物理 / 波の伝わり方と音
崖に向かう船が発した音で速さと距離を求める
問題
まっすぐな崖に向かって、船が一定の速さ で進んでいる。船は振動数 の短い音を崖に向けて発し、崖で反射した音を、発してから 後に受けた。受けた反射音の振動数は であった。音速を とし、風はないものとする。
(1) 崖が受ける音の振動数を、 を用いて表せ。
(2) 船が受ける反射音の振動数を で表し、 を求めよ。
(3) 音を発したときの、船と崖の距離を求めよ。
(4) 反射音を受けたときの、船と崖の距離を求めよ。また、船がそのまま進むと、反射音を受けてから何秒後に崖に到達するか。
(5) 船の上で の警笛を鳴らしながら崖からの反射音を聞くと、1秒あたり何回のうなりが聞こえるか。
ヒントを見る
崖は、まず観測者として、次に音源として扱う。それぞれの段階で、移動しているのは音源と観測者のどちらか。音が往復する間に、船はどれだけ崖に近づくか。
解答・解説
方針
反射は2段階に分割して考える。崖は静止した観測者として、近づく音源(船)からの音を受ける。次に崖は静止した音源として、受けた振動数の音を発し、近づく観測者(船)がそれを受ける。振動数の比から速さが求まり、往復の時間からは、音を発したときの距離が求まる。往復の間に船も進むことに注意する。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 反射を含むドップラー効果は、反射面をいったん観測者、次に音源とみなして2段階で計算する。崖は静止しているので、1段階目は「音源が近づく」、2段階目は「観測者が近づく」場合である。
一方、往復の時間は、音が進んだ距離から求める。音が崖まで往復する間に船も崖へ近づくので、往復の距離は「発したときの距離の2倍」ではない。
① 崖が受ける振動数。 崖は静止した観測者で、音源の船が速さ で近づくので、次のとおりである。
② 船が受ける振動数と速さ。 崖は静止した音源として振動数 の音を発し、観測者の船が速さ で近づくので、次のようになる。
から、 である。 を解くと、 で である。
③ 音を発したときの距離。 発したときの距離を とする。音は崖まで 進み、帰りは、その間に 近づいた船まで 進む。音が進んだ距離の合計は なので、次の式が成り立つ。
④ 受けたときの距離と到達の時刻。 受けたときの距離は である。速さ で進むと、崖に到達するのは 秒後である。
⑤ うなり。 船の上では、警笛の と反射音の を同時に聞くので、うなりは毎秒 回である。
まとめ 反射のドップラー効果は、反射面を観測者と音源の2段階で考える。振動数の比からは速さ、往復の時間からは距離が求まり、往復の間に船が進む分を含めて式を立てる。
発展。 往復の時間と反射音の振動数を測定すれば、目標物までの距離と、目標物に対する速さを同時に求めることができる。船の速さが既知であれば、反射音の振動数から、反射した物体自身の速さも求められる。
(1) (2) 、 (3) (4) 、 秒後 (5) 回
別解
別解:船とともに移動する立場で、行きと帰りの時間を求める。 船を基準にすると、崖は速さ で近づいてくる。船に対する音の速さは、行きが 、帰りが である。
行きでは、音と崖が で互いに近づくので、反射までの時間は である。その間に崖は 近づくので、反射した時点の船と崖の距離は で、帰りの時間はこれを で割った値である。往復の時間の合計について、次の式が成り立つ。
③と一致する。行き()より帰り()のほうが短いのは、帰りの音に船が向かっていくからである。
ポイント
- 反射面は、まず観測者、次に音源として2段階で考える
- 近づく船と静止した崖の往復では 。振動数の比から速さが求まる
- 往復の距離は、発したときの距離の2倍から、往復の間に船が進んだ距離を引いたもの
よくある間違い
- 往復の距離を として とする。反射音が到達するまでに船は 近づいているので、 である
- 崖が受けた振動数をそのまま船が受けると考える。崖を音源とみなした2段階目で、近づく観測者の効果が加わる
- 2段階とも同じ式 を用いる。1段階目は音源が、2段階目は観測者が移動している