数学A / 図形の性質

接弦定理

★ 基礎接弦定理

問題

の周上の点 で接線 を引く。 から円周上の点 へ弦 を引くと、接線 と弦 のなす角が であった。点 は、この角と反対側の弧の上にある。

65°65°TAB
接線 ℓ と弦 TA のなす角 = 反対側の弧の円周角 ∠TBA

円周角 を求めよ。

ヒントを見る

接線と弦 がつくった角に注目。この角は、弦 を反対側の弧の上の点 から見た角と、実は同じ大きさになる。

解答・解説

方針

接線と弦がつくる角には、円周角と結びつく性質(接弦定理)がある。接線と弦のなす角は、その弦を反対側の弧から見た円周角に等しい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 接線と弦が作る角 — この形を見たら接弦定理だ。

「接線と弦の角」と「反対側の円周角」が、そのまま等しい。 倍にも半分にもしない — 同じ値である。

急所は「反対側」の意味だ。 接線と弦のなす角が のとき、その角がにらんでいる弧(角の内側にある弧)がある。円周角を測る点 は、その弧の反対側にいなければならない。

図で、角の内側にどちらの弧があるかを確かめる — これが接弦定理を使うときの唯一の注意点である。

定理接弦定理:接線と弦のつくる角は、その弦に対する反対側の弧の円周角に等しい

接線 と弦 のなす角は、弦 を反対側の弧から見た円周角 と等しい。

よって

発展 — 一歩先へ。 接弦定理も、逆が成り立つ

「ある直線が円に接することを証明せよ」という問題が、角度が等しいことを示す問題に変わる。

円がらみの定理は、そろって「逆」が使える。

定理 順に使う に使う
円周角の定理 角を求める 点が共円であることを示す
内接四角形の定理 角を求める 点が共円であることを示す
接弦定理 角を求める 接線であることを示す
方べきの定理 長さを求める 点が共円であることを示す

「順」は計算に、「逆」は証明に使う。 入試の証明問題で「共円を示せ」「接線であることを示せ」と問われたら、これらの逆を思い出す。

定理を学んだら、必ず「逆は成り立つか?」と問う習慣をつけたい。成り立つなら道具が 倍になり、成り立たないなら(その反例を知ることで)理解が深まる。

数学の定理は、両刃の剣である。 片側だけ研いでいては、もったいない。

別解

接弦定理は、円周角の定理の"極限"として理解できる。 そう見ると、なぜ「そのまま等しい」のかが腑に落ちる。

証明: 直径を引いて、直角を作る。

で接線 が引かれている。接線は、接点を通る半径と垂直である。

を通る直径 を引く( は円周上の反対側の点)。

は直径 に対する円周角なので、(タレスの定理)。

の内角の和から

一方、接線と弦のなす角は

( だから、 を足すと 。)

は弦 に対する円周角。 そして も同じ弧に対する円周角だから等しい。

「接線 半径」と「直径の円周角は 」の つだけで証明できた。

そして、もっと直感的な見方がある。接弦定理は「円周角の定理の極限」だ。

円周上に を取り、弦 を引く。円周角の定理より、(弦 と弦 のなす角)は ここで に限りなく近づける

すると、弦 は接線 に近づいていく。(円に 点で交わる直線が、 点が重なる瞬間に接線になる。)

接線とは、 つの交点が重なった割線 — その極限で、円周角の定理がそのまま接弦定理に化けるのだ。

点を近づけて 点にする」という発想は、数IIIで学ぶ微分の心臓部でもある( 点を通る直線の極限が接線)。幾何の接線と、微分の接線は、まったく同じ考え方でできている。

接弦定理の使いどころ。 接線が出てきたら、接弦定理で「角を円の中へ運び込む」。円の外にある角(接線がらみの角)を、円の内側の円周角に翻訳できる — それだけで、問題が解ける形に変わることが多い。

ポイント

  • 接弦定理:接線と弦の角 = 反対側の弧の円周角。
  • 「接している点」でできる角がカギ。接点から弦を引いて角を作る。

よくある間違い

  • 接線と弦のなす角を2倍(または半分)にしてしまう(接弦定理では、そのまま等しい)
  • 「反対側の弧」の円周角でなく、同じ側の弧の円周角と等しいとしてしまう
  • 接線と半径が垂直であることを使い忘れる(接線がらみの証明はここが出発点)