物理 / 電場と電位
接地した2枚の極板の間に配置した帯電した極板
問題
同じ面積の3枚の金属板 A、B、C を、この順に平行に配置する。A と B の間隔は 、B と C の間隔は である。A と C は導線で接続して接地し、B には電荷 を与えた。A と B だけでつくるコンデンサーの電気容量は 、B と C だけでつくるコンデンサーの電気容量は である。極板の端の効果は無視する。
(1) B の電位を求めよ。
(2) B の A 側の面と C 側の面に現れる電荷を、それぞれ求めよ。
(3) A と B の間、B と C の間の電場の強さを、それぞれ求めよ。
(4) B が電場から受ける力の大きさと向きを求めよ。
(5) B を A と C のちょうど中央に移動すると、B が受ける力は になる。この位置から B をわずかに A 側へ移動すると、B が受ける力はどちら向きになるか。
ヒントを見る
A と C の電位が等しいとき、B を基準とした2つの間隔の電位差はどうなるか。B の2つの面の電荷はどんな比で分配されるか。
解答・解説
方針
A と C は同じ電位 なので、B と A、B と C の間の電位差は等しい。B を共通の極板とする2つのコンデンサーが並列に接続されているとみなせ、電荷 は電気容量に比例して2つの面に分配される。極板の面の電荷が受ける力は、面の電荷とその面の側の電場の積の半分である。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) A と C は導線で接続して接地しているので、どちらも電位は である。B と A の間の電位差と、B と C の間の電位差は等しく、どちらも B の電位 に等しい。
これは、B を共通の極板とする2つのコンデンサー 、 が並列に接続された状態である。電荷 は電気容量に比例して B の2つの面に分配され、近いほうの面に多く分布する。
① B の電位。 並列の合成容量は なので、次のようになる。
② B の両面の電荷。
A の B 側の面には 、C の B 側の面には が静電誘導で現れる。
③ 電場の強さ。 どちらの間隔も電位差は なので、電場は間隔に反比例する。
④ B にはたらく力。 極板の面の電荷 が受ける力は、その面の側の電場 との積の半分 である(面の電荷自身がつくる電場の分を除外するため)。A 側の面は A の向きに、C 側の面は C の向きに引かれる。
B は A の向き、すなわち近いほうの極板の向きに引かれる。
⑤ 中央の位置の安定性。 中央では2つの間隔が等しく、両面の電荷も電場も等しいので、力は である。B を A 側にわずかに移動すると、A 側の容量が大きくなり、A 側の面の電荷と電場がともに大きくなる。
力は面の電荷と電場の積で定まるので、A 側の面の力が大きくなり、B は A の向きにさらに引かれる。中央の位置は不安定で、B はずれた向きの極板へ引き寄せられる。
まとめ 接地した2枚の極板の間の帯電した極板は、2つのコンデンサーの共通の極板とみなせる。電荷は近い面に多く分布し、近い側の電場も強いので、B は近いほうの極板に引かれる。
発展。 静電気の力で物体が引き寄せられる現象の多くは、この例のように「近いほど引く力が強くなる」性質をもち、つり合いの位置は不安定になる。静止した電荷がつくる電場の中で、点電荷を安定に静止させられないことは、アーンショーの定理として知られている。
(1) (2) A 側 、C 側 (3) 、約 (4) 約 、A の向き (5) A の向き(近いほうの極板の向き)。中央の位置は不安定である
別解
別解:静電エネルギーの変化から力を求める。 B の電荷 は一定なので、静電エネルギーは である。B を A の向きに微小な距離 だけ移動すると、容量は間隔に反比例するので、 は 増加し、 は 減少する(、)。
合成容量の増加は で、 は減少する。電荷が一定のとき、力はエネルギーの減少の割合に等しい。
エネルギーが減少する向き、すなわち A の向きに力がはたらき、④と一致する。
ポイント
- A と C が同じ電位なら、B は2つのコンデンサーの共通の極板(並列)とみなせる
- 電荷は電気容量に比例して分配され、近い面に多く分布する
- 面の電荷が受ける力は 。B は近いほうの極板に引かれ、中央は不安定
よくある間違い
- 電荷 が B の両面に半分ずつ分配されると考える。2つの間隔の電位差が等しいので、電荷は電気容量に比例する
- 面の電荷が受ける力を とする。面の電荷自身がつくる電場を除外すると、その面の位置の電場は である
- 間隔の狭い側の電場が弱いと考える。電位差が等しいので、間隔が狭いほど電場は強い