物理 / 光
凸レンズと平面鏡で焦点距離を測定する
問題
焦点距離 の凸レンズの後方に、光軸に垂直な平面鏡を配置する。レンズの前方の、光軸から少し離れた位置に、明るい小さな物体(光源)Q を配置する。レンズと鏡の距離を とし、光軸に近い光線だけを考える。
(1) Q をレンズの焦点面(レンズから 前方の、光軸に垂直な面)の上に配置すると、レンズを通過して鏡で反射し、再びレンズを通過した光は、Q と同じ面の上に像を結ぶ。その理由を、Q から発した光がレンズを通過したあとにどうなるかから説明せよ。
(2) (1)の像は光軸に対して Q と同じ側にできるか、反対側にできるか。Q が光軸から の位置にあるとき、像の位置を求めよ。
(3) (1)の像の位置はレンズと鏡の距離 によらない。その理由を述べよ。
(4) 鏡を光軸に垂直な位置から小さな角 だけ傾けると、像は焦点面の上で何 mm 移動するか。
(5) 焦点距離が不明なレンズについて、この配置を用いて焦点距離を測定する方法を述べよ。
ヒントを見る
焦点面の1点から発した光は、レンズを通過したあとどんな光線の束になるか。その束が平面鏡で反射すると、束の向きはどうなるか。平行光線の束がレンズで集光する点は束の何で定まるか。
解答・解説
方針
焦点面の1点から発した光は、レンズを通過すると、その点の位置で向きが定まる平行光線になる。平面鏡は平行光線を平行のまま反射するので、反射してきた平行光線は再び焦点面の1点に集光する。像の位置は平行光線の向きで定まり、鏡を傾けると反射光の向きが 変化する。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 凸レンズの焦点面の1点から発した光は、レンズを通過すると平行光線になる。逆に、平行光線はレンズを通過すると焦点面の1点に集光し、その点の位置は平行光線の向きだけで定まる。
この配置では、レンズと鏡の間を進む光は平行光線である。平面鏡は平行光線を平行のまま反射するので、反射してきた光は再びレンズで焦点面に集光する。像の位置は平行光線の向きで定まるので、向きがどう変化するかを考えればよい。
① 焦点面に像ができる理由。 Q は焦点面の上にあるので、Q から発した光はレンズを通過すると平行光線になる。平面鏡で反射した光も平行光線のままで、再びレンズを通過すると、焦点面の1点に集光する。したがって、像は Q と同じ焦点面の上にできる。
② 像の位置。 平行光線の向きは Q からレンズの中心を通る光線の向きと同じである。Q が光軸の上側 にあれば、この光線は光軸に対して だけ下向きに傾いて進む。
光軸に垂直な鏡で反射しても、光軸に垂直な向きの速度の成分は変化しないので、反射した平行光線は下向きの傾きのままレンズに再び入射する。レンズで集光する点は焦点面の上で光軸から 下側である。像は光軸に対して反対側の の位置にできる。
③ によらない理由。 を変化させると、平行光線がレンズに再び入射する位置は変化するが、平行光線の向きは変化しない。焦点面で集光する点は向きだけで定まるので、像の位置は によらない。
④ 鏡を傾けたとき。 鏡を だけ傾けると、反射光の向きは だけ変化する。焦点面上で集光する点は向きの変化に焦点距離をかけた分だけ移動する。
鏡のわずかな傾きが像の大きな移動として観測される。
⑤ 焦点距離の測定。 鏡をレンズの後方に配置したまま、光源とレンズの距離を変化させる。光源と同じ面の上に光源のはっきりした像(光軸に対して反対側)ができたとき、光源は焦点面の上にある。そのときの光源とレンズの距離が焦点距離である。鏡の位置は任意でよい。
まとめ 焦点面上の点と平行光線の向きは、凸レンズによって1対1に対応する。平面鏡で平行光線を折り返すと、像は再び焦点面の上にでき、その位置は平行光線の向きだけで定まる。
発展。 このように、光源と同じ面に結ぶ像を用いて焦点の位置を特定する方法を、オートコリメーションという。④のように鏡の傾きを像の移動として拡大して観測できるので、鏡の傾きの検査にも用いられる。
(1) 焦点面の1点から発した光は、レンズを通過すると平行光線になる。平行光線は鏡で反射しても平行のままで、再びレンズを通過すると焦点面の1点に集光する (2) 反対側。光軸から反対側に の位置 (3) レンズと鏡の間の光は平行光線で、像の位置を決定するのは平行光線の向きだけだから。 を変化させても向きは変化しない (4) (5) 鏡をレンズの後方に配置したまま、光源とレンズの距離を変化させ、光源と同じ面にはっきりした像ができる位置を探索する。そのときの光源とレンズの距離が焦点距離である
別解
別解:鏡で折り返した光路を、まっすぐ伸ばして考える。 平面鏡で反射した光は、鏡に関して対称な位置にあるもう1枚の同じレンズへ、まっすぐ進むとみなせる。すると、光は「焦点距離 のレンズ → 距離 → 同じレンズ」を順に通過することになる。
1枚目のレンズの焦点面から発した光は、1枚目を通過して平行光線になり、2枚目を通過して2枚目の焦点面に集光する。2枚のレンズの間が平行光線なので、像の高さは によらず、物体の高さの 倍(上下が反対で同じ大きさ)になる。
これを実際の空間に折り返すと、像は Q と同じ焦点面の上の、光軸に対して反対側の の位置にある。②と③の結果が同時に得られる。
ポイント
- 焦点面の1点から発した光はレンズで平行光線になり、平行光線は焦点面の1点に集光する
- 集光する点は平行光線の向きだけで定まる。レンズと鏡の距離によらない
- 鏡を 傾けると反射光は 回転し、像は 移動する
よくある間違い
- 鏡で反射した光は来た道をそのまま逆進するので、像は Q の位置そのものにできると考える。光軸に対して反対側にできる
- 鏡を 傾けると反射光も だけ回転すると考える。入射角と反射角がともに 変化するので、反射光は 回転する
- 像の位置がレンズと鏡の距離 によって変化すると考える。レンズと鏡の間は平行光線なので、 は像の位置に影響しない