物理 / 波の伝わり方と音

2つのスピーカーの間を歩くと聞こえる音の強弱

★★★★ 難関干渉ドップラー効果うなり

問題

十分に離れた2つのスピーカー A、B を向かい合わせに配置し、同じ振動数 の音を同位相で発する。観測者は A と B を結ぶ直線上を、A から B の向きに一定の速さ で歩く。音速を とし、2つの音の振幅は等しいとみなす。

ABu=1.0 m/s観測者
向かい合う2つのスピーカー A、B の間を、観測者が B の向きに歩く

(1) A と B を結ぶ直線上で、音が強め合う点の間隔を求めよ。

(2) 観測者には、音の強弱が1秒あたり何回くり返して聞こえるか。(1)の結果から求めよ。

(3) ドップラー効果を考えると、観測者が B から受ける音と A から受ける音の振動数はそれぞれいくらか。また、2つの音のうなりは1秒あたり何回か。

(4) (2)と(3)の回数が一致することを、文字式で説明せよ。音速を 、振動数を とする。

ヒントを見る

中点から だけ B 側の点では、A からと B からの距離の差はいくらか。強め合いの条件から、強め合う点の間隔が判明する。ドップラー効果では、観測者は B に近づき、A から遠ざかっている。

解答・解説

方針

同じ現象を2通りに説明できる。1つは、2つの音の干渉で直線上に強め合う点と弱め合う点が交互に並び、その中を歩くと強弱をくり返すという説明である。もう1つは、近づく B の音と遠ざかる A の音の振動数がドップラー効果でずれ、うなりが生じるという説明である。両方を計算して、同じ回数になることを確認する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 静止していれば、直線上の各点で音の大きさは一定である。強め合う点と弱め合う点が交互に並んでいるので、その中を歩くと、強い点と弱い点を順に通過して強弱をくり返す。

一方、歩いている観測者の立場では、B の音はドップラー効果で高く、A の音は低く観測される。振動数のわずかに異なる2つの音を同時に受けるので、うなりが生じる。同じ現象を干渉とドップラー効果の2通りで説明し、回数を比較する。

① 強め合う点の間隔。 波長は である。A と B の中点から B の向きに だけ離れた点では、A からの距離は B からの距離より 長い。同位相の2つの音が強め合う条件は、距離の差が波長の整数倍になることである。

強め合う点の間隔は である。

② 強弱の回数(干渉で考える)。 観測者は毎秒 進むので、間隔 の強め合う点を毎秒 個通過する。音の強弱は毎秒 回くり返して聞こえる。

x振幅O−0.250.250.50
中点からの位置 x [m] と、2つの音を合成した振幅(1つの音の振幅を 1)。強め合う点(赤)は 0.25 m ごとに並ぶ

③ 強弱の回数(ドップラー効果で考える)。 観測者は B に近づき、A から遠ざかる。音源は静止しているので、観測者が受ける振動数は次のとおりである。

うなりの回数は振動数の差で、 回である。

公式観測者が速さ で静止音源に近づくとき 、遠ざかるとき

④ 2つの説明が一致する理由。 干渉で考えると、強め合う点の間隔は なので、1秒あたりの回数は次のようになる。

ドップラー効果で考えると、うなりの回数は次のとおりである。

どちらも になる。、、 を代入すると 回で、②と③に一致する。

まとめ 2つの音源の間を移動するときの強弱は、静止した干渉の模様の中を通過すると考えても、ドップラー効果による振動数のずれのうなりと考えても、同じ回数になる。同じ現象を、地面に静止した立場と観測者とともに移動する立場で表したものである。

発展。 2つの音源の振動数が少し異なる場合は、観測者が静止していても、強め合う点の位置そのものが一定の速さで移動していく。このとき聞こえるうなりは、移動する強め合いの点が観測者を通過する回数とみなせる。

答

(1) (2) 回 (3) B からの音 、A からの音 、うなりは 回 (4) 強め合う点の間隔は なので、1秒あたりの回数は 。うなりの回数は で、同じ式になる

別解

別解:2つの波の重ね合わせの式で考える。 中点を原点とし、B の向きを正とする。A から進む波と B から進む波は、位置 、時刻 で次のように表せる(位相の基準は同じとする)。

和は で、振幅は である。振幅が最大になるのは が の整数倍の点で、①と一致する。

観測者の位置 を代入すると、観測者が受ける振幅は と時間変化する。この絶対値の周期は なので、強弱は毎秒 回になる。

ポイント

  • 向かい合う2つの音源の間では、強め合う点が ごとに並ぶ
  • その中を速さ で移動すると、強弱は毎秒 回
  • ドップラー効果によるうなり と同じ式になる

よくある間違い

  • 強め合う点の間隔を波長 とする。中点から 進むと距離の差は 変化するので、間隔は である
  • 観測者が移動するドップラー効果の式で、分母に を用いる(音源が移動する場合の式と混同する)。音源が静止しているので、分母は のままである
  • 2つの音源の振動数が等しいので、うなりは生じないと考える。観測者が移動すると、受ける振動数が2つの音で異なる