物理 / 光

空気の屈折率を干渉縞の数から求める

★★★★ 難関光路長マイケルソン干渉計屈折率

問題

マイケルソン干渉計の一方の光路に、長さ の透明な容器(セル)を配置する。光はその先の鏡で反射して逆向きに進むので、セルを往復して2回通過する。光源は真空中の波長 のレーザーで、セルの壁の厚さは無視する。

はじめセルの中を真空にしておき、少しずつ空気を注入して大気圧にすると、その間に観測点を明線が 本通過した。

半透明鏡レーザーセル鏡鏡観測点L
マイケルソン干渉計の一方の光路にセルを配置する。光はセルを往復して通過する

(1) セルの中の気体の屈折率が のとき、真空のときと比較して、この光路の光路長はどれだけ長くなるか。

(2) 観測点を明線が1本通過するとき、2つの光路の光路差はどれだけ変化したか。

(3) 大気圧の空気の屈折率を求めよ。

(4) 大気圧の空気中では、光の波長は真空中の何倍か。空気中と真空中の波長の違いは何 % か。

(5) セルの長さだけを2倍にして同じ操作を行うと、通過する明線の数はどうなるか。

ヒントを見る

屈折率 の物質の中を距離 進むときの光路長はいくらか。光はセルを何回通過するか。明暗が1回くり返されるとき、光路差は何だけ変化しているか。

解答・解説

方針

屈折率 の物質の中を距離 進む光の光路長は である。セルを往復するので、空気を注入すると光路長は だけ長くなる。光路差が1波長変化するごとに明線が1本通過するので、通過した本数から光路長の変化、さらに屈折率が求まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 空気の屈折率は にきわめて近く、 はわずかな値である。この差を直接測定するのは難しいが、干渉では、光路差が1波長変化するごとに明暗が1回交替する。

セルに空気を注入していくと、一方の光路の光路長だけが少しずつ長くなり、そのたびに明線が観測点を通過する。通過した本数を計数すれば、光路長の変化が波長を単位として正確に求まる。

① 光路長の変化。 屈折率 の物質の中を距離 進む光の光路長は である。真空では なので、 だけ増加する。光はセルを往復して 進むので、増加は次のとおりである。

公式光路長 屈折率 距離。光路差が 変化するごとに、明暗が1回交替する

② 明線1本あたりの変化。 観測点で明暗が1回交替するのは、2つの光路の光路差が真空中の波長 だけ変化したときである。

③ 屈折率。 明線が 本通過したので、光路長の増加は である。

大気圧の空気の屈折率は である。

(n−1)×10⁴O大気圧2.9明線 46 本ぶん
空気を注入していく間の n−1(単位 10⁻⁴)。大気圧で 46 本の明線が通過し、n−1≒2.9×10⁻⁴ になる。横軸はセルの中の気圧で、n−1 は気圧にほぼ比例する

④ 空気中の波長。 物質中の波長は真空中の 倍なので、次のようになる。

空気中の波長は真空中より約 短い。精密な測定では、この違いを補正する必要がある。

⑤ セルを長くしたとき。 光路長の増加 は に比例するので、通過する明線の数も 倍の 本になる。セルが長いほど多くの明線が通過し、屈折率をより精密に求められる。

まとめ 光路長は屈折率と距離の積で、干渉では光路差が1波長変化するごとに明暗が交替する。わずかな屈折率の差も往復の距離と明線の本数から波長を単位として求められる。

発展。 空気の屈折率は気圧や温度によってわずかに変化する。気体の分子の数が多いほど が大きくなるので、セルの中の気圧を変化させながら明線の本数を計数すれば、 が気圧に比例することも確認できる。

答

(1) (2) 真空中の波長 だけ変化する (3) (4) 倍で、約 短い (5) 倍の 本

別解

別解:セルの中に含まれる波の数で考える。 真空中の波長 の光は、往復 の中に 個の波を含む。屈折率 の空気中では波長が になるので、同じ距離に 個の波が含まれる。

空気を注入することで増加する波の数は で、波が1個増加するごとに明暗が1回交替する。これが に等しいので、次の式が成り立つ。

③と同じ式で、 が得られる。往復で の中に約 万個の波が含まれていて、空気を注入するとそれが 個だけ増加する。

ポイント

  • 光路長は屈折率 距離。屈折率 の中を 進むと、真空より 長い
  • 往復するので光路長の変化は 。明線1本で光路差
  • 明線の本数を計数すると、わずかな屈折率の差 を波長を単位として求められる

よくある間違い

  • 光がセルを1回だけ通過するとして、 とする。鏡で反射して往復するので である
  • 光路長の変化を とする。真空でも光は 進むので、増加は である
  • 明線1本の通過で、光路差が 変化したと考える。鏡を移動させるときの「鏡の移動 」と混同している。光路差としては である