物理 / 光

光ファイバーの中で光の到着時刻がずれる

★★★★ 難関全反射光ファイバー光の速さ

問題

長さ の光ファイバーがある。コアの屈折率は で、クラッドとの境界での臨界角 は を満たす。真空中の光の速さを とする。

光ファイバーの一端から短い光のパルスを入射させると、中心軸に平行に進む光と、境界で全反射をくり返しながら斜めに進む光がある。

クラッドコア n₁=1.50
中心軸に平行に進む光(青)と、境界で全反射をくり返して斜めに進む光(赤)。斜めの角度は誇張して描いている

(1) コアの中の光の速さを求めよ。

(2) 中心軸に平行に進む光が、他端に到達するまでの時間を求めよ。

(3) 境界に臨界角で入射しながら全反射をくり返す光について、ファイバーの中を進む経路の長さは、中心軸の長さの何倍か。

(4) (2)の光と(3)の光の、到着時刻の差を求めよ。

(5) パルスを一定の間隔で次々に送信するとき、パルスの間隔は(4)の到着時刻の差より長くする必要がある。1秒間に送信できるパルスの数の上限は、およそいくらか。

ヒントを見る

境界に臨界角 で入射する光は、中心軸と何度の角をなして進むか。その光の経路を中心軸に沿う長さとの比で表すとどうなるか。

解答・解説

方針

コアの中の光の速さは で、どの光も同じ速さで進む。到着時刻の差は経路の長さの違いから生じる。臨界角で境界に入射する光は、中心軸と の角をなして進むので、経路の長さは中心軸の長さの 倍になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) コアの中では、どの向きに進む光も同じ速さ で進む。それでも到着時刻に差が生じるのは、斜めに進む光ほど、ジグザグに進む経路が長いからである。

全反射で閉じ込められる光のうち最も斜めに進むのは、境界に臨界角で入射する光である。その光の経路の長さを中心軸の長さと比較すれば、到着時刻の差の最大値が求まる。

① コアの中の光の速さ。

② 中心軸に平行に進む光の時間。

③ 最も斜めに進む光の経路の長さ。 境界に臨界角 で入射する光は、境界の法線と の角をなすので、中心軸とは の角をなして進む。中心軸に沿って長さ 進む間に、光は だけ進む。反射しても中心軸とのなす角は変化しないので、全体の経路の長さは次のとおりである。

90°−θc軸に沿う長さ Δx経路 Δx/sinθc
最も斜めに進む光は軸と 90°−θc の角をなす。軸に沿って Δx 進む間に、経路は Δx/sinθc になる(角度は誇張して描いている)

④ 到着時刻の差。 経路が 倍なので、時間も 倍になる。

重要全反射で進む光のうち最も斜めの光の経路は、軸の長さの 倍。到着時刻の差は

⑤ 送信できるパルスの数の上限。 1つのパルスは到着するまでに、時間の幅が約 になる。次のパルスと重ならないように、間隔をこれより長くする必要がある。

1秒間に送信できるパルスの数は、およそ 個が上限である。ファイバーが長くなると時間差は長さに比例して大きくなり、上限はさらに小さくなる。

まとめ 光ファイバーの中では、全反射の角度によって経路の長さが異なり、同時に入射した光でも到着時刻に差が生じる。その差は に比例するので、コアとクラッドの屈折率を近い値にして を に近づけるほど小さくなる。

発展。 コアの屈折率を中心ほど大きく、外側ほど小さくしたファイバーでは、斜めに進む光ほど、光が速く進む外側の部分を長く通るので、経路の長さの差が打ち消されて到着時刻が一致しやすくなる。

答

(1) (2) (3) 倍 (4) 約 (5) 約 個

別解

別解:中心軸に沿う速さの成分で考える。 最も斜めに進む光は速さ で、中心軸と の角をなして進む。中心軸に沿う速さの成分は である。

他端に到達するまでの時間は で、③④と同じ結果になる。反射のたびに向きは変化するが、中心軸に沿う成分の大きさは変化しないので、全体の時間を1回の計算で求められる。

ポイント

  • コアの中ではどの光も同じ速さ 。到着時刻の差は経路の長さの差
  • 臨界角で入射する光は軸と をなし、経路は軸の長さの 倍
  • 到着時刻の差がパルスの間隔の下限になり、1秒間に送信できる数を制限する

よくある間違い

  • 斜めに進む光の経路を とする。 は境界の法線とのなす角で、軸とのなす角は である
  • 時間の計算に真空中の光の速さ を用いる。コアの中では である
  • 斜めに進む光は全反射のたびに遅くなると考える。全反射では速さは変化せず、時間差は経路の長さだけで生じる