物理 / 光
光ファイバーの中で光の到着時刻がずれる
問題
長さ の光ファイバーがある。コアの屈折率は で、クラッドとの境界での臨界角 は を満たす。真空中の光の速さを とする。
光ファイバーの一端から短い光のパルスを入射させると、中心軸に平行に進む光と、境界で全反射をくり返しながら斜めに進む光がある。
(1) コアの中の光の速さを求めよ。
(2) 中心軸に平行に進む光が、他端に到達するまでの時間を求めよ。
(3) 境界に臨界角で入射しながら全反射をくり返す光について、ファイバーの中を進む経路の長さは、中心軸の長さの何倍か。
(4) (2)の光と(3)の光の、到着時刻の差を求めよ。
(5) パルスを一定の間隔で次々に送信するとき、パルスの間隔は(4)の到着時刻の差より長くする必要がある。1秒間に送信できるパルスの数の上限は、およそいくらか。
ヒントを見る
境界に臨界角 で入射する光は、中心軸と何度の角をなして進むか。その光の経路を中心軸に沿う長さとの比で表すとどうなるか。
解答・解説
方針
コアの中の光の速さは で、どの光も同じ速さで進む。到着時刻の差は経路の長さの違いから生じる。臨界角で境界に入射する光は、中心軸と の角をなして進むので、経路の長さは中心軸の長さの 倍になる。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) コアの中では、どの向きに進む光も同じ速さ で進む。それでも到着時刻に差が生じるのは、斜めに進む光ほど、ジグザグに進む経路が長いからである。
全反射で閉じ込められる光のうち最も斜めに進むのは、境界に臨界角で入射する光である。その光の経路の長さを中心軸の長さと比較すれば、到着時刻の差の最大値が求まる。
① コアの中の光の速さ。
② 中心軸に平行に進む光の時間。
③ 最も斜めに進む光の経路の長さ。 境界に臨界角 で入射する光は、境界の法線と の角をなすので、中心軸とは の角をなして進む。中心軸に沿って長さ 進む間に、光は だけ進む。反射しても中心軸とのなす角は変化しないので、全体の経路の長さは次のとおりである。
④ 到着時刻の差。 経路が 倍なので、時間も 倍になる。
⑤ 送信できるパルスの数の上限。 1つのパルスは到着するまでに、時間の幅が約 になる。次のパルスと重ならないように、間隔をこれより長くする必要がある。
1秒間に送信できるパルスの数は、およそ 個が上限である。ファイバーが長くなると時間差は長さに比例して大きくなり、上限はさらに小さくなる。
まとめ 光ファイバーの中では、全反射の角度によって経路の長さが異なり、同時に入射した光でも到着時刻に差が生じる。その差は に比例するので、コアとクラッドの屈折率を近い値にして を に近づけるほど小さくなる。
発展。 コアの屈折率を中心ほど大きく、外側ほど小さくしたファイバーでは、斜めに進む光ほど、光が速く進む外側の部分を長く通るので、経路の長さの差が打ち消されて到着時刻が一致しやすくなる。
(1) (2) (3) 倍 (4) 約 (5) 約 個
別解
別解:中心軸に沿う速さの成分で考える。 最も斜めに進む光は速さ で、中心軸と の角をなして進む。中心軸に沿う速さの成分は である。
他端に到達するまでの時間は で、③④と同じ結果になる。反射のたびに向きは変化するが、中心軸に沿う成分の大きさは変化しないので、全体の時間を1回の計算で求められる。
ポイント
- コアの中ではどの光も同じ速さ 。到着時刻の差は経路の長さの差
- 臨界角で入射する光は軸と をなし、経路は軸の長さの 倍
- 到着時刻の差がパルスの間隔の下限になり、1秒間に送信できる数を制限する
よくある間違い
- 斜めに進む光の経路を とする。 は境界の法線とのなす角で、軸とのなす角は である
- 時間の計算に真空中の光の速さ を用いる。コアの中では である
- 斜めに進む光は全反射のたびに遅くなると考える。全反射では速さは変化せず、時間差は経路の長さだけで生じる