物理基礎 / 運動の表し方

上昇する気球から放した小球

★★★ 応用投げ上げ落体運動2次方程式

問題

一定の速さ で上昇している気球が、地面からの高さ の点を通過した瞬間、気球から小球を静かに放した。重力加速度の大きさを とする。

4.9 m/s小球29.4 m地面
上昇中の気球から小球を静かに放す。小球は気球の速度を受け継ぐ

(1) 小球が地面に達するのは、放してから何秒後か。

(2) 地面に達する直前の速さを求めよ。

ヒントを見る

放した瞬間、小球の速度はいくつだろうか。「気球から静かに放す」の意味を考えてから、投げ上げの式を立てよう。

解答・解説

方針

「静かに放す」= 気球と同じ速度を持ったまま切り離される。つまり初速度 4.9 m/s の鉛直投げ上げ。放した点を原点に、地面 y=−29.4 で式を立てる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 最大の急所は最初の一歩にある。「静かに放す」は「速度 で放す」ではない。放す直前まで小球は気球と一緒に動いているから、放した瞬間の速度は上向き だ。

つまりこれは、高さ からの鉛直投げ上げ。走行中の電車で荷物を落とすと荷物が前に進みながら落ちるのと同じ理屈だ。

① 座標を決めて式を立てる。

放した点を原点、上向きを正とする。地面は

② 2次方程式を解く。

両辺を で割って

より 後。

③ 直前の速さ。

負は下向き。速さは

まとめ 動くものから「静かに」放された物体は、放した瞬間の乗り物の速度を初速度として受け継ぐ。ここを外すと全部ずれる。放した後は、気球がどう動こうと小球には無関係(小球はただの投げ上げ)という切り分けも大事だ。

(1) 後 (2)

別解

最高点で区切るルート(検算に)。 小球はまず 上昇し、 だけ高くなる。最高点の高さは

そこからは自由落下で、 より

合計 。1 本の式ルートと一致する。数値が半端に見えても( など)、最後がきれいに揃うか確かめるのは強力な検算になる。

ポイント

  • 「静かに放す」=乗り物の速度を初速度として受け継ぐ
  • 放した点を原点に、地面は負の座標
  • 放した後の運動は気球と無関係

よくある間違い

  • 初速度を 0 として自由落下で解いてしまう(答えが約 2.4 s になりずれる)
  • 初速度を下向き 4.9 m/s と誤解する(気球は上昇中。小球も最初は上へ動く)
  • 地面を とする(放した点より下なので負)