数学A / 整数の性質
有限小数と循環小数
問題
次の分数を小数で表し、有限小数か循環小数かを答えよ。
(1)
(2)
ヒントを見る
まず約分して既約分数に。分母を素因数分解して、 と だけでできているかを見る。 と 以外の素因数()があると、循環小数になる。
解答・解説
方針
有限小数になるか循環小数になるかは、既約分数にしたときの『分母の素因数』で決まる。分母が と だけでできていれば有限小数、それ以外の素因数があれば循環小数だ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 分数を小数にするには、素直に割り算をすればよい。
一方は途中で終わり(有限小数)、もう一方は同じ数字を繰り返す(循環小数)。
この違いは、どこから来るのか。 割り算の余りに注目すると分かる。 では余りがいつか になるが、 では余りが にならず、同じ余りが再登場してループに入る。
カギは分母にある。
には という"よそ者"がいる。 この違いが運命を分ける — 詳しくは別解で。
なお、判定の前に必ず約分すること。約分前の分母で判断すると誤る。
有限か循環かは、既約分数の分母の素因数で決まる。分母が と だけなら有限小数、それ以外の素因数があれば循環小数だ( なので、 と だけは小数点以下で割り切れる)。
(1) はすでに既約。分母 は だけ。だから有限小数になるはず。実際に割ると
(2) も既約。分母 には が含まれる。だから循環小数になるはず。割ってみると
( が無限にくり返す。くり返す部分の上に点をつけて表す。)
発展 — 一歩先へ。 有限小数も循環小数も、分数で表せる数、つまり有理数である。逆も成り立つ。
循環小数が分数に戻せることは、 倍のトリックで示せる。 とすると
この操作で、どんな循環小数も分数に戻る。
では、循環しない無限小数は何者か。 それが無理数である。
どこまで行っても、同じパターンが繰り返されない。 だから分数では書けない。
小数の見た目( 終わるか、繰り返すか、繰り返さないか)が、数の種類を完全に分類している。 と の違いを調べる作業は、実は数の世界の地図を描く作業だったのだ。
なお、有名な という等式も、上の 倍のトリックで確かめられる( から )。「 に限りなく近い別の数」ではなく、 そのもの — 無限小数の奥深さを教えてくれる、格好の入口である。
(1) (有限小数) (2) (循環小数)
別解
割り算をする前に、有限小数か循環小数かを見抜く方法がある。しかも、その理由は驚くほど単純だ。
判定法。既約分数の分母を素因数分解して、
それ以外の素因数()が つでもあれば、循環小数になる。
(1) : 分母 — だけ。だから有限小数。
(2) : 分母 — がいる。だから循環小数。
割り算をせずに、分母を見ただけで結論が出た。
なぜ と が特別なのか。 有限小数とは「分母が のべき乗の分数」に書き直せる、ということだ。
そして — のべき乗は、 と しか素因数を持たない。
だから、分母を のべき乗に化けさせるには、元の分母が と だけでできていなければならない。実際
分母の に、足りない を掛けて を作った — これが有限小数の正体である。
一方 は、分母に がいる。 は何を掛けても のべき乗には化けない( は で割り切れないから)。だから、どうやっても有限小数にはならない。
進法だから と なのだ。 もし人類が 進法を使っていたら、 なので、 が有限小数になっていた( 進法で )。「割り切れる・割り切れない」は、数そのものの性質ではなく、 進法という記数法の都合なのである。
循環小数の面白さ。 を計算してみると
の 桁が循環する。 なぜ 桁か。割り算の余りは 〜 の 通りしかありえず( になったら終わってしまう)、同じ余りが出た瞬間にループが始まるからだ。循環節の長さは、必ず「分母 」以下になる。
の点の位置にも注意したい。 で循環するのは だけ( と は循環に入らない)。だから点は の上にだけ打つ。 と書くと「」という別の数になってしまう。
ポイント
- 既約分数の分母が と だけ → 有限小数
- 分母に 以外の素因数がある → 循環小数
- 判定の前に必ず約分して既約分数にする
よくある間違い
- 約分せずに元の分母で判定する
- 循環する部分の書き方(点の位置)を間違える
- 分母に や があっても、割り切れる場合があると思ってしまう(既約分数なら必ず循環する)