数学A / 図形の性質

円に内接する四角形

★ 基礎内接四角形

問題

四角形 が円に内接している。 とする。

ABCD85°95°
円に内接する四角形。向かい合う角の和は 180°

を求めよ。

ヒントを見る

円に内接する四角形では、向かい合った2つの角をたすといつも同じ値になる。 の向かいは の向かいは だ。

解答・解説

方針

円に内接する四角形では、向かい合う角の間に決まった関係がある。 がそれぞれ向かい合っている。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「四角形が円に内接している」— この条件から言えることは つ。

(i)が主役だ。 向かい合う角(対角)は

隣り合う角と足してはいけない。 の相手は、 つ飛ばした である。

検算: 四角形の内角の和は ✓ — 必ずこれを確かめる。

定理円に内接する四角形:向かい合う角の和は

は向かい合っているので、和は

同じく も向かい合うので

発展 — 一歩先へ。 どんな四角形でも円に内接できる、わけではない。 ここが面白いところだ。

三角形なら、どんな形でも必ず外接円がある( 点を通る円は必ず つ引ける)。しかし四角形になると、円に内接できるものと、できないものに分かれる

点目が「たまたま」円の上に乗るかどうか — その条件が、対角の和が なのである。

  • 長方形・正方形 → 内接できる(対角は ✓)
  • 等脚台形 → 内接できる
  • 平行四辺形(長方形以外)内接できない(対角が等しいので、和が になるのは長方形のときだけ)
  • ひし形(正方形以外)内接できない

平行四辺形が円に内接できないという事実は、意外に感じるかもしれない。しかし対角が等しい()ので、和が になるには両方 — つまり長方形しかありえない。

点が同じ円の上に乗る」ことは、特別な事件なのだ。だからこそ、それが示せたときの見返り(円の定理が全部使える)が大きい。

点、 点と増えれば、共円はさらに珍しくなる。 それでも、正多角形はすべて共円だし、有名な九点円(三角形の つの特別な点が つの円に乗る!)のような驚異も存在する。

「たまたま円の上に乗る」ことの不思議さ — 幾何学者が何千年も惹きつけられてきた理由が、ここにある。

別解

「なぜ対角の和が なのか」 — 円周角の定理から、 行で導ける。理由を知れば、「隣り合う角と足す」という誤りは起こらない。

は、それぞれどの弧を見ているか。

  • ()は、 を含まない弧 に対する円周角
  • ()は、 を含まない弧 に対する円周角

この つの弧を合わせると、円を 周する。

中心角で言えば、 つの中心角の和は

円周角は中心角の半分だから

つの弧を合わせると 周する。だから角の和は の半分」 — これが の正体だ。

同じ理由で 対角どうしのペアだけが、円を 周ぶん分け合っている — 隣り合う角では、こうならない(弧が重なったり足りなかったりする)。

そして、この定理の逆こそが強力である。

点が同じ円の上にあることを示せ」という問題が、角度の計算に化ける。

点が共円だと分かると、円の道具箱がまるごと開く

  • 円周角の定理(同じ弧の角は等しい)
  • 方べきの定理(交点からの長さの積が等しい)
  • 接弦定理

「共円を示す」ことは、道具を手に入れることなのだ。

外角の性質(ii)も、この から出る。 の外角は で、これは に等しい。

つの性質は、同じことの言いかえである。片方を覚えれば、もう片方は自動で出る。

円に内接する四角形は「対角がつながっている」。 向かい合う 角が、円周を分け合って を守る — そう思うと、この定理は忘れにくくなる。

ポイント

  • 内接四角形は「向かい合う角の和 = 180°」。
  • 隣どうしではなく、向かい(対角)の関係であることに注意。

よくある間違い

  • 対角ではなく隣り合う角と足して としてしまう( の相手は1つ飛ばした )
  • 四角形の内角の和 での検算をしない
  • どんな四角形でも対角の和が になると思い込む(円に内接するときだけ)