物理 / 電場と電位

極板の間を往復する金属球が運ぶ電流

★★★★ 難関一様な電場電荷の移動電流

問題

間隔 で鉛直に配置した2枚の極板に、電圧 の電池を接続する。極板の間のなめらかな絶縁体の水平面の上に、質量 の小さな金属球がある。金属球は極板に接触するたびに、その極板と同じ符号で大きさ の電荷を帯び、静止の状態から反対の極板へ向かって移動を開始する。反対の極板に衝突すると速さは になり、電荷はすぐに反対の符号に変化する。極板の間の電場は一様とし、金属球による電場の乱れと空気の抵抗は無視する。

金属球V=2.0×10³ V+−d=4.0 cm
鉛直に配置した2枚の極板の間で、水平面の上の金属球が往復する

(1) 金属球が受ける力の大きさと、加速度の大きさを求めよ。

(2) 金属球が一方の極板から他方の極板まで移動する時間と、衝突する直前の速さを求めよ。

(3) 衝突する直前の運動エネルギーが に等しいことを確認せよ。

(4) 金属球が1回移動するたびに、電池を通過する電荷はいくらか。また、電池を流れる平均の電流を求めよ。

(5) 電圧を2倍にすると、金属球が帯びる電荷の大きさも2倍になるとする。平均の電流は何倍になるか。

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金属球の電荷が反対の符号に変化するとき、極板との間でどれだけの電荷が移動するか。等加速度運動で距離 を進む時間は、加速度とどんな関係にあるか。

解答・解説

方針

金属球は一様な電場から一定の力 を受け、静止の状態から等加速度運動をする。1回の移動で金属球の電荷は から (または逆)に変化するので、極板と金属球の間で の電荷が移動し、電池がそれを補う。平均の電流は1回の移動で電池を通過する電荷を移動の時間で割った値である。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 金属球は、正の極板で正の電荷を得て負の極板まで移動し、そこで負の電荷を得て正の極板まで移動する。この往復によって、正の電荷が正の極板から負の極板へくり返し運ばれる。

1回の移動にかかる時間は、一様な電場の中の等加速度運動から求まる。電流は1回の移動で電池を通過する電荷をその時間で割れば求まる。

① 力と加速度。 電場は である。

② 移動の時間と速さ。 静止の状態から距離 を進むので、次のようになる。

③ 運動エネルギー。

電場がした仕事 が、すべて運動エネルギーになっている。

④ 電池を通過する電荷と電流。 の金属球が負の極板に衝突すると、金属球の電荷は に変化する。金属球の電荷が 減少した分だけ負の極板の電荷が 増加するので、電池は負の極板から正の極板へ の電荷を移動させて、極板の電荷をもとの値に保つ。

txO0.40.81.21.64.0+q−q+q−q
金属球の位置 x [cm](正の極板を基準とする)と時間 t [s]。0.40 s ごとに反対の極板に到達し、そのたびに電荷の符号が変化する

1回の移動ごとに が電池を通過するので、平均の電流は次のとおりである。

重要往復する金属球は、1回の移動で の電荷を運ぶ。平均の電流は

⑤ 電圧を2倍にしたとき。 電荷 と電場 がともに2倍になるので、力と加速度は4倍になる。時間は に比例して 倍になり、1回に運ぶ電荷は2倍なので、電流は 倍になる。

電流は電圧の2乗に比例し、オームの法則にしたがわない。

まとめ 電場の中の金属球は一様な電場から一定の力を受けて往復し、1回ごとに の電荷を運ぶ。電流は運ぶ電荷と移動の時間で定まり、電荷が電圧に比例するときは電圧の2乗に比例する。

発展。 この装置の原理は、静電気で鳴る「静電気のベル」と同じである。電荷を帯びた物体が移動して電流が流れるしくみは、電解液の中のイオンが電荷を運ぶ電流とも共通している。

答

(1) 、 (2) 、 (3) 、 で等しい (4) 、 (5) 倍

別解

別解:電池がする仕事から電流を求める。 1回の移動で電池が の電荷を移動させると、電池の仕事は である。1回の移動は なので、電池が供給する平均の電力は である。

電力は に等しいので、 となり、④と一致する。電池の仕事のうち金属球の運動エネルギーになるのは で、半分である。もう半分は、接触して電荷が変化するときの電流によって熱になる。

ポイント

  • 金属球は一様な電場から一定の力 を受け、静止の状態から等加速度運動をする
  • 1回の移動で電荷が から に変化し、 の電荷が電池を通過する
  • 電荷が電圧に比例すると、電流は電圧の2乗に比例する

よくある間違い

  • 1回の移動で運ぶ電荷を とする。金属球の電荷は から に変化するので、極板との間で が移動する
  • 電圧を2倍にすると電流も2倍になると考える。電荷と電場がともに2倍で移動の時間が半分になるので、電流は4倍である
  • 移動の時間を ( は衝突の直前の速さ)とする。等加速度運動なので平均の速さは で、時間は である