数学A / 整数の性質

素因数分解

★ 基礎素因数分解

問題

次の整数を素因数分解せよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

小さい素数()で、割り切れる限り割っていく。 で割れなくなったら次の素数へ。同じ素数で何回割れたかが指数になる。

解答・解説

方針

素因数分解は『小さい素数から順に、割れるだけ割る』。 で割れなくなったら 、次は …と進める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 素因数分解は、小さい素数から順に、割り切れなくなるまで割る。手順は決まっている。

で割れるだけ割ってから へ、 で割れるだけ割ってから へ — 飛ばさず、戻らず

急所は つ。

つ目: 素数でない数で割らない。 で割ると、分解が途中で止まったり、素因数を見落としたりする。

つ目: 最後に残った数が素数かどうか、必ず確かめる。 を「もう割れない」と思って素数扱いすると、 を見逃す。 である。

どこまで試せばよいか。割る素数が を超えたら、残りは素数だと分かる。

(1) 小さい素数から順に割る。

はもう で割れない。次は : は素数。まとめると

(2) 同じように から。

で割れない。 で割ると 、そして 。よって

(検算:。組み立て直して元に戻るか確かめると安心だ。)

発展 — 一歩先へ。 「どんな分解の道を通っても同じ答えになる」— この当たり前に見える事実には、素因数分解の一意性(算術の基本定理)という立派な名前がついている。

当たり前だと思うだろうか。 しかし、少し違う数の世界を作ると、この性質はあっさり壊れる。たとえば「偶数だけの世界」を考えると、 となり、 はどれもその世界ではそれ以上分解できない数(この世界に はいない)。分解が 通りできてしまうのだ。

整数の世界で一意性が成り立つのは、 つの定理として証明されるべき事実であって、当たり前ではない。そしてこの一意性こそが、約数の個数の公式も、最大公約数の求め方も、すべてを支えている。

現代の暗号技術は、この定理を逆手にとっている。 つの巨大な素数を掛けるのは一瞬でできるが、その積を素因数分解するのは天文学的に難しい」— インターネットの通信を守っている仕組みは、この非対称性の上に立っている。

桁の合成数を素因数分解するのは、現在の計算機では数万年かかる。素因数分解は、簡単そうに見えて、実は人類最強クラスの難問なのだ。 を割っている手つきの先に、そんな世界が広がっている。

(1) (2)

別解

知っている掛け算から分解していくやり方も紹介しよう。慣れると、小さい素数で順に割るより速い。そして「どこまで試し割りすればよいか」の理屈も押さえる。

別ルート: 覚えている積に分けて、そこから枝を伸ばす(樹形図)。

(1) 」はすぐ思いつく。あとはそれぞれを分解する。

の個数を数え間違えないこと。 から 個、 から 個で、合わせて 個 → ✓。

どんな道を通っても、たどり着く答えは同じ。 でも同じである。これは偶然ではなく、素因数分解の一意性という定理が保証している(下の発展を参照)。

(2) こちらは目星がつきにくいので、素直に で割っていく。

は奇数なので では止まり。次は 。各位の和が の倍数だから割れる。

ここが山場。 を「割れない」と早合点しない。 である。

どこまで試し割りすればよいか。

を分解するとき、 とどこまで試せばよいのだろう。答えは まで 以下の素数()で全部割り切れなければ、残った数は素数だと確定する。

なぜ で足りるのか。 もし が合成数なら (、どちらも 以上)と書ける。ここで の両方が より大きいことはありえない(もしそうなら となって矛盾)。

つまり、合成数なら必ず 以下の約数を持つ。 まで探して見つからなければ、それは素数だ。

この事実は実用的に大きい。 を調べるのに 回割る必要はなく、 までの素数 個を試すだけでよい。探索範囲が劇的に縮む — 素数判定のアルゴリズムは、まずこの一手から始まる。

検算の習慣。 分解できたら、必ず掛け戻す。

ポイント

  • 小さい素数から順に、割れなくなるまで割る
  • 同じ素数で割った回数が、その素数の指数
  • 最後は必ず素数だけの積になる(検算で元に戻るか確認)

よくある間違い

  • など、素数でない数で割ってしまう
  • を素数と勘違いして割り残す
  • 分解が終わったのに掛け戻しの検算をしない(指数の数え間違いはここで見つかる)