物理 / 波の伝わり方と音

崖に向かう船が発した音で速さと距離を求める

★★★★ 難関ドップラー効果反射うなり

問題

まっすぐな崖に向かって、船が一定の速さ で進んでいる。船は振動数 の短い音を崖に向けて発し、崖で反射した音を、発してから 後に受けた。受けた反射音の振動数は であった。音速を とし、風はないものとする。

崖u660 Hz の音
崖に向かって速さ u で進む船が、660 Hz の短い音を崖に向けて発する

(1) 崖が受ける音の振動数を、 を用いて表せ。

(2) 船が受ける反射音の振動数を で表し、 を求めよ。

(3) 音を発したときの、船と崖の距離を求めよ。

(4) 反射音を受けたときの、船と崖の距離を求めよ。また、船がそのまま進むと、反射音を受けてから何秒後に崖に到達するか。

(5) 船の上で の警笛を鳴らしながら崖からの反射音を聞くと、1秒あたり何回のうなりが聞こえるか。

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崖は、まず観測者として、次に音源として扱う。それぞれの段階で、移動しているのは音源と観測者のどちらか。音が往復する間に、船はどれだけ崖に近づくか。

解答・解説

方針

反射は2段階に分割して考える。崖は静止した観測者として、近づく音源(船)からの音を受ける。次に崖は静止した音源として、受けた振動数の音を発し、近づく観測者(船)がそれを受ける。振動数の比から速さが求まり、往復の時間からは、音を発したときの距離が求まる。往復の間に船も進むことに注意する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 反射を含むドップラー効果は、反射面をいったん観測者、次に音源とみなして2段階で計算する。崖は静止しているので、1段階目は「音源が近づく」、2段階目は「観測者が近づく」場合である。

一方、往復の時間は、音が進んだ距離から求める。音が崖まで往復する間に船も崖へ近づくので、往復の距離は「発したときの距離の2倍」ではない。

① 崖が受ける振動数。 崖は静止した観測者で、音源の船が速さ で近づくので、次のとおりである。

② 船が受ける振動数と速さ。 崖は静止した音源として振動数 の音を発し、観測者の船が速さ で近づくので、次のようになる。

から、 である。 を解くと、 で である。

公式音源が近づくとき 、観測者が近づくとき

③ 音を発したときの距離。 発したときの距離を とする。音は崖まで 進み、帰りは、その間に 近づいた船まで 進む。音が進んだ距離の合計は なので、次の式が成り立つ。

崖発したとき受けたとき行き 700 m帰り 660 m船が進んだ 40 m
音の往復。行き 700 m と帰り 660 m の合計 1360 m を 4.0 s で進む。帰りが短いのは、その間に船が 40 m 進むからである

④ 受けたときの距離と到達の時刻。 受けたときの距離は である。速さ で進むと、崖に到達するのは 秒後である。

⑤ うなり。 船の上では、警笛の と反射音の を同時に聞くので、うなりは毎秒 回である。

まとめ 反射のドップラー効果は、反射面を観測者と音源の2段階で考える。振動数の比からは速さ、往復の時間からは距離が求まり、往復の間に船が進む分を含めて式を立てる。

発展。 往復の時間と反射音の振動数を測定すれば、目標物までの距離と、目標物に対する速さを同時に求めることができる。船の速さが既知であれば、反射音の振動数から、反射した物体自身の速さも求められる。

答

(1) (2) 、 (3) (4) 、 秒後 (5) 回

別解

別解:船とともに移動する立場で、行きと帰りの時間を求める。 船を基準にすると、崖は速さ で近づいてくる。船に対する音の速さは、行きが 、帰りが である。

行きでは、音と崖が で互いに近づくので、反射までの時間は である。その間に崖は 近づくので、反射した時点の船と崖の距離は で、帰りの時間はこれを で割った値である。往復の時間の合計について、次の式が成り立つ。

③と一致する。行き()より帰り()のほうが短いのは、帰りの音に船が向かっていくからである。

ポイント

  • 反射面は、まず観測者、次に音源として2段階で考える
  • 近づく船と静止した崖の往復では 。振動数の比から速さが求まる
  • 往復の距離は、発したときの距離の2倍から、往復の間に船が進んだ距離を引いたもの

よくある間違い

  • 往復の距離を として とする。反射音が到達するまでに船は 近づいているので、 である
  • 崖が受けた振動数をそのまま船が受けると考える。崖を音源とみなした2段階目で、近づく観測者の効果が加わる
  • 2段階とも同じ式 を用いる。1段階目は音源が、2段階目は観測者が移動している