物理 / 電場と電位
電池の向きを逆にして再接続したコンデンサーで発生する熱
問題
電気容量 のコンデンサーを、起電力 の電池で十分に充電した。このとき、極板 P の電荷は正である。次に電池を切りはなし、電池の向きを逆にして、抵抗を通してコンデンサーに再び接続した。その状態で十分に時間が経過するまで待機する。
(1) はじめにコンデンサーに蓄えられた電荷と静電エネルギーを求めよ。
(2) 十分に時間がたったあとの、極板 P の電荷を求めよ。
(3) 再接続してから十分に時間がたつまでに、電池を通過した電荷と、電池がした仕事を求めよ。
(4) 抵抗で発生したジュール熱を求めよ。抵抗の値を変化させると、この熱は変化するか。
(5) 電池の向きを逆にする代わりに、充電したコンデンサーを、同じ向きで起電力 の電池に接続した場合、抵抗で発生する熱を求めよ。
ヒントを見る
極板 P の電荷は、はじめと最後でいくら変化するか。その電荷はすべて電池を通過する。電池の仕事のうち、静電エネルギーの増加にならなかった分は何になったか。
解答・解説
方針
電池がした仕事は、電池を通過した電荷と起電力の積である。エネルギーの保存から、電池の仕事は静電エネルギーの増加とジュール熱の和になる。向きを逆にすると、静電エネルギーは変化しないのに、電池は電荷 を移動させて仕事をする。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 抵抗を流れる電流は時間とともに変化するので、ジュール熱を電流から直接計算するのは難しい。そこで、はじめと最後の状態だけを比較し、エネルギーの保存から熱を求める。
電池がした仕事は、電池を通過した電荷と起電力の積で、途中の電流の変化によらない。この仕事から静電エネルギーの増加を差し引いた分が、ジュール熱である。
① はじめの状態。
② 最後の状態。 電池の向きが逆なので、極板 P は電池の負極の側に接続されている。十分に時間がたつと、コンデンサーの電圧は電池の起電力に等しくなり、P の電荷は になる。静電エネルギーは、はじめと同じ である。
③ 電池を通過した電荷と電池の仕事。 P の電荷は から に変化したので、 の正の電荷が P から導線を通り、電池の中を負極から正極へ移動した。電池はこの電荷を起電力の向きに移動させたので、正の仕事をした。
④ ジュール熱。 静電エネルギーは変化しないので、電池の仕事はすべてジュール熱になる。
電池の仕事と静電エネルギーは抵抗の値によらないので、熱も抵抗の値によらない。抵抗が大きいと電流は小さいが、そのぶん長い時間流れる。
⑤ 30 V の電池に接続したとき。 P の電荷は から に増加するので、電池を通過する電荷は で、電池の仕事は である。
静電エネルギーは 増加するので、熱は である。向きを逆にした場合と同じ熱になる。
まとめ 熱は電流の変化を追わなくても、電池の仕事と静電エネルギーの増加の差から求められる。どちらの場合もコンデンサーの電圧が 変化し、熱は等しい。
発展。 一般に、起電力が一定の電池でコンデンサーの電圧を だけ変化させると、ジュール熱は になる(別解)。電圧の変化が大きいほど多くの熱が発生するので、電池の電圧を少しずつ高くして充電すると、発生する熱を小さくできる。
(1) 、 (2) (3) 、 (4) 。抵抗の値によらない (5)
別解
別解:電圧の変化だけから熱を求める。 電池の起電力を 、コンデンサーのはじめの電圧を とする(P の側を正として符号をつける)。最後の電圧は なので、電池を通過する電荷は で、電池の仕事は である。静電エネルギーの増加 を引くと、熱は次のようになる。
向きを逆にした場合は 、 で、30 V の場合は 、 である。どちらも なので、熱は となる。
ポイント
- 電池の仕事は起電力と電池を通過した電荷の積
- 電池の仕事 静電エネルギーの増加 ジュール熱。熱は抵抗の値によらない
- 熱は で、コンデンサーの電圧の変化だけで定まる
よくある間違い
- 静電エネルギーが変化しないので、熱も とする。電池は電荷 を移動させて仕事をし、それがすべて熱になる
- 電池を通過した電荷を とする。P の電荷は から まで変化するので、 である
- 抵抗が大きいほど熱が大きいと考える。電流が小さくなるぶん流れる時間が長くなり、熱の合計は抵抗の値によらない