物理 / 直流回路

電子が受ける抵抗力からオームの法則を導く

★★★★ 難関オームの法則自由電子ジュール熱

問題

長さ 、断面積 の導線の両端に電圧 をかける。導線の中の自由電子(電荷 、単位体積あたりの個数 )は、電場から力を受けて加速されるが、導線の中の陽イオンなどとの衝突の効果として、速さ に比例する抵抗力 を受けるとする。電子の速さは電場をかけるとすぐに一定になるとする。

電場LS自由電子
長さ L、断面積 S の導線の中の自由電子と、導線に沿う電場

(1) 電子の速さが一定になったときの速さ を、、、、 で表せ。

(2) 導線を流れる電流を求め、オームの法則が成り立つことを確認せよ。また、抵抗率を 、、 で表せ。

(3) 銅の抵抗率は 、自由電子の個数は である。 の値を求めよ。電気素量は とする。

(4) 、 の銅線に の電流が流れているとき、電子の速さと、電場が導線の中のすべての電子に1秒あたりにする仕事を求め、それがジュール熱 に等しいことを確認せよ。

(5) 電子の質量を とする。電子の速さが一定になるまでの時間の目安 を求めよ。

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電子の速さが一定のとき、電子にはたらく力はどんな関係にあるか。電流を電子の速さで表す式に、その速さを代入するとどうなるか。

解答・解説

方針

電子が受ける電場の力 と抵抗力 がつり合うと、速さが一定になる。電流は なので、 を代入すると は に比例し、オームの法則が導かれる。電場が電子にする仕事は、抵抗力に逆らう仕事として熱になり、その仕事率は に等しい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 導線の中の電場は で、電子は大きさ の力を受ける。抵抗力 がこれとつり合うと、電子は一定の速さで移動する。

電流は単位時間に断面を通過する電子の電荷 で表される。速さが電圧に比例すれば電流も電圧に比例し、オームの法則が成り立つ。

① 一定になったときの速さ。 電場の力と抵抗力がつり合う。

② 電流とオームの法則。

は に比例するので、オームの法則が成り立つ。抵抗は で、 と比較すると、抵抗率は である。

重要電子が速さに比例する抵抗力を受けると、電流は電圧に比例する。抵抗率は

③ 銅の 。

④ 電子の速さと仕事率。 電子の速さは次のとおりである。

抵抗は で、電圧は である。導線の中の電子の数は 個で、電場が1秒あたりにする仕事は次のようになる。

tvOm/k2.5
電場をかけてからの時間 t [10⁻¹⁴ s] と電子の速さ v [10⁻⁴ m/s]。m/k 程度の時間で一定の速さに近づく

に等しい。電子の速さは一定なので、電場がした仕事は運動エネルギーにならず、抵抗力に逆らう仕事としてすべて熱になる。

⑤ 速さが一定になるまでの時間の目安。

電場をかけてから、ごく短い時間で電子の速さは一定になる。

まとめ 電子が速さに比例する抵抗力を受けるとすると、力のつり合いからオームの法則が導かれ、抵抗率は になる。電場がする仕事は抵抗力に逆らう仕事として熱になり、ジュール熱 に一致する。

発展。 このような自由電子のモデルはドルーデの模型とよばれる。温度が上昇すると陽イオンの振動が激しくなって衝突の効果が大きくなり、 が増加するので、金属の抵抗率は温度とともに増加する。

答

(1) (2) で に比例し、抵抗は 、抵抗率は (3) 約 (4) 速さ 、仕事率約 。 で に等しい (5) 約

別解

別解:電子1個が受ける抵抗力の仕事率から熱を求める。 速さ で移動する電子1個に、抵抗力 がする仕事率は で、この分だけ熱が発生する。導線全体では である。

④と同じ値になる。、 を代入すると、 が文字式でも確認できる。

ポイント

  • 電場の力 と抵抗力 のつり合いで、電子の速さが一定になる
  • に代入すると 。抵抗率は
  • 電場がする仕事は抵抗力に逆らう仕事として熱になり、

よくある間違い

  • 電場から絶えず力を受ける電子は、限りなく加速すると考える。抵抗力とつり合うと、速さは一定になる
  • 電場が電子にする仕事は、電子の運動エネルギーになると考える。速さが一定なので運動エネルギーは変化せず、仕事はすべて熱になる
  • 抵抗率を とする。抵抗力が大きい(k が大きい)ほど電流が流れにくく、抵抗率は である