物理 / 電磁誘導と交流

初速を与えた導体棒が停止するまでに進む距離

★★★★ 難関導体棒の誘導起電力力積ジュール熱

問題

間隔 の水平でなめらかな2本のレールの一端を、抵抗値 の抵抗で接続する。鉛直方向に磁束密度 の一様な磁場がある。質量 の導体棒をレールに垂直に配置し、抵抗から遠ざかる向きに初速 を与える。抵抗以外の電気抵抗と回路の自己誘導は無視する。

Rv₀l磁場は鉛直方向(紙面に垂直)
レールの一端を抵抗 R で接続し、導体棒に抵抗から遠ざかる向きの初速 v₀ を与える(真上から観察した図)

(1) 導体棒の速さが のとき、導体棒が磁場から受ける力の大きさと向きを求めよ。

(2) 導体棒が微小な距離 進む間の速さの変化 を、 で表せ。このことから、速さは進んだ距離に対してどのように減少するか。

(3) 導体棒が停止するまでに進む距離を求めよ。

(4) 導体棒が停止するまでに抵抗を流れる電荷と、発生するジュール熱を求めよ。

(5) 導体棒が 進んだときの速さを求めよ。

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導体棒が受ける力は速さに比例する。微小な時間に受ける力積を、その間に進む距離で表すとどうなるか。

解答・解説

方針

導体棒が受ける力は速さに比例し、 である。微小な時間の運動量の変化を考えると、 なので、速さの減少は進んだ距離に比例する。速さが になるまでの距離は、初めの運動量を力の比例定数で割って求まる。流れる電荷も運動量と力積の関係から求まり、熱は初めの運動エネルギーに等しい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 導体棒が受ける力は速さに比例するので、時間に対しては速さが指数関数的に減少し、停止するまでの時間を求めるのは難しい。しかし、力積は「力 × 時間」で、力が速さに比例するので、力積は「速さ × 時間」すなわち進んだ距離に比例する。

運動量の変化と力積の関係を距離で表すと、速さは距離に対して直線的に減少することが判明する。停止するまでの距離はこの関係から直接求まる。

① 磁場から受ける力。 誘導起電力は 、電流は で、導体棒が受ける力の大きさは次のとおりである。

力の向きは、レンツの法則により運動を妨げる向き、すなわち運動と逆向きである。

② 速さと距離の関係。 微小な時間 の運動量の変化は、力積に等しい。

は に比例するので、速さは進んだ距離に比例して減少する。

xvO0.300.404.01.0
進んだ距離 x [m] と導体棒の速さ v [m/s]。速さは距離に比例して減少し、0.40 m で停止する
重要速さに比例する力を受けて減速するとき、速さは進んだ距離に比例して減少する。力積が進んだ距離に比例するため

③ 停止するまでの距離。 速さが から まで減少するので、次のようになる。

④ 電荷とジュール熱。 力積の大きさは で、運動量の変化 に等しい。

運動エネルギーはすべてジュール熱になるので、熱は である。

⑤ 進んだときの速さ。 ②の関係から、速さは である。

まとめ 速さに比例する力を受けて減速する導体棒では、力積が進んだ距離に比例するので、速さは距離に対して直線的に減少する。停止するまでの距離 と流れる電荷 は、時間の変化を追わずに求まる。

発展。 時間に対しては、速さは ()のように減少し、理論上は停止するまでに限りなく長い時間がかかる。それでも進む距離は有限の にとどまる。渦電流を用いた電車のブレーキでも、低速では力がほぼ速さに比例するので、同じ考え方が適用できる。

答

(1) [N] で、運動と逆向き (2) 。速さは進んだ距離に比例して減少する (3) (4) 、 (5)

別解

別解:電荷と距離の関係から求める。 導体棒が距離 進む間に、回路を貫く磁束は だけ変化する。流れる電荷は磁束の変化を抵抗で割った値で、 である。

一方、運動量と力積の関係から なので、 となり、 が得られる。③と一致し、流れる電荷 も④と一致する。

ポイント

  • 導体棒が受ける力は で、速さに比例する
  • 力積は進んだ距離に比例し、速さは距離に対して直線的に減少する
  • 停止するまでの距離 、電荷 、熱

よくある間違い

  • 力が一定であると考えて、等加速度運動として距離を求める。力は速さに比例して小さくなる
  • 速さは時間とともに減少するので、停止するまでに進む距離も無限大になると考える。速さは距離に比例して減少するので、距離は有限である
  • 流れる電荷を、初めの電流 と時間の積で求める。電流は時間とともに減少するので、力積との関係か磁束の変化から求める