数学A / 整数の性質

最大公約数・最小公倍数

★ 基礎最大公約数最小公倍数

問題

について、次の問いに答えよ。

(1) 最大公約数と最小公倍数を求めよ。

(2) (最大公約数)(最小公倍数)が、 に等しいことを確かめよ。

ヒントを見る

両方を素因数分解する。各素因数について、指数の小さいほうを取れば最大公約数、大きいほうを取れば最小公倍数。

解答・解説

方針

両方を素因数分解すると、共通部分(最大公約数)も全体(最小公倍数)も見えてくる。指数の『小さいほう』を集めると最大公約数、『大きいほう』を集めると最小公倍数だ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 最大公約数(gcd)と最小公倍数(lcm)は、素因数分解して指数を見比べると一発だ。

  • 最大公約数: 両方が持っている素因数を、少ないほうの個数だけとる
  • 最小公倍数: どちらかが持っている素因数を、多いほうの個数だけとる

個と 個 → gcd では 、lcm では 個ずつ → どちらも だけ → gcd には入らない、lcm には

「共通のものだけ・少ないほう」が gcd、「全部・多いほう」が lcm。 迷ったら指数を並べて書く。

公式素因数分解して、最大公約数は指数の小さいほう、最小公倍数は大きいほうを集める

と素因数分解する。

(1) 各素因数の指数を見比べる。

最大公約数(共通して持てる分=指数の小さいほう): 個、 個、 は片方にしかないので 個。よって

最小公倍数(どちらも割り切る最小の数=指数の大きいほう): 個、 個、 個。よって

(2)

まとめ:確かに等しい。これは偶然ではない。どの素因数も『小さいほうの指数 大きいほうの指数 元の2数の指数の和』になるから、 はいつでも成り立つ。

発展 — 一歩先へ。 最小公倍数は、身のまわりで意外なほど活躍する。

歯車。 歯数 つの歯車がかみ合って回るとき、最初と同じ歯どうしが再び出会うのは、 個の歯が噛み合ったとき。小さい歯車は 回転、大きいほうは 回転している。

うるう年・カレンダー。 「同じ曜日・同じ日付」が戻ってくる周期も、(や )の絡んだ公倍数の問題だ。

セミ。 北アメリカには 年ゼミ 年ゼミがいる。どちらも素数年なのは偶然だろうか。もし周期が 年なら、 年周期の天敵と頻繁に鉢合わせしてしまう。素数なら、天敵との出会いの周期(最小公倍数)が最大になる が同時に地上に出るのは、 年に 度だけだ。

進化が、最小公倍数を計算していたという説である(異説もあるが、魅力的な見方だ)。

歯車の噛み合い、暦の巡り、生物の生存戦略 — 「いつ再び出会うか」という問いのあるところ、必ず最小公倍数がいる。数学は、世界の周期を記述する言語なのだ。

(1) 最大公約数 、最小公倍数 (2)

別解

(2)で確かめた という関係は、偶然ではない。 なぜ必ず成り立つのかを見抜けば、この式は「暗記する公式」から「当たり前の事実」に変わる。

指数を表にして並べる。

素因数 の指数 の指数 gcd(小さいほう) lcm(大きいほう)

ここで、いちばん右の 列に注目してほしい。

の行: gcd の指数 と lcm の指数 。足すと 。 一方、元の つの数の指数は 。足すと

同じだ。

の行: gcd が 、lcm が → 和は 。元は → 和は やはり同じ。

当たり前である。 つの数 について、小さいほう(min)と大きいほう(max)を足せば、必ず元の つの和になるからだ。

( なら で、和は — 当然。)

だから、すべての素因数について指数の和が保たれる。 指数の和が同じということは、掛け算の結果が同じということ。

を足せば元に戻る — たったこれだけの事実が、この美しい公式の正体だった。

実用上、この関係は非常に強力である。

lcm は、gcd さえ分かれば割り算 回で出る。 そして gcd は、素因数分解しなくても互除法で高速に求められる(後で学ぶ)。

大きな数ほど、この道が効く。 たとえば を素因数分解で求めるのは骨が折れるが、互除法で と分かれば

素因数分解を一切せずに、最小公倍数が出た。 「gcd を先に、lcm は割り算で」— これが実戦の手順である。

なお、 つ以上の数ではこの公式は成り立たない( が普通)。 数限定の関係だと覚えておきたい。

ポイント

  • 素因数の指数の小さいほうを集める → 最大公約数
  • 素因数の指数の大きいほうを集める → 最小公倍数
  • が常に成り立つ

よくある間違い

  • 最大公約数と最小公倍数の『小さい・大きい』を取り違える
  • 片方にしかない素因数を最大公約数に入れてしまう
  • つ以上の数にも を使ってしまう(2数だけの関係)