分と直前期
物理は大問ごとに独立しているので、得意な分野から解いて構いません。1つの設問で3分止まったら次に進む、というルールは数学と同じです。グラフの読み取りは、慣れていれば速く、慣れていなければ時間を食うので、過去問でグラフ問題だけを抜き出して練習すると効率がよいです。
直前期は、間違えた問題の「よくある間違い」の項目を読み直し、単位の換算(cm と m、g と kg、℃ と K)と符号の取り決め(正の向き)の確認に時間を使ってください。計算ミスを減らす方法の物理の節に、よくあるミスの型をまとめてあります。
実験考察問題の読み方
実験の問題は、「装置の説明 → 測定の手順 → 測定値の表かグラフ → 設問」の順に書かれています。設問から先に読んで、「何を求めるのか」「表のどの列を使うのか」を決めてから、装置の説明に戻ると、読む量が減ります。
測定値からグラフの傾きや切片を読んで物理量を求める設問では、「縦軸と横軸が何か」「傾きの単位は何か」を最初に確認します。電池の端子電圧のグラフなら、横軸が電流、縦軸が電圧で、傾きが内部抵抗、切片が起電力です。光電効果のグラフなら、横軸が振動数、縦軸が電子の最大運動エネルギーで、傾きがプランク定数です。この「傾きが何を表すか」は、直流回路の標準「端子電圧のグラフから E と r を求める」と、原子の標準「光電効果のグラフからプランク定数」で練習できます。
誤差の原因を問う設問では、「測定値が大きく出るか小さく出るか」を、原因から筋道立てて説明できるかが問われます。気柱共鳴の開口端補正、電流計の内部抵抗による過大評価、電圧計の内部抵抗による過小評価は、教科書レベルの典型で、波の性質と音と直流回路に該当する問題があります。
図を描く時間を惜しまない
共通テストの物理は時間が短いので、図を描く時間を惜しみたくなります。ただ、力の図示、v-tグラフ、波形、回路図は、描いたほうが結局速く解けます。描かずに頭の中で処理して符号を間違え、見直しで時間を失う、というのが典型的な失点パターンです。図の描き方の型は、図をかく技術にまとめてあります。