数学A / 確率
立方体の頂点を動く点が戻る確率
問題
立方体 (底面が正方形 、上面が正方形 で、 が辺)の頂点 に点 がある。 は1秒ごとに、いまいる頂点と辺で結ばれた3つの頂点のいずれかへ、それぞれ確率 で移動する。6秒後に が頂点 にある確率を求めよ。
ヒントを見る
8頂点ぶんの確率を全部追うのは無駄が多い。 から見ると、立方体の頂点は対称性でいくつかの「層」にまとまらないか。層から層への移り方さえ決めれば、あとは1秒ずつの計算で届く。
解答・解説
方針
8頂点の確率を別々に追わず、 からの道のり(たどる辺の最小本数)で頂点を4つの層に分ける。同じ層の頂点は対称で区別する必要がなく、層から層への移り方だけを6秒ぶん順に計算すればよい。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 頂点は8個あるが、 から見た対称性で4つの層に分かれる。「(道のり0)」「(道のり1)」「(道のり2)」「(道のり3)」だ。
同じ層の頂点は、どれも から見て同じ立場にある。だから がどの層にいるかの確率だけ追えば十分だ。状態を8個から4個に減らす。この集約が急所になる。
層の間の移り方を決めてしまえば、6秒は1秒ずつの機械的な計算で追える。
① 層と移り方を決める。 層0 、層1 、層2 、層3 。各頂点から出る辺は3本で、
- 層0からは3本とも層1へ(確率1)
- 層1からは1本が層0へ()、2本が層2へ()
- 層2からは2本が層1へ()、1本が層3へ()
- 層3()からは3本とも層2へ(確率1)
たとえば の隣は (層1)と (層3)。どの頂点でも、層だけで移り方が決まる。
② 6秒ぶんを順に計算する。 秒後に層0〜3にいる確率を と書く。移り方から、次の秒は「層0へ = 層1の 」「層1へ = 層0の全部 + 層2の 」「層2へ = 層1の + 層3の全部」「層3へ = 層2の 」で更新できる。
- 0秒:
- 1秒:
- 2秒:
- 3秒: … 層1へは
- 4秒: … 層2へは
- 5秒: … 層1へは
- 6秒:
③ 答え。 6秒後に層0(= 頂点 )にいる確率は
まとめ: 対称性で状態を減らす(8頂点 → 4層)のが急所。減らしたあとは、1秒ずつの推移を落ち着いて追うだけだ。表に0が交互に並ぶのは「1歩で層の偶奇が入れ替わる」からで、この偶奇の観察は検算にも使える。
発展 — 一歩先へ。 は、もう とほとんど同じだ。偶数秒の点は偶数層の4頂点()にほぼ均等に散らばっていく。たった6秒で「どこにいたか」の記憶がほぼ消える。混ざりの速さも、この計算から読み取れる。
別解
2歩ずつまとめて、状態を2つに(得意な人向け)。 偶数秒には層0か層2にしかいない。それなら最初から「2歩で1回」と数えて、状態を2つに圧縮できる。
2歩の移り方をまとめる。層0からは、1歩目で必ず層1へ行き、2歩目で が層0へ戻り が層2へ進む。層2からは、1歩目が層1()か層3()で、2歩目まで追うと
あとは を3回更新するだけだ。
6秒後に にいる確率は 。本解の6行の表が、3行に半減した。
偶奇の対称性は「無駄な状態を消す」だけでなく、時間の刻みを倍にして計算自体を短くしてくれる。
ポイント
- からの道のりで頂点を4層に集約する(対称な頂点は区別しない)。
- 層の間の移り方: 層1からは で戻り で先へ、層2からは で戻り で へ。
- 6秒後に層0にいる確率は 。
よくある間違い
- 8頂点それぞれの確率を追って、6秒ぶんの表が巨大になり計算が破綻する。対称な頂点は必ずまとめる。
- 層1からの移り方を「 で戻り で進む」と逆にする。図で の隣( と )を数えて確かめる。
- 奇数秒に層0の確率を計算し続ける。1歩で層の偶奇が入れ替わるから、奇数秒の層0は自動的に0。半分の計算は省ける。