数学A / 確率

取り出した色と同じ玉を加える袋

最難関編全確率条件付き確率

問題

袋の中に赤玉2個と白玉1個が入っている。袋から玉を1個取り出して色を確かめ、取り出した玉と、それと同じ色の新しい玉1個を、あわせて袋に戻す(操作のたびに袋の玉は1個増える)。この操作を繰り返す。

(1) 3回目の操作で赤玉を取り出す確率を求めよ。

(2) 2回目の操作で赤玉を取り出したとき、1回目の操作でも赤玉を取り出していた条件付き確率を求めよ。

ヒントを見る

袋の中身は毎回変わるのに、答えは驚くほど単純になる。2回目までの結果で場合分けして順に足し上げると何が見えるか。(2)は時間をさかのぼる向きの確率 — 定義に戻って、分子と分母をそれぞれ求められるか。

解答・解説

方針

袋の中身が毎回変わるので、直前までの取り出し方で場合分けして全確率で足し上げる。(1)を丁寧に計算すると、どの回に取り出しても赤の確率が最初の のまま変わらないことが見えてくる。(2)は条件付き確率の定義に忠実に戻る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 操作のたびに袋の中身が変わる。だから3回目の確率は、「それまでに何色を取り出したか」で場合分けするしかない。これが全確率の考え方だ。

2回目までの結果は赤赤・赤白・白赤・白白の4通り。それぞれの袋の状態から、3回目の赤の確率が決まる。

(2)は「後の結果から前を推し測る」向きの条件付き確率。新しい道具は要らない。定義 に忠実に戻ればよい。

公式全確率: 排反な場合に分けて 。条件付き確率:

① 1回目・2回目の確率。 1回目に赤(以下 )は 。2回目は1回目の結果で場合分けする。

  • (確率 )のとき、袋は赤3白1。
  • 白(、確率 )のとき、袋は赤2白2。

1回目と同じ になった。

② 3回目の確率((1)の答え)。 2回目までの4通りで場合分けする。それぞれの確率と、そのときの袋(玉は5個):

  • 赤赤: 、袋は赤4白1 → 3回目に赤は
  • 赤白: 、袋は赤3白2 →
  • 白赤: 、袋は赤3白2 →
  • 白白: 、袋は赤2白3 →

赤白と白赤が同じ確率 になっていることにも注目したい。全確率で

③ (2) 逆向きの条件付き確率。 分子は 。分母は①より

まとめ: 中身の変わる袋は「直前までの結果で場合分け → 全確率」が基本。取り出す色の確率がどの回でも のまま、という不変性がこのモデルの名物だ。

発展 — 一歩先へ。 この装置はポリアの壺と呼ばれ、流行や感染が「持てる者にさらに集まる」様子のモデルとして使われる。初期の割合 がどの回にも保存されるのは偶然ではない(別解)。

(1) (2)

別解

順番を入れ替えても確率が同じ(交換可能性の種明かし)。 ②の表で、赤白と白赤の確率がどちらも だった。これは偶然ではない。

たとえば「赤白赤」の順に出る確率を書き下ろすと

分母は袋の総数 の積で、順番によらない。分子も、赤を引くたびに赤の個数 を、白を引くたびに白の個数 を順に使うだけで、掛ける数の集まりは順番によらない。つまり、赤と白の回数が同じ列は、どの順でも同じ確率になる(交換可能性)。

すると強力な近道が開く。「3回目に赤」の確率は、列の中の赤の位置を1回目に移しても変わらないから、。即答だ。

(2)も同じ理屈で (1回目と2回目を入れ替えた)。定義計算(本解③)と一致する。対称性は、計算を丸ごと省略させてくれることがある。

ポイント

  • 袋の状態を場合分けして全確率で足す。
  • どの回も赤の確率は (順番を入れ替えても確率が同じ対称性)。
  • (2)は定義どおり計算して

よくある間違い

  • 2回目に赤の確率を「袋が変わったから 」と1本値で答える。1回目の結果は確定していないので、場合分けして平均する(答えは )。
  • (2)で を答えてしまう。問われているのは時間をさかのぼる向き 。値は偶然同じ になるが、意味も計算も別物。
  • 玉が増えることを忘れ、分母を3のまま掛け続ける。操作のたびに袋は1個ずつ増える(3→4→5)。