数学A / 整数の性質
約数の個数と総和
問題
について、次の問いに答えよ。
(1) 正の約数は何個あるか。
(2) 正の約数の総和を求めよ。
ヒントを見る
まず素因数分解する。約数は『各素因数を 個〜最大個のうち何個使うか』の組み合わせ — その通り数のかけ算が個数。総和は、各素因数の( 個〜最大個の)和どうしをかける。
解答・解説
方針
まず素因数分解する。約数の個数も総和も、素因数分解の『指数』から公式で一気に出せる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 約数の問題は、まず素因数分解。話はそこからだ。
の約数とは、 を何個・ を何個・ を何個使うか、を決めて掛け合わせたもの。
- の使い方: 個 → 通り
- の使い方: 個 → 通り
- の使い方: 個 → 通り
独立に選べるので、掛けて
個使う場合を忘れない — だから指数に する。総和も同じ発想で「各素数の使い方の合計」を掛け合わせる。
まず素因数分解する。。
(1) 約数は の形になる。 は の 通り、 は の 通り、 は の 通り。どれも独立に選べるので
『 個(その素数を使わない)』も1通りに数えるのがポイントだ。
(2) 約数の総和は、各素因数について『 乗から最大乗までの和』を作り、それらをかけ合わせると出る。
(なぜかけ算でよいのか。この積を展開すると、 の形の項が『約数の選び方の分だけ』ちょうど1回ずつ現れる — つまり全約数の和そのものになる。)
発展 — 一歩先へ。 約数の総和を と書く。 である。
この関数には、 年以上前から人を惹きつけてきた問題がある。自分自身を除いた約数の和が、ちょうど自分自身になる数 — 完全数だ。
( で書けば 、。)
次の完全数は 、その次は 。ユークリッドは「 で が素数なら完全数」と証明した( で 、 で )。
そして、 年経った今も解けていない問題がある。
- 奇数の完全数は存在するか?( つも見つかっていないが、存在しない証明もない)
- 完全数は無限にあるか?(現在 個程度しか知られていない)
小学生でも意味が分かる問いが、人類最高の頭脳を 年はねつけている。 整数論とは、そういう分野だ。
の約数を数えるという地味な作業は、この深淵への入口に立っている。簡単に見える問いほど、底が深い — 数学の恐ろしさであり、面白さである。
(1) 個 (2)
別解
部品ごとに計算して、最後に掛ける — この見方をすると、総和の公式が驚くほど自然に見えてくる。
を、 つの独立な部品に切り分ける。
この つは互いに素(共通の素因数がない)。
それぞれの約数の総和を、単独で計算する。
- の約数: → 総和
- の約数: → 総和
- の約数: → 総和
掛ける。
これが答え ✓。 個の約数を全部書き出して足す必要はない。
なぜ掛けてよいのか。 の約数は「 の約数」「 の約数」「 の約数」の形にただ 通りに書ける(素因数分解の一意性)。たとえば約数 は、 の約数 、 の約数 、 の約数 の組から作られる — 他の組み合わせでは作れない。
だから、 つの和を掛け合わせて展開すると、 個の項がちょうど 個の約数と 対 に対応する。
個の項 個の約数。「掛けて展開する」ことが「全部の約数を作って足す」ことと同じなのだ。
この性質を、数学では乗法性という。 「互いに素な部分に分けて、それぞれで計算し、最後に掛ける」— 整数の世界の強力な戦略である。約数の個数も同じ()。
検算の手。 約数をペアで数えてみよう。掛けて になる組は — ちょうど 組。 組に 個ずつだから 個 ✓。公式の答えと一致した。
約数の総和 は、元の数 の 倍以上もある。約数がたくさんある数( は 個も持つ)では、こういうことが起こる。約数の"豊かさ"を測る量として、整数論では σ(シグマ)という記号で書かれ、完全数や友愛数といった魅力的な話題の主役になる。
ポイント
- 素因数分解 → 約数の個数は
- 約数の総和は
- 個数では『 個(使わない)』も1通りに数える
よくある間違い
- 個数を とする( を忘れる)
- 総和で各素因数の 乗()を足し忘れる
- 総和の式をたし算でつなぐ( は誤り。かけ算でつなぐ)