物理基礎 / 運動の表し方
ぎりぎり追いつく条件(重解の物理)
問題
静止していた自動車が時刻 に一定の加速度 で発進した。その 後、同じ地点を一定の速度 のバイクが同じ向きに通過した。
(1) バイクが自動車に追いつく時刻を求めよ。
(2) このときバイクは「ぎりぎり追いつく」状況であることを、2 台の速度を比べて説明せよ。
ヒントを見る
位置が等しいとおいて 2 次方程式を作ると、解の様子がいつもと違うはず。「解が 1 つしかない」ことは、運動の言葉で何を意味するだろう。
解答・解説
方針
位置を等しいとおくと 2 次方程式になる。解が重解になることに気づくのがポイント。重解=「一瞬だけ並ぶ」=ぎりぎり追いつく。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 追いつき問題の手順どおり、位置の式を立てて等号で結ぶ。ただしこの問題は答えの形に仕掛けがある。2 次方程式が重解を持つのだ。
数学で「重解=接する」だったことを思い出しながら進めよう。
① 位置の式を立てる。
- 自動車:
- バイク( から走る):
② 等しいとおく。
重解 。追いつくのはこの一瞬だけ。
③ 速度を比べる。
での自動車の速度は — バイクとぴったり同じ。
この瞬間より前はバイクが速く(差を詰め)、後は自動車が速い(引き離す)。だから並べるのはこの一瞬だけで、バイクは追いついた直後に置いていかれる。「ぎりぎり追いつく」とはこういう状況だ。
まとめ x-tグラフで見ると、バイクの直線が自動車の放物線に接している。交わる(2 回並ぶ=追い抜いてまた抜かれる)でも、離れている(追いつけない)でもない、その境目が重解。数学の判別式 が「ぎりぎり」という物理の状況に対応する。
(1) (ただ 1 回だけ並ぶ) (2) で両者の速度がともに で等しく、以後は自動車が速くなるため、この一瞬しか並べない
別解
相対運動+平方完成で見るルート(得意な人向け)。 バイクから見た自動車の相対位置は
平方完成した瞬間に、相対位置は常に 以上(バイクは決して前に出ない)で、 にだけ になる(並ぶ)ことが読み取れる。方程式を「解く」のでなく式の形から運動の全history を読む、一段上の見方だ。
ポイント
- 重解=一瞬だけ並ぶ=ぎりぎり追いつく
- そのとき 2 台の速度が等しい(グラフの接触)
- 判別式 D の符号が「追いつける・ぎりぎり・追いつけない」に対応
よくある間違い
- バイクの式を とする( 遅れて通過するから )
- 重解が出たのに「2 回追いつく」と書いてしまう(重解は 1 回。グラフは接している)
- (2)で位置だけ比べて速度の比較をしない(「ぎりぎり」の根拠は速度が等しいこと)